ソフトバンクの赤字の理由と原因とは?法人税との関係性は?

見下ろす街並み

11月16日にソフトバンクグループは2019年7月〜9月期の連結決算の報告を発表しました。

発表によると、当該期の最終損益はなんと約7000億円の赤字を計上し、グループ創設以来の大型赤字となったことが大きな話題となりました。

孫正義さんといえばなんとなくお金持ちのイメージが浸透しており、ソフトバンクも経営が順調で儲かっているだろうな、と思っていた人にとってはかなり衝撃的なニュースだったのではないでしょうか?

今回は、このソフトバンクの大型赤字の要因はどこにあるのか、またしばしば取り上げられているソフトバンクの法人税納税に関する解説をわかりやすく行なっていきます。

そもそもソフトバンクの赤字の理由や原因って何なの??

実は今回大きな赤字を計上したソフトバンクですが、2019年の3月期の決算においては2.3兆円の巨大黒字を見込んでいたという背景があります。

それが半年後には7000億円の赤字に転落したということで、実に短期間に大きな損失を被ってしまったことが見て取れますね。

ソフトバンクといえば携帯電話会社のイメージがありますが、自社で運営しているファンドによる投資も大きく業績に関わっています。

ファンドというのは、簡単に解説するとまとまったお金をどこかの企業に投資をして、投資先の企業の業績が伸びれば投資リターンを得て収益を上げられるというものです。

みなさんが株を買ったり売ったりするのを、もっと大きくして法人がやっているのがファンドと理解しておくことができればOKです。

このファンド事業というのは、他社の業績が自社にダイレクトに影響してきますので、短期間での収益のブレやすさに影響します。

実は先ほど紹介した2019年の3月期の決算におけるファンド事業の営業利益は全体の半数を占めているなど、直前までは投資の目利きがかなり冴えていたとされています。

しかし常に投資に勝ち続けることはかなり困難ですから、半年後には結果的に投資は失敗に終わってしまったということになります。

具体的にどの投資がうまくいかなかったかというと、オフィスシェア企業“WeWork”に対するものが大きく影響したと言われています。

WeWorkというのは、アメリカのニューヨークに拠点を置くコワーキングスペースの運営などのオフィス事業を展開している企業であり、日本でもオフィス事業を展開している外資系企業です。

すでにソフトバンクは1兆円以上の投資をこのWeWorkに対して行なっていますが、2019年の9月30日付で当初予定していた新規株式公開(IPO)を見送る方針になり、大炎上するとともにCROが退陣に追い込まれるという大騒動にまで発展してしまいました。

この結果、資金調達に難航したWeWorkの経営状態は悪化し、日本円にして約2000億円という巨額の赤字を抱えるに至っています。

とはいえ、こうした状況を踏まえてもソフトバンク側としてもなかなか投資の手を引くことは難しくなっています。

これだけ今まで大きな投資をしてきたからこそ、ここで投資をやめてWeWorkが潰れてしまっては全くと言っていいほど投資を回収できないまま失敗になってしまいます。

であれば、状況は厳しいものの投資を続けてもう一度IPOのチャンスを待つ方が今までの投資額をドブに捨てずに済みます。

投資の引き際は難しいところですが、まさに今がソフトバンクのファンドビジネスの姿勢を見直す時期かもしれませんね。

ソフトバンクの法人税がゼロ円って本当なの?税金のからくりの仕組みとは!?

今回のソフトバンクの大型損失の形状がこれほどまでに話題になったのは、従来から疑問視されていたソフトバンクの法人税納税問題とあいまったためとされています。

日本の税制においては、個人の収入に所得税がかかるように、法人の得た利益に対しては法人税が適用され、納税をする義務が生じます。

所得税は年収が高い人ほど税率は高くなるのと同じように、基本的には儲かっている会社ほど法人税の納税必要額というのは大きくなります。

しかし、ソフトバンクは純利益1兆円規模の日本を代表する企業にも関わらず法人税の納税を行なっていませんでした。

具体的には、2018年3月期の決算で、ソフトバンクGの売上高は約9兆1587億円の過去最高額、純利益は1兆390億円を計上したにも関わらず、日本への国税として法人税を1円も納めていなかったのです。

この背景には、2016年に買収したアーム社の株式の取り扱いを利用した数字のトリックがあります。

法人税というのは儲かっている企業から多く取ろうというのが原則ですので、赤字を計上している企業からは基本的に徴収は行いません。

このアーム社の株式の一部をソフトバンクG内に移管した際に、取得した価格に比べて1.4兆円の下回り分が生じたため、赤字として計上したとしています。

流石に1兆円の純利益があったとしても1.4兆円の欠損金が生じては会計上は赤字と判定されますので、法人税を収める義務は免れたということになります。

なんとなくずるいじゃないか、違法ではないのかと反発したくなる方もいらっしゃるかもしれませんが、仕組み自体は適法ですし、事実として国税としても欠損金の修正申告を要請するに留まっています。

こうした抜け目のないロジカルな戦略が孫正義氏の強さなのかもしれませんね。

ソフトバンクとはどんな会社!?業績推移を簡単におさらい!

ソフトバンクという会社は実にユニークで、時代によってその業態や活躍場所を変えてきました。

ソフトバンクの出発地点は、実は孫正義氏が学生時代に開発した自動翻訳機の収益が元手となっており、それを原資にソフトウェア会社として創業します。

その後、パソコン用ソフトの流通事業や出版事業などを展開し、2004年の日本テレコムの買収を契機として本格的に携帯電話事業へと参入していきます。

携帯電話事業参入から10年ほどで日本における契約件数シェアの第3位に君臨するなど、圧倒的な成長ペースで現在のような大企業へと成長していきました。

これだけ短期間に業績拡大と業態変化を行なったソフトバンクですから、今後の展望も気になりますね。

今後の事業としては、次のような事業に注力していく方針を固めているようです。

  • 5Gへの設備投資

現在の4GLTEよりもさらに早い、5Gの設備へ、ソフトバンクは投資しています。

その投資額はなんと400億円。ソフトバンクの本気度がうかがえますね。

  • シェアサービスへの投資

ソフトバンクはシェアサービスにも投資をしています。

特に車関係のサービスに積極的に投資しており、パーキングシェアサービスのBLUUというサービスを運営しています。

  • armへの投資

スマホのCPUで圧倒的なシェアを誇る英国企業ARMを2016年に買収したソフトバンクは、半導体事業にも力を入れています。

今後のIot技術の進展に伴い、半導体は確実に需要が高まります。

それに備えて、ソフトバンクはARMに先行投資をしているということですね。

ソフトバンクの業績推移を創業期からまとめておさらい!

では、ソフトバンクの連結業績推移を見てみましょう。

年度売上高(億円)営業利益(億円)
(△損失)
親会社の所有者に
帰属する純利益
/当期純利益(億円)(△損失)
2017年度91,58813,03810,390
2016年度89,01010,26014,263
2015年度88,8189,0894,742
2014年度85,0419,1876,684
2013年度66,66710,7705,203
2012年度32,0257,9943,725
2011年度32,0246,7523,137
2010年度30,0466,2911,897
2009年度27,6344,658967
2008年度26,7303,591431
2007年度27,7613,2421,086
2006年度25,4422,710288
2005年度11,086622575
2004年度8,370△ 253△ 598
2003年度5,173△ 548△ 1,070
2002年度4,068△ 919△ 999
2001年度4,053△ 239△ 887
2000年度3,971164366
1999年度4,2328384
1998年度5,281121375
1997年度5,133278103
1996年度3,59730590
1995年度1,71114257
1994年度9685020

(ソフトバンクホームページより)

2018年まではかなり順調に業績を伸ばしていることが見て取れますね。

近年では投資事業の不作などで赤字が続いているものの、やはり日本を代表する企業ですから圧巻の売上高ですね。

それ以前の赤字を計上した年で行くと2004年に最大のものを記録しています。

これは、2004年度に日本テレコムや、プロ野球チームの、福岡ダイエーホークスを買収していますので、それも影響しているものとされています。

今ではソフトバンクホークスは日本野球界のトップとも言える存在ですので、結果的にこの買収もソフトバンクとしてはうまく行っていますね。

ソフトバンクの今後の動向に注目!

今回は、最近話題となっているソフトバンクの大型赤字の原因の解説と、法人税に関するからくりの構造などを説明していきました。

なかなか企業会計や財務分析に詳しくない方はピンとこない部分も多かったかもしれませんが、日本を代表する企業のことですので簡単にでもいいので頭に入れていただけると、今後のニュースなども理解しやすくなるかもしれません。

これだけチャレンジングな経営者と社風を持つ企業ですから、今後どんなビジネスをしていくのかは本当に予想がつきませんね。

ぜひ今後のソフトバンクの動向にも着目していきましょう!

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