パイロットの年収が高すぎる!?大手やLCCの年収も発表

パイロット 年収

パイロットと聞くと高収入のイメージはあるけれど、実際どれくらいの収入があるのか気になる方は多いのではないでしょうか?

この記事では、パイロットの年収事情・仕事内容・なるための方法などを徹底解説しています。

特にパイロットの収入については、JALやANAなどの代表的な航空会社の年収に限らず、海外のパイロットの年収まで詳しくご紹介します。

パイロットを目指している方もそうでない方も、是非最後まで見ていってくださいね。

パイロットの平均年収は約1072万円!

パイロット 年収

厚生労働省が公表した「令和3年賃金構造基本統計調査」によると、パイロットの平均年収は1072.3万円(平均年齢41.1歳)となっています。

国税庁の「令和2年分 民間給与実態統計調査」より、日本の平均年収は433万円なので、パイロットの平均年収はその2倍以上であり、高水準であると言えるでしょう。

それでは、パイロットの平均年収を項目別に見ていきましょう。

【年代別】パイロットの平均年収

パイロットの年代別の平均年収は以下の通りです。

20~24歳約327万円
25~29歳約547万円
30~34歳約1013万円
35~39歳約1101万円
40~44歳約1392万円
45~49歳約1444万円
50~54歳約1256万円
55~59歳約1124万円
60~64歳約1229万円
65~69歳約975万円
70歳~約420万円

出典:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査」

【都道府県別】パイロットの平均年収

次に、都道府県別のパイロットの平均年収を見てみましょう。

統計データのない都道府県については、「-」で表しています。

全国1,072.3万円
北海道844.0万円
青森県
岩手県
宮城県1,033.7万円
秋田県
山形県
福島県
茨城県609.6万円
栃木県
群馬県
埼玉県841.0万円
千葉県1,409.8万円
東京都908.9万円
神奈川県
新潟県898.3万円
富山県
石川県
福井県
山梨県657.2万円
長野県
岐阜県
静岡県
愛知県960.0万円
三重県
滋賀県
京都府
大阪府1,349.3万円
兵庫県838.9万円
奈良県744.0万円
和歌山県
鳥取県
島根県
岡山県524.3万円
広島県
山口県
徳島県
香川県
愛媛県
高知県
福岡県1,127.2万円
佐賀県
長崎県941.1万円
熊本県
大分県697.5万円
宮崎県
鹿児島県1,254.7万円
沖縄県1,229.5万円

出典:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査」

データのある都道府県だけをみてみても、都市・地方関係なく平均年収が800万円台を超える県が多い印象です。

国際線がメインの成田空港がある千葉県では、最も平均年収が高くなっています。

【経験年数別】パイロットの平均年収

0年~1~4年5~9年10~14年15年以上
約490万円約704万円約1131万円約1532万円約1190万円

出典:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査」

経験年数5年の時点ですでに年収1000万円を超えています。

経験年数に関係なく人の命に関わる責任の重い仕事に携わっているので、必然的に収入も高くなっていますね。

【企業規模別】パイロットの平均年収

10~99人100~999人1000人~
約659万円約1111万円約1047万円

出典:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査」

パイロットの生涯年収

上でご紹介したパイロットの年代別平均年収から、パイロットの生涯年収を算出してみました。

大学卒業後23歳〜60歳まで働くと仮定すると、

327万円×2年+(547万円+1013万円+1101万円+1392万円+1444万円+1256万円+1124万円)×5年+1229万円×1年=8億653万円

となりました。

代表的な航空会社のパイロットの年収

日本の代表的な航空会社に所属するパイロットの年収は、以下のようになっています。

会社名年収
ANA(全日空)約1934万円(2013年時点)
JAL(日本航空)約1742万円(2022年時点)
スラシドエア約1103万円(2021年時点)
スターフライヤー約1100万円(2022年時点)
スカイマーク約884万円(2014年時点)

出典:各社有価証券報告書

ANA(全日空)のパイロット

ANAは、2014年以降の有価証券報告書ではパイロットの年収を公開していません。そのため、2013年の有価証券報告書を参照しました。

ANAの有価証券報告書(平成24年4月1日〜平成25年3月31日)によると、ANAのパイロットの年収は1934万円となっています。(2013年3月時点)

厚生労働省の「令和3年賃金構造基本統計調査」によると、パイロットの全国の平均年収は1072.3万円となっています。そのため、ANAのパイロットは平均的なパイロットよりも860万円ほど高い収入を得ていることが分かります。(2013年3月時点)

一般的な日本のサラリーマンの平均年収433万円(国税庁「令和2年分 民間給与実態統計調査」)と比較しても、4倍以上の収入になり、非常に高水準となっています。

JAL(日本航空)のパイロット

JALの有価証券報告書(2021年4月1日〜2022年3月31日)によると、JALのパイロットの年収は1742万円となっています。

厚生労働省の「令和3年賃金構造基本統計調査」によると、パイロットの全国の平均年収は1072.3万円となっています。そのため、JALのパイロットは平均的なパイロットよりも700万円近く高い収入を得ていることが分かります。

一般的な日本のサラリーマンの平均年収433万円(国税庁「令和2年分 民間給与実態統計調査」)と比較しても、3倍以上の収入になり、非常に高水準となっています。

その他の航空会社・LCCのパイロット

スラシドエア約1103万円
スターフライヤー約1100万円
スカイマーク約884万円

出典:各社有価証券報告書

その他の航空会社に所属するパイロットの平均年収は上記の通りです。

ANAやJALほどではないものの、上記のような航空会社(LCCではありません)もパイロットの年収1000万円前後となっています。

一方、ジェットスターやピーチ・アビエーションなどのLCC(格安航空会社)は非上場が多く、年収情報は公開されていません。

LCCの従業員数は1000人前後となっているため、厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査」の企業規模別平均年収を参考にすると、LCCの平均年収は約1047万円と推測できます。

10~99人100~999人1000人~
約659万円約1111万円約1047万円

出典:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査」

海外のパイロットの平均年収

アメリカのパイロットの収入には、以下のような決まりがあります。

  • パイロットの収入は機種×経験年数で決まる
  • パイロットの収入は時給制

ここでは、アメリカのデルタ航空を取り上げて年収を見ていきましょう。

デルタ航空 パイロット 年収

出典:Airline Pilot Central

上の表は、デルタ航空に所属するパイロットの勤続年数別・機種別の時給表です。縦軸(1~12)が勤続年数、横軸(A321など)が航空機の機種を表しています。

このように、アメリカのパイロットの収入は勤続年数と飛行機の機種で決まります。一般的には、機体が大型であるほど高収入で、機体が小型であるほど低収入になります。

また、表の最上段に「Hourly(1時間ごとの)」と書いてあることから、収入は時給制であることがわかります。

例えば、勤続年数1年のパイロットがA220という機種の航空機を操縦したとすると、時給は238ドルということになります。

1ドル=100円とすると、日本円で時給23800円となります。月70時間飛行すると仮定すると、単純計算で年収は以下のようになります。

時給23800円×月70時間×12ヶ月=1999万2000円

よって、機種によってはパイロット1年目で年収が2000万円ほどになります。

上記はボーナスや各種手当を考慮していないため、実際には上記よりも年収が高くなる可能性があります。

パイロットの仕事内容は?

旅客機のパイロットの仕事内容は、地上での業務航空機に搭乗した後の業務の二つに分けられます。

①:地上での業務

まず地上では、出発前に天気や風量などの気象データを分析しながら、航空機の管理を行う「ディスパッチャー」という係とともに、安全な飛行ルートを考えます。

それを踏まえて航空機の高さ・速さ・燃料の量などを決定し、最終的に航空機の点検まで行います。

②:航空機内での業務

航空機の搭乗したあとでは、事前に決めた飛行ルートに沿って航空機を操縦しつつ、必要に応じて地上との連絡をとります。

加えてその他の乗務員の指揮監督を行うのが機長の仕事です。

一方副操縦士は、主に機長のサポート業務を行い、機長にトラブルが発生した際に業務を引き継ぐ役割があります。

パイロットの福利厚生にはどんなものがある?

パイロットは、高年収であるだけでなく福利厚生といった制度も充実しています。

ここでは、代表的な航空会社であるJALの福利厚生についてご紹介していきます。

Employee Free Ticket(無料・割引航空券)

育児休職制度

深夜業免除措置

産前休職制度(女性のみ)

出生休暇(男性のみ)

男性の育児休暇(男性のみ)

妊娠中の常務制度(女性のパイロットのみ)

産前地上勤務制度(女性のパイロットのみ)

出典:JAPAN AIRLINES「福利厚生制度・ダイバーシティ推進

この他にも、JALではワークライフバランスを意識した福利厚生が、役職ごとに多数用意されており、出産する女性に対して手厚い制度が多い印象です。

パイロットになるために必要な3つのステップ

パイロット なる方法

旅客機を操縦するパイロット(機長)になるためには、以下の3つの資格が必要になります。

  1. 自家用操縦士
  2. 事業用操縦士
  3. 定期運送用操縦士

以下では、これらの資格を取得するためのステップを解説します。

ステップ①:まずは身体条件をクリアする必要がある!(年齢・身長・視力)

パイロットは多くの人の命を預かるため、安全にフライトを行う必要があります。

そのため、パイロットになるために必要な身体条件がいくつか定められています。

年齢の条件

パイロットになるための3つの資格には、それぞれ以下のような年齢制限があります。

自家用操縦士:17歳以上

事業用操縦士:18歳以上

定期運送用操縦士:21歳以上

ちなみに、資格を取るための訓練は16歳から受けることができます。

身長の条件

航空大学校の身長制限は158cm以上自衛隊・海上保安庁の身長制限は158cm以上190cm以下となっています。

コックピットの中での操縦のしやすさという観点から、自衛隊や海上保安庁には190cm以下という上限が決められています。

視力の条件

パイロットと聞くと生まれつき視力の良い人しかなれないというイメージがあるかもしれません。

しかし、コンタクトやメガネをしていてもパイロットとして働くことができるのです。

航空会社JALは、各眼の矯正視力が1.0以上であれば応募することができます

また、航空自衛隊は、遠距離視力裸眼で両眼とも0.1以上かつ矯正視力が1.0以上、近距離視力が両眼とも矯正視力で1.0以上とされています。

「矯正視力」というのは、メガネやコンタクトをつけた状態での視力を指します。基本的にはメガネやコンタクトをつけた状態で視力が1.0以上であれば問題ないようです。

出典:防衛省・自衛隊「航空身体検査基準」、JAPAN AIRLINES「職種別募集要項 新卒

ステップ②:航空会社に入社する/航空大学校に入学する

航空会社に入社する

一つ目は、大学卒業後、航空会社に入社して養成訓練を受けるというルートです。

航空会社に入社するためには、筆記試験・面接・パイロットとしての適性検査を受ける必要があります。

この狭き門をくぐり抜けた人のみが航空会社の養成訓練を受けることができます。

航空大学校に入学する

二つ目は、大学で決められた単位を取得した後、航空大学校に入学して2年間の訓練を受け、航空会社に入社するというルートです。

航空大学校とは、パイロットを養成する学校のことで、北海道・宮城県・宮崎県(本校)にキャンパスがあります。

航空大学校の他にも、以下のような私立大学にはパイロット養成コースが備わっています。

パイロットを目指せる私立大学 

        • 東海大学(工学部・航空宇宙学科・航空操縦学専攻)
        • 桜美林大学(航空・マネジメント学群・パイロット養成コース)
        • 千葉工科大学(危機管理学部・航空技術危機管理学科)
        • 法政大学(理工学部・機械工学科・航空操縦学専修)
        • 工学院大学(先進工学部・機械理工学科)
        • 第一工科大学(航空工学部・航空工学科)
        • 帝京大学(理工学部・航空宇宙工学科・ヘリパイロットコース)
        • 崇城大学(工学部・宇宙航空システム工学科)

航空会社や大学で養成コースをとる以外にも、海外に留学し、現地で免許を取得した上で日本の操縦免許に書き換えるという方法をとることによってパイロットになることもできます。

航空会社に入社後すぐに飛行機の操縦を行うのではなく、しばらくの間は地上勤務に就くことで、航空会社社員としての経験を積みます。

その後決められた訓練を受け、20代後半からは副操縦士として飛行経験を積み、最終的に30代後半から40代前半で機長に昇格するのが一般的なルートです。

ステップ③:資格を取る

通常、「自家用操縦士」→「事業用操縦士」→「定期運送用操縦士」の順に資格取得をしていきます。

事業用操縦士は旅客機の副操縦士になるために必要な資格で、定期運送用操縦士は旅客機の機長になるために必要な資格です。

パイロットは心身の健康が求められる

いかがだったでしょうか?

これまで見てきた通り、パイロットは日本の平均と比較しても十分に高収入の職業だと言えます。

しかし、多くの人の命を預かって働く以上、身体の健康だけでなく人並み以上の冷静さや責任感の強さが求められる職業であり、それがパイロットとして働くことのやりがいとなっています。

そうした職務における責任の重さを考えると、高収入とはいえ相応の収入であると言えるでしょう。

お金のカタチでは、他にも様々な職業の収入事情をお届けしています。気になる方は下のリンクからどうぞ。

暮らしに役立つお金の情報を無料でお届けしています!