パート主婦・アルバイトの皆さん。自分が有給休暇を取れるのか気になった方はいませんでしょうか?4月から有給義務化がスタートすることもあり、ふと自分はどうなんだろう?と思った方もいるかもしれません。
ある一定の要件を満たす方であればパートやアルバイトでも有給を取得することが出来ます。
子供の急な病気や学校行事で仕事を休まなければならない、家庭の事情で勤務が難しくなった、など有給休暇を使いたい時はありますよね。
正社員であれば、毎年の付与日数や消化日数を把握している人がほとんどかと思いますが、意外にアルバイトやパートの方にはあまり馴染みがないかもしれません。
今回は、パート・アルバイトが取得できる有給休暇日数や条件、貰える金額の算出方法を丁寧にご説明します。
また、働き方改革改正による有給義務化の影響も解説していきますので、まだ内容を知らないという方はぜひご覧ください。
パート主婦やバイトも有給は取れる!取得の条件は?
有給休暇を取得するための条件
有給休暇を取得するためには、以下の2つの要件を満たす必要があります。
- 雇い入れの日から6か月以上経過
- 全労働日数の8割以上出勤(出産・育児・労災・有給取得を除く)
パート・アルバイトなどの雇用形態に関わらず、上記の条件を満たす全ての労働者が有給休暇を取得する権利を得ます。
「全労働日数」とは所定された労働日数のことをさしており、雇用契約書や労働条件通知書に記載している日数を指します。
例えば、週3日勤務している方であれば、毎月12日出勤の内、10日以上コンスタントに出勤していれば有給を貰う権利があることになります。
あまりに欠勤が多いと対象から外されてしまうということですね。
付与日数は、勤務日数や期間に応じて変わる
アルバイトやパートでも、週に30時間以上勤務する場合や、1日に4時間勤務でも週5日もしくは年間217日以上勤務する場合には、正社員同様の有給休暇が与えられます。
その場合には、下記のように勤続年数に応じて付与日数が増加します。
継続勤続年数 | 0.5 | 1.5 | 2.5 | 3.5 | 4.5 | 5.5 | 6.5以上 |
付与日数 | 10 | 11 | 12 | 14 | 16 | 18 | 20 |
次に、週所定労働日数が4日以下、かつ週所定労働時間が30時間未満の労働者の場合には、以下のような条件のもと付与日数が変化します。
所定労働日数 | 1年間の所定労働日数 | 継続勤務年数 | ||||||
0.5年 | 1.5年 | 2.5年 | 3.5年 | 4.5年 | 5.5年 | 6.5年以上 | ||
4日 | 169日〜216日 | 7日 | 8日 | 9日 | 10日 | 12日 | 13日 | 15日 |
3日 | 121日〜168日 | 5日 | 6日 | 6日 | 8日 | 9日 | 10日 | 11日 |
2日 | 73日〜120日 | 3日 | 4日 | 4日 | 5日 | 6日 | 6日 | 7日 |
1日 | 48日〜72日 | 1日 | 2日 | 2日 | 2日 | 3日 | 3日 | 3日 |
有給休暇を付与するタイミングは、上記で定められた期間が経過したタイミングです。経過した時点よりも遅いタイミングで付与することは禁止されています。
このように法律によって決められている有給の権利ですが、会社によっては、「パートやアルバイトに有給を与えなければならない」ということを知らないケースもありますので注意が必要です。
有給休暇中に貰える給料の金額は?計算方法は3パターン
①過去3ヶ月の平均賃金から算出
1つ目は、過去3ヶ月分の給与の平均値から有給休暇時の給与を算出する方法です。
ただし、賞与や弔慰(ちょうい)見舞金などと、業務上の傷病による休業期間、産前産後・育児休業・介護休業期間等、遅刻・早退をした日はのぞいて計算をします。
②所定労働時間(シフトで決まっている勤務時間)から算出
すでにシフト等で出勤日や出社時間が決まっている場合には、それを元に有給休暇時の賃金を算定します。
例えば、時給1000円で5時間出社する日に有給休暇を使えば、5000円が給料に該当します。
③4月〜6月の平均賃金(健康保険の標準報酬日額)から算出
これまでに受け取った給料をもとに、健康保険によって規定されている「標準報酬月額」を30で割った金額のことです。
標準報酬月額は、毎年4・5・6月の3ヶ月間の給与等(通勤手当を含む)支給額の平均額です。この金額をもとに会社と折半している社会保険料(厚生年金・健康保険・介護保険等)を算出します。
このように有給休暇時の賃金の算出方法は3種類存在しますが、会社はそのうちの1つの方法を採用しています。
気になる方は雇用契約時に就業規則などを確認しておくと良いでしょう。
有給休暇の申請方法や取得にあたってのマナーは?
実は、有給休暇の申請方法は一律で定められておらず、会社ごとに自由に設定されています。
具体的な申請手続きの方法は会社の人事や総務に確認してみましょう。
ここでは有給休暇申請にあたってのマナー・注意点を説明します。
まず、有給休暇を取得したい旨を上司に伝える必要があります。
短期の場合には遅くとも3日前までには、ある程度の長期間取得する場合には1ヶ月前には伝えるようにしておきましょう。
有給休暇中も会社は営業をしていますので、「会社の繁忙期を避ける」「自分がいなくても業務に支障が出ない日を選ぶ」といった配慮をすることは大切です。
どうしても忙しい日に休みを取らなくてはいけない場合は、会社に迷惑がかからないよう、あなたがいない場合にも業務が正常に回るようにしましょう。
また、有給休暇は労働者の正当な権利と認められていますが、「事業の正常な運用」を妨げると考えられる場合には、有給休暇を別日にずらして取得するよう、事業主が主張する権利があります。
ようは、会社から「この日はちょっと忙しいから別日にずらしてもらえない?」と打診することができるということですね。
そのため、有給取得のタイミングは社内事情を考慮するとスムーズにいくと思います。
4月から有給義務化が開始!パート・アルバイトへの影響は?
働き方改革で実現した有給休暇の義務化とは?
2019年(平成31年)4月から、厚生労働省は労働基準法を改正し、全ての企業において、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、取得日数のうち、年5日は使用者が時季を指定して取得させることが義務化されました。
年間の有給休暇の取得日数が5日未満の従業員に対しては、会社が日程を指定して、有給休暇を取得させなければならない、ことが法律で定められたのです。
もし仮に会社がこの規則を破った場合や違法として刑事罰があります。
さらに詳しく知りたい方は以下の記事をご参考になさってください。
パート・アルバイトの有給取得も必須に!ただし、条件あり
上記の改正により、有給休暇の取得が必須になったのは正社員・契約社員のみならず、パートやアルバイトの方も含まれます。
ただし、パートやアルバイトの方の場合には、出勤日数によって適用されるか否かが変わってきます。
●週4日出勤の場合
入社後3年半がたち、直近1年間の出勤率が8割を超えている場合に、10日の有給休暇取得権利が発生します。
その場合に、上記が適用され、もし有給休暇取得日数が5日未満の場合には、日付が指定され、取得が義務付けられます。
●週3日出勤の場合
入社後5年半が経過し、直近1年間の出勤率が8割りを超えている場合には、年10日の有給休暇取得の権利が発生します。
その場合に、同様に上記が適用されます。
●週2日出勤の場合
週の出勤が2日の人の場合には、有給休暇の権利は最大でも7日間しか発生しないため、義務化の対象となることはありません。
日本人の有給取得率は世界でみても低いレベルにあります。「なんとなく悪い気がする」「罪悪感を感じてしまう」という人も少なくないのではないでしょうか。
そんな時に有給義務化は働く側にとっても嬉しい制度ですね。ただし、上記のように週2日勤務のパート主婦・アルバイトの方は義務化の対象外となりますので、注意するようにしてください。
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