3月決算の会社が続々と決算発表をする時期となりましたが、皆さんは会社の決算書類(損益通算書・貸借対照表・キャッシュフロー計算書)の読み方はわかるでしょうか。
今回は、決算書に出てくる用語の中でもとりわけ重要な「営業利益」と「経常利益」について解説をしたいと思います。名前は聞いたことはあっても詳しい説明まではできない、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、営業利益と経常利益とはそもそもどういったものなのか、そして、この2つの利益から見える会社の経営状況をご説明します。
これらがはっきりと分かるだけでも、会社の決算書の見方が変わると思います。
それだけでなく、決算数字の基本「売上純利益」「税引前当期純利益」「当期純利益」などの用語についても解説します。
営業利益の意味と計算方法
まずは営業利益のそもそもの意味を解説します。
営業利益とは、その会社の本業(会社が行なっている中心事業)による利益です。要するに、自動車会社なら車を売ることで得た利益、家電メーカーなら家電を売ることで得た利益のことを指します。
利益ですので、当然「費用」を引かなければなりません。
営業利益では、総利益から販売費と一般管理費つまり、商品の販売のために使った費用を引くことで求めることができます。
販売費とは、営業活動のための費用です。例えば、広告宣伝費、販売手数料、人員の給料などがあります。
一般管理費は、会社の運営・管理に必要な費用のことです。例えば、役員報酬、光熱費、不動産賃貸料などです。
計算式は以下のようになります。
経常利益の意味と計算方法
企業が利益を計算するとき、本業による利益とそれ以外による利益とで分けて考えます。
例えば、本業は車を製造し販売することであっても、不動産業やコンビニなどの小売業を営んでいる場合があります。
この場合、本業の製造業による利益だけを考えるのが営業利益で、不動産屋小売業などの本業以外による利益(営業外益)も含めるのが経常利益になります。
なので、営業利益に営業外益を足して、そこから営業外費用を引くことになります。
借入金や利息の支払いなどは営業外費用に含まれるため、それが大きいと経常利益が少なくなります。
計算式式は以下の通りです。
営業利益と経常利益の関係性から読み解く経営状況
営業利益、経常利益のそれぞれの意味と計算方法を説明してきました。
ここでは会社に与える影響がどう違うのかを、この2つ利益の関係性から見ていきたいと思います。
ここで重要なのは、営業利益は本業を、経常利益は会社全体を表すということです。
営業利益が赤字で経常利益が黒字
営業利益が赤字、つまり本業が上手くいっていないことが分かります。
逆に経常利益が黒字ということは、本業以外の拡大中の事業が好調である場合や貸付金の利息が大きく受け取れたことなどが考えられます。
営業利益が赤字でも経常利益が黒字ならば、会社全体としての事業はプラスということになります。
営業利益が黒字で経常利益が赤字
営業利益が黒字で経常利益が赤字の場合、本業は上手くいっているものの、その他の事業が上手くいっていなかったり、借入金の利息が大きったことなどが考えられます。
営業利益と経常利益の関係性からその会社の経営状況を見ることで、その会社にとって「何が足りないか」、「何に力を入れるべきか」に気づくことができます。
企業の決算書類でよく見るその他の利益の意味は?
売上総利益
売上総利益は、仕入れた商品の魅力によって生まれた利益のことです。
売上高から売上原価(仕入高)を引くことで求めることができます。
仕入額が90万円のものを100万円で売った場合は、売上総利益は10万円ということになります。
ここで大切なのが売上総利益は会社の基盤となる利益であるということです。
どういうことかというと、社員の給料、不動産賃貸料などの営業をしていく上で必要となる費用は、この売上総利益から出されるということです。
なので、売上総利益が不振な企業は会社の営業も上手くまわらなくなってしまうということです。
税引前当期純利益
税引前当期純利益とは、法人税などの税金を支払う前の利益のことです。
求め方としては、経常利益に「固定資産売却益などの特別利益を」加え、そこから、「自然災害や盗難などの通常は発生しない損失の特別損失」を引くことで求めることができます。
特別利益、特別損失は何年も続けて発生するものではないので、たとえ巨額だとしてもあまり評価されないようになっています。
税引前当期純利益 =経常利益+特別利益ー特別損失
当期純利益
当期純利益とは、税引き前当期純利益から全てのコスト(法人税等)を差し引いた最終的な利益のことです。
当期純利益を見ることで、その会社が最終的にどのくらい利益を上げたのかを知ることができます。
経常利益が赤字で当期純利益が黒字の場合は、会社が力を入れているはずの事業は上手くいかなかったが、特別利益などによってどうにかプラスになったことが分かります。
逆に経常利益が黒字で当期純利益が赤字の場合は、その会社の一年間の利益はマイナスになっていしまったが、事業としては好調なので来年以降に期待ができると考えることができます。
このように、それぞれの利益は関係し合いながら会社を支えています。基本的な利益でも理解することができれば、一つの利益が増える(減る)ことで他の利益にも目が向けられるようになります。
決算に関する数字について、本記事を読んで少しでも理解が深まっていただけたら幸いです。
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