法人は年に一回の決算日を迎えると、税金の申告をしなければなりません。
法人税のほかに、地方法人税、都道府県民税・市町村民税、事業税など多くの税金を支払う義務があります。
その中で、赤字になった年には払わなくてよい税金と、赤字であるかにかかわらず支払わなくてはならない税金があるのです。
今回は両者をしっかりと分類するとともに、税金の免除や還付を受けられる例をご紹介します。
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利益にかかわるかどうかで赤字経営の時に支払うべきかは決まる!
利益にかかわる税金とは?
- 法人税
- 法人事業税
- 法人住民税(税割り)
これらの種類の税金は、当期の課税所得の大きさによって金額や税率が決定するので、上記の3つの税金はかかりません。
さらに当期のマイナス分の課税所得は「欠損金」として扱われ、翌期以降に課税所得がプラスになった際に繰り越して相殺できます。
こうした仕組みを、「欠損金の繰越控除制度」といいます。
つまり、当期の課税所得と法人税の関係性は下の表のようになります。
今期の法人税 | 来季の法人税 | |
当期の課税所得がプラス | かかる | 今期と同様のフローになる |
当期の課税所得がマイナス | かからない | 当期のマイナス分を繰り越して相殺 |
利益に無関係に徴収される税金とは?
- 消費税
- 法人住民税(均等割り)
利益に無関係に徴収される税金の中で最も大きくなるのが消費税です。
消費税はいわば顧客から預かって、法人がまとめて納税する義務があるので、儲かっていようが、そうでなかろうが売り上げがある限り納税義務は発生します。
例えば、今期売上が2000万円(税込み)で、給与が1500万円、経費が800万円(税込み)としたときの消費税額は、下のような計算式で求められます。
(2000万円-800万円)×5/105≒57万円
当期の利益自体は
2000万円-(150万円+80万円)=-30万円
と赤字になっています。
つまり赤字か黒字にかかわらず、売上と経費に応じた消費税額を法人は納めなくてはならないのです。
これはあまり知られていないことで、税金の支払いのために銀行から借り入れを行う法人も一定数いるので、消費税の金額はあらかじめ予想をしておきましょう!
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赤字がでたらどんなことができる?還付や繰り越しの効果はある?
赤字になったら、依然支払った法人税が戻ってくる!?
これまでは黒字経営が続いていたものの、今期はアクシデントによって赤字になってしまったとしましょう。
赤字から黒字に転じた場合には、赤字の年の課税所得分を翌年以降に繰り越せることは紹介しましたね。
その反対で、黒字から赤字になった際にも税務上の優遇が受けられます。
たとえば、1年目には黒字になり法人税を納税したものの、2年目には赤字になってしまったベンチャー企業があったとします。
ベンチャー企業の場合には、資本が十分とは言えず税負担で経営が揺らいでしまうこともあります。
こうして企業の経営が傾かないように、赤字が発生した際には、前の期の法人税の支払い額の還付を受けられるという制度があります。
企業の規模しては、資本金が1億円以下の法人(資本金5億円以上の法人の100%子会社などを除く)とは限定されているものの、スタートアップのタイミングではぜひ押さえて置きたい仕組みです。
赤字を繰り越すこともできる?
先ほど紹介したのは、赤字が出た期に前期の法人税分の還付を受けられるというものでした。
それとは別に、今期の赤字分を来期以降に持ち越すこともできます。
これを、「欠損金の繰越控除制度」といい、最大で10年間の繰り越しが可能です。
条件としては、赤字が出たときに青色申告を提出し、連続で確定申告を行っている場合に限ります。
法人活動に空白期間があったために確定申告が空いてる期間があると、この仕組みを利用することはできないので注意しましょう。
決算処理に迷ったら税理士に相談しましょう!
多くの経営者の方は経営や会社運営で手いっぱいで、税金のことを気にしている余裕はない場合がほとんどです。
今回の赤字になった際の税金の支払いに関しても複数の対応があるので、もしご自身でどちらがよいかわからない場合は税理士に相談しましょう。
弊サイトでは以下のリンクから優秀な税理士を紹介できるので、相談だけでも利用をしてみてください。
税理士紹介
まとめ
今回は法人が赤字になった際にどんな税金を支払わなければならないのか、どういった会計処理が可能かを紹介しました。
赤字になったからと言って何もしないのではなく、しっかりと還付を受けたり繰り越しを行うことで経営を立て直すきっかけにもなります。
とはいえ少し難しい話になってしまったので、自分の場合はどうなるのか個別に相談したいという方はぜひ先ほどのリンクからお問い合わせしていただけると幸いです。
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