歯並び矯正・歯列矯正の相場はいくら?保険と医療費控除の対象?

歯並びというのは人の顔のうち、見た目や第一印象にかなり大きな影響を与えるパーツであると言われています。

お子さんの歯並びが気になっている方や、働き始めたことで第一印象を良くしたいということで大人になってからも、歯並びの矯正をした方が良いのではないかと考えている方も多いかもしれません。

歯科矯正治療を行なっている、アライン・テクノロジー・ジャパンが行なった、「子供の歯並びと矯正治療に関する意識調査」によると、子供の歯並びが「良くない」と回答した親の割合は全体の37.7%で、そのうち実際に治療を行なっている割合は30.5%となっています。

ひと昔前に比べると、かなり治療法も身近になってきた歯科矯正ではあるものの、やはり気になるのは”費用”の部分でしょう。

治療する部位や範囲にもよりますが、おおよそ数十万円から100万円程度の矯正費用が相場とされています。

これだけ大きな支出ですから、保険や所得控除などをうまく活用できれば家計にも嬉しいですよね。

そこで今回は、歯並び矯正や歯科矯正を行なった際に、保険や医療費控除は対象となるのか、一体いくら戻ってくるのかなどを詳しく解説していきます!

矯正治療の費用の相場はいくら?項目別・時期別に解説します!

ではさっそく、矯正治療にかかる費用が全体でいくらになるのかを見ていきましょう!

①治療前にかかる費用

歯科矯正治療を行う前に、まずは現状の確認として歯科クリニックへ行き、カウンセリングなどを受ける必要があります。

医師による診断だけでなく、自分の感じている不満点や違和感、咀嚼音のチェックなどを綿密に行い、矯正のプランや計画を練っていきます。

そのまま、そのクリニックで矯正治療を行う場合には、初心費用が0円になる、というところもありますが、基本的には初回診療費用としては0円〜5000円というのが相場になっています。

ただし、顎変形症などの大きな顎全体のズレなどがある場合には、レントゲン撮影や口の中の写真撮影、顔の骨格の撮影、唾液検査やCT撮影など多岐にわたるチェックが必要になりますので、1万円から3万円程度の診療費がかかると思っておくと良いでしょう。

②第1期治療にかかる費用

お子さんの歯列矯正には第1期に行うものと、第2期に行うものの2つがあります。

乳歯が永久歯に生え変わる前にあたる第1期だけで終わる場合もありますが、第1期・第2期共に治療を行う場合や、永久歯が生えそろった後に行う第2期のみの治療など3つの選択肢があります。

第1期治療を行う目的としては、

  • これから永久歯が綺麗に生えてくる準備をすること
  • 顎の形を正しい形で成長させること
  • 第2期治療にかかる負担を減らすこと
  • 永久歯になるべくダメージを与えず自然のまま育てること

などがあります。

必ずしも第1期治療で綺麗な歯並びが得られるとは限りませんが、成長段階であるこの時期に治療を行うと、今後永久歯が生えてくる環境を整える準備ができると考えておきましょう!

費用としては平均で20万円〜40万円くらいが目安となっています。

③第1期から第2期まで治療を行う場合の費用

続いて、第1期の治療と第2期の治療をともに行う場合の費用について解説していきます。

第1期治療においては、概ね歯列を綺麗に揃えられるような環境作りを行いましたが、第2期ではマルチブラケット装置という装置を装着し、歯同士をワイヤーで連結させるて歯並びや歯の間隔を調整します。

第1期から第2期にかけてまとめて治療を行う場合には、第2期では30万円から50万円ほど、合計で60万円から90万円ほどの費用がかかります。

第1期での治療を行なっていることで、第2期では大掛かりな顎を削る作業が不要になるため、第2期だけの治療を行う場合に比べて割安になると言えるでしょう。

④第2期の治療のみを行う場合の費用

大人になってから初めて歯列矯正を行う場合にはどのくらいの費用がかかるのでしょうか?

第2期治療のみの場合にも、歯同士をワイヤーで連結させるマルチブラケット装置を付けた治療がメインになります。

この場合の費用は50万円から90万円ほどですが、治療に使う器具のワイヤーを交換する必要もありますので、別途数千円の費用がかかることにも注意しておきましょう!

⑤治療後にかかる費用

歯列矯正の治療が終わった後にも、引き続き費用がかかります。

具体的には、リテーナーと呼ばれる矯正された歯列が戻らないようにする装置をつける必要があります。

マウスピース型やワイヤータイプなど器具によって違いはありますが、相場は5,000円〜10,000円程度となっています。

また、メンテナンス費用としても毎回数千円かかることも押さえておきましょう。

矯正歯科治療で保険が適用されるケースとは!?

残念ながらどんな場合でも歯科矯正は保険の適用対象となるというわけではありません。

というのも、保険が適用される条件というのは、著しく健康に悪影響をもたらしている場合に限られており、見た目や美容目的での矯正はカバーされないというのが原則となっているのです。

そのため、以下の2つの場合だけが矯正歯科治療において保険の対象となります。

①顎変形症

顎変形症というのは、顎の骨がずれたり変形することで噛み合わせ不良などの症状が起きるものです。

イメージしやすい例を挙げると、出っ歯や受け口なども顎変形症の一種と言われています。

具体的な名称としては、

  • 上顎前突症
  • 下顎前突症
  • 顔面非対称症
  • 開咬症
  • 過蓋咬合症

などがあります。

治療のステップとしては、矯正歯科医院での矯正ののちに、必要があれば外科手術を行うということになります。

指定の自立支援医療機関または顎口腔機能診断施設において治療を受けることが、保険の対象となる条件ですので注意しましょう。

②先天性の疾患

顎変形症以外にも、厚生労働大臣が認める先天性疾患も健康保険の対象となります。

こちらも、診療する医療機関が指定自立支援医療機関であることが必須となっています。

歯科矯正治療で医療費控除は受けられる?控除されていくらお得になるの!?

保険に引き続いて、医療費控除についても触れていきます。

子供の場合と大人の場合では控除できる可能性が大違い!?大人の治療には注意が必要!

医療費控除が認められるためには、正当な医療行為である必要があります。

子供の治療のためには、外見の美しさを保つというよりもその後の歯や顎の正しい成長を促す治療行為として、必要だと考えられているため、基本的には医療費控除の対象として認められます。

一般的には中学生くらいまでの年齢であれば、正しい発育のための治療として認められるのが原則と考えられているようです。

しかし、大人の場合には正しい成長のためという口実が成り立ちませんから、何らかの健康上の問題を抱えている必要があります。

先ほど保険の適用の部分でも触れた症状や、咀嚼障害や発音障害などの診断名がついただけでも認められることがありますので、矯正開始前に医療費控除の対象となるかをチェックしておくと良いですね。

医療費控除でお得になる金額はいくら!?

医療費控除とは、医療費が10万円を超えた場合や総所得が200万円未満はその総所得の5%を超える場合に所得税および住民税が減税される仕組みです。

そのため、そもそも医療費控除を申請する際に医療費が10万円以上であることが求められます。

先ほども紹介したように、歯列矯正での費用は数十万円から100万円ほどですので、基本的に医療費控除の対象の金額は満たすと言えるでしょう。

実際に医療費控除でいくら戻ってくるのか、還付金の金額の計算式をご紹介したいと思います。

医療費控除の計算式では、総所得が200万円以上か、200万円未満かで計算の仕方が違ってきます。

  • 総所得が200万円以上の場合

1年間で払った医療費ー保険金等で補填される金額-10万円

  • 総所得が200万円未満の場合

1年間で払った医療費ー保険金等で補填される金額-総所得の5%

例えば、総所得が600万円の人の1年間の医療費が100万円、補填される金額が20万円だったとします。

これを総所得が200万円以上の場合の計算式に当てはめてみると、

医療費控除額=100万円ー20万円ー10万円=70万円、となります。

ですが、ここで注意が必要なのが30万円は控除額なだけで、30万円丸々差し引かれるという訳ではありません。

ここから、いくら所得税が少なくなるかを求めていきます。

課税される所得金額税率控除額
195万円以下5%0円
195万円超え 330万円以下10%97,500円
330万円超え 695万円以下20%427,500円
695万円超え 900万円以下23%636,000円
900万円超え 1,800万円以下33%1,536,000円
1,800万円超え 4,000万円以下40%2,796,000円
4,000万円超え45%4,796,000円

年収600万円だと、上記の図表だと課税所得は330万円〜695万円の群に該当します。

この場合の所得税率が20%なので、医療費控除額の70万円に20%を掛けた額が、実際に所得税から引かれる金額となります。

還付金=医療費控除額×所得税率=70万円×0.20=14.0万円

ですから、先ほどの事例だと14万円分の所得税として支払ったお金が戻ってくる、ということになります!

医療費控除を受けるためには確定申告が必要なので注意!必要な手続きとは?

所得税として支払った金額が戻ってくるので、医療費控除は嬉しい制度ではあるものの、確定申告をする必要があるので注意が必要です。

サラリーマンの方のご家庭だとなかなか確定申告の経験がなく、不安な方も多くいらっしゃるかもしれません。

まずは医療費控除の申請に必要な書類を紹介します。

  • 医療費控除の明細書
  • 源泉徴収票
  • 確定申告書Aまたは確定申告書B
  • 医療費の領収書
  • 医療費通知書
  • 健康保険の加入者等の氏名
  • 療養を受けた年月
  • 療養を受けた本人の名前
  • 療養を受けた病院、診療所、薬局などの名称
  • 支払った医療費の額
  • 健康保険組合等の名称

確定申告書Aは会社員の方、確定申告書Bは個人事業主の方や不動産投資による事業所得がある方などが対象になります。

また、医療費控除は5年間まで遡って申請することが可能なので、医療機関を受診した明細書などはしっかりと保管しておきましょう!

夫婦やご家族での医療費の合算も可能ですので、もしお子さんの医療費でまとまった金額がかかった場合には、他の医療費も合わせれば10万円をゆうに超えていくので、ぜひ合算での申請をしましょう!

続いて確定申告の手順ですが、基本的には次の4つのステップを踏んでいきます。

  1. 医療費控除の対象となっているかを確認
  2. 医療費控除に必要な書類を集める
  3. 書類を税務署に提出
  4. 還付金の確認

やはり書類の作成に不安を抱えている方も多いかと思いますが、最近ではネットで簡単に確定申告ができるようになっています。

e-Taxという制度が日本にはありますので、ぜひ関連記事を気に方はご覧ください!

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