2018年より政府も主体になって副業が解禁されました。
最近では、ニュースでも副業に関する取り組みが多く取り上げられるようになりました。これを機に、新たに副業やダブルワークを始めた会社員の方々も多いのではないでしょうか。
副業をした際に気になるのが年末調整や確定申告だと思います。
「2ヶ所から給料を受け取った際はどうやって手続きすればいい?」
「副業したら確定申告を自分でやる必要がある?」
など、様々な疑問が湧きますよね。
サラリーマンの方であれば、これまでは1つの会社で手続きをすればよく、具体的な業務も経理や総務の担当から指示があったと思います。
しかし、副業を始めた場合、稼いだ金額によっては自分で所得申告をする必要性が出るケースがあります。これを忘れていると、脱税ということで税務署から指摘を受けるかもしれません。
副業解禁は嬉しいニュースですが、一方でこうした税務面の知識を身に付けておく必要もあります。今回は、副業をする会社員の方へ向けて、年末調整・確定申告の正しい基礎知識をご紹介します。
そもそも年末調整を行う理由は?
年末調整とは、給与所得者のその1年に支払われた給与から差し引かれた所得税を清算する手続きです。
所得税は、1年間の所得に対して税額が決まりますが、従業員は給料を受け取る際、あらかじめ所得税が差し引かれており、これを源泉徴収と呼びます。
この源泉徴収とはあくまで概算であり、各人の個別の事情に応じて所得控除がなされている訳ではありません。
そのため、本来その人が納めるべき所得税を年末に再計算する必要があるのです。
つまり、源泉徴収額と正しい所得税額を比較し、税金を多く支払っていた場合には差額を受け取ることができ、不足している場合には追加分を支払う必要があります。
副業・ダブルワークをしている場合、年末調整の手続きはどこでやる?
副業していても年末調整は1箇所でOK!
副業をしている場合でも、年末調整は一箇所でしか受けることができません。
勤務している二つの勤務先同士は、その人のそれぞれの年収を知りませんし、控除額などが重複して計算されてしまうと問題が生じるためです。
そのため、基本的には収入が多い方の勤務先に「扶養控除等申告書」を提出して年末調整を行うことになります。
したがって、副業をしているもう一方の会社では年末調整によって所得税などの調整がおこなれないため、確定申告をする必要が出てきます。
所得が「給与」or「20万円を超える」場合には確定申告が必要
それでは、副業をしている場合には絶対に確定申告をする必要があるのでしょうか?
この際に必要となる基準は、副業において、年間20万円を超える収入があるかどうかです。
また、この際に注意したいのが、「給与所得や退職所得以外の所得が20万円以下であれば、確定申告をする必要はない」という基準である点です。
つまり、副業収入が給与という形である場合には金額に限らず、確定申告が必要になります。
年末調整をすると会社に副業はバレる?
住民税の通知でバレる可能性がある
副業をされている方の中には、本業の会社に副業がバレてしまってはまずいという方もいらっしゃると思います。
バレてしまう可能性の一つとして、住民税の通知のタイミングがあります。
住民税は基本的に、給与に応じて課され、給与から特別徴税として天引きされています。
そして、市区町村は特別徴収義務者である本業の会社に対して住民税額の通知を行います。
その住民税額の通知がきた際に、もし会社からの給与に対しての金額よりも高ければ会社が不審に思ってしまうというわけです。
バレない方法は?2018年の税制改正は影響する?
実は、これまでは副業していることが会社にバレない方法が存在しました。
上述したように、副業がバレてしまうケースとしては、住民税が会社に通知されたタイミングが大半です。
しかし、特別徴収ではなく、自分で住民税を収める「普通徴税」というものが存在します。
副業をされている方であれば、確定申告をされていると思います。
その申告書に住民税の項目があり、下記の2点を丸つける箇所があるのです。
◯給与から天引き(特別徴収)
◯自分で納付(普通徴収)
この時に、普通徴収の方に丸をしておけば、申告した所得に対する住民税の通知は会社ではなくあなたの元に届くようになります。
そうすることで、会社にあなたに副業収入があることを知る機会は訪れないのです。
しかし、2018年(平成30年度)に配偶者控除および、配偶者特別控除の見直しが行われ、それに伴い、年末調整の用紙が変更する運びとなりました。具体的には、年末調整で提出する必要のある申告書類が2種類から3種類になっています。
これにより、上記の方法では対処しきれなくなってしまう可能性が出てきました。
以前は「給与所得者の扶養控除等申告書」「給与所得者の保険料控除申告書 兼 配偶者特別控除申告書」の2種類でしたが、以下の3種類の提出が必要とされています。
①:給与所得者の扶養控除等申告書
②:給与所得者の保険料控除申告書
③:給与所得者の配偶者控除等申告書
従来は、配偶者控除を受けるためには、『給与所得者の扶養控除等(異動)申告書』に配偶者を記載するだけで済んでいました。
しかし、今回の改正によって③の「給与所得者の配偶者控除等申告書」の提出が必要となりました。
「給与所得者の配偶者控除等申告書」には配偶者だけでなく、本人の所得も詳細に記入する必要があり、副業をお持ちの方は本業以外の収入も記入する必要があります。
つまりは、新たに「給与所得者の配偶者控除等申告書」を提出する必要が発生したことで、普通徴税に変更しても、会社に副業所得がバレてしまう恐れが発生したことになります。
副業をする際は会社の就業規則をしっかりと確認しよう
今回は副業をされている方の年末調整の仕組みについて解説してきました。面倒だなと思う方もいるかもしれませんが、納税を忘れてしまっては追加徴税をされてしまうかもしれませんし、逆に確定申告をすることで還付金を受け取ることもできるかもしれません。
また、副業解禁と政府がうたっていますが、全ての会社で副業が認められているわけではありません。企業ごとの副業への認識は異なりますので、もし分からない場合は会社の就業規則を事前に確認するようにしましょう。
副業が解禁され始め、多くの方が副業をされていらっしゃると思いますが、年末調整や確定申告の手続きを忘れずに行なってくださいね。
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