個人であれば、相続のことや確定申告、法人であればそれに加えて、月々の資金繰りや節税対策、年末調整や決算など、お金に関する悩みはなかなか尽きることはないですよね。
そんな時に頼れる存在となるのが税理士です。
でも、実際税理士がどんな仕事をしてくれるのか分からない、税理士事務所はどんな基準で選べばいいのか分からないという方は多いのではないでしょうか?
また日頃から馴染みがない職業なので、いい税理士とダメな税理士の見極めポイントもよく分からないといった話もよく聞きます。
今回の記事では、そもそも税理士にどんな仕事を任せられるのか、そして失敗しない税理士の選び方のポイントは何か、をまとめました。
税理士ってどんな人?全国に税理士は何人いるの?
税理士とは?
税理士とは「税理士法」という国の法律で規定された税務に関する専門家のことです。
税理士になる方法は3つの方法があります。
①税理士試験に合格したあと、二年間の実務経験を経て税理士登録
税理士試験は5つの科目に合格しなければならず、それぞれの科目の合格率は10~20%ととても狭き門になっています。
全ての科目に合格し、税理士試験を突破するには少なくとも2年以上勉強しなければならないと言われています。
②公認会計士、または弁護士の資格取得
税理士試験を受けなくても、公認会計士と弁護士資格を取得していれば、税理士業務をすることができます。
③税務署で23年以上の勤務実績
税務署で23年以上働いていれば、税理士資格、公認会計士資格、弁護士資格のいずれの資格を持っていなくても税理士業務を行えます。
税務署側のことを十分理解しているため、顧問税理士として味方になってもらえたら頼もしいですよね。
税理士の数や、税理士事務所の数はどのくらい?平均年齢は?
日本税理士会連合会によると、令和2年3月時点で、税理士は全国に78,795名います。
また事務所の数は、主たる事務所、従たる事務所合わせて、合計6,344事務所あります。
一番多いのが東京都で、都内23,388人、事務所数は1,721です。
税理士の平均年齢ですが、平均年齢は60歳以上とかなり高齢です。
なかには80歳以上の税理士先生も存在します。
理由は資格に年齢制限がないため、資格取得後は本人が自ら辞めるまで、業務を続けることができるためです。
なかにはITに疎い税理士も多いため、税理士選びをする際には、税理士の年齢も一つ参考にするといいと思います。
税理士だけが行うことができる独占業務とは?
税理士に依頼できることとして、まず最初に法律で定められた税理士にしかできない独占業務があります。
それが税務代理、税務署類の作成、税務相談です。
これらに加え、個人や企業向けに様々な付随業務を行っています。それでは紹介していきたいと思います。
1:税務代理
納税者の代わりに、税務署等への申告・申請を行うことができます。
代表的なものとして確定申告や相続税申告などがあります。
また税務調査に立ち会い、納税者の代わりに税務調査の対応を行います。
税務署からの調査が入ると、脱税など悪いことをしていなくても、不安になりますよね。
税務署の調査員の質問に対して、あなたの代わりに税理士が回答をしてくれるため、安心です。
場合によっては、その場に最後まで立合わず、調査員と税理士だけで進めてもらうことも可能です。
その他に、青色申告の承認申請や、税務署の決定に対する不服申し立てをしてもらうこともできます。
2:税務書類の作成
税務官公署に提出する申告書・申請書・請求書などを納税者に代わって作成します。
納税者の指示に従って作成するの税理士以外でも可能ですが、自らの判断で税務勝利の作成していくのは税理士のみが出来る仕事です。
税務書類は、月次業務と年次業務の2種類あります。
年次業務:決算書、中間決算書、年末調整、確定申告書など
月次業務:給与明細書、源泉所得税納付書など
その他に税務官公署に提出する書類があれば、税理士に作成業務をお願いすることができます。
3:税務相談
税金の計算、必要な手続き、税務の相談ができます。
例えば
「身内に不幸があったので、相続について相談したい」
「今年度、各種税金がどの程度かかるかあらかじめ知りたい」
「年末調整や確定申告の手続き方法が分からない」など、
具体的な税金の計算方法や、手続き、税務に関するあらゆる相談にのってくれます。
その他に、税理士はどんなサポートをしてくれる?
その他の業務①:税金対策
非課税制度や控除制度など、適法の範囲内で相談者の税負担を軽減するサポートを行ってくれます。
本来利用できる制度があっても、当事者である納税者自身が申告しなければ、非課税制度、控除制度は適用されません。
税制度を知らないことで、必要以上に納税をしてしまってるケースはあります。
税制度は毎年のように変更したり、新たなものができたりしているため、個人で最新の税制度を全て把握するのは大変です。
こういったときに、税務の専門家である税理士に依頼するのは、一つのです。
また節税したいけど、脱税との境目が不安な方にとっても、税理士サポートのもと、税金対策をするうのは安心感があります。
その他の業務②:資金調達支援・融資支援
事業運営を行っている、個人事業主や経営者の場合、税理士のサポートを受けることで資金調達や融資をスムーズに受けられることがあります。
事業計画書の出来は、そのまま金融機関からの融資の有無や融資額に影響がありますが、事業計画書の作成サポートも、経験豊富な税理士のサポートがあれば安心です。
金融機関の特徴や審査ポイントを把握している、融資に強い税理士に任せることで、自分で申請するよりより有利な条件での借り入れができることもおあります。
また融資、補助金、助成金の中には、税理士事務所をはじめとした国の認定支援機関からのサポートがないと、申請できない融資・補助金もあります。
その他の業務③:起業支援
これから会社設立を検討している起業家や、創業間もない経営者のサポートを任せることができます。
具体的には、会社設立に必要な各種書類の作成や提出を代行してくれたり、創業資金が必要な方には、金融機関から創業融資を受けられるサポートをしてくれます。
また、これから経営していく上で必要な財務のサポートや、バックオフィスのサポートまでやってくれます。
起業家が本業であるビジネスに集中できるように、社外CFOのような立場から、財務面を中心にバックオフィスのサポートをしてくれるは、助かる方も多いのではないでしょうか。
おすすめの税理士・会計事務所の選び方は?4つの比較ポイント!
税理士にどんな仕事を任せられるのか分かったところで、次は失敗しない税理士の選び方についてご説明していきます。
税理士は全国に78,795名いるため、選ぶ際の基準を持たないと、選びきれません。
そこで、どんなポイントに気を付けて事務所を選びをすれば失敗し辛いか、4つのポイントでご紹介していきます。
ポイント1:税理士の年齢を見て、相性チェック
税理士は定年退職がないため、平均年齢60歳以上と年齢はかなり高く、20代から80代まで年齢幅も幅広い職業です。
税理士とは何度もコミュニケーションをとるため、相性はとても大事です。
あまりご自身との年齢が離れすぎていると、やりとりに違和感を感じるかもしれません。
また高齢の税理士の中には、IT化の対応が遅れていて、いまだにFAXや郵送中心のやりとりのところもあるので、高齢の税理士先生の場合には、あなたが希望のコミュニケーションツールが使えるか、確認をしましょう。
年齢は相性を図る上での一つの参考基準でしかありませんが、税理士の数はあまりに多いので、まずは年齢で許容できる幅をご自身で設定してみることをおすすめします。
また、税理士は先生と周りから呼ばれることも多く、税理士業が長い人の中には、顧客に対して横柄な立場をとる人も、残念ながらいます。
年齢幅で設定した後、実際に電話でもいいので会話をしてみて、横柄な対応をされなかったか、ご自身が感じた印象も大事にしたほうがいいです。
ポイント2:会計事務所の規模によるメリット・デメリットを把握
会計事務所の規模は大きいところのほうが安心だと思いがちですが、必ずしもそうではありません。
下記に規模の大きい税理士事務所と、小さい税理士事務所のメリットとデメリットをまとめました。
大きい事務所 | 小さい事務所 | |
メリット | 行政書士や司法書士も在籍している為、会計以外の相談も一緒にできる | 代表税理士が担当してくれる |
デメリット | 予算次第で、若手税理士が担当になる | -税理士業務以外のサポートはない -本人が忙しいと対応が遅れる可能性がある |
大きい事務所のメリットは、サポートの総合力が期待できる点です。
税務の相談から発展して、行政書士や司法書士に相談したい悩みが出てきたときに、大きい実墓所であれば、他の士業の先生も在籍しているため、そのまま相談に乗ってもらえるところがメリットです。
一方、小さい税理士事務所の場合は、代表税理士が1人、2人というところもあるため、派生した税務以外の悩みについては対応ができないことが多いです。
小さい事務所のメリットは、経験豊富な代表税理士が担当になってくれる点です。
豊富な知識・経験であなたを税務面からサポートしてくれます。
一方大手の税理士法人の場合、小規模な予算の場合は、比較的若手の担当が割り当てられる可能性があります。
会社としてバックアップはありますが、相談窓口はあくまでその方になります。
ポイント3:国の認定支援機関になっているか
国や地方自治体などの公的機関による助成金や補助金を申請する場合や、金融機関から融資を受ける際に、国に指定されている認定支援機関からのサポートを受けていることが申請条件担っているケースがあります。
例えば、創業間もない経営者に人気の日本政策金融公庫の創業融資制度などがその一例です。
税理士事務所の中には、国の認定支援機関に指定されているところがありますので、もしそういった融資の相談もしたいのあれば、認定支援機関かどうかぜひチェックするようにしましょう。
ポイント4:自宅、もしくは勤務先から近い税理士事務所か?
最近では、オンラインでのやりとりも増えているので、以前ほど距離の問題はありませんが、それでももし複数の候補先があれば、自宅や勤務先から近い事務所をおすすめします。
理由としては、やはり定期的な相談がしやすいことと、税務署や金融機関とのやりとりを考えても、同一エリアのほうが話が早いです。
同エリアの税理士であれば、そのエリアの税務署のやり方についても詳しいですし、地域の金融機関の担当とも面識がある場合が多いです。
税理士事務所や会計事務所が近いことによるメリットはありますが、遠いことによるメリットはありませんので、できれば近いところを選ぶことをお勧めします。
税理士・会計事務所は何を使って探せばいい?
探し方1:信頼できる知人・友人に紹介してもらう
すでに税理士に依頼した経験がある知人や友人の中で、顧問税理士の仕事振りに満足している人がいれば、その方に担当税理士の紹介をお願いするのは一つの手です。
あなた自身の人柄も、顧問税理士の人柄や仕事ぶりも分かった上で、相性がいいか判断をしてくれると思いますので、信頼が持てます。
ただし、一点デメリットをあげるとすれば、紹介してもらった税理士との相性があまりよくなかったり、途中で解約したくなった場合に、友人から紹介してもらった手前、なかなか断り連れなくなる点です。
その心配がない場合は、信頼のおける知人・友人からの紹介はオススメの探し方です。
探し方2:インターネットを使って比較する
最近では、インターネットで税理士を比較検討できるサイトがあります。
相続や資金調達など、相談したい分野に強い税理士を、全国の税理士事務所・会計事務所の中から無料で紹介してくれます。
得意分野を踏まえてマッチングを行うので、自分で探す手間を減らすことができます。
ただし紹介してもらった税理士との相性については、実際に話をしてみないと分からないので、紹介してもっても焦らず、まずは電話でもいいので、その税理士と話し合ってみてから仕事を依頼するか決めてください。
おすすめのサイトは、上場企業の弁護士ドットコムが運営する税理士ドットコムです。
24時間体制で、経験豊富なコーディネーターが、完全無料で税理士探しをサポートしてくれます。
税理士選びに失敗して、後悔しないために。複数の税理士を比較しよう
以上、後悔しないための税理士事務所の選び方についてまとめました。
相続税などの個人相談にしても、顧問契約などの法人相談にしても、自分にあった信頼できる税理士に仕事を任せたいですよね。
素敵な税理士にで会えることを祈っています。
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