「子供の送り迎えの時間に間に合わないかも」、「子供の具合が悪くなってしまったらどうしよう」。
このようなことを日々不安に感じている共働き家庭もいるのではないでしょうか。
そして子供を預かってくれるおじいちゃんおばあちゃんが近所にいたらいいのに。
と感じている働くママ、パパは少なくないのではないでしょうか。
そこで、子供のために2世帯住宅を選ぶ、という選択肢も最近では少なくありません。
そのような親子で一緒に住もうかなと考えている方のため、今回は「親子リレーローン」について紹介します。
親子リレーローンは2世帯住宅・同居を検討されている方に、知っておいてほしい住宅ローンです。
親子リレーローンとは、最初に親が数年間返済をして、親の返済時期が終わると、子が返済の残りを行っていくというかたちになります。
住宅の借り入れ期間が親の期間と子の期間に分かれますので、最長借入期間が延びます。
これにより様々なメリットが生まれます。
同居をお考えの方は、親子リレーローンについて、今回みておきましょう。
親子リレーローンとは?
同じ物件について返済者をバトンタッチできる住宅ローン
親子リレーローンとは、まさしく親子で返済をリレーのようにバトンタッチできる住宅ローンです。
通常の住宅ローンは申し込んだ本人が完済まで債務者として返済を行います。
親子リレーローンの場合、親と子で住宅ローンを組み、親子二代に渡ってローンを返済できる住宅ローンのことです。
この場合、親が主債務者、子が連帯債務者になります。
例えば2世帯住宅を購入して自分の父親が15年間返済し、残り15年間を自分で返済するパターンがあります。
親子リレーローンは単独で借り入れるより高い額を借り入れることができることが大きなメリットです。
親子リレーローンの後継者の要件は3つ
このローンを利用条件は次の1~3のすべての要件に当てはまる方です。
- お申込みご本人の子・孫等(お申込みご本人の直系卑属)またはその配偶者で定期的収入のある方
- お申込時の年齢が満70歳未満の方
- 連帯債務者になる方(1名のみとなります。)
- 同居中もしくは将来同居を予定している親子
ここで注目すべきなのは2の「お申込時の年齢が満70歳未満の方」という条件です。
一般的な住宅ローンは、75歳~80歳が完済時の年齢の上限となります。
完済時の年齢が決まっていると、年齢によっては住宅ローンが組めないこともありますが、親子リレーローンの場合は親と子、両方の年齢を考慮して審査が行われています。
また親子で同居することも条件にありますので、2世帯住宅を考えている方が対象になります。
親子リレーローンのメリットは大きく3つ
メリット① 高年齢でもローンが組みやすい
先ほど親子リレーローンの特徴として、「お申込時の年齢が満70歳未満の方」という条件によって、親と子、両方の年齢を考慮して審査が行われていると紹介しました。
一般的な住宅ローンでは親を主債務者にする場合、高齢だと住宅ローンを断られてしまう場合があります。
しかし、70歳未満であれば親子リレーローンで親が主債務者となってローンを組むことができます。
このように年齢がある程度高くてもローンが組めることは、大きなメリットです。
メリット② 返済期間が長くなり、毎月の負担額が小さくなる。
例えば親が65歳、子が35歳の場合、親が単独で住宅ローンを組むと2人の毎月の負担額はいくらになるでしょうか?
これからシュミレーションをしてご紹介します。
このとき4000万円を金利0.7%で借り入れるとします。(ボーナス払いなし、元利金等・固定金利の場合)
返済総額は4,215 万円、毎月の返済額は23.5万円になります。
返済期間80歳を上限としているとすると、15年間で返済することになります。では、親子リレーローンの場合の返済額はどのようになるでしょうか?
親子リレーローンの場合は、子の年齢から返済期間を設定します。今回の例では子の年齢は35歳なので、住宅ローンの最長借入期間となる30年にすることが出来ます。
さきほどと同じ条件で考え、4000万円を金利0.7%で借り入れるとします。(ボーナス払いなし、元利金等・固定金利の場合)
2人の返済額を計算すると、総返済額は4,436 万円、毎月の返済額は12.4 万円となります。
返済期間の違いによる毎月負担額の比較
返済期間 | 毎月返済額 | 総返済額 | 利息分 |
15年 | 23.5万円 | 4,215万円 | 215万円 |
30年 | 12.4 万円 | 4,436 万円 | 436万円 |
このように23.5万円から12.4万円へと毎月返済負担額を大きく減らすことができると分かります。
メリット③ 親単独の融資よりも、借り入れ上限額を大きくすることができる。
親子リレーローンでは双方の収入を合算して融資の上限額を審査されます。
したがって子が単独で融資を申し込むよりも、より大きな額を借り入れられる可能性があります。
借入額をより大きくしたいとお考えの方にはメリットが大きいといえます。
メリット④ 住宅ローン控除が利用できる
親子リレーローンの場合、親と子の持ち分に応じて住宅ローン控除の適用を受けることが出来ます。
通常、住宅ローンの控除対象は年末のローンの残高に対して適用されます。
ですので、親子リレーローン返済前の子にも控除が適用されます。
親子ペアローンとの違いなど、ローン利用の注意点を紹介
親子ペアローンとの違いはローンをいくつ組むか
親子リレーローンと似たものとして親子ペアローンというものがあります。
親子ペアローンも親子で協力してローンを返済することが目的になります。
では違いを紹介していきます。
1つの住宅に、親子で2つの住宅ローンを並行して組み、並行して返済していく。
これが親子ペアローンです。リレーローンの場合契約する住宅ローンは1つですので、ローンの数が大きな違いになります。
親子リレーローン | 親子ペアローン | |
契約する住宅ローンの数 | 1つ | 2つ |
返済時期 | 初めに親が返済し、子が返済を受け継ぐ | 親子で同時に返済 |
団体信用生命保険 | 親または子が加入 | 親子ともに加入 |
親子リレーローンの注意点は3つ
注意点① 団体信用生命保険への加入が必要
親子リレーローンでは団体信用生命保険(団信)への加入が求められます。
団信とは契約者がもしも死亡した場合、団体信用生命保険が残された家族に代わって返済をするものです。
ここで注意すべきは、契約者である親と子のうち、団信に加入していない方が死亡した場合、残された方は返済義務を引き継ぐということです。
親子リレーローンでは、契約者が2人いる形になるので、ローンの返済義務の引継ぎが考えられるということに注意が必要です。
注意点② 住み替え、転居が難しくなる
住宅ローン全般に言えることですが、ローンの契約によって新たな住宅の購入は難しくなります。
例えば、「子が同居をやめて、新たにマンションを購入したい」と考えたり、「転勤が決まってしまった。」という場合も考えられます。
このような場合でも、親子リレーローンの返済が残っている場合には、新たな住宅ローンを契約することは難しいです。
ですので、親子リレーローンを組む場合には、同居をどれくらい続けるつもりがあるのか、転居の可能性などを考慮しましょう。
注意点③ 持ち分割合とローンの比率
持ち分割合を親子で決める際には注意が必要です。
例えば、3,000万円の住宅ローンを親子リレーローンで契約し、親の返済は2,000万円、子の返済は1,000万円とします。
この際、不動産の持ち分は親が2/3、子が1/3となります。
しかし、最終的には家は子供のものになるのだから、最初から持ち分を子供にすべて設定したいと考えるかもしれません。
この場合に注意が必要となります。
なぜなら持ち分を変えることで、親の不動産を譲渡したとみなされる可能性があるからです。
これにより、相続税が発生する可能性があります。上の例だと2000万円に対して相続税がかかり、最大約600万円が課税されます。
持ち分によってはこのように相続税が発生しますので、注意しましょう。
親子リレーローンが向いている人とは
向いている人① 親との同居を予定している人
親子リレーローンは親子で同居する住宅を購入する人が対象になります。
ですので2世帯住宅を考えている方は、検討する価値のあるローンです。
なぜなら、「返済期間を延ばすことができる」、「毎月の負担額が減る」といった経済的なメリットが大きなローンだからです。
向いている人② 借入額上限を大きくして住宅を購入したい人
メリットとして挙げた通り、親子リレーローンは子供単独で住宅ローンを組むより、上限額を大きくすることが可能です。
親子の希望としてできるだけ大きな住宅を借りたい、でもどちらか一方が単独でローンを組むと審査が下りないという場合も考えられます。
この場合に親子リレーローンを利用することで融資を受けられる可能性があります。
条件は付きますが何かとメリットも多い親子リレーローン。
是非活用してみてはいかがでしょうか?
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