最近では定年の引き上げを行う企業や、定年退職後に再就職をして老後資金を工面する会社員の方も増えてきています。
今までは定年退職後のことは考えなくとも、年金で悠々自適に生活できていたものの、これからの時代は年金も少なくなっていきますし、平均寿命も伸びてきていることから、用意しておくべき老後資金の金額もどっと増えてきています。
そのため、あらかじめお金を貯めていくことも大切ですが、定年退職後もしっかりと仕事を続けて、安定した収入が得られるような準備をしておく必要があります。
もちろん身体の状況や健康状況にもよりますが、確かな実績やスキルがあれば、高齢者の方であってもしっかりと再雇用してもらうことができる社会になりつつあります。
そこで今回は、高齢者の再就職が特に多い業種や業界をご紹介するとともに、今のうちから取得しておきたい老後に役立つ資格を詳しく解説していきます。
定年後の再就職の募集が多い仕事とは!?老後の働き方とは?
そもそも資格の取得の前に、高齢者の方にどのような仕事の募集が多いのかを知っておく必要があります。
また、恒例にもなると今まで通りの働き方とは異なる働き方をする方針も検討しなければなりません。
まずは老後に働き続ける際の雇用形態を考えていきます。
定年後に働く場合の雇用形態
定年後に仕事を続ける際には、大きく分けて3つの雇用形態の可能性があるといえます。
- 定年まで勤務していた企業での再就職
- 別の会社でのパートやアルバイトでの勤務
- フリーランス や個人事業主として独立して働く
まず一つ目の同一の企業での再就職についてです。
法律では、企業は再就職を希望している従業員がいれば、65歳を超えていたとしても再雇用することが認められています。
定年の年齢が上がってきているので、再雇用という形が今後も存在していくことは明確ではありませんが、年齢にかかわらず必要とされていれば同じ企業で働き続けることも可能になります。
二つ目は、定年まで働いていた企業とは別のところで働き始める場合です。
企業からの募集さえあれば、定年退職後での仕事を新たに探すことは可能です。
近年では、退職をした後の仕事探しをサポートするための、シニアをターゲットにした求人サイトもありますので、ご希望に合うものを探してみると良いでしょう。
三つ目は、会社に所属することなく、フリーランスとして仕事を続けるケースです。
こちらの場合は、クラウドワークなどを行うことで在宅でも収入を得ることが可能になります。
また、士業などの資格がある場合ですでに事務所を持っているケースなどは年齢にかかわらず仕事を続けることが可能になります。
定年後のシニア層への募集が多い仕事や職種
続いて、定年退職後の人員を募集している件数が多い職種や仕事を簡単にご紹介します。
- 家事代行
- タクシードライバー
- 配送ドライバー
- 調理関係
- 建設業
- マンション管理業
- 清掃業
- 警備業
大きな括りで言えば、まずは運転ができることで仕事の幅は広がりそうです。
タクシーの運転手や貨物の運送に携わるドライバーなどは人員不足でしょうから、高齢者であっても免許を持っていて、かつ安全運転ができるのであれば立派な仕事になりそうです。
また、建設業や警備業などの現場で安全を確認する仕事なども身体への負担がそれほど大きくはないことから、高齢車の募集が一定数存在していますね。
ただし労働時間が長くなったり、深夜の業務を担当することもありますので、体調との相談は必要になるでしょう。
意外なところで行けば、調理関係の募集も多いことが目に留まりますね。
やはり経験が物を言う業界ですから、むしろベテランの方が重宝される傾向があるのかもしれません。
自分のお店を持っていればそのまま続けられますし、確かな実績があれば別の飲食店でも働けることから、調理関連の経歴は長い目で見ると非常に強いですね。
定年後の再就職で有利になる!とっておきたい10の資格とは!?
では、ここからはどんな資格を取っておくと、定年後も仕事につきやすくなるのか解説していきます。
もちろんこれからの時代がどうなっていくかは誰にもわかりませんので、あくまで現時点でのオススメの資格となっています。
老後について漠然とした不安を抱いていらっしゃる方は、ぜひ自分のしたいと思える仕事に直結しそうな資格の取得に挑戦してみてください!
資格①:中型・大型・二種免許など
まず一つ目の資格は、普通自動車免許にプラスαした資格です。
タクシー業界で活躍するのであれば二種免許が必要になりますし、運送業でトラックを運転するのであれば中型免許や大型免許が必要になります。
あらゆる業種ではAIによる仕事の代替が進み、人材が削減される見込みがなされていますが、運転という技術に関しては自動運転がまだまだ先の未来ですし、人の力が直に必要な仕事になりますので、長い期間働き続けることが可能です。
中でもトラック運転手は積荷などで肉体的な負担が大きいですから、タクシードライバーなどの方が定年後も続けやすいでしょう。
時間に余裕があるときに二種免許や大型免許を取得しておくと心強いですね。
資格②:マンション管理士
不動産業界では社会経験の少ない20代や30代のビジネスマンよりも、経験豊富な人材を重視する傾向があります。
近年のマンションの増加に伴い、マンション管理士を取得している人材への需要も高まっています。
メインのキャリアとしては、マンションの管理会社や不動産関連会社などですね。
合格率が低く、難関国家資格の一つなのであまり受験者・合格者がいないことからも重宝されることになります。
長い期間をかけてじっくりと取得しておきたい資格ですね。
資格③:宅地建物取引士
不動産や金融系の会社で活躍する上で持っておきたいのが、宅地建物取引士です。
不動産関係の会社や銀行などにお勤めの方であれば、もしかすると会社で絶対にとるように言われる資格の一つですね。
土地や建物の取引をする際には宅地建物取引士の資格は必須であり、サラリーマンとして活躍だけでなく独立することも十分に可能な資格です。
不動産という金額の大きなものを扱う仕事ですから、独立後には数千万円から数億円を稼ぐことも可能な夢のある資格です。
先述の通り、不動産業界は年長の方でも働きやすい業界の一つですから、そこに身を置くのであれば宅建士の資格はマストと言っても過言ではないでしょう。
資格④:TOEIC・英語など
やはり今取っておきたい資格やスキルの代表格は英語ですよね。
英語と言ってもビジネス系の文章作成能力などを養っておくと、在宅ワークなどにも移行しやすいです。
というのも、翻訳のお仕事やビジネス文書の作成などはクラウドワークで受注しやすい分野ですので、体に負担をかけることなく収入を得ることができる老後にも優しい仕事になりますね。
資格⑤:調理師
先ほども紹介したように、長い経歴を生かすことのできる調理業界でのお仕事も定年後のキャリアでは非常に魅力的ですね。
中には、定年後にご夫婦で飲食店をやってみたいという方も多いのではないでしょうか?
また、料理が好きで仕事としても時間潰しとしても調理場に立っていたいという方もいらっしゃるでしょう。
実務経験があればそれほどハードルは高くはない資格ですから、もし可能であればフグ調理師や船舶調理師、製菓衛生師などの周辺の資格も網羅しておくと再就職の幅が広がるかもしれません。
資格⑥:ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナーとは、保険、年金、税金、ローンなどに関する金融的な知識を身につけて、アドバイスが可能になる資格です。
ファイナンシャルプランナーのメリットは、自分の老後の資産運用や相続などへの知識も並行して増やすことができるという点です。
また、ご自身が定年になったことで、同年代で老後の資金に不安を抱えている方や相続問題に悩んでいる方への相談に乗ることができるという親和性の高さもオススメの理由の一つです。
老後までに実践したい!定年後の資金を貯める資産運用とは!?
ここまでは定年後に仕事を続けていくために必要な資格という観点からお話をしていきました。
ここからは、もう少し長い目で見て老後の資金を貯めるためにオススメの資産運用というお話をしていきます。
資産運用や投資と聞くと、なんだかギャンブルのようなイメージをしていて敬遠していた方も多いかもしれません。
最近ではいろんな資産運用の方法が出てきており、その中にはかなり堅実でギャンブルとは程遠いようなものがたくさんあります。
まずはそれほどリスクやリターンを負わずに、あくまで老後の資金をしっかりと貯めていくことを目標とした運用方法をご紹介していきます。
運用方法その1:iDeCo(個人型確定拠出年金)
個人型確定拠出年金(以下iDeCoと表記)は、簡単に言えば自分でお金を拠出して将来に備える年金のことです。
年金といっても、厚生年金や国民年金、企業年金などは給与からあらかじめ天引きされていますが、iDeCoの場合には自分で給与の中から拠出する金額やタイミングを決めて、準備することができます。
ただし、拠出できる金額には加入者の属性によって以下のような上限があるので、お金が余っているからといって好きなだけ年金を積み立てるということはできないので注意しましょう。
加入者 | 拠出限度額 | |
①自営業者 | 81万6000円/年(6万8000円/月) | |
②厚生年金の被保険者 | 他の企業型年金も確定給付型の年金も実施していない(中小企業などの勤務など)場合 | 27万6000円/年(2万3000円/月) |
他の企業型年金のみを実施している(大企業勤務など)場合 | 24万円/年(2万円/月) | |
確定給付型の年金を実施している場合 | 14万4000円/年(1万2000円/月) | |
公務員等 | 14万4000円/年(1万2000円/月) | |
③専業主婦等 | 27万6000円/年(2万3000円/月) |
iDeCoを利用することのメリットは、単に老後の資産を形成できるだけでなく、節税効果があることも人気の理由です。
まず、毎月拠出している金額は所得税の控除にカウントされるので、大企業に勤務しているようなサラリーマンの方が、上限一杯にiDoCoにお金を拠出した場合には、年間で24万円の課税所得の減少となり、実際に5万円近い節税になるのです。
また、通常の投資では運用して生じた収益に対して20%ほどの税金がかかりますが、iDeCoの場合には運用益にも税金はかからないので納税の義務もなければ、確定申告の必要もありません。
「投資の運用利益+節税効果」という2つのお金のメリットを受けられるのがiDeCoの強みと言えるでしょう。
最近ではテレビCMなどでも目にする機会が増えてきており、国としてもい一押しの資産運用の手法となっています。
FXなどのデイトレードとは異なり、チャートを分析する必要などは全くないので、仕事で忙しいサラリーマンの方でも気軽に始めることができます。
運用方法その2:つみたてNISA
iDeCoに並んでサラリーマンの方にオススメなのが、つみたてNISAというものです。
つみたてNISAとは、年間の投資上限金額が120万円までであれば、20年間という長期間にわたって、非課税となる新たな資産運用制度です。
つみたてNISAは20年という上限つきではあるものの、投資の利益に対する税金がかからないため、iDeCo同様に節税効果があります。
また、つみたてNISAでは金融庁が許可した投資信託やETF(上場投資信託)のみが投資の対象となりますので、怪しい銘柄を掴んでしまう心配は少なくなっています。
ただし、通常のNISAとの併用ができないことに注意が必要です。
運用方法その3:個人年金保険
投資というとなんだか怖いイメージがあるという方にオススメなのが、個人年金保険です。
個人年金保険はそのリターンやリスクによって、確定保険・終身保険・有期保険・変動個人保険・外貨建て保険の5つに分類されます。
保険という性質がありつつ、中には外貨建て保険のように高いリターンを期待できるものもあるので、株や投資信託は少し怖いといった方は、まずは個人年金保険に加入するところから始めると良いかもしれませんね。
補足:相続税対策もしっかりと!生前贈与がオススメ!
資産運用と並行してやりたいお金の管理の一つが、相続税の対策です。
定年後にはある程度資産が貯まっており、それを次の世代にどの程度引き継いでいくのかを考えていく必要があります。
そこで真っ先に考えたいのが、相続税をいかに抑えるかというポイントです。
相続する金額が大きければ多いほど、持っていかれてしまう税金は増えてしまいますし、家族のことを考えるならば、最後にできる親や祖父母としての仕事と言っても過言ではありません。
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