民営化したものには何がある?日本の民営化の歴史を振り返る!

せわしい人々

改正水道法が衆議院を通過し、民営化が目指されている日本の水道事業ですが、「水」という公共性の高いものを扱ういう性質上問題は山積です。

水道事業自体に、収益の悪化や設備の老朽化など様々な問題があり、何かしらの解決策を早急に打たなければなりませんが、民営化が失敗してしまえば、状況はさらに悪化してしまいます。

しかし、日本では今までたくさんの事業を民営化してきました。

そこで今回は、水道事業の民営化が上手くいくのかどうかを考えるためにも、日本で行われた民営化について振り返ってみようと思います。

水道が民営化される?現在の水道の問題点やメリットはあるの?

電電公社→NTTグループ

日本電信電話公社、通称電電公社は逓信省、電気通信省と官営で行われてきた電信電話事業を引き継ぐ形で1952年に誕生しました。

その後中曾根内閣の1985年、通信の自由化を背景に民営化を行いました。

新たに発足した日本電信電話会社の一般呼称がいまも残るNTTというわけですね!

日本電信電話株式会社より

民営化の主な目的は経営の自主性を付与することにより、創意工夫を発揮し、効率的な事業運営を可能とすることや、競争の導入によってサービスを向上させることでした。

実際、民営化後は技術革新の影響も大きいですが、通話料金などは85年には長距離通話平日三分当たり400円だったのが2000年には80円まで下がりました。

専用線料金も同様で、長距離は15年で1/3程度まで下がりました。

サービスの質もインターネットの出現や電話からIPへの需要の変化に、事業構造改革によって対応するなど、向上したといえるかもしれません。

しかし、民営化する際には、コストがかかる割には収益の上がらない田舎は電話など各種サービスから切り捨てられるのでは?という懸念もありました。

しかし、法律で都市部と地方のサービスを同水準に保つことを義務つけたことでその心配は実現しませんでした。

民営化も「自由化」ともいいますが、すべて自由化するのではなく、適度に法整備を進めて規制をかけることが成功のカギかもしれませんね。

日本郵政公社→日本郵政グループ

成功か失敗か、今でも話題になるのがこの郵政民営化ではないでしょうか?

2005年、小泉内閣の下で行われたこの民営化は、流通市場の創出、30-40万人の公務員を削減できる行政のスリム化が図れる、免除されてきた法人税、住民税、事業税、登録免許税、印紙税など各種税金を納めることとなり、財政が潤う、といった大きな目的がありました。

しかし、実際はもともと日本郵政公社は独立会計で運営されており、公務員の削減は即財政のスリム化につながるわけではなく、頼みの税金も、もともと利益余剰金は国に納めていたので国民が期待したほどは変わりませんでした。

民営化自体が、日本の郵便貯金100兆円以上に目を付けた金融業界中心としたアメリカの政治的圧力で行われてのでは?という見解もあり、そもそも自民党内ですら郵政民営化反対派も見受けられました。

民営化によって第三分野保険や変額年金保険、自動車保険等の企業保険の受託販売開始、クレジットカードの導入、全銀システムとの接続による他の民間銀行との相互振込などのサービスが広がったことはメリットとして挙げられます。

しかし、デメリットとしては1000を超える郵便局で郵便集配業務の廃止、過疎地のATM撤去、送金手数料値上げ、郵便物の誤配、遅配の増加、内容証明郵便等の認証ミス・・・など多くの不満がたまる形になりました。

やはり、民営化すれば勝手に競争が働き効率、サービスともによくなる!なんてことはないわけですね。

JR(東日本、西日本、東海、九州)

こちらも中曾根内閣時に分割民営化がなされました。

旧国鉄は、1985年時点では約37兆円の累積赤字があり、末期には国が6000憶円にも及ぶ多額の補助金を投入しても、なお1兆円を超える赤字を計上していました。そのその精算のため分割して民営化がなされました。

日本全国をまたいだ大事業だっただけに、反対意見も噴出し、民営化は難航しましたが、経営の自立再建は絶望的だったので分割民営化の形で実現、12個の継承法人に分かれました。

分割されたことによって、JR東日本、西日本、東海は黒字となっていますが、三島会社と呼ばれるJR四国、九州、北海道は現在も経営が厳しい状態で、JR九州のみ2016年に上場、完全民営化を達成しています。

今から振り返れば、様々な問題があり、現在でも三島会社の経営など問題も残っていますが、おおむね成功だったという見方が強いです。

  • 運転回数の増加
  • 従業員の態度の改善、ストライキの発生回数の減少
  • 車両や駅がきれいになった
  • 事故件数が減少した
  • 全体で見ても経営が改善した

などが良かった点として挙げられます。

しかし、地方の赤字路線の廃止など、問題もあり、同じような問題が水道事業の民営化でも起こるとしたら対応が求められますね。

まとめ

いかがだったでしょうか?

日本は今までこれ以外にも多々民営化を行っています。

水道の民営化は反対意見も多く、問題も山積ですが、現在の水道事業のままでも問題が山積なのは変わりません。

どのような方法にしろ、迫りくる人口減少、設備の老朽化、収益の悪化に対処していかなければならなりません。

国会でも現場でも、継続した議論が求められますね。注目していきましょう。

水道が民営化される?現在の水道の問題点やメリットはあるの?

暮らしに役立つお金の情報を無料でお届けしています!