生活保護は持ち家があっても受け取れる?受給条件は?

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生活保護とは、「健康で文化的な最低限度の生活」を保障するために支給される生活費のことです。

生活保護は誰でも受け取る権利があり、生活に困窮する人を支援するための制度である一方で、受給の際には経済的な困窮に陥っていることを客観的に示す必要があり、条件も細かく設定されています。

条件の一つに持ち家を持つことができない、ということを聞いたことがある人もいるかもしれませんが、持ち家を持っているから行って必ずしも受給できない訳ではありません。

今回は持ち家を持っているとどのような場合に生活保護を受け取ることができるのか、あるいはできないのかについてご紹介します。

生活保護はどのような場合に受け取れる?

まずは生活保護を受け取ることのできる条件についてみていきます。

条件①:資産をもっていない人

生活保護の受給条件として、まずは持っている資産を最大限に使うことがあります。

そのため、貯金や土地、車などの資産を持っている場合はそれらを現金化して生活費に当てることが求められます。

全ての資産を売却して、それでも生活費が確保できない場合に、生活費を受給することができます。

条件②:働くことができない人

資産がない上で、病気や怪我など、何らかの理由があって働くことができない人も、生活保護受給の対象となります。

条件③:他に利用できる公的制度がない人

母子寡婦福祉資金、求職者支援など、他の公的支援を受け取っている方は、先にそれらの制度を受け取る必要があります。

生活保護は、あらゆる手段を使ってもなお生活が困窮する場合に利用できる最終手段です。

条件④:親族からの支援が受けられない人

生活保護の申請時には、本人の資産状況だけでなく、親戚の資産状況まで調査が行われます。

自分に収入がなくても、親戚が資産を持っている場合は、まずは親戚から援助を受けることが求められ、生活保護を受給できません。

保有していても生活保護を受けられる不動産

次に、保有していても生活費を受け取ることのできる不動産についてご紹介していきます。

持ち家は原則としてそのまま住むことができる!

まずは不動産と生活保護の受給について、厚生労働省が提示している原則を確認してみます。

  • 不動産については売却することが原則
  • 被保護世帯の居住の用に供される家屋及びそれに付随する土地については、保有を容認し、保護を適用
  • ただし、処分価値が利用価値に比して著しく大きいと認められる場合は、売却等による資産の活用をした上で保護の要否を判断

これらの原則をもとに、個別の事情に応じて支給の可否を判断しています。

項目の2つ目にもあるように、持ち家の場合は即時現金化できる資産でないことや、現在住んでいる持ち家を失うと申請者は住む場所を失い、さらに生活が困窮する可能性があるため、持ち家の場合は住みながら生活保護を受給することが可能です。

高齢者は持ち家を担保に融資を受けられる

不動産の持ち主が65歳以上の時は、生活保護より先に「リバースモーゲージ制度」を利用することが求められます。

リバースモーゲージ制度(要保護者向け長期生活支援金)とは、不動産を担保とした生活費ローンのことです。「リバース」は逆、「モーゲージローン」とは不動産を担保とした借入のことであり、簡単にいうと住宅ローンの逆バージョンのようなものです。

単独で500万円以上の資産価値の不動産を所有している場合、不動産の持ち主は不動産を担保にして金融機関から融資を受けることができ、死亡後に自宅を売却して、一括返済に当てることができます。

保有していたら生活保護を受け取れない不動産

生活保護を受け取る際に手放す必要のある不動産について解説します。

値段の高い不動産

生活保護を受け取る際にどんな持ち家でも所有していて良い訳ではありません。一家の最低生活費が生活保護として支給されるため、必要以上の贅沢や資産の所有はできません。

例えば3人家族が5LDKや6LDKの家に住んでいる状態で生活保護を受け取るのは難しいです。

持ち家の売却処分を求められるのは、「処分価値が利用価値に比べて著しく大きい」場合であり、厚生労働省は、「標準3人世帯の生活扶助基準額と住宅扶助の特別基準額を合わせた額のおよそ10年分」という目安を示しています。

ここでいう標準3人世帯とは、”33歳、29歳の夫婦と4歳の子”を想定しており、この場合に持ち家の売却が求められる売却金額の目安は、2000万〜3000万円ほどとなります。これくらいの持ち家を保有している場合は、生活保護の受給が難しい可能性があります。

住宅ローンのある家

保有していると受け取れない資産として、住宅ローンのある家が挙げられます。

なぜなら、住宅ローンのある家を保有している人に生活保護を支払ってしまうと、その人の資産形成を援助することになってしまうからです。

住宅ローンの残っている持ち家は処分しなければ保護は受けられません。

ただし、返済期間が短期間で、返済額も小額の場合には所有が認められることもあります。認められる期間や金額については各地方自治体によって異なります。

不動産相続すると生活保護を受け取れない?

最後に、不動産相続した場合の生活保護の受給についてみていきます。

資産価値の高い不動産を相続した場合

先ほども申し上げたように、生活保護は活用できるあらゆる手段や資産を利用してもまだなお生活が困窮する場合に申請できる制度です。

したがって、財産相続によって、著しく大きい利益がでた場合は、生活の維持のために活用できる財産を所得しているとみなされ、生活保護を受給することはできません。

生活保護のために相続放棄はできない

生活保護を受給したいからという理由で、相続放棄の手続きをするということはできません。

というのも、生活保護はあらゆる手段を利用してもまだなお生活が困窮する場合の最終手段となるため、相続においても、その財産が大きな資産になりえる場合については、遺産を相続して生活に当てることが求められます。

生活保護と持ち家の条件をしっかり確認しよう

いかがでしたか?生活保護は持ち家があると受け取れないという情報が多く出回っていますが、実際にはそれはローン付き住宅に限られるということがわかりました。

生活保護は国から支給されるお金であるため、条件が厳しく設定されているのは当然のことです。
しかし、だからと言って自分は生活保護の対象ではない、と簡単に諦めてしまうのはよくありません。

実際の支給の可否については状況ごとに判断がされるので一概には言えませんが、持ち家があるからといって、必ずしも生活保護を受け取れない訳ではないことを、覚えておいてくださいね。

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