厚生年金基金が実質廃止に!老後資金のためのオススメの資産運用は?

今年に入って、”老後資金2000万円”がツイッターのトレンド入りするなど、日本の年金制度への不安や資産運用・貯蓄の必要性への国民の関心は日に日に高まっていますね。

そのため、これを機に自分の資産状況を確認したり、年金の受給額や支給時期を見直してみようと考えている方も多いでしょう。

実はあまり知られていないことではありますが、2014年4月1日に施行された「公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律について」により、厚生年金機構から他の年金機構への移行が呼びかけられ、確定給付年金や確定拠出年金への移行が進んで5年が経ちました。

令和元年9月1日現在では、存続している厚生年金基金はわずか8社となり、その他の厚生年金基金は、確定給付年金または確定拠出年金に移行しています。

みなさんの勤務している会社が、厚生年金基金を解散したのちに新たな年金制度に移行している場合は、厚生年金基金の加入記録はそのまま引き継がれることになるので、全く問題ありません。

ただし、転職を経験された方の中で過去に勤務していた会社が厚生年基金を解散している場合には、企業年金連合会から年金が支給される可能性がありますので、加入記録がしっかりとなされているのかを早めにチェックしておく必要があります!

そこで今回は、そもそも厚生年金とはどんな年金なのか、厚生年金基金の実質廃止というのはどういうことなのか、今後の老後資金のための資産運用はどのように行うのがオススメかなどを詳しく解説していきます!

そもそも厚生年金ってどんな年金なの?国民年金との違いは!?

ではさっそく、厚生年金というのがどういった年金なのかを詳しく解説していきます。

しばしば混同しやすい国民年金との違いも合わせて解説していきますね。

厚生年金・厚生年金基金の仕組みをわかりやすく解説!加入の対象者は?

厚生年金は、基礎年金である国民年金に上乗せされて支給される年金であり、日本の年金制度のうちでは2階部分と称されています。

ちなみに、日本の年金制度の1階部分は国民年金、3階部分は企業年金となっているので合わせて押さえておいてくださいね!

厚生年金に加入をしている場合には、1階部分である国民年金と2階部分である厚生年金の合計金額を受け取ることになります。

厚生年金の加入対象者は、

  • 会社員やサラリーマン
  • 従業員が常時5人以上いる事業所の個人事業主(ただし、飲食店などのサービス業は除く)
  • 従業員数が4人以下の場合でも、従業員の2分の1以上が加入に同意する場合

となっています。

厚生年金の保険料は、毎年4月~6月に支払われる給与をベースに計算した金額(この金額を標準報酬月額といいます)とボーナスに対して共通の保険料率を掛けて算出します。

概念としてはやや難しいので、基本的な月収とボーナスをベースに計算されること雇用主と労働者で保険料を折半して納めることの2点を押さえておけばOKです!

厚生年金は国が運営する公的なものですが、企業年金のうち厚生年金基金というものでは国が部分的に代行することから、公的な側面を帯びている企業年金と言えます。

厚生年金基金には、大きく分け3つの設立方式があります。

一つ目が単独型と呼ばれているものです。

単独型は大企業が自社の企業年金制度をカバーすることが目的としており、一つの企業が国の認可を受けて設立する厚生年金基金です。

1,000人以上の加入者が必要となっているので、かなり大きな企業が単独型を採用することになりますね。

二つ目は連合型と呼ばれる厚生年金です。

こちらも加入者が1,000人規模の加入者が必要ですが、単一の企業ではなく資本関係のあるものやグループ会社などで採用される厚生年金のタイプです。

三つ目のタイプは統合型と呼ばれるものです。

統合型では、資本関係がない企業同士が共同して、設立される厚生年金基金です。

統合型では、必ずしも大企業でなくとも中小企業同士で共同して厚生年金基金を設立することができます。

厚生年金と国民年金の違いは!?

厚生年金の解説は先述の通りです。

国民年金は、「基礎年金」とも呼ばれるものであり、20歳以上60歳未満の国民全員が必ず加入する必要があります。

厚生年金の場合にはサラリーマンや個人事業主に限定されてきましたが、国民年金はあらゆる人が加入の対象になっています。

国民年金の支給額は定額であり、満額の場合には平成28年度は月額16,260円となっていました。

加入時期が短ければそれだけ支給金額は少なくなってしまいますが、基本的には年収による国民年金の金額の違いはありません。

ですから、基本的に誰でももらえるのが国民年金、サラリーマンや個人事業主として働いている人が受け取ることができるのは厚生年金、と押さえておきましょう!

厚生年金基金が実質廃止ってどういうこと!?しっかり年金はもらえるの?

ではタイトルにもある通り、厚生年金基金の実質廃止に関して解説していきます。

もともとの厚生年金基金はサラリーマン世帯の老後生活の充実を目的として、1966年にスタートしたものであり、一時は厚生年金被保険者の約3分の1を占める大きなウエイトを占めるものとなりました。

しかし、その後社会経済情勢の変動やバブル崩壊後の運用環境の悪化などを背景として、以前のような支給金を用意することが難しくなったり、積み立て不足が問題となるようになりました。

厚生年金基金の場合には国がその一部分を代行していますので、近年の年金制度の存続への不安を受ける自体に直面しています。

こうした背景から、2002年に施行された確定給付企業年金法によって、代行部分を国に返上して、新たに確定給付企業年金へ移行することが可能となりました。

さらにその後、日本の年金制度がさらに苦境に差し掛かったため、2014年4月1日に施行された「公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律について」により、厚生年金基金の新設の禁止と、5年以内での他の年金基金への移行の推進が促されるようになりました。

基本的にはしっかりと次の年金基金へと引き継がれていれば問題なく年金を受け取ることができるので心配はありません。

ただし、転職の経験者などは一度ご自身の年金の記録を確認しておくと一安心かと思います。

確認方法としては企業年金連合会の「企業年金記録確認サービス」を利用することで、企業年金番号を入力することで確認することも可能です。

将来の年金の金額に不安な方必見!今から始められるオススメの資産運用とは!?

資産運用や投資というと、「なんとなくギャンブルっぽいから怖い」「絶対に損をしたくないから手を出したくない」という声がしばしば上がります。

もちろんリスクは0ではありませんが、限りなくリスクをなくして安全に運用できるような投資方法も確立されています。

今回は投資初心者の方でも始めやすい、比較的ローリスクな資産運用の方法をいくつか紹介していきます。

その1:個人型確定拠出年金(iDeCo)

まず最初に紹介する資産運用は、個人型確定拠出年金(以下iDeCoと表記)です

iDeCoというのは、簡単に言えば自分でお金を拠出して将来に備える年金のことです。

年金といっても、厚生年金や国民年金、企業年金などは給与からあらかじめ天引きされていますが、iDeCoの場合には自分で給与の中から拠出する金額やタイミングを決めて、準備することができます。

ただし、拠出できる金額には加入者の属性によって以下のような上限があるので、お金が余っているからといって好きなだけ年金を積み立てるということはできないので注意しましょう。

加入者拠出限度額
①自営業者81万6000円/年(6万8000円/月)
②厚生年金の被保険者他の企業型年金も確定給付型の年金も実施していない(中小企業などの勤務など)場合27万6000円/年(2万3000円/月)
他の企業型年金のみを実施している(大企業勤務など)場合24万円/年(2万円/月)
確定給付型の年金を実施している場合14万4000円/年(1万2000円/月)
公務員等14万4000円/年(1万2000円/月)
③専業主婦等27万6000円/年(2万3000円/月)

idecoを利用すると以下の3つのメリットがあります。

  • 運用益は非課税になる

一つ目のメリットは、投資によって発生した運用益が非課税になることです。

投資をした時に発生した利益には、通常の投資方法では課税の対象になります。

ですが、iDeCoで運用をして出た利益に関しては、一切税金はかかりません。

また、その非課税になる期間は運用をしている全期間に及ぶというのは更に嬉しいですね!

  • 毎月の掛け金として拠出した分の所得控除が受けられる

二つ目のメリットは毎月の拠出金がそのまま所得控除の対象になり所得税や住民税を減らすことができることです。

節税額の目安は以下の表を参照してください。

公務員・会社員自営業
上限で拠出した場合の年収別の年間節税額
年収500万円2.16万円12.24万円
年収700万円2.88万円16.32万円
年収950万円4.32万円24.48万円

仮に投資自体でそれほど実績が出なかったとしても、これだけ年間で節税効果があるというのはかなり大きなメリットでしょう!

  • 受取時も非課税

60歳を迎えた後の年金の受取時であっても、「公的年金等控除」や「退職所得控除」を利用することで非課税にすることができます!

その2:つみたてNISA

つみたてNISAとは、年間の投資上限金額が120万円までであれば、20年間という長期間にわたって、非課税となる新たな資産運用制度です。

つみたてNISAは20年という上限つきではあるものの、投資の利益に対する税金がかからないため、iDeCo同様に節税効果があります。

また、つみたてNISAでは金融庁が許可した投資信託やETF(上場投資信託)のみが投資の対象となりますので、怪しい銘柄を掴んでしまう心配は少なくなっています。

やはり投資初心者には銘柄選びは難しいので、目利きの良いプロの選んだ銘柄に投資できる投資信託などは安心度は高いですね。

ただし、通常のNISAとの併用ができないことに注意が必要です。

その3:個人年金保険

投資というとなんだか怖いイメージがあるという方にオススメなのが、個人年金保険です。

先程までの二つよりも更にリスクは抑えられ、かなり貯蓄に近い形で資産を形成することができるのがこの個人年金保険です。

個人年金保険はそのリターンやリスクによって、確定保険・終身保険・有期保険・変動個人保険・外貨建て保険の5つに分類されます。

保険という性質がありつつ、中には外貨建て保険のように高いリターンを期待できるものもあるので、株や投資信託は少し怖いといった方は、まずは個人年金保険に加入するところから始めると良いかもしれませんね。

個人年金保険への拠出した金額は、所得控除の対象にもなりますので、節税効果も高く、ただ単に銀行預金するよりは圧倒的にお得と言えるでしょう。

資産運用は早く始める方がお得!複利効果を理解しよう!

ここまで、厚生年金・厚生年金基金の概要や今後の動向、オススメの資産運用などを紹介していきました。

とはいえ、なかなか簡単に投資を始めてみようとは思えない方も多いかと思います。

ですが、投資というのは不慣れだとしても早めに始めた方が成功しやすいという傾向があります。

投資には複利効果というものがあり、基本的に2年目以降には始めの拠出金額+それまでの利益をベースに運用をしていきます。

仮に毎年10%ずつ資産を増やしていったとすると、1年目には110%、2年目には121%と雪だるま式にどんどん資産の増加割合は大きくなっていきます。

また投資期間が長ければ長いほど、短期的な価格変動に動じることもなくどっしりと構えることもできるので、精神的にも落ち着いた投資ができるようになります。

ですから、仮に利回りが低くても長期間運用することで大きな利益を出すことができます。

ハイリスクな投資をしたくない人ほど早く投資にチャレンジするべき、とも言えるのです!

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