確定申告で還付金を貰える8つのケース!申請方法・条件を確認

手続きをする女性

確定申告時期が近づき、払いすぎた税金(過払い税金)を取り戻せるかどうか、気になっている方も多いのではないでしょうか。

会社員やサラリーマンの場合、普段は会社が年末調整をしてくれるので確定申告と言われてもピンとこないかもしれませんね。ですが、実はこの還付金、会社員でも受け取れる可能性があるんです。

そこで、今回は還付金を受け取れる可能性があるケースや具体的な確定申告(還付金の申告のことを還付申告と呼びます)の手続きの仕方をご紹介します。

場合によっては、数万円程度税金が戻ってくる可能性があります。ぜひ還付申告を活用して、納めすぎた税金を取り戻しましょう。

POINT!

  • 確定申告による還付金の対象となる人がわかる!
  • 還付金を受け取るための確定申告の方法を紹介!
  • 還付金がいつ帰ってくるかを解説!

確定申告の還付金とは

還付金とは、所得税の支払い過ぎなどの理由により、納税者へ返還されるべき税額のことを指します。

月々の源泉徴収で支払った所得税額や予定納税を行なった所得税額が、年間の所得金額から計算した所得税額よりも多い場合は、確定申告を行なうことで払い過ぎた所得税の還付を受けることができます。

この還付を受けるために行う確定申告のことを還付申告と呼びます。

還付申告は、会社員・サラリーマンなどの給与所得者でも行うことが出来ます。

確定申告で還付金を受け取る条件【8つのケース】

確定申告で還付金を受け取れる人は以下の8パターンになります。

  1. 多額の医療費を払った人
  2. 災害や盗難にあった人
  3. 寄附をした人(ふるさと納税など)
  4. 仕事のために一定以上自腹を切った人
  5. 住宅ローンを組んだ人
  6. 副業が赤字の人
  7. 株取引が赤字の人
  8. 退社して年内に再就職しなかった人

以下で詳しくみていきましょう。

①多額の医療費を払った人

多額の医療費を支払った人は医療費控除という控除を受けることが出来ます。

医療費控除は、所得税の納税者が、自分や生計を一にする配偶者や家族のために支払った医療費のうち、10万円を超えた分(最大で200万円)が医療費控除の控除額となります。

医療費控除は所得控除ですので、控除額が還付金として帰ってくるわけではなく、所得金額から控除額がひかれて、引かれた後の金額に税率がかけられます。

ですので、確定申告で帰ってくる還付金は、払っていた所得税額と、控除込み計算された所得税額との差の額ということになります。

②災害や盗難にあった人

災害や盗難にあった人は、こちらも所得控除である、雑損控除が受けられます。

雑損控除が受けられる損害原因は、以下の通りです。

【雑損控除が適用される損害原因】

  • 震災、風水害、冷害、雪害、落雷など自然現象の異変による災害
  • 火災、火薬類の爆発など人為による異常な災害
  • 害虫などの生物による異常な災害
  • 盗難
  • 横領

雑損控除の控除額は、以下のいずれかの多いほうが適用されます。

  1. (差引損失額)-(総所得金額等)×10%
  2. (差引損失額のうち災害関連支出の金額)-5万円

また、詐欺は恐喝は雑損控除の対象外となるので、気を付けましょう。

③寄附をした人(ふるさと納税など)

最近話題のふるさと納税を含め、学校法人や国などに寄付をすると、寄付金控除が受けられます。

寄付金控除も所得控除です。

寄付金控除の控除額は、以下のいずれか低いほうが、適用されます。

  1. その年に支出した特定寄附金の額の合計額-2,000円
  2. その年の総所得金額等の40%相当額-2,000円

④仕事のために一定額以上自腹を切った人

仕事のために一定以上自腹を切った人と言うと、わかりずらいですが、要は仕事のために資格を取ったり、スーツを買ったりする際に必要になる費用のことで、その費用のうち、一定額を超えた分が、所得から控除されます。

その控除を特定支出控除といい、対象となるのは、「通勤費」「転居費」「研修費」「資格取得費」「帰宅旅費」「勤務必要経費」の6つです。

また、一定額とは、その年中の給与所得控除額の半分です。平成30年の給与所得控除は以下の通りです。

給与等の収入金額
(給与所得の源泉徴収票の支払金額)
給与所得控除額
180万円以下収入金額×40%
65万円に満たない場合には65万円
180万円超360万円以下収入金額×30%+18万円
360万円超660万円以下収入金額×20%+54万円
660万円超1000万円以下収入金額×10%+120万円
1000万円超220万円(上限)

⑤住宅ローンを組んだ人

住宅ローンを組んだ人は、住宅借入金等特別控除という控除を、最大10年間受けることが出来ます。いわゆる住宅ローン減税です。

住宅借入金等特別控除は、上の3つと違い、所得控除ではなく税額控除です。

税額控除は所得税額から控除額を差し引くことができるので、還付金の額は税額控除額と等しくなります。

住宅借入金等特別控除額は以下のように算出されます。

  • 年末の住宅ローン残高×1%=住宅借入金等特別控除額(上限40万円)

また、住宅借入金等特別控除を受ける際に、確定申告が必要なのは、1年目のみであり、2年目以降は年末調整で勝手に処理されるので、特にすることはありません。

⑥副業が赤字の人

副業が個人事業で、赤字の場合は損益を通算することで、還付金を受け取ることが出来ます。

赤字額がそのまま所得控除となるので、赤字額が所得金額を上回れば、所得税は全額帰ってきます。

損益通算ができる所得の種類は以下の4つです。

  • 不動産所得
  • 事業所得
  • 譲渡所得
  • 山林所得

⑦株取引が赤字の人

株取引で年間を通して損失が出ると、源泉徴収されていた税金を取り戻すことが出来ます。

また、株取引によって生じた損失を、確定申告することにより、最大3年間繰り越して計算することが出来ます。(損失の繰越控除

⑧退社して年内に再就職しなかった人

月々給与から天引きされている源泉徴収は、その人が継続してその会社で働くことを前提にしています。

ですので、年の途中で退社して、年内に再就職しないと、想定されていた年間所得よりも実際の所得が低くなり、所得税額も想定より少なくなることがほとんどです。

そして、再就職しないと年末調整も受けられないので、自分で還付金を受け取るための確定申告(還付申告)をして、払いすぎた所得税を返してもらう必要があるんです。

【補足】還付金の対象にならない所得

以下の所得は還付金を受け取る確認の対象になりません。

(1) 源泉分離課税とされる預貯金の利子
(2) 源泉分離課税とされる抵当証券などの金融類似商品の収益
(3) 源泉分離課税とされる一定の割引債の償還差益
(4) 源泉分離課税とされる一時払養老保険の差益(保険期間等が5年以下のもの及び保険期間等が5年超で5年以内に解約されたもの)

国税庁のホームページより

還付金の確定申告の申請期限

還付金を受け取るための確定申告(還付申告)ですが、気を付けなくてはいけないのが、還付申告の期限は確定申告の期限と全く関係ないということです。

確定申告の期限は基本的に翌年の3月15日ですが、還付金を受け取るための還付申告の期間は、翌年の1月1日から5年間となります。

ただ、これはサラリーマンなどの給与所得者の話であって、そもそも納税のために確定申告が必要な個人事業主や、副業をしている人などの確定申告期間は、通常通り2月中旬から3月15日までです。

5年前のことでも、申請すれば還付金が返ってくるいうのはうれしいですね!

確定申告後の還付金の受け取り時期

確定申告による還付金は、確定申告をしてから1か月から1か月半に振込まれることが多いです。

ですので、例えば年始に、還付金を受け取るための確定申告(還付申告)をしたら、2月上旬~中旬頃に振り込まれます。

しかし、納税のための確定申告期間である2月中旬~3月15日頃は、1年で税務署が最も忙しい時期ですので、その時期に還付金を受け取るための確定申告(還付申告)をすると、還付金の振り込みが遅れる可能性がありますので、気を付けましょう。

また、e-Tax(電子申告)を利用して還付金を受け取るためのの確定申告(還付申告)をする場合は、税務署の仕事始めを待たずに、1月1日から還付申告をすることが出来ますので、早く還付金が欲しい場合は、e-Taxを利用することをお勧めします。

また、e-Taxを使えば、直接税務署に提出した場合や郵送によって提出する場合に比べて、還付金の受け取り時期を短縮することができます。

税務署の混み具合にもよりますが、直接税務署提出、または郵送によって還付申告をした時と比べて、平均で1週間〜2週間程度早く振り込まれます。

なお、e-Tax(電子申告)では、還付金の処理状況がリアルタイムで把握できます。還付金がいつ振り込みされるか気になる方は使ってみてはいかがでしょうか。

還付金を受け取るための確定申告の必要書類

還付金を受け取るための確定申告(還付申告)には大きく分けて必要な書類が3つ必要です。

①確定申告書

給与所得しかない人は確定申告書Aを用い、給与所得以外にも所得がある人は確定申告書Bを用いましょう。

確定申告書の用意方法としては、国税庁のサイトからダウンロードする方法と、確定申告書作成コーナーから印刷する方法、税務署にもらいに行く方法があります。

もちろん、e-Taxを利用して確定申告書を作成することもできます。

②源泉徴収票

源泉徴収票は基本的に会社からもらえる紙ですが、決して多きいサイズではありませんので、大切に保管しましょう!

e-Taxで還付金を受け取るための確定申告(還付申告)をする場合、源泉徴収票の内容を入力しましょう。

③添付書類

主に領収書を指します。

例えば家の売買契約書であったり、病院の領収書や明細書などです。

こちらもe-Tax上で送ることが可能ですが、別途スキャナが必要になるため、e-Tax上で、還付金を受け取るための確定申告(還付申告)をすることを考えていらっしゃる方は、早めにスキャナを用意しておきましょう。

還付金を振り込みで受け取る時の2つの注意点

振込で確定申告による還付金を受け取るときは大きく分けて2つの注意点があります。

①確定申告による還付金を受け取る口座は本人名義

当たり前と思うかもしれませんが、確定申告による還付金を受け取る口座は本人名義の口座でなくてはなりません。

配偶者や家族の口座、また、自分の口座でも旧姓のままになっている口座の場合も確定申告による還付金を受け取ることはできないので、注意しましょう。

②インターネットバンキング利用の方は口座を要確認

最近増えてきているインターネットバンキングですが、銀行会社によっては、還付金を受け取ることができない口座がありますので、あらかじめ確認しておきましょう。

インターネット銀行が使えない場合は、銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫、農業協同組合、漁業協同組合、ゆうちょ銀行を利用することになります。

万が一、確定申告による還付金を受け取ることが出来る口座がない、または新規口座開設が間に合わないのであれば、ゆうちょ銀行や郵便局で還付金を直接受け取ることになります。

その際には、国庫金送金通知書運転免許証などの本人確認書類が必要になります。

確定申告で還付金を貰える!賢く使ってお金の負担を減らそう

今回は確定申告によって還付金をうけとることができる人や、還付金がいつ帰ってくるかを紹介しました。

大きな出費が出た時、還付金があると、経済的にも精神的にも助かりますよね。

還付金制度を賢く利用して、家計に余裕を持たせてみてはどうでしょうか?

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