今回は電車のラッシュ時の混雑率を関東・関西でそれぞれご紹介します。混雑率のデータは国土交通省が公開しているものです。関東・関西の主要路線の混雑率を区間ごとにランキングにまとめています。
最も通勤・通学ラッシュがきつい路線、区間はどこになっているでしょうか?混雑率の定義、ピークの時間帯、混雑の理由についてもまとめています。電車で通勤通学している方はぜひ最後までご覧ください。
混雑率の定義・目安は?
混雑率は定義を国土交通省が定めたものです。どのくらいの混雑率で、体感される混雑がどのくらいになるのか見ていきましょう。
- 混雑率の定義
混雑率 | 目安 |
100% | 定員乗車(座席につくか、吊革につかまるか、ドア付近の柱につかまることができる)。 |
150% | 広げて楽に新聞を読むことができる。 |
180% | 折りたたむなど無理をすれば新聞を読むことができる。 |
200% | 電車がゆれるたびに体が斜めになって身動きが取れず、手も動かせない。 |
全ての座席や吊革、車内の柱が使われている状態が100%となることが分かりました。
混雑率が200%を超えると、身動きはおろか、手も動かすことが難しい状況をさすということでした。
首都圏で最も混雑する電車は?鉄道混雑率ランキング10位〜6位
国土交通省が発表した、2017年度の「東京圏における主要区間の混雑率」(国土交通省)によると、都心の電車の混雑ランキングは以下のようになります。
10位 JR中央線快速 中野駅〜新宿駅 184%
- ピーク時間・・・7:55~8:55
- JR中央線快速の主要駅・・・高尾、立川、国分寺、武蔵小金井、三鷹、荻窪、中野、新宿、四ツ谷、御茶ノ水、神田、東京
中央線快速の中野~新宿間が10位となりました。朝のラッシュ時は2~3分おきに電車が走っており、1時間当たりの輸送力はJRの中でトップレベルです。では、それでもラッシュが緩和されないのはどうしてでしょうか?
中央線快速の沿線は三鷹、武蔵境、東小金井、国分寺など東京を代表する大きなベットタウンを通ります。そして新宿まで大きなターミナル駅がないため、新宿までは降りる人の数より、乗ってくる人の数の方が多いため、中野~新宿間の混雑率がピークになります。中央線特快は本数が多いものの、線路は1つしかないのが特徴です。そのため列車どうしの間隔をとることができず、ノロノロ運転になってしまいます。ぎゅうぎゅうの車内ですので、ストレスが溜まりそうです。
8位 東急田園都市線 池尻大橋駅~渋谷駅 185%
- ピーク時間・・・7:50~8:50
- 東急田園都市線の主要駅・・・中央林間、長津田、青葉台、あざみ野、たまプラーザ、鷲沼、溝の口、二子玉川、三軒茶屋、池尻大橋、渋谷
東急田園都市線は東京急行田園都市線は神奈川県、東京都町田市、世田谷区など住宅地と渋谷方面を結ぶ路線です。住みたい沿線として人気も高い、住宅地を通ることが混雑率が高い理由です。沿線の人口は増加傾向にあり、今後も混雑緩和の努力が必要です。
2016年からは、会員制サテライトシェアオフィス「NewWork」を沿線に整備して、ラッシュ時間帯はシェアオフィスで仕事をして混雑を避けるなどの新しいやり方を実施するほか、座席配置を工夫した新型車両「2020系」の導入、渋谷駅のホーム拡張など進めていく予定です。
8位 JR埼京線 板橋駅~池袋駅 185%
- ピーク時間・・・7:50~8:50
- JR埼京線の主要駅・・・川越、南古谷、指扇、日進、大宮、武蔵浦和、赤羽、十条、板橋、池袋、新宿、渋谷、恵比寿、大崎
埼京線は大宮から大崎までを結ぶ路線です。大宮から浮間舟渡まで徐々に乗客が増え、赤羽~新宿間で混雑がピークとなります。埼京線は渋谷、新宿、池袋などのターミナル駅を通る大変便利な路線です。また、京浜東北線とも並行しています。
JR板橋駅は都営三田線の新板橋駅の乗り換え駅となっていますが、赤羽、十条などが新宿方面へ乗り換え客が多い駅といえます。
7位 JR京浜東北線 大井町駅~品川駅 186%
- ピーク時間・・・7:34~8:34
- JR京浜東北線の主要駅・・・大宮、さいたま新都心、浦和、川口、赤羽、東十条、王子、田端、西日暮里、日暮里、鶯谷、上野、御徒町、秋葉原、神田、東京、有楽町、新橋、浜松町、田町、品川、川崎、鶴見、横浜
京浜東北線は大宮から東京方面を経由して、横浜まで、都心を南北に結ぶ路線です。2001年の湘南新宿ラインの運行まで、埼玉と神奈川を結ぶ唯一の路線でした。京浜東北線は山手線と田端~品川までは山手線と並走しています。
大井町駅は、JR京浜東北根岸線、りんかい線、東急大井町線が乗り入れる駅です。大井町から乗り換えをして品川東京方面へ向かう人が多く大変な混雑となります。
首都圏で最も混雑する電車は?鉄道混雑率ランキング5位〜1位
5位 日暮里・舎人ライナー 赤土小学校前駅~西日暮里駅 187%
- ピーク時間・・・7:30~8:30
- 日暮里・舎人ライナーの主要駅・・・舎人、舎人公園、谷在家、西新井大師西、江北、高野、扇大橋、足立小台、熊野前、西日暮里、日暮里
日暮里・舎人ライナーは「23区内最後の鉄道空白地帯」といわれた足立区西部の足として2008年3月に開業しました。開業当初の利用客数は1786.6万人でしたが、2016年には約1.6倍の2920.7万人まで増加しています。
日暮里・舎人ライナーは利用客数の増加に伴い、ラッシュ時の混雑緩和のため、車両の増設、列車の増発を何度も行ってきました。それでも利用客数の増加には追い付いていないのが現状です。JR山手線、JR京浜東北線、東京メトロ千代田線などに乗り換えが可能な西日暮里駅までの区間が最も混雑します。
4位 JR南武線 武蔵中原駅~武蔵小杉駅 189%
- ピーク時間・・・7:30~8:30
- JR南武線の主要駅・・・川崎、尻手、鹿島田、武蔵小杉、武蔵中原、武蔵新城、武蔵溝ノ口、登戸、稲田堤、稲城長沼、府中本町、分倍河原、立川
JR南武線は東京都立川市から神奈川県川崎市を結ぶ路線ですが、武蔵小杉でJR横須賀線に乗り換えることができます。他にも東急東横線、田園都市線、小田急線、京王線などの各線と接続しており、利用客数は多いです。
南武線の車両は6両編成と短いのが特徴です。このため混雑が生まれてしまうといわれています。ラッシュ時は1時間に20本以上走っていますが、それでも混雑は収まりません。ホームの延伸が必要であったり、駅の近くに踏切があるなどの問題から車両の長編化が難しくなっています。
3位 JR横須賀線 武蔵小杉駅~西大井駅 196%
- ピーク時間・・・7:26~8:26
- JR横須賀線の主要駅・・・久里浜、衣笠、横須賀、逗子、鎌倉、大船、戸塚、東戸塚、横浜、新川崎、西大井、品川、東京
JR横須賀線は神奈川方面から品川、東京方面へ行くのに抜群のアクセスの良さを誇ります。武蔵小杉は東京のベットタウンとして再開発が進められ、住みたい街ランキングに毎年上位にランクインするようになりました。
また、武蔵小杉駅にはJR南武線、東急東横線・目黒線が乗り入れており、これが武蔵小杉駅の混雑率が高い混雑率の理由の1つとなっています。
2位 JR総武線各駅停車 錦糸町駅~両国駅 197%
- ピーク時間・・・7:34~8:34
- JR総武線各駅停車の主要駅・・・千葉、津田沼、西船橋、市川、新小岩、錦糸町、秋葉原、飯田橋、市ヶ谷、新宿、中野、荻窪、吉祥寺、三鷹
千葉と東京都心を結ぶJR総武線各駅停車ですが、錦糸町駅で総武線快速と東京メトロ半蔵門線の乗り換え客が多く利用します。
総武線の快速も混雑率180%を超える路線ですので、朝の錦糸町駅のホームや改札の人混みは想像を絶するものがあります。
1位 東京メトロ東西線 木場駅~門前仲町駅 199%
- ピーク時間・・・7:50~8:50
- 東京メトロ東西線の主要駅・・・西船橋、浦安、西葛西、木場、門前仲町、茅場町、日本橋、大手町、竹橋、飯田橋、神楽坂、早稲田、高田馬場、落合、中野
もともと東京メトロ東西線は総武線各駅停車の西船橋~中野駅までの混雑を解消するために建設されました。東京メトロ東西線は大手町などビジネス街を通るため、大変利便性の良い路線になり、沿線の人口増加も相まって、都心の中でもトップクラスに混雑する路線となりました。
最近では南砂駅でホームと線路を増設する工事を進行させたり、時差通勤を促進させるためラッシュ前の早朝に東西線の指定された区間に乗ると、商品券などに交換できるなど混雑緩和を目指しています。
関西で最も混雑する路線は?電車混雑率ランキング10位〜6位
国土交通省が発表した、2017年度の「大阪圏における主要区間の混雑率」(国土交通省)によると、関西の電車の混雑ランキングは以下のようになります。
10位 阪急千里線 下新庄~淡路 131%
8位は北千里から天神橋筋六丁目までをつなぐ阪急千里線が8位となりました。千里線利用客の多くが、淡路で快速急行や快速に乗り換えて梅田方面へ向かうため、阪急千里線は淡路までの区間が最も混雑します。
淡路駅に阪急千里線の列車が入る際、駅に入る直前で信号待ちにより、止まってしまうことがあるようです。淡路駅の構造上、上下線で同時に列車が発着することができないため、京都本線と阪急千里線が接近すると、阪急千里線は一時信号待ちになるためです。ですので、阪急千里線は5分程度遅延してしまうことがあります。
8位 阪急京都本線 上新庄~淡路 132%
京都本線は京都市の河原本町駅と大阪中心部梅田を結ぶ路線です。途中駅の桂では嵐山線から乗り換えができます。
淡路駅で大阪メトロ堺筋線や阪急千里線への乗り換えをする客が多いため、この区間での混雑がピークとなります。
8位 近鉄大阪線 俊徳道~布施 132%
近鉄大阪線は、三重県の伊勢中川駅から奈良県を通り、大阪府内を結ぶ関西の主要路線です。奈良県、三重県から大阪府へ通勤、通学する人が多くこの路線を利用します。
布施駅は東大阪市内のターミナル駅です。多くの乗客が布施駅で降りて、近鉄奈良線へ乗り換え、難波駅方面向かいます。このため俊徳~布施駅間が混雑率のピークとなっています。
7位 御堂筋線 難波~心斎橋 134%
赤い車両がトレードマークの御堂筋線は吹田市の江坂から梅田・難波・天王寺などを経て、堺市北区の中百舌鳥までを結びます。天王寺駅、動物公園前から乗り換え客が押し寄せ、難波~心斎橋駅で混雑率がピークになります。天王寺駅は近鉄線、阪堺線、JR線、谷町線に乗り換えることができる大変利便性の高い駅で、住みたい街ランキング(関西版)でも上位にランクインする駅です。
御堂筋線は大阪メトロの主要路線ですので、朝の通勤ラッシュは上下線ともに130%以上の混雑率となっています。
6位 長堀鶴見緑地線 蒲生四丁目~京橋 135%
大阪メトロ長堀鶴見緑地線は大正駅から門真南駅までを結ぶ路線です。蒲生四丁目~心斎橋までの8駅という比較的長い間混雑するのが特徴的です。
門真南~蒲生四丁目は沿線の住宅街から多くの住民が電車に乗り込み、混雑します。そして京橋駅では、JR環状線、東西線、片町線、京阪本線、学研都市線などに乗り換えることができるので、乗り降りが激しくなります。また長堀鶴見緑地線は4両編成であることも混雑率が高くなる原因の1つになっています。
関西で最も混雑する路線は?電車混雑率ランキング5位〜1位
5位 近鉄奈良線 川内永和~布施 136%
近鉄奈良線は近鉄奈良~布施までの駅を結ぶ路線です。布施からは難波線に直通しており、鶴橋、大阪難波方面へつながっています。
布施駅は近鉄奈良線と大阪線の乗り換え駅となっているため、8位の近鉄大阪線と同様に、布施駅までの区間で混雑率が高くなっています。
3位 阪急宝塚本線 三国~十三 144%
神戸のベットタウン宝塚と梅田を1本でつなぐのが宝塚本線です。アクセスが良いため、大阪で働いている方が宝塚本線の中山観音駅、売布神社駅、清荒神駅、山本駅に住まいを探すことも多いです。
十三駅では神戸本線、宝塚本線、京都本線が乗り入れるターミナル駅となっており、大阪、神戸、京都方面へ向かう列車が乗り入れています。
3位 大阪メトロ中央線 森ノ宮~谷町四丁目 144%
大阪メトロ中央線は大阪郊外と中心部を結ぶ、けいはんな線と一部並行に走る線です。大阪メトロ中央線は各駅停車しか走っていないため、朝や夕方の通勤通学ラッシュ時の混雑率は高くなってしまいます。
森ノ宮は長堀鶴見緑地線、JR線の乗り換え駅です。また、谷町四丁目は大阪城や大阪城ホール、大阪府庁、大阪警察本部などの最寄り駅となっています。駅周辺はビジネス街ですので降りる客は多いと思われます。
2位 御堂筋線 梅田~淀屋橋 146%
御堂筋線の主要駅・・・千里中央、新大阪、梅田、淀屋橋、本庁、心斎橋、難波、動物公園前、天王寺
御堂筋線は大阪市内のビジネス街を走る関西の主要路線の1つです。8位には御堂筋線の心斎橋~難波間がランクインしていましたが、2位の梅田~淀屋橋間はさらに高い混雑率となっています。
というのも、大阪のビジネス街は御堂筋線沿線に集中しています。梅田はキタエリアの中心で、新大阪駅、グランフロント大阪などをはじめとする高層ビルが立ち並ぶオフィス街です。そして淀屋橋は大阪の金融・経済の中心地です。旧財閥系企業、大阪証券取引所、大阪銀行大阪支店などがある駅です。
1位 阪急神戸本線 神崎川~十三 147%
京急神戸本線は神戸三宮、花隈、高速神戸、新開地の区間で神戸高速線が乗り入れています。神戸三宮、西宮北口は住みたい街ランキングに上位にランクインする人気のベットタウンので多くの乗客でラッシュ時は混み合います。大阪方面へ行くにつれて乗客が増え続け、神崎川でピークとなります。3位の宝塚線と同様に十三までが混み合う区間となるようです。
関東ではトップ10が混雑率180%越え 関西は1位でも147%
関東の列車の混雑率は10位でも184%、1位はなんと199%という結果でした。
200%の混雑率は手を動かすことすら難しいと定義づけられていますから、大変な混雑ですね。一方、関西の路線の混雑率は1位の阪急神戸本線でも147%と関東と比較すると多少混雑は緩やかといえるのではないでしょうか。
それでも朝の通勤ラッシュの混雑は、通勤で頭を悩ませる問題ですので、今後通勤緩和することを期待しています。
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