2020年6月M&A動向｜コロナ禍でも過去10年で最多の件数を記録

2020年6月のM&A動向をお知らせします。

新型コロナの影響を受けて、今後の動きが注目されていたM&A市場ですが、5月に引き続き、6月のM&A件数も過去10年間で最多を記録するなど、市場の底堅さを物語ました。

本記事では、M＆A仲介のストライク（M＆A Online）が、適時開示情報をもとに経営権の移転を伴うM＆A（グループ内再編は除く）について集計したデータをもとに、令和2年6月のM&Aについて詳しくみていきます。

2020年6月のM&A、件数は大幅に伸びるも金額は鈍化

6月のM＆A件数は前年同月比8件増の55件と、6月として過去10年間を記録しました。

内、海外案件は9件と、単月で2016年6月以来2年ぶりに1ケタにとどまりました。

一方、取引金額100億円以上の大型案件も2件のみ。

1月4件、2月8件の後、3月2件、4月1件、5月2件、6月も同数で、3月を境に低調に推移していることが分かります。金額の張る海外案件が細っていることが背景にあるようです。

6月の取引金額は1731億円。前年の3512億円から半減という結果になりました。

2020年6月のM&A取引金額ランキング

金額首位は、ホームセンター中堅のLIXILビバを約1085億円で買収するアークランドサカモトの案件。

TOB（株式公開買い付け）などを通じて完全子会社化を目指します。

新潟県を地盤とするアークランドはLIXILビバを取り込み、首都圏での事業を拡大、取引金額は日本企業によるM＆Aとして今年の第2位、国内企業同士では最大となります。

アークランドは業界11位、LIXILビバは6位で、両社の合計売上高は3000億円を突破し、大手グループの一角に食い込むことに。

LIXILビバはLIXILグループの子会社ですが、LIXILグループとの取引は総仕入れ額の3.3％程度に過ぎず、ノンコア（非中核）事業と位置づけられていました。

金額2位は新生銀行。ニュージーランド最大手のノンバンク、UDC Financeを約515億円で買収することを決めました。

UDCは現地大手銀行ANZ Bank New Zealandの傘下で、個人向け自動車ローンなど小口ファイナンスに強みを持ちます。

アークランドサカモト、新生銀行の上位2件に比べて、3位以下はぐっと小粒となるが、金額未確定ながら、大型案件も散見されました。

経営再建中の三井E＆Sホールディングスは子会社で手がける艦艇事業を三菱重工業へ譲渡する方向で協議入りすると発表。

オリンパスは赤字の映像事業（デジタルカメラなど）を投資ファンドの日本産業パートナーズに年内をめどに譲渡する予定です。

以上、令和2年6月のM&A動向でした。

新型コロナウイルスが再度拡大の動きをみせており、海外案件を含む、大型案件が動き始めるのはもう少し先のことになりそうです。