国の顔ともいえる王室。日本でいえば、天皇にあたるものですが、世界には、天皇を含んだ31名の王が在位しているのをご存知でしたか?
王室ともなると、きらびやかなイメージがありますが、資産はいくらぐらいになるのか、どこの国の王室が一番裕福なのか、気になった方もいるのではないのでしょうか。
今回は、純資産の額に基づき、世界で最も裕福な王族を紹介していきます。
王室の資産ランキングトップ10
世界には、天皇が1名、教皇が1名、国王が17名、首長が2名、大公が1名、公が4名、大統領が1名、サモア独立国元首が1名の計31名が在位しています。
例えば、イギリスのエリザベス女王はご存知の方も多いのではないでしょうか。彼女の純資産額は4~5億ドル(約430億~約532億円)とされていますが、なんと、世界の王室の純資産ランキングではランク外となります。
それでは、どこの国の王室がトップ10に入るのでしょうか?ランキング形式で紹介していきます。
ただし、中には純資産を推定するのが難しい王室もあり、個人の財産に加え、国から提供される報酬を含んでいる場合もありますのでご了承ください。なお円換算は2020/8/26時点のドル円相場を参考にしています。
第10位 モナコ公アルベール2世
年齢:62歳
在位:2005年~
純資産:10億ドル/約1064億円
国の面積が東京ディズニーリゾートとほぼ同じ程度と、世界で2番目に小さい国であり、セレブだけが暮らせると言われているモナコ公国。
というのも、モナコの居住者になるには、モナコの銀行に銀行口座を開設し、最低約6500万円を入金し、リッチであることを証明しなければいけないなどの条件があったり、また、モナコに住む住人は所得税などの税金がかかりません。
そのため世界中から多くのセレブが、高額な税金を回避するためにこの国に移住してくるのですね。
そんなモナコ公国を統治するアルベール2世は、モナコの土地の約4分の1を所有していると伝えられています。
更に2015年には、モナコから王室に5278万8294ドル(約56億円)が支給されています。
第9位 カタール首長タミム・ビン・ハマド・サーニ
年齢:40歳
在位:2013年~
純資産:12億ドル/約1276億円
2022年のワールドカップの開催地であるカタール。
カタールはアラビア半島に位置し、1940年代に石油が発見されて以降急速に発展してきました。1人あたりの国民総生産(GDP)が世界第1位になったこともあり、「世界一裕福な国」と呼ばれたことも。
カタールの首長、タミム・ビン・ハマド・サーニは、今世界の王の中で最も若いとされています。
国の石油とガスの埋蔵量を管理しているカタール投資局からのものです。
第8位 モロッコ国王ムハンマド6世
年齢:57歳
在位:1999年~
純資産:21億ドル/約2234億円
モロッコは鉱業や、アフリカ大陸に位置しながら、地中海を挟んで北にスペインと接し、文化の交流地点での文化を生かした観光資源が豊かな国です。
モロッコ国王である、ムハンマド6世の裕福な理由は、主に家族がモロッコのNational Investment Company(他のアフリカ諸国に投資し、銀行、通信、再生可能エネルギーに投資している民間持株会社)を所有していることが大きいでしょう。
第7位 リヒテンシュタイン公ハンス・アダム2世
年齢:75歳
在位:1989年~
純資産:35億ドル/約3723億円
オーストリアとスイスに囲まれたリヒテンシュタイン。現在世界で唯一、家名が国名になっているリヒテンシュタイン侯国は、今年建国300年を迎え、かつて神聖ローマ皇帝に仕えたリヒテンシュタイン侯爵家が統治しています。
昔から侯爵家は代々領地経営に成功して富をたくわえ、皇帝にも貸し付けを行うほどでした。
ハンス・アダム2世の純資産は35億ドル。ただし、国から歳費は受けておらず、自ら運営するリヒテンシュタインの銀行、森林、投資会社、美術品、不動産(オーストリアなど)にて収益を得ているそうです。
第6位 ルクセンブルク大公アンリ
年齢:65歳
在位:2000年~
純資産:40億ドル/約4255億円
ルクセンブルクは、面積も神奈川県ほどしかないヨーロッパの小国ですが、20年以上連続で一人あたりGDP(国内総生産)が世界一として、世界屈指の富裕国としてその名をとどろかせています。ちなみに日本の一人当たりのGDPのランキングは、26位。
大公爵ルクセンブルク家は給与を国から1948年以来、王室としての機能を維持するために毎年約32万4851ドル(約3455万円)が給付されています。
第5位 ドバイ首長ムハンマド・ビン・ラシド・マクトム
年齢:71歳
在位:2006年~
純資産:40億ドル/約4255億円
ドバイとは中近東にあるアラブ首長国連邦のひとつの首長国です。アラブ首長国連邦の大統領がいる「政治のアブダビ」に対し、「経済のドバイ」と言われています。また、観光地としても知られていますよ。
ムハンマド・ビン・ラシド・マクトム首長は、アラブ首長国連邦副首相も兼任しています。
彼の富の一部を将来の世代を支援するために、100億ドル(約1兆円)などの慈善寄付に費やして、ムハンマド・ビン・ラシド・マクトム財団を設立しました。
第4位 アブダビ首長兼アラブ首長国連邦大統領ハリーファ
年齢:72歳
在位:2004年~
純資産:150億ドル/約1兆5955億円
ハリーファ首長は、アラブ首長国連邦の中でも最大の面積、人口、収入を持つアブダビの長でもあり、先ほど紹介したドバイを含む、アラブ首長国連邦の大統領でもあります。
また彼は、アラブ首長国連邦の余剰石油埋蔵量を管理するアブダビ投資局の会長でもあり、そこで自身の財産を獲得しました。
第3位 サウジアラビア国王サルマーン
年齢:84歳
在位:2015年~
純資産:180億ドル/約1兆9146億円
サウジアラビアは、世界2位の原油埋蔵量を持つ国であり、石油を中華人民共和国をはじめ世界中に多く輸出しています。イスラム教最大の聖地メッカと第2のメディナがあることでも有名ですね。
サウジアラビアの国王である、サルマーン王の富の源泉は、汎アラブの日刊紙、アシャールクアルアウサトとアルエクティサディアを含むメディアグループを家族が所有していることにあります。
第2位 ブルネイ国王ハサナル・ボルキア
年齢:74歳
在位:1967年~
純資産:200億ドル/約2兆1273億円
ブルネイはボルネオ島にある小さな国で、マレーシアと南シナ海に囲まれた 2 つの領土に分かれています。
永遠の平和を約束する国、ブルネイと称されるほど、一年中温暖な気候や治安の良さから、快適な滞在が楽しめる国であり、何より豪華なイスラム建築、世界最大の水上集落、イスラム教徒が集うマーケットなど、観光資源に事欠きません。
ブルネイの国王であるハサナル・ボルキアは、石油およびガス産業から利益を得ています。
彼は、3億5000万ドル(約372億円)を超える世界最大の宮殿に住んでおり、600台以上のロールス・ロイスを所有しているとも。
第1位 タイ国王ラーマ10世
年齢:68歳
在位:2016年~
純資産:300億ドル/約3兆1907億円
2015年のタイのGDPは約3,952億ドルであり、東南アジアではインドネシアに次ぐ経済規模ですが、世界の王室の中で一番裕福な王はタイ国王となりました。
現国王である、ワチラーロンコン王とその家族は、タイ王国の王冠の財産を管理する王冠財産局からの投資から収入を得ています。
タイムズによれば、彼は世界最大のカットとファセット加工を施したダイヤモンドである545カラットのゴールデンジュビリーダイヤモンドも所有しているそうです。
皇室の資産はランク外?
いかがでしたか?トップ10の王室はどこも裕福でしたね。王室と聞くとヨーロッパのイメージが強いかもしれませんが、今回10位以内なのはモナコ、リヒテンシュタイン、ルクセンブルクのみになります。
それでは、世界の王室に対して日本の皇室では純資産はいくらぐらいなのでしょうか。
皇室の純資産は?
皇室の財産として、皇居などが思い浮かぶ方もいらっしゃるかと思いますが、これらの土地は国のもので、天皇の資産として考えられていません。
具体的には、憲法88条で不動産などは国の管理下に置かれたうえで、皇室に供される「皇室用財産」と定められています。憲法上では、天皇や皇族方は「借家住まい」と言えますね。
皇室用財産は以下のとおりです。
名前 | 価格 |
皇居 | 2644億1500万円 |
赤坂御用地 | 1569億3700万円 |
常盤松・那須・葉山・須崎御用邸 | 209億2100万円 |
御料牧場 | 31億5000万円 |
新浜・埼玉鴨場 | 4億8400万円 |
高輪皇族邸 | 154億5300万円 |
京都御所 | 348億4700万円 |
修学院・桂離宮 | 35億9100万円 |
正倉院 | 19億2800万円 |
陵墓 | 123億9000万円 |
合計 | 5141億1600万円 |
皇室用財産は約5000億円以上にものぼる額があることが分かりましたが、先ほど紹介したように、これらはすべて国のものなので皇室の資産には含みません。
戦前の昭和天皇は、日本銀行などの金融機関のほか、鉄道会社、ホテルなど約30社の企業の株式や債券を保有しており、崩御の際、20億円の金融資産を残していましたが、戦後は、さまざまな経費が支出されるため、多くを貯蓄に回すことはできません。
昭和天皇と異なり、現陛下の金融資産は少ないのではないかと考えられます。
皇室の財産は、ほとんど国のものとはいえ、皇室にも収入はあります。見ていきましょう。
天皇皇后両陛下・皇太子一家の収入
天皇陛下の収入は内廷費から支給されています。
平成30年度の内廷費は3億2400万円です。ここから人件費なども支払われますが、細かい内廷費の配分については公表されていません。
仮に内縁費を5(内縁費を分配する人数)で割ると6480万円なので、天皇陛下の年間の収入は6480万円~と推測できそうです。※配分や人件費等が分からない為あくまでも予想です。また、給料という概念はありません。
ちなみに、皇族だからといって納税が全て免除されるわけではなく、税法の条文上、皇族の免除規定がない税金は通常通り納税されます。実際に、陛下は昭和天皇からの相続に際し、約4億2800万円の相続税を麹町税務署に納税されています。
日本の皇室は、不動産などの財産は国のものになるため、世界の王室と比較すると、純資産の額自体は少額といえます。
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