皆さんは年金の受け取りの年齢を自由に決定できることをご存知ですか!?
意外と知られてはいない制度ですが、日本では年金の受け取り開始を60歳から70歳の間で選択することが認められいています。
もちろんここで70歳を選択すると年金の支給を受けられる回数は減ってしまいますが、1度に受け取ることのできる金額はかなり大きくなっていきます。
人生100年時代とも言われる長生きの時代ですので、年金の繰り下げを行うことで老後の安定した収入源を確保することにもつながります。
そこで今回は、年金の繰り下げを行うとどうなるのか、メリットやデメリットを詳しく解説していきます。
意外と知らない!?年金の受け取りの繰り下げとは?
現行の年金制度では、年金の受け取り開始年齢は”65歳”に設定されています。
しかし、この65歳という支給開始年齢はあくまでデフォルトの物に過ぎず、自分の希望に合わせて60歳から70歳の間で、受け取りをスタートする年齢を自由に決めることができるのです。
この際に、支給開始の年齢を65歳よりも前倒しすることを「年金の繰り上げ」、反対に後ろ倒しすることを「年金の繰り下げ」と言います。
年金の繰り上げを行うと年金の受け取り金額は減額され、繰り下げを行うと受け取り金額は増額されます。
<年金の繰り上げを行なった場合>
繰り上げ減額率は、「0.7%×繰り上げた月の数」となり、年齢別に以下のようになります。
受け取り開始年齢 | 60歳 | 61歳 | 62歳 | 63歳 | 64歳 |
減額率 | 30% | 24% | 18% | 12% | 6% |
5年間前倒しで受け取りを開始してしまうと、65歳から支給を開始する場合に比べて3割も受け取り金額が減額されてしまいます。
<年金の繰り下げを行なった場合>
繰り下げ増額率は、「0.5%×繰り上げた月の数」となり、年齢別に以下のようになります。
受け取り開始年齢 | 66歳 | 67歳 | 68歳 | 69歳 | 70歳 |
増額率 | 8.4% | 16.8% | 25.2% | 33.6% | 42% |
70歳まで受け取りの開始を遅らせると、年金の受け取り金額は42%も増額されます。
42%というと、リスク性の資産でもなかなか見ることのない大きな利率です。
仮に、毎月の年金支給額が20万円であれば増額後の金額は28万4千円となり、かなり年金のインパクトも変わってきますね。
年金の受給開始を遅らせるということは、65歳以降にも仕事を続けて収入を得続けるか、それとも現役時に作った貯蓄を切り崩して生活をしていくかのいずれかになります。
最近では定年の年齢の引き上げも検討されていることから、年金の繰り下げは大きな選択肢となるでしょう。
年金の繰り下げのメリットとデメリットってどんなところ?
では、年金の繰り下げを行うとどんなメリットやデメリットがあるのでしょうか!?
年金の繰り下げによるメリット
年金の繰り下げを行うことの大きなメリットは、何と言っても年金の受け取り金額が増えるということです。
先ほども見たように、支給開始の年齢を1年遅らせると8.4%、5年遅らせると42%物受け取り額の増額がなされます。
これだけ受け取り金額が増えると、5年間支給開始を遅らせたとしても元が取れるタイミングがやってきます。
具体的には、最大限の70歳まで引き伸ばした場合には、82歳まで生きることができれば、年金受取額の総額は大きくなり、結果としてお得になります。
今後も平均寿命が伸びていくことが予想されるので、長生きすることを前提とするならば、年金の繰り下げは大きなメリットのある方法といえるでしょう。
年金の繰り下げによるデメリット
加給年金は家族手当のようなものとイメージしてみるといいでしょう。
「厚生年金に20年以上加入している」「65歳未満の配偶者または18歳以下の子供がいる」「配偶者の厚生年金の加入期間が20年未満」の条件を満たしている場合に、配偶者の年金が支給される、一般的には65歳までの期間に年間39万8000円を受け取ることができます。
年の差婚の方ほどメリットが大きく、5歳差であれば5年間で約200万円、10歳差であれば10年間で約400万円も受け取ることができるのです。
そのため、年の差婚の方や長生きする自信のない方には、今回紹介する年金の繰り下げはそれほど旨味のある制度とは言えないようですね。
年金の繰り下げは必ずしもお得とは言えない!その理由とは?
ここまで見てきてわかるように、年金の繰り下げにはメリットとデメリットが存在しています。
基本的な支給額が大きく増えることは嬉しいですが、配偶者や子供などの家族構成によっては加給年金も大きな意味を持つものとなりますので、繰り下げを行わない方が結果的にはお得になることもあります。
一概に繰り下げをした方が絶対にお得になるとは言えないものなので、ご自身の資産状況や家族構成などを鑑みて、支給開始年齢を決める必要があります。
また、ファイナンシャルプランナーの方などにも相談してみると、損をしないような受け取りプランを考えてもらえるので、機会があればぜひ活用してみると良いですね。
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