個人が抱える借金、国が抱える借金など「借金」と聞くとあまりいいイメージが湧きませんね。
今回はその中でも会社が抱える借金についてです。
借金が多い企業をランキング形式でお伝えします。
実は有名企業ほどこの会社の借金が大きかったりするのをご存知でしょうか?
今回は、東洋経済「最新版!『借金が多い企業』500社ランキング」を元に作成しました。
ネットキャッシュは、(現預金+短期保有有価証券ー有利子負債ー前受金)で算出。
以下のランキングはネットキャッシュのマイナスが大きい、つまり、手元の資金に比べて借り入れが大きい企業のランキングとなっています。
出所は各社の貸借対照表となっています。
借金が多い企業ランキングTOP10!
第10位 九州電力
ネットキャッシュ:ー28,981億円
現預金:4,144億円
短期保有有価証券:0
有利子負債:33,126
第10位となったのは福岡県に本社をかまえる、九州地方の7県を中心に電力を供給している九州電力です。
再生可能エネルギーの開発に力を入れていて、中でも太陽光に注力しています。電力を得るための巨額の施設投資は欠かせないので、負債が大きいのもそれが原因かもしれません。
2016年の熊本地震の支援活動の一環として、九州電力が保有する特許を無償で提供しました。
第9位 JR東海
ネットキャッシュ:ー29,253億円
現預金:2,464億円
短期保有有価証券:3,043億円
有利子負債:34,210億円
第9位となったのは東海道線・名古屋地域を中心に活躍している鉄道会社、JR東海です。
東海道新幹線が収益の柱となっています。
2027年にリニア中央新幹線の開業するという新たな計画もあり、負債が大きくなっているのかもしれません。
新しく鉄道を伸ばそうとなると、費用も莫大にかかるので第9位にランクインしたのも納得がいきますね。
第8位 JR東日本
ネットキャッシュ:ー30,392億円
現預金:2,082億円
短期保有有価証券:790億円
有利子負債:32,273億円
第8位にランクインしたのは、東北から関東・甲信越までを事業範囲とするJR東日本です。
鉄道会社でありながら、ショッピングセンター、オフィス、ホテルなどの不動産業にも活躍を見せているため、それへの投資が大きいことも第8位となった理由のように思えます。
Suicaにチャージした電子マネーで買い物をすることができるようになり、さらにSuicaの普及することが期待され、AIやキャッシュレスが進んで行くにつれて負債も減っていくのではないでしょうか。
第7位 住友不動産
ネットキャッシュ:ー31,011億円
現預金:2,693億円
短期保有有価証券:0
有利子負債:33,704億円
第7位には、新宿に本拠地を置く不動産会社の住友不動産がランクインしました。
年間供給数は全国・首都圏でNo.1、イベント運営施設数でもNo.1を誇り、不動産賃貸業が営業利益、営業収益共に過去最高を3期連続で記録しています。
そんな住友不動産ですが、投資活動によるキャッシュ・フローのマイナスの値が大きいので不動産業への設備投資が大きのが原因なのかもしれません。
第6位 日本電信電話
ネットキャッシュ:ー34,528億円
現預金:9,252億円
短期保有有価証券:638億円
有利子負債:41,175億円
第6位にランクインしたのは、国内最大手の通信会社である日本電信電話(NTT)です。
富山、岐阜、静岡よりも西側をNTT西日本、新潟、長野、山梨、神奈川よりも東をNTT東日本としています。
九州や沖縄では離島が多く、NTT西日本では担当地域のコスト負担が大きくなってしまっています。
光回線の卸サービス「光コラボ」の開始が、コスト減少へとつながりました。
第5位 三井物産
ネットキャッシュ:ー35,099億円
現預金:15,038億円
短期保有有価証券:0
有利子負債:48,015億円
第5位にランクインしたのは、5大総合商社の一つ三井物産です。
鉄鉱石をはじめとする資源分野に強いのが特徴です。
逆に資源の価格が落ちることで一気に会社の業績が下がってしまうことも考えられます。
商社だけあって、海外拠点も多く日本以外への投資も莫大なのが原因の一つだと思います。
第4位 関西電力
ネットキャッシュ:ー36,884億円
現預金:1,331億円
短期保有有価証券:0
有利子負債:38,215億円
第4位となったのは、関西エリアの電力供給をしている関西電力です。
石油や石炭などの化石燃料の枯渇や地球温暖化への悪影響などを考えて、エネルギーの効率化や再生可能エネルギーのへの投資も負債が大きくなる原因と考えられます。
また、発電所のための設備費用も大きくかかってしまうこともあると思います。
第3位 三菱商事
ネットキャッシュ:ー44,379億円
現預金:11,455億円
短期保有有価証券:228億円
有利子負債:53,839億円
第3位には、五代総合商社の一つ三菱商事です。
資源では石炭、LNGに強いのもそうですが、ローソンなどの食料などの分野でも活躍しているのが特徴です。
商社は、多くの有利子負債を抱えていながら巨額の投資を行いますが、それを超えるほどの利益を得られていないことが大きな負債を抱えている理由のようです。
第2位 東京電力ホールディングス
ネットキャッシュ:ー50,635億円
現預金:9,413億円
短期保有有価証券:0
有利子負債:60,049億円
第2位となったのは、主に首都圏・関東地域へと電力を供給する東京電力ホールディングスです。
東京電力が大きな負債を負っている主な原因としては、2011年の東日本大震災の原発事故で大きな賠償責任を負ったことだと考えられます。
いまだに原子力発電による事故の被害を受けた方への責任を負い、今後も続くと考えられます。
また同じようなことが繰り返さないことも一つの解決策ではないでしょうか。
第1位 ソフトバンクグループ
ネットキャッシュ:ー126,752億円
現預金:21,831億円
短期保有有価証券:0
有利子負債:148,583億円
第1位となったのは、国内大手携帯通信会社やヤフーなどを持つソフトバンクグループです。
2006年のボーダフォン、2016年のアームを立て続けに買収し、一見順調に拡大しているように思えますが有利子負債は約15兆円までになってしまっています。
日本では「借金」というとマイナスのイメージが強いですが、成長(買収など)をするための借金なら歓迎すべきである、という孫社長の考えのもと負債が大きくなったと考えられます。
借金が少ないことだけが良いのではないという考えのようですね。
2019年の営業利益は49%と業績が伸びていることも確かなので、今後どうなっていくかも気になります。
有利子負債、キャッシュ・フロー?会社の実態を示す経営用語を解説!
有利子負債とは?
有利子負債とは、簡単に言うと利子を伴う企業の借金のことです。
企業が他の企業を買収する時などに使われます。
有利子が大きいと利息の返済が大変になるので、一般的には有利子負債の少ない企業ほど健全であると考えられる場合が多いです。
ただ有利子が少なければいいのか?と言うとそうとも限りません。
不動産業や製造業などは、建設の際や製造の際に多額の費用がかかります。そのため、自然と有利子負債が大きくなってしまいます。
ですが、事業が終わった後には自分たちが投資した分をある程度回収することができるので、有利子負債が少なければ良いと言うわけでもないのです。
キャッシュ・フローとは?どんな種類がある?
キャッシュ・フローとは、出たり入ったりするお金の流れのことです。
ここでは有価証券に掲載されている「営業活動によるキャッシュ・フロー」「投資活動によるキャッシュ・フロー」「財務活動によるキャッシュ・フロー」をご説明します。
営業活動によるキャッシュ・フロー
営業キャッシュ・フローとは、企業の営業活動が生み出したキャッシュの量を表します。
営業キャッシュ・フローがマイナスの場合、新規事業をへの投資することもできなくなってしまうので会社の経営にとってもよくありません。
会社が1年の間でどれだけ営業によりキャッシュを生み出すことができるのかを見ることができ、会社の業績にも深く関わってきます。
投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローとは、投資活動(固定資産の取得・売却)によるキャッシュの量が増えたか減ったかを表すものです。
投資キャッシュ・フローは基本的にはマイナスの値となります。
ここが少しややこしいところかもしれません。
固定資産(工業や土地)を取得するとマイナスの値となり、その固定資産を売却することで会社の資金ができ投資キャッシュ・フローはプラスとなるのです。
財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッス・フローは、会社の営業や投資活動を続けていく上でどれほど資金調達がなされ、返済されたかを表します。
財務活動によるキャッシュ・フローでもっとも重要な点は、借入金がどれだけ増減したかです。
借入金が増加すると、キャッシュ・フローは増加しますが、後に返済しなければならないお金が増えたことになります。また、借入金が減少している時は、借金の返済がスムーズに進んでいることを表します。
今回は、借金が多い企業をランキング形式でご紹介してきました。
商社や不動産会社などの有名企業も多額の借金を抱えているなんて驚きました。
会社の業績状況を見る際は多くのキャッシュ・フローのような聞きなれない用語も出てくるのでぜひチェックしてみるといいですね。
また合わせて「金持ち企業ランキング」も読んでみると面白いと思います。
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