離婚を考える中で「離婚解決金」という言葉を知っている方はいらっしゃいますか?
離婚には、慰謝料や年金、財産分与、養育費など様々なお金の支払いが必要ですが、そのどれにも該当しないのがこの「離婚解決金」というお金です。
離婚解決金は離婚を円滑に進めるためのお金で、別名手切れ金・和解金と言われたりもします。解決金は「はっきりした名目がない」のが特徴です。
今回はこの聞きなれない解決金というものについて見ていきたいと思います。
解決金とは?慰謝料となにが違うの?
離婚解決金とは?大まかに説明!
離婚をするためには、相手方に決定的な離婚原因があるか、もしなければ相手方の同意が必要です。
自分は離婚をしたいけれど、相手が離婚をすることになかなか応じてくれないといった場合に、離婚解決金を支払うことで離婚の話し合いが進展する場合があります。
離婚解決金は法律上に細かい取り決めがなく、金額や支払い方法を自由に決めることができ、とても柔軟な対応が可能です。
そのようなこともあって、離婚の話し合いをスムーズに進めるためにとても役立ちます。
離婚の際に支払われるお金ってどんなものがある?
- 慰謝料
不倫や暴力など、離婚に至る原因を作った有責配偶者が、精神的苦痛を被った他方の配偶者に支払うものです。
- 財産分与
婚姻生活中に夫婦で協力して築き上げた財産を分配するために支払われます。
- 養育費
夫婦の間にお子さんがいた場合は養育費が支払われます。
- 年金分割
夫婦の片方が専業主婦(主夫)として家事に従事し、もう片方が会社員として年金保険料を納めていた場合、専業主婦(主夫)が年金を受領できないのは不公平であるため、離婚後に夫婦の一方の厚生年金を分割して他方配偶者の年金をサポートする年金分割という制度があります。
慰謝料と何が違うの?
慰謝料は、夫婦のどちらかによって他方への精神的苦痛があった場合に支払われる損害賠償です。これには法的効力があり、支払いは義務です。
それに対して解決金は離婚に応じてもらえるよう、離婚に必要なお金を渡すことです。法律的に決められたものではないため、金額や支払いは自由です。このことを利用して、離婚協議を円滑に進めることができるとされています。
また、法的効力がないということはすなわち裁判離婚では請求することができないということです。
解決金の請求ができるのは協議離婚や調停離婚となります。
解決金はどういった時に支払われるの?
相手が離婚を拒否している場合
一方が離婚したいと思っていても他方がそれに応じない場合、離婚をスムーズに進めるために離婚を望んでいる側が一定のお金を差し出す場合があります。
このお金は法的義務を伴わないため、離婚解決金として扱われます。
慰謝料という名目を嫌った場合
離婚の際に慰謝料を支払うということは、自分が離婚の原因を作った有責配偶者であるということを本人が認めることになります。
そのことがどうしても気に食わなかったり、有責配偶者本人の社会的な体面を保つために、慰謝料という名目ではなく、解決金の名目で慰謝料に相当する金額を支払うことがあります。
名目が慰謝料ではなく解決金の支払いということであれば、世間的に見れば円満な協議離婚における調整金の支払いと理解されますので、有責配偶者の体面を保ちつつ、慰謝料相当額のお金を受け取ることができます。
離婚後の当面の生活補助が必要な場合
結婚・出産を経た女性のなかには、すでに会社をやめた方もいるため、離婚後に再び会社員として働き、安定した稼ぎを得て自立した生活ができるようになるまでには時間がかかります。
そのような理由から、離婚をためらう女性は多くいます。
そのような場合に夫は妻の合意を得るため、離婚後の当面の生活費を工面するという意味で夫が経済的に援助する場合があります。
その際に、夫は妻に対して「付与的財産分与」として財産分与の額を高めに設定することもあれば、または「離婚解決金」という名目で金銭を支払うことがあります。
解決金の相場は?課税対象になるの?
解決金の相場はいくら?
解決金は上記の通り法律的根拠がなく、あくまでも離婚をスムーズに進めるためのお金ですので、一概に相場が決まっているわけではありません。
当事者同士の話し合いによって、その場で適切と判断された金額が支払われます。
よってその金額は100万円におさまる場合もあれば、1000万円に登る場合もあります。
解決金は課税されることも!
慰謝料は損失を補填する目的であり、財産分与は清算を目的とするものなので原則として非課税扱いです。
よってそれらを実質上の目的とする解決金も非課税です。
しかし解決金として設定された金額があまりにも大きすぎると贈与扱いとなり、課税される可能性があります。
解決金を取り決める際の注意点!あとで後悔しないようにしよう!
金額が妥当かどうかを確認する
相手側から提示された金額が妥当な範囲内であるか吟味しましょう。
解決金は、慰謝料や財産分与といったわかりやすい項目とは異なり、具体的な目的がとても曖昧でわかりづらいです。
単に交渉・協議を円滑にするための金額として妥当な範囲を超えている場合には、解決金を名目とした贈与であると認められ、課税される可能性があります。
条件は全て書面化する
前述の通り、解決金は曖昧な性質があるため、その内容を夫婦の間でしっかりと確認しておく必要があります。
口約束で解決金に含まれる金額を決めてしまい、書面化していないと、離婚後に財産分与や慰謝料の名目で新たに相手方から金銭請求される可能性があります。
そのようなことを防ぐため、離婚の合意を得た際は解決金の支払いを記した離婚協議書などの契約書面を作成しておきましょう。
またその際に、支払った側が離婚協議書に払うべきお金は全て支払った、といった記載をしましょう。(これを清算条項と言います)
これをすることで、解決金の支払い後に新たに財産分与や慰謝料といった金銭の支払いができなくなります。
また、離婚協議書を公正証書にしておくと、万が一解決金の支払いがされなかった場合に、強制執行して相手の財産を差し押さえることができます。
解決金の支払いが分割になる場合は、特に公正証書で作成することをお勧めします。
曖昧だけど便利な解決金!離婚を円滑に進めるのに有効!
解決金は離婚を進める上でとても便利なものである一方で、その曖昧さゆえにトラブルが起きやすいこともわかりました。
離婚の話し合いに行き詰まった時に解決金を提示してみるのは有効な手段かもしれません。その際に契約内容を書類で残すことを忘れないようにしましょう。
くれぐれも契約締結後にトラブルの発生することのないよう、夫婦間での話し合いは慎重に行い、後悔のない選択をしてくださいね。
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