働き方改革で法律はどう変わる?労働者派遣法や労働契約法など2/2


働き方改革三本の柱と8つの法律とは?

働き方改革は三本の柱で構成されていますが、この記事では前回に引きつづき第3の柱と、それにかかわる法改正について見ていきましょう!

第3の柱:雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保

  • 不合理な待遇差を解消するための規定

パートタイム労働法・労働契約法改正へ

  • 派遣先との均等・均衡待遇方式か労使協定方式かを選択

労働者派遣法の改正へ

  • 労働者に対する待遇に関する説明義務の強化
  • 行政による履行確保措置と裁判外紛争解決手続(行政ADR)の整備

第1の柱:働き方改革の総合的かつ継続的な推進

→雇用対策法改正へ

 

第2の柱:長時間労働の是正と多様で柔軟な働き方の実現等

→労働基準法等改正へ

  • 時間外労働の上限規制の導入
  • 長時間労働抑制策・年次有給休暇取得促進策
  • フレックスタイム制の見直し
  • 企画型裁量労働制の対象業務の追加
  • 高度プロフェッショナル制度の創設
  • 勤務間インターバル制度の普及促進

→労働時間等設定改善法改正へ

  • 産業医・産業保健機能の強化

→労働安全衛生法・じん肺法改正へ

それでは各法律を見ていきましょう!

 

8つの法律 意義や現状をチェック!

今回扱う3つの法律の改正は特に何を目的に行われるのでしょうか?厚労省のホームページをチェックしてみましょう!

Ⅲ雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保

不合理な待遇差を解消するための規定の整備(パートタイム労働法、労働契約法、労働者派遣法)短時間・有期雇用労働者に関する正規雇用労働者との不合理な待遇の禁止に関し、個々の待遇ごとに、当該待遇の性質・目的に照らして適切と認められる事情を考慮して判断されるべき旨を明確化。併せて有期雇用労働者の均等待遇規定を整備。派遣労働者について、①派遣先の労働者との均等・均衡待遇、②一定の要件※を満たす労使協定による待遇のいずれかを確保することを義務化。また、これらの事項に関するガイドラインの根拠規定を整備。(※)同種業務の一般の労働者の平均的な賃金と同等以上の賃金であること等

 

2労働者に対する待遇に関する説明義務の強化(パートタイム労働法、労働契約法、労働者派遣法)短時間労働者・有期雇用労働者・派遣労働者について、正規雇用労働者との待遇差の内容・理由等に関する説明を義務化

 

3行政による履行確保措置及び裁判外紛争解決手続(行政ADR)の整備1の義務や2の説明義務について、行政による履行確保措置及び行政ADRを整備。

厚生労働省働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案の概要より

 

第三の柱の目指すところも分かったところで、各法律についてみていきましょう!

パートタイム労働法・労働契約法改正

短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」通称パートタイム労働法は、パートタイム労働者の待遇改善を求めた法律です。

 

パートタイム労働者(短時間労働者)とは、一週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者(当該事業所に雇用される通常の労働者と同種の業務に従事する当該事業所に雇用される労働者にあっては、厚生労働省令で定める場合を除き、当該労働者と同種の業務に従事する当該通常の労働者)の一週間の所定労働時間に比し短い労働者を指します(定義より)

 

つまり、正社員、いなかったらフルタイムで勤務している者よりも所定勤務時間が短かったら短時間労働者というわけですね!

 

この法律は現在、前述の「短時間労働者」のみを対象にしていましたが、有期雇用労働者を法の対象に含めることに伴い、題名を改正(「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」)する運びです。

労働契約法は労働契約が合意により成立し、又は変更されるという合意の原則その他労働契約に関する基本的事項を定めた法律です。

労働契約法に関して、最近だったら「雇止め」というワードを耳にしたことがあるのではないでしょうか?

平成25年4月に、労働契約法が改正され、「有期雇用を更新して通算5年を超えたときは、労働者の申し込みによって無期雇用に転換できる」と定められました。ここでの労働者は先ほどお話しした通り、1年ごとなど、期間を区切って雇用されている人が対象で、派遣社員だけでなく、アルバイトやパートも含みます。

 

これが施行されたことによって、政府の目論見では不安定な派遣社員が無期雇用に切り替わることによって労働者の安定が図られるのでは?と思われていたのですが、実際は無期雇用に切り替えられるようになる前に契約を切ってしまう「雇止め」が問題になりました。

この例からも、この二つの法律は現実の雇用事情に対し、大きな影響力を持っていることがわかると思います。

 

この二つは多くの変更点がある中でも、働き方改革の重要なキーワードである「同一賃金同一労働」を実現するために改正される部分が重要となりそうです。

これによって短時間労働者・有期雇用労働者・派遣労働者について、正規雇用労働者と、同一の仕事をこなしいている場合には不合理な待遇差をつけることは禁止されます。またもし待遇差をつける場合には待遇差内容・理由等に関する説明を使用者に義務化されます。

現在日本では、職務内容より雇用形態やついている役職で給与や待遇が決定されるケースが多く、一般的に契約社員やパートは正規雇用よりも給与、福利厚生ともに低い水準にとどまっています。

 

それを是正する目的の「同一労働同一賃金」ですが、雇止めと同じく政府の考え通りに進めばいいものの、実現はなかなか難しそうです。

 

労働者派遣法の改正

「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」通称、労働者派遣法は、労働者派遣事業の適正な運営の確保に関する措置を講ずるとともに、派遣労働者の保護等を図り、派遣労働者の雇用の安定を目指す法律です。

この法律には、第四章に紛争の解決に関わる新しい章がまるごと追加されます。

第四章 紛争の解決

第一節 紛争の解決の援助等

(苦情の自主的解決)

第四十七条の四 派遣元事業主は、第三十条の三、第三十条の四及び第三十一条の二第二項から第五項までに定める事項に関し、派遣労働者から苦情の申出を受けたとき、又は派遣労働者が派遣先に対して申し出た苦情の内容が当該派遣先から通知されたときは、その自主的な解決を図るように努めなければならない。

2 派遣先は、第四十条第二項及び第三項に定める事項に関し、派遣労働者から苦情の申出を受けたときは、その自主的な解決を図るように努めなければならない。

(紛争の解決の促進に関する特例)

第四十七条の五 前条第一項の事項についての派遣労働者と派遣元事業主との間の紛争及び同条第二項の事項についての派遣労働者と派遣先との間の紛争については、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律(平成十三年法律第百十二号)第四条、第五条及び第十二条から第十九条までの規定は適用せず、次条から第四十七条の九までに定めるところによる。

(紛争の解決の援助)

第四十七条の六 都道府県労働局長は、前条に規定する紛争に関し、当該紛争の当事者の双方又は一方からその解決につき援助を求められた場合には、当該紛争の当事者に対し、必要な助言、指導又は勧告をすることができる。

2 派遣元事業主及び派遣先は、派遣労働者が前項の援助を求めたことを理由として、当該派遣労働者に対して不利益な取扱いをしてはならない。

第二節 調停

(調停の委任)

第四十七条の七 都道府県労働局長は、第四十七条の五に規定する紛争について、当該紛争の当事者の双方又は一方から調停の申請があつた場合において当該紛争の解決のために必要があると認めるときは、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律第六条第一項の紛争調整委員会に調停を行わせるものとする。

2 前条第二項の規定は、派遣労働者が前項の申請をした場合について準用する。

(調停)

第四十七条の八 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律第十九条、第二十条第一項及び第二十一条から第二十六条までの規定は、前条第一項の調停の手続について準用する。この場合において、同法第十九条第一項中「前条第一項」とあるのは「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律第四十七条の七第一項」と、同法第二十条第一項中「関係当事者」とあるのは「関係当事者又は関係当事者と同一の事業所に雇用される労働者その他の参考人」と、同法第二十五条第一項中「第十八条第一項」とあるのは「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律第四十七条の七第一項」と読み替えるものとする。

(厚生労働省令への委任)

第四十七条の九 この節に定めるもののほか、調停の手続に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。

行政ADRって?

ADRとはAlternative Dispute Resolutionの略称で、日本語では裁判外紛争解決手続と称されます。一般に訴訟手続によらずに民事上の紛争の解決をしようとする紛争の当事者のため、公正な第三者が関与して、その解決を図る手続のことを指します。

 

つまり、労使関係において行政ADRを用いると、中立な進行役のもと、当事者と紛争相手で直接話し合って解決を図ることになるわけですね!

 

労使関係において問題が起こった際に裁判を起こすのは大掛かりで大変だしその後の関係も悪化してしまうことが予想されます。

その点行政ADRは裁判に比べればかかる費用も少なく時間も取らないのに加えて当事者同士の主体的な話し合いによって行われるため、両者にとって納得しやすく生産的な話し合いが行われることが期待されます。

 

なのでそのような問題が発生した際には今までよりも積極的に行政ADRを用いて解決を図ろうというのがこの章追加の意義です。

まとめ

いかがだったでしょうか?この二回でどのような法律が現在あり、どのように改正されるのか、イメージを把握できたなら幸いです。

 

さらに気になる方は以下の衆議院のページから改正案全文を読むことができるのでよかったら挑戦してみてください!

働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案

 

また、今回は扱わなかった5つの法律についてまだお読みになってない方は前半パートも是非お読みください!

働き方改革の内容をわかりやすく解説!改正される8個の法律とは?1/2 

 

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