2019年8月のM&A概況!件数や取引金額ランキングを公開

東京

月次のM&A動向をお届けします。

今回は、2019年8月のM&A件数や金額、業界の動きを一挙にご紹介していきます。

8月は、大型M&Aや海外企業を対象とした買収案件が活発に発生しました!M&Aの概況や具体的な案件の内容を確認していきましょう。

本記事は、全上場企業に義務付けられた東証適時開示のうち、経営権の移転を伴うM&Aについて、M&A仲介大手のストライク社(M&A Online)が集計したデータを参考にしています。

令和元年8月のM&A動向を一挙紹介!

令和元年8月のM&A市場の動きをお伝えします。

過去10年間で2番目の高水準を記録!海外対象の買収や大型案件は、今年最多

8月のM&A件数は、前年同月比14件減の72件という結果になりました。

ただ、8月としては過去10年間で最多だった昨年に次ぐ2番目の高水準となります。引き続きM&A市場が活性化していることが分かります。

また、全72件のM&Aの内、海外企業を対象とする買収は19件、買収金額10億円超の案件は25件あり、いずれも今年の最多を記録しました。

調剤薬局業界が活発な動き

調剤薬局のM&Aは引き続き活発な動きを見せています。主な調剤薬局業界の案件例をご紹介します。

  • クオールホールディングス・・・大阪府内や奈良県で10店舗を運営するセラ・メディック(堺市)を子会社化
  • キリン堂ホールディングス・・・京都府内で調剤薬局1店舗を取得すると発表(相手企業名は非公開)
  • ソフィアホールディングス・・・メディプラン(大阪市)から3店舗を取得することを決定。同社はインターネット関連事業を主力とするが、近年、健康医療事業に軸足を移しつつあり、調剤薬局のM&Aは今年5件目。

2019年上期に過去最高のM&A件数を記録した調剤薬局・ドラッグストア業界。下期も引き続きM&Aが活発になっています。

2019年8月のM&A金額ランキング!1,000億円以上の大型案件も

5位 エア・ウォーター 約204億円

大阪に本社をおくエア・ウォーター株式会社は、産業ガス世界最大手のドイツ・リンデからインド事業の一部(酸素・窒素・アルゴンの製造・販売・供給)を取得しました。

エア・ウォーターは国内産業ガス市場で太陽日酸につぐ業界2位の会社です。これまで医療、農業、食品など多角化経営をおこなってきましたが、今後はガス事業の海外展開に注力する見込みです。

4位 レンゴー 約323億円

段ボールの生みの親であるレンゴーは、ドイツ子会社を通じて、産業用重量打物包装メーカーと機械メーカーなど現地2社を子会社化しました。

レンゴーは、上記のM&A以外にもこれまで積極的なM&Aに取り組んでおり、今回はその一環としてのM&Aといえます。

2019年のM&Aは4件に達しており、今後も買収・合併などの動きが続くことが予想されます。

3位 サンデンHD 500億円

電機メーカーグループのサンデンHDは、業務用冷凍・冷蔵ショーケースなど製造販売子会社サンデン・リテールシステムを国内投資ファンドのインテグラルに譲渡しました。

2位 DIC 約1,162億円

1,000億円を超える大型M&A案件です。

インキ世界首位のDICは、ドイツ化学大手のBASFの顔料事業を買収(関連13社を子会社化する内容)すると発表しました。2020年末までの買収完了を目指しています。

出版物の減少により主力のインキ事業が落ち込む中、高付加価値商品である化学品への事業シフトを加速させています。

1位 米フォートレス・インベストメント・グループ 約1,368億円

8月のM&A金額1位は、アメリカ投資会社フォートレス・インベストメント・グループによる不動産・ホテル業のユニゾホールディングス(東証1部)の完全子会社化を目的としたTOBです。

ユニゾをめぐっては当時、旅行大手のエイチ・アイ・エス(HIS)の敵対的TOBが進行していましたが、これに対抗してHISを上回る買付価格(1株4000円)を提示し、参戦しました。

ユニゾ経営陣が賛同する第三者による友好的TOBで、いわゆる“ホワイトナイト(白馬の騎士)”の登場となりました。

HISはTOBを通じて所有割合を5%弱から45%に引き上げることを計画しましたが、TOBは最終的に不調に終わっています。

なお、フォートレスはユニゾ株の全株式の買い付け(下限は66.7%)を目指しているが、HISの場合と同様に、ユニゾ株が買付価格を上回る高値でこのまま推移すれば、10月1日の期限までに予定数の買い付けが行えず、TOB成立が危ぶまれています。

選択と集中を進める動きがM&A市場を後押し

海外企業を対象とした買収や大型案件が目立った8月のM&A市場。

日銀による金融緩和や「選択と集中」を進める企業の動きが、引き続きM&A市場を後押ししているといえます。

今年のM&A動向に引き続き注目です。

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