新型コロナで学費が払えない学生へ!授業料・入学金の支援制度まとめ

新型コロナウイルスが猛威を振るい、人々の命や健康、日常生活、社会生活が次々と脅かされています。感染者は世界中で増え続け、その威力は留まることを知りません。

社会的にも経済的にも多大な影響を与えているコロナウイルスですが、大学生にも影響が出ているようです。

新型コロナ対策でバイト激減、学費を払うお金がない学生多数!

新型コロナウイルスの感染拡大が与える影響について、学生団体は先日、119の大学や専門学校に通う約500人の学生から集めた実態調査の中間結果を報告しました。

調査では、約6割の学生が、アルバイト収入が「減った」「なくなった」、家族の収入も約4割が「減った」「なくなった」と答え、13人に1人が「大学をやめる」ことを検討していると回答したことが分かりました。

アルバイト収入の減少や親の収入の減少で大学生活が苦しくなった方や、受験生で大学進学が難しくなったという方を対象に国の大学支援制度があります。また、大学独自でもコロナ禍での経済支援が行われています。今回の記事では、国・大学の支援制度を紹介します。

大学の無償化へ、高等教育就学新制度

高等教育就学新制度とは、2020年4月から開始された、経済的に困窮している学生を対象に大学の無償化を目指した制度です。4年制大学だけではなく、短期大学、高等専門学校、専門学校等の高等教育全般に、具体的には入学金と授業料の補助が出ます。

  • 授業料・入学金の免除/減額
  • 給付型奨学金の支給

こちらの2つの支援策を合わせて利用します。

この制度では、学生はいくらぐらいもらえるのでしょうか?授業料・入学金の減免上限額を以下、大学、短大、高専、専門学校の順で紹介します。

大学授業料減免上限額(年額)入学金減免上限額(1度きり)
国公立約53万円約28万円
私立約70万円約26万円
短大授業料減免上限額(年額)入学金減免上限額(1度きり)
国公立約39万円約17万円
私立約62万円約25万円
高専授業料減免上限額(年額)入学金減免上限額(1度きり)
国公立約23万円約8万円
私立約70万円約13万円
専門学校授業料減免上限額(年額)入学金減免上限額(1度きり)
国公立約16万円約7万円
私立約59万円約16万円

入学金の減免は、進学先の入学金のみの1回きりです。複数校に合格した場合でも、実際に進学した大学等の入学金が対象です。

給付型奨学金の支給は、上限年額で表すと、大学、短大、高専、専門学校の順で次のようになります。

大学自宅自宅外生
国公立約35万円約80万円
私立約46万円約90万円
短大自宅自宅外
国公立約35万円約80万円
私立約46万円約90万円
高専自宅自宅外
国公立約21万円約41万円
私立約32万円約51万円
専門学校自宅自宅外
国公立約35万円約80万円
私立約46万円約90万円

自宅・自宅外生というのは、大学までどこから通っているかということです。実家通いの方は自宅、実家を出てひとり暮らしや、寮に入っている方は自宅外生となります。

なお、高等教育就学新制度は、日本学生支援機構の奨学金とは異なり自宅外通学の区分で支給を受けるためには、実家から通っている大学のキャンパスまでの通学距離が片道 60 ㎞以上であることなどの制約があるので注意してください。

具体例として、1番学生数の多い日本大学の法学部1年生で考えてみます。こちらの表は、学生が自宅から通っていて、上限で減免されたケースです。

入学金授業料施設設備初年度納入金額
日大法学部の元々の金額260,000円810,000円190,000円1,260,000円
入学金・授業料減免後の金額0円110,000円190,000円300,000円

入学金・授業料が減免されると大分助かることが分かりますね。また、入学金・授業料の減免に加えて、給付型奨学金約46万円が支給されます。その他にも実習費用や教科書などの書籍代などはあるかもしれませんが、このように経済的な負担が大きく軽減されます。

この制度を取り入れている教育機関は文部科学省の「支援の対象となる大学・短大・高専・専門学校一覧」で調べることができます。自分の在学している学校が制度を導入しているかどうか確認してみてください。

対象者

高等教育就学新制度で入学金・授業料の減免と給付型奨学金の受給対象となるのは、住民税非課税世帯・準ずる世帯の学生です。

高等教育就学新制度は、住民税非課税世帯を第Ⅰ区分、住民税非課税世帯に準ずる世帯を支給の対象となる収入の低い順から第Ⅱ区分、第Ⅲ区分と分けられます。具体的には、給付金の満額支給が第Ⅰ区分、満額支給額の2/3が第Ⅱ区分、満額支給額の1/3が第Ⅲ区分となります。

こちらは、4年制の大学生を対象にした高等教育就学新制度を受けられる年収目安一覧です。

親の数子供の数第Ⅰ区分第Ⅱ区分第Ⅲ区分
ひとり親世帯子一人~約210万円~約300万円~約370万円
子二人~約270万円~約360万円~約430万円
子三人~約290万円~約390万円~約460万円
ふたり親世帯子一人~約220万円~約300万円~約380万円
子二人~約270万円~約300万円~約380万円
子三人~約320万円~約400万円~約460万円

表からも分かるように、基準を満たす世帯年収は家族構成によって異なります。

例えば、両親・本人・中学生の家族4人世帯の場合は、2人親世帯で子二人となるので、第Ⅰ区分が約270万円まで、第Ⅱ区分が約300万まで、第Ⅲ区分が約380万円までが支給対象となる年収目安となります。

コロナ 大学 支援

4人家族世帯の学生が高等教育就学新制度を受ける場合、満額支給の年収対象は約270万円まで、満額2/3支給の年収対象が約300万円まで、満額1/3支給の年収対象が約380万円までだということがこの図から分かります。

あくまでこちらは4人家族の年収目安と受けられる額の図でしたが、進学資金シミュレーターで自分の家族の人数と年収を入力するといくら給付金を受け取れるのかの目安が分かります。

申請期間

高等教育就学新制度を申し込むタイミングは以下のいずれかになります。

対象申込期間
予約採用(高校生など)2020年4月~6月頃
在学採用(大学生など)2020年4月~5月頃(4月分から支援)
   2020年9月~10月頃(10月分から支援)
家計が急変した方急変事由の発生後3カ月以内

高等教育就学新制度は学期ごとの年に2回受け付けています。学校ごとに申込の締切日が異なるので学校からの案内で締切日を確認しましょう。高3・在学生が、予約採用、在学予約採用の申込をできなかった場合、進学・進級後に申込を行うことも可能です。

また、今春学期分の申込は、新型コロナウイルスの影響で授業の開始日も延びた大学では、締切日が延長しているので、在学中の大学HPで締切日を確認してみてください。

例えば早稲田大学では、授業開始日が 5 月 11 日になったことに鑑み、今春学期の高等教育就学新制度申込締切日を4月末から5月下旬に延長しています。

春学期の申込時を逃した方は、次は9月頃から申込受付が開始されるので、大学案内でよく締切日を確認しましょう。また、予約採用や在学採用の締切日が過ぎていても、家計が急変した場合、事由が発生してから3ヶ月以内に申込みをすることも可能なので、大学の学生支援課などの相談窓口で詳細を尋ねてみてください。

学費が払えない場合は貸与型奨学金の検討も

貸与型奨学金は、高等教育就学新制度と異なり、借りた分を将来返さなくてはいけないお金で、いわば借金だということに注意してください。

この「借りる」奨学金は、貸与型奨学金と呼ばれ多くの学生は日本学生支援機構を通して奨学金を受けています。具体的には、第一種奨学金と第二種奨学金、入学時特別増額貸与奨学金の3つが貸与型奨学金に該当します。

第一種(無利子)奨学金

これは利息が付かないタイプの奨学金です。

上限月額自宅自宅外
国公立45,00051,000
私立54,00064,000

こちらの表は上限月額で、下限月額2万円から1万円単位で借りられることができます。

第一種奨学金は無利息ということもあって人気が高く、奨学金採用者は成績状況などによる選抜制になることも多いので注意が必要です。

また、私立大学に通学する学生の場合は、第一種奨学金だけでは十分な金額に満たない場合もあるので、そうした場合は他の奨学金との併用を考えなければなりません。

第二種(有利子)奨学金

こちらは返済の際に利息が上乗せされるタイプの奨学金です。

第二種奨学金は、大学の種別や通学方法にかかわらず、2万円~12万円(1万円単位)で借りられることができます。また、第一種奨学金とは異なり、成績等による選抜はないので、収入面での条件をクリアしていれば受給できるものとなっています。

しかし、利息がつくとなると、返さなくてはいけないお金がいくらくらいになるのか不安ですよね。利息はどれくらいつくのでしょうか?

日本学生支援機構の奨学金の、他のローンと大きく異なる点が、利率の上限が定められていることです。日本学生支援機構の奨学金はどれだけ市場金利が上昇しても、その利率の上限は3.0%までに制限されています。また、在学中には利息が発生しません。

例えば4年制の大学で、4年間3万円の第二種奨学金を借りた場合、借りた総額は144万円になります。これは、年利率が上限の3%だった場合、返還しなければいけない総額は176万1917円になります。これは、原則13年ローンで毎月1万1293円を支払います。

奨学金にかかる年利率は、市場金利によって決まります。市場金利とは、金融機関同士がお金の貸し借りをする時に適用される金利のことです。奨学金を設定するときに、利率の算定方式を決めます。利率の算定方法は2つあります。

利率固定方式返済終了時まで同じ利率
利率見直し方式大体5年毎に利率が変動

大学 奨学金 利息

日本学生支援機構の調査だと、利率固定方式の算定方式をとる学生が多いそうです。奨学金を借りた時と同じ利率のままで奨学金を返還できるのは返還額が想定できるので安心と考える方が多いのかもしれません。

一方、利率見直し方式は5年毎に利率を算定します。利率見直し方式の利率は利率固定方式よりも低金利なので、今後も市場金利が上がらず利率が維持されれば、利率固定方式より利息を支払う額が少なくなります。しかし、市場金利が上がれば、変動し利息を支払う額も多くなる可能性もあります。なお、日本学生支援機構の奨学金の上限利率は前述したとおり3.0%です。

入学時特別増額貸与奨学金

こちらも返済の際に利息が上乗せされるタイプの奨学金です。利率の算定方法は第二種奨学金と同様です。第一種もしくは第二種奨学金の申込者が対象となります。

あまり聞き慣れない奨学金かもしれませんが、この奨学金を借りられるのは1回きりで、入学(留学)月の奨学金に選択した額を増額するという奨学金です。入学前の貸与ではありませんので、ご注意ください。

金額は10万円、20万円、30万円、40万円、50万円のいずれかで、大学生活のスタートアップ費用としての利用が考えられます。

奨学金の申請方法3ステップ

新型コロナウイルスにより、アルバイトのシフトが削られ学費に充てられない、もしくは両親の収入が減って急遽、奨学金の申し込みを考える方もいらっしゃるかと思います。

ここでは奨学金の申し込みまでの流れを説明します。詳細は大学が出している奨学金案内のページをご覧ください。

①大学で案内を受け取る

奨学金の申込をしたい旨を大学の学生支援課窓口で伝え、奨学金申込案内など、以下4点を受け取ります。新型コロナ禍で窓口が開いていない場合は、大学HPから郵送で取り寄せます。

  • 奨学金申込案内
  • 給付・貸与奨学金確認書兼個人信用情報の取り扱いに関する同意書
  • スカラネットPS入力下書き用紙
  • マイナンバー提出書類

スカラネットPSとは、奨学金を貸与・給付中の方や奨学金を返還中の方が、自分の奨学金に関する情報をインターネット上で閲覧できる情報システムです。 貸与・給付期間や月額を確認したり、返還の総額や振込口座の確認が可能です。

②案内にある必要書類を揃える

大学が指定する必要書類もあるので原則、大学からの奨学金案内をご覧ください。

必要書類給付奨学金貸与奨学金対象
確認書(兼同意書)全員
マイナンバー提出書類   〇全員
本人課税証明書該当者
在留資格及び在留期間が明記されている証明書   〇該当者
施設等在籍証明書等   〇該当者
収入に関する証明書類該当者
特別控除証明書類該当者

確認書(兼同意書)は給付型・貸与型両方の奨学金を申し込む場合はそれぞれ1部ずつ必要になります。

マイナンバー提出書類、在留資格及び在留期間が明記されている証明書(在留カードのコピーなど)、施設等在籍証明書等(18 歳になるまでに児童養護施設等に入所していた又は里親による養育を受けていた証明)は、給付型・貸与型両方の奨学金を申し込む場合は合わせて1部で大丈夫です。

③大学や日本学生支援機構に必要書類の提出・申し込み

マイナンバー提出書のみ日本学生支援機構へ郵送、その他の必要書類は大学へ提出します。

新型コロナ禍の今、大学構内が立ち入り禁止のところも多いと思うのでこの場合、郵送でも受け付ける旨を多くの大学で発表されているので、大学HPで確認してみてください。

新型コロナによる家計急変を示すには?

家計が急変し、収入が減って経済的に在学・進学が難しい場合は、「家計急変の事由」に当てはまり奨学金の対象になることがあります。しかし、新型コロナウイルスによる家計急変を証明するにはどうすればいいのでしょうか?

事由発生に関する証明書類

新型コロナウイルスによって収入が減少した方は、事由発生に関する証明書類を提出しなければいけません。

新型コロナウイルスに罹ってしまったことによる収入減少の場合は、医師による診断書及び病気休職中であることの証明書、新型コロナにより失職した場合は、雇用保険被保険者離職票や雇用保険受給資格者証が証明になります。

新型コロナに罹ったわけでも、失職したわけでもないけど、仕事が減るなどで収入が減ってしまったという方は何が事由発生に関する証明書類になるのでしょうか?

以下2点のいずれかでも事由発生に関する証明書類となります。

  • 国及び地方公共団体が実施する公的支援の受給証明書
  • これに類するものと認められる公的証明書

新型コロナによる収入減の証明に該当する公的支援は、後日発表(4月24日現在)されるようです。収入が減ったことにより、緊急小口資金や住居確保給付金などの国の支援策を受けた場合は、支援の申込時や受給時の書類をしっかりと管理して取っておきましょう。

(ここに関連記事「新型コロナで収入減少や失業した場合に個人が使える手当・貸付制度まとめ」を内部リンク)

家計急変後の収入に関する書類

家計の急変を受けた申請の場合はこちらの2点全てが必要になります。

大学独自の支援制度も

学習意欲があるのにもかかわらず経済的に学習が困難にならないように、大学独自でも給付型の奨学金または授業料の減免を行っています。

また、新型コロナウイルスを受けて多くの大学でオンライン授業が導入されました。授業環境を整えるためにも、大学独自で学生への支援策もあります。

東京大学

東京大学はコロナ禍を受けて、日本学生支援機構の奨学金と合わせて、家計急変後の所得見込みで審査の結果、授業料減免の支援を受けることができる支援を発表しました。また、千葉大学や東北大学など多くの国立大学でも独自の授業料の減免支援が行われています。

また、東京大学では、オンライン授業ができない者対象に大学にあるパソコンとWifiルーターの貸し出しも行っています。

早稲田大学

早稲田大学では、独自の貸付や奨学金制度があります。

  • 学生応急貸付制度3万円

学生応急貸付制度とは、緊急帰省、急病、その他不測の事態(盗難等)により当座の出費に緊迫した場合に限り、3万円を上限として、事情を審査したうえで貸し付けます。主に自宅外通学者(下宿生)に適用されます。

  • 早稲田大学緊急奨学金

早稲田大学緊急奨学金には、家計急変の事由一年以内であれば、出願することができます。全学部・研究科 が対象で40万円給付されます。ただし、留年生など最短修業年限で卒業できない場合は出願資格がありません。

募集時期は夏季(7月)と冬季(12月)の年に2回あり、対象者は日本学生支援機構奨学金に緊急・応急採用の申請をしている学生、または既に日本学生支援機構奨学金の交付を受けている学生になります。

また、早稲田大学では新型コロナウイルス感染症拡大にともなって緊急支援金を、学生一人あたり10万円を給付予定です。加えて、オンライン授業受講に対する支援として、PCやWifiルーターの貸し出し準備をしています。

慶応義塾大学

慶応義塾大学では、家計急変などの経済的事情で、授業料が支払えない場合、授業料等延納申請をすることで、授業料の払い込み日を延長させることができます。今期だと、2020年5月15日(金)までの納入日を2020年7月31日(金)までに延ばすことができます。申請書の書式はHPよりダウンロードし、春学期は郵送での提出も可能です。

またオンライン授業については、「経済的に困難な塾生を対象とするオンライン授業受講開始支援補助制度」が設置され、経済的理由でWiFi など通信環境の整備に困難を抱える塾生に対して補助を行う予定だそうです。

明治学院大学

明治学院大学では、新型コロナ対策によるオンライン授業の実施にあたって、学生がWifiの環境整備やパソコンの購入ができるようにするための緊急支援として、在学生に一人当たりに一律5万円支給されます。

また、4 月末日を納入期限とした 2020 年度春学期学納金の納入についても、納入期限も5 月末日まで延長しています。

明治大学

明治大学ではオンライン授業の環境がない生徒に対して、Wifiルーター及びノートパソコンを一定期間貸し出しを行います。他にも、上智大学などWifiルーターの貸し出しを行う大学が増えてきています。

現時点(4月24日)では、コロナ対策によって構内を立ち入り禁止にしている大学は多いです。学生支援課などの窓口の代わりに、大学HPに相談窓口を設けています。新型コロナ禍により困窮する場合は、速やかに在学中の大学HPから相談し、支援の申し込みを検討してみてください。

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