自己都合退職でもすぐに失業手当を受け取れる3つのケース

電卓計算

転職先を決めずに退職した時、会社の倒産等で失業した時などに生活の支えになってくれる失業手当。

在職中に一定期間雇用保険に加入していた従業員であれば誰もが利用できる制度ですが、多くの方が気になるのが「いつお金を受け取れるのか」ということではないでしょうか。

会社都合退職ではすぐに手当が払われるのに対して、自己都合退職の場合は3ヶ月の給付制限期間があり、申請から受給までに4ヶ月程度かかってしまいます。

しかし、実は、自己都合退職の一部のケースでは、会社都合退職と同様の扱いをうけ、すぐに手当を受け取ることが可能なんです。

具体的にはどのようなケースなのでしょうか?早速解説をしていきます。

そもそも失業手当ってどんな制度?

雇用保険の失業給付の内容について簡単におさらいをしていきます。

ハローワークで手続きをすれば、直近給与の45%〜80%が失業期間中受け取れる

失業手当を受け取るためには以下の条件を満たす必要があります。

  • いつでも働ける状態にあるものの、就職できない状態にある方
  • 離職前2年間の間で雇用保険の被保険者であった期間が通算して12ヶ月以上あること

※会社都合で退職した人を指す「特定受給資格者」及び、自己都合退職の内、一定要件に該当する「特定理由離職者」の場合は、離職前1年間で被保険者期間が6ヶ月以上ある場合でも可。詳しくは次の章で解説します。

病気や怪我、妊娠・出産・育児、結婚、定年退職後の休養などすぐに就職できない場合や、被保険者期間が短かった場合には手当を受け取ることができません。

条件を満たした場合には、離職前直近6ヶ月で支払われた賃金のおよそ50〜80%が支給されます。

50〜80%の給付率の計算は複雑なのでハローワークで確認することをおすすめします。

受給期間など詳しく知りたい方はこちらをどうぞ。

離職日から受給までの期間は約1ヶ月、退職理由によっては更に3ヶ月先に

実際に失業手当を受け取るまでは、離職日から最短でも1ヶ月程度の時間がかかります。

具体的な受給までのステップは以下の通りです。

【失業手当を受け取るまでのステップ】

  1. 前職の会社から離職証明書と離職票を受け取る
  2. 離職票、身分証、印鑑等を持ってハローワークへ失業手当の申請にいく
  3. 雇用保険受給者説明会に参加する
  4. 失業認定日にハローワークで求職活動の報告をする
  5. 失業認定を受けてから最短で約1週間後に手当が振り込まれる

失業認定は原則4週間に1度なので、失業認定を受けるまでにおよそ1ヶ月程度の期間がかかります。

自己都合退職の場合には、上記に加え、3ヶ月間の給付制限期間があるため、手当を受け取るのは離職日から4ヶ月程度先ということになります。

3ヶ月の給付制限なし!自己都合でも会社都合退職扱いになるケースとは

実は、以下の3つのケースでは、自己都合退職であったとしても、会社都合退職と同様のスピードで手当を受け取ることができます。

  1. 身体的・環境的要因で退職した人
  2. 退職前に残業が多かった人
  3. 給付制限期間中に公共職業訓練を受けた人

①:身体的・環境的要因で退職した人

具体的には、以下の2つのいずれかに該当する方が対象になります。

①:派遣社員が契約満了により退職する場合

②:正当な理由のある自己都合により離職した者

(1)心身の障害、疾病、負傷、視力や聴力の低下等があった人

(2)妊娠、出産、育児等で離職し、失業手当の受給期間延長措置を受けた人

(3)父母の死亡や負傷、怪我によって、両親のいずれかの扶養のために離職した人

(4)配偶者、扶養親族と別居生活を続けることが困難になった人

(5)結婚に伴う住所変更や保育所の利用、保育の依頼等によって通勤不可能になり退職した人

上記に該当する方は、「特定理由離職者」と呼ばれて会社都合退職と同様に失業認定を受けてから7日経過後に失業手当を受け取れます。

自己都合退職であっても、理由によっては会社都合扱いになるケースも多いことが分かります。

②:退職前に残業が多かった人

もう1つが退職前に残業を多くしてた方です。

具体的には、以下の要件に該当する方が対象になります。

退職直前6ヶ月のうち、

①:いずれか1ヶ月で100時間超え

②:いずれか連続する3ヶ月で45時間超え

③:いずれか連続する2ヶ月で月平均80時間超え

これらは「特定受給離職者」と呼ばれるもので、会社都合退職と同様に扱われます。

残業が辛いから今の会社を辞めたい、、となった際、自己都合退職と考える人も多いと思いますが、雇用保険上は、残業代が一定の基準以上であれば、会社都合退職とみなされます。

こちらは気づかず自己都合退職として提出してしまう人も多いことが予想されますので是非覚えておいてください!

③:給付制限期間中に公共職業訓練を受けた人

自己都合退職の給付制限期間中に、ハローワークの公共職業訓練を受ければ、給付制限が解除されて、制限期間中でも手当が支給されます。

公共職業訓練は、求職者の早期就職をサポートするために、就職に必要な技能などを身につけるための国の制度です。

実際の訓練は、国から委託を受けた民間の専門学校や訓練施設で行われ、コースは、介護、医療事務、総務、労務、美容、ITなど様々。

また、受講中は通常の失業保険に加えて日額500円の受講手当も受け取れます。

公共職業訓練のコース等を知りたい方は、各自治体の労働局HPで確認してみてください。

退職理由は離職票によって判断される!退職届の書き方に注意しよう!

以上、今回は自己都合退職の際の失業給付について解説をしてきました。

ハローワークで失業手当の申請をする際には、前職からもらう「離職票」が必要になりますが、一般的には退職届の内容をもとに離職票が作成されるケースが多いようです。

そのため、本来は会社都合なのに「一身上の都合」などと書いてしまうと、失業手当上も自己都合退職として取り扱われることになるので注意してください。

また、もし失業手当受給期間中に就職先が決まった場合は、再就職手当と呼ばれるお祝い金が貰えます。気になる方は合わせて受給条件等を確認してみてください。

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