育休取得で上の子の保育園は退園になる?継続入所の条件・手続きを解説

赤ちゃん

ここ数年、保育園に子供を通わせる母親の育児休業中に、保育園に通わせていた上の子が退園させられてしまう「育休退園」が問題になっています。

数年前には、母親たちが自治体に対して訴訟を起こすまでに至った事件もありました。

今回は、「育休退園」とはなんなのか、退園させられないような対処法はあるのか、どのような手続きが必要になるのか、などについてわかりやく解説していきます。

お子さんをご出産予定、そしてすでにお子さんが保育園に通っていらっしゃる方は、ぜひ本記事を参考にしてみてくださいね。

全国の自治体で発生している育休退園の問題と背景

育休退園とは

そもそも、「育休退園」とはどのような場合に起こるのでしょうか。

具体的に解説してみます。

例えば、すでに一人のお子さんを保育園に通わせている母親が、第二子の出産を控えているとします。

そして、その母親が第二子を出産し、育児休暇を取得します。

そのタイミングで、すでに保育園に通っているお子さんが保育園を退園しなければならないというのが、「育休退園」と呼ばれるものになります。

これは、全ての自治体で適用されるわけではありませんが、実際に事件の発生した所沢市などの一部の自治体が定めたルールとなっています。

埼玉県所沢市では、保育園に通っている上の子どもが0歳から2歳児の場合は、原則、保育園を退園させることにしています。もし第二子を出産した場合、上の子供が0歳から2歳児であれば、退園させなければならないということです。

これに対し一部の保護者は、所沢市が始めた育児休業中の保育園の退園は違法だとして、退園の差し止めを求めて訴えを起こしました。

母親たちの訴えとしては

「そもそも保育園が少ないから待機児童がいるので、保育園の増設を所沢市に強く訴えたい」

「第二子となる子どもを6か月から預けていて、子どもにとって保育園に通うことが生活の一部となっている状況で、ある日突然、大好きな先生やお友達と過ごせなくなるというのは、子どもにとって大きなストレスになる」

などがあったようです。

それに対し、所沢市は救済措置として、母親が仕事に復帰する際、兄弟そろって保育園に入園できるよう体制を整えていると述べました。

待機児童問題の現状は?

それでは、なぜ一部の自治体は「育休退園」のルールを定めているのでしょうか。

これは、「待機児童の増加」に原因があります。

保育所はやや増加しつつあり、定員数も多少増えてはいますが、実は「待機児童」の数は10年前からほとんど変化していません。

特に東京都においては、今後はより一層周辺地域からの人口流入が予想されるため、深刻化していくことが考えられます。

特に世田谷区や江戸川区では、400人以上の待機児童が存在しています。それぞれの自治体も対策を施し、減少傾向にあるものの、まだまだ解決には時間がかかりそうだと言えます。

そして、各自治体は、保育園の子供を循環させることで、一時的な待機児童問題の解決をはかろうとしているのです。

しかし、これは根本的な解決にはなっておらず、待機児童を減らす根本的な問題解決が求められています。

育休中に上の子の保育園を継続利用できる?できない?

これまでからわかるように、第二子以降の出産後の育児休暇の際には、上の子供の「育休退園」の恐れがあります。

しかし、このケースでは、上の子が保育園を継続利用することはできないのでしょうか。

結論からいうと、原則「可能」となります。

ただ、前提として保育所の利用条件は「保育が必要だと客観的に認められた子どもと保護者が利用できる施設」とされています。

そのため、上の子が保育所を継続利用するためには「客観的に認められる保育所利用の必要性」が求められます。

では、どういった理由が客観的に認められるのでしょうか。

子供側の理由と親側の理由として、以下のようなものであれば認められることがあるようです。

客観的に認められる可能性のある理由

    • 子供が小学校に入る直前など、友達関係が子供に大きく影響する可能性があり、発達環境の変化が好ましくないとされる場合
    • 今の保育所に子供を継続的に預けることができる保証がないと会社に復帰できない
    • 出産後の母親の体調が悪く、上の子と第二子の同時育児が困難

また、内閣府は「親が育休取得時にすでに保育利用をしている子どもがいる場合、保育を継続利用してもよい」と定めています。

そのため、各自治体の受け取り方に違いが発生し、自治体ごとにルールが異なってしまっているのが現状です。

育児休暇の取得に伴う保育園の継続入所手続き

待機児童問題は都内が深刻な状況になっていますが、特に世田谷区は近年最も待機児童が多い区となっています。ここでは世田谷区の事例をご紹介します。

継続の条件や申請手続きはお住まいの自治体によって異なりますので、詳しくは役所に聞いてみることをおすすめします。

世田谷区では、第二子が生まれた場合にも、上の子は継続して保育園を利用することが出来ます。

ただし、子供の年齢制限があるので注意が必要です。

第2子が満1歳を超える時点で、育児休業を延長する場合、上のお子さんが2歳児クラス以下の時には、その年度末までしか在園できないという制限が設けられています。

上のお子さんが3歳児クラス以上のときは、継続して在園することが可能です。

保育園の継続入所手続きを行う際には、「勤務証明書・勤務予定証明書」への記載が必要になります。項目としては以下のようなものが必要になるので覚えておきましょう。

記載項目

      • 勤務先の採用(予定)日
      • 勤務地
      • 雇用形態
      • 休日
      • 仕事内容
      • 給与
      • 産休期間
      • 育休期間
      • もし現在育休中であれば、短縮することはできるか

最近も幼児教育無償化に伴って、認可保育園が急に閉鎖するという問題がありました。子育て世帯にとって、保育園に入れないという問題は深刻です。今後待機児童問題が解決する方向に進んでくれることを願っています。

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