今働いている会社や仕事を、急に辞めなくてはならなくなったら、生活費などをまかなうのが大変になりますよね。
次の職場が見つかって、お金が振り込まれるまで、長い期間収入がなくなることも多々あると思います。
そうした際に、転職するまでの生活費を保証してくれるのが今回ご説明する「失業給付」です。
失業給付とは何なのか、受給資格や条件、受給期間や具体的な金額、申請方法を詳しく解説していきます!
そもそも失業給付とは?受給資格や条件は?
失業給付とは雇用保険制度に基づいた手当のことで、現在の会社を退職し、次の職が見つかるまでの転職期間に受け取ることのできる給付金です。
「失業手当」や「失業給付」などと呼ばれることもありますが、正式名称は「求職者給付」と言います。
万が一の際に金銭面での助けになる、この失業給付ですが、受給のための資格や条件はどうなっているのでしょう?
失業給付の受給には、以下の条件が必要になります。
- 雇用保険に加入していて、加入期間が退職前の2年間で12カ月以上あること。(ただし、働いた月が11日以上ある月が1カ月とみなされます。)
- 失業していて、再就職の意思と能力があるものの、就職できない状態にあること。
ただし、上記の条件が満たされていても、病気や怪我、結婚や妊娠・出産などですぐに就職できない場合や、ハローワークで求職の申し込みをしておらず再就職の意思がないとみなされた場合には失業給付金は受給されません。
失業給付はいつから受け取れる?受給期間は?
失業給付の受給条件はお分かりになったかと思います。
では、失業給付はいつから受け取れて、どれくらいの期間、受給できるのでしょうか?
まずは、いつから受給できるのかについて見ていきましょう。
失業給付が受け取れるのはいつから?
失業給付は、離職理由によっていつから受け取れるかに差があります。
会社の倒産や解雇の際など、会社の都合による失業や、病気や怪我などにより働くことが難しく離職した場合などには、離職票の提出と求職の申し込みをした日から7日間の待機期間を経て、失業給付を受給できます。
一方、離職者の自己都合によって正当な理由もなく離職した場合には、7日間の待機期間を経てから、さらに3カ月間の給付制限があります。
給付制限を受けると、ハローワークが指導する転職講座に通い、転職活動を具体的に行う必要があります。
つまり給付制限を受けた場合には、最低7日+3ヶ月間、就職活動をし、それでも転職先が決まらない時に初めて失業給付金がもらえます。
自己都合で退職した場合の失業給付は、会社都合で退職した場合と異なる点に注意が必要です。
また、第一回目の失業給付は、求職申し込みから約1カ月後の振り込みになります。
受給期間はどれくらい?
次に、受給期間ですが、これは失業理由と年齢、前職の勤続年数によって差があります。
会社都合や怪我・病気が理由で退職された方の場合、原則以下のような受給期間の違いがあります。
勤続年数 | ||||||
~1年 | 1年~4年 | 5年~9年 | 10年~19年 | 20年~ | ||
年齢 | ~30歳 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | ー |
30歳~34歳 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 | ||
35歳~44歳 | 150日 | 240日 | 270日 | |||
45歳~59歳 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 | ||
60歳~64歳 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
一方、自己都合によって退職された方の場合、原則以下のような受給期間の違いがあります。
勤続年数 | ||||||
~1年 | 1年~4年 | 5年~9年 | 10年~19年 | 20年~ | ||
年齢 | 全年齢 | ー | 90日 | 120日 | 150日 |
また、障がい者の方の場合、原則以下のような受給期間の違いがあります。
勤続年数 | ||||||
~1年 | 1年~4年 | 5年~9年 | 10年~19年 | 20年~ | ||
年齢 | ~45歳 | 150日 | 300日 | |||
45歳~64歳 | 360日 |
さらに、倒産や解雇によって離職した場合には、働いていた期間に加えて離職時の年齢も加味したうえで給付期間が決定します。
失業給付はいくらくらい給付される?
基本的に、失業給付の受給金額は前職の過去6か月間の給与を参考にして、以下のように算出されます。
受給金額=(6カ月間の給与の合計)÷180×(約50~80%)
※60~64歳の場合は45~80%
ただし、受給金額には年齢ごとに上限があり、上限額は以下の通りです。
- ~29歳:6815円
- 30~44歳…7570円
- 45~59歳…8335円
- 60~64歳…7150円
※2019年8月1日より変更。2019年12月現在。
失業給付の受給手続き方法や必要な書類・受給までの流れ
必要書類を準備してハローワークに訪れる
初めに、住所地を管轄するハローワークで、求職の申し込みをすると同時に失業給付の受給申請を行います。
その際に必要な書類は以下になります。
- 雇用保険被保険者離職票
- 本人確認、住所及び年齢を確認できる官公署の発行した写真つきの身元確認書類
※運転免許証、住民基本台帳カード、公的医療保険の被保険者証など - 写真(縦3cm×横2.5cmの正面上半身、かつ3か月以内に撮影したもの)2枚
- 個人番号確認書類(いずれか1種類)
※マイナンバーカード、通知カード、個人番号の記載のある住民票(住民票記載事項証明書) - 印鑑
- 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード(一部指定できない金融機関があります)
離職する際には、会社からハローワークに離職証明書が提出されます。
在職中に、本人がこの離職証明書に記入、押印または自筆による署名をすることになりますので、離職の理由なども含め、必ず記入内容を確認してください。
離職後、雇用保険被保険者離職票を受け取りに行くか、郵送で送られてきますので確認してください。
この離職証明書や雇用保険被保険者離職票がなければ、失業給付は受給できませんので、その場合は必ず会社かハローワークに問い合わせるようにしましょう。
以上の書類がそろったらハローワークに行き、書類提出の前にまずは求職の申し込みをしましょう。
「求職申込書」に必要事項を書き終わったら、窓口で今後の就職活動についての面談があります。
面談が終わったら、次は雇用保険窓口に行って、用意した書類を提出しましょう。
受給資格が決定される
以上の書類をもとに受給要件を満たしているかが審査され、受給資格が認められれば、決定日から数えて7日後に受給説明会に案内されます。
前の項でも触れましたが、受験資格決定から7日間のことを「待機期間」といい、失業保険の給付が受けられない期間になります。
この期間に再就職先が決まった場合、失業保険の給付は行われません。
そして、7日間の待機期間が終わると、ハローワークで開催される「受給説明会」に参加します。
受給説明会に参加する
受給説明会の参加は必須です。指定された日時に必ず出席するようにしましょう。
その際、「雇用保険受給資格者のしおり」、印鑑、筆記用具を持参してください。
説明会では雇用保険の受給について、重要事項が伝えられますので、よく聞いて理解しましょう。
また、「雇用保険受給資格者証」、「失業認定申告書」が渡され、第一回目の「失業認定日」が伝えられます。
失業認定日とは、失業保険の給付に必要な認定日のことです。
この日にハローワークに行くことで、「失業認定申告書」に基づいて失業の認定が行われます。
この日には、書類提出後に窓口係官との簡単な面談もあります。
受給
以上の手続きを経て、初めて受給の開始となります。
失業認定日から5営業日以内で、口座に失業保険の基本手当が振り込まれます。
ただし、給付制限期間がある場合には、すぐには振り込みは行われません。
また、3カ月の給付期間でも、失業認定が4週間に一度行われ、就職活動の実績が確認されます。
失業給付はあくまで新しい職場が決まるまでの救済措置!
以上、失業給付について詳しく説明しましたが、いかがだったでしょうか。
これから失業給付の受給を考えている方のご参考になったなら幸いです。
転職は、人生における大きな転換点です。
今から退職しようと思っている人も、すでに退職された方も、今一度ご自身の退職理由や受給できる給付金をよく確認されておくことをお勧めします。
暮らしに役立つお金の情報を無料でお届けしています!