高卒公務員と大卒公務員で給料はどれだけ変わる・・・?
本記事では、地方公務員と国家公務員のそれぞれで高卒と大卒の「月収・ボーナス・年収・生涯賃金」を総務省や人事院のデータを参考に比較してみました。
これから高卒公務員を目指す方から既に公務員として働かれている方まで参考になる情報だと思います。ぜひご覧ください。
そもそも公務員の給与はどうやって決まっているの?
公務員の給与体系についてご説明をします。既にこちらをご存知の方は次の章まで読み飛ばしていただいて構いません。
公務員の給料は誰が決める?
公務員の給料・年収・諸手当(地域手当、住居手当、扶養手当等)などの給与体系は、法律によって定められていて、基本的に民間企業の平均給与と大きく乖離しないように随時調整が行われます。
国家公務員の給与条件は「人事院規則」という国家公務員の人事管理等をおこなう行政機関の規則によって定められています。
この人事院が、公務員と民間企業の賃金状況を確認して民間に準拠するようコントロールをします。
地方公務員の場合には、都道府県や政令指定都市(いわゆる大都市)、特別区(東京23区)など、人事院が置かれているエリアとそれ以外の市区町村によって、給与決定までのプロセスは異なりますが、概ね国家公務員の給与体系に近しいものが採用されます。
しかし、地方公務員の場合には、自治体ごとに細かい設定が異なるため、給与が高い自治体と低い自治体が出てきます。
公務員の年収は「俸給+諸手当+勤勉・期末手当」
俸給、勤勉・期末手当という言葉を初めて聞いたという方もいらっしゃるかもしれませんね。
これは民間企業でいうと、
- 俸給=基本給
- 諸手当=住宅手当や扶養手当等
- 勤勉・期末手当=ボーナス
という意味になります。
国家公務員の場合には、俸給表と呼ばれる職種ごとにどのポジションだとどれくらいの報酬が貰えるかを一覧にしたものをベースに俸給金額が決定されます。
また、ボーナス金額はざっくりいうと月収の3、4ヶ月分が夏と冬の2回支給されます。
地方公務員の場合には、俸給表の代わりに給料表と呼ばれるものに照らし合わせて支給額が決定します。
つまり、公務員の給与は、どの職種でどれくらい経験を積めばだいたいいくらくらいの年収になるか計算することができるのです。
高卒・大卒地方公務員の給料はいくら?年齢別まとめ
それでは、ここでは高卒地方公務員と大卒地方公務員の給料の違いについて見ていきたいと思います。
- 月収(基本給+諸手当)
- ボーナス(勤勉・期末手当)
- 年収
- 生涯賃金
の4項目で比較してみました。
月収
以下は、全地方公共団体の一般行政職における学歴別の平均的な月収金額です。
(諸手当額は学歴別のデータがないため、平成31年度の全地方公共団体一般行政職の平均44,272円を適用しています)
年齢 | 大卒 | 高卒 |
18〜19歳 | 201,072円 | 195,483円 |
20〜23歳 | 229,809円 | 212,077円 |
24〜27歳 | 248,455円 | 239,715円 |
28〜31歳 | 275,549円 | 267,986円 |
32〜25歳 | 306,079円 | 303,219円 |
36〜39歳 | 344,459円 | 338,886円 |
40〜43歳 | 383,243円 | 377,987円 |
44〜47歳 | 413,339円 | 402,319円 |
48〜51歳 | 433,294円 | 418,791円 |
52〜55歳 | 450,327円 | 433,489円 |
56〜59歳 | 465,967円 | 443,748円 |
60歳 | 390,899円 | 347,273円 |
30代後半ごろから月収に差がついてくることがわかります。これは職務ポジションによる給与の違いだと考えられるため、大卒の方が傾向としては昇進しやすいということが推測できると思います。
ボーナス
ボーナスは、基本給+地域手当(一般行政職平均18,559円)×4.5ヶ月分で算出をしました。
年齢 | 大卒 | 高卒 |
18〜19歳 | 789,116円 | 763,965円 |
20〜23歳 | 918,432円 | 838,638円 |
24〜27歳 | 1,002,339円 | 963,009円 |
28〜31歳 | 1,124,262円 | 1,090,229円 |
32〜25歳 | 1,261,647円 | 1,248,777円 |
36〜39歳 | 1,434,357円 | 1,409,279円 |
40〜43歳 | 1,608,885円 | 1,585,233円 |
44〜47歳 | 1,744,317円 | 1,694,727円 |
48〜51歳 | 1,834,115円 | 1,768,851円 |
52〜55歳 | 1,910,763円 | 1,834,992円 |
56〜59歳 | 1,981,143円 | 1,881,158円 |
60歳 | 1,643,337円 | 1,447,020円 |
年収
月収、ボーナスのデータをもとに月収×12ヶ月+ボーナス額で算出しました。
年齢 | 大卒 | 高卒 |
18〜19歳 | 3,201,980円 | 3,109,761円 |
20〜23歳 | 3,676,140円 | 3,383,562円 |
24〜27歳 | 3,983,799円 | 3,839,589円 |
28〜31歳 | 4,430,850円 | 4,306,061円 |
32〜35歳 | 4,934,595円 | 4,887,405円 |
36〜39歳 | 5,567,865円 | 5,475,911円 |
40〜43歳 | 6,207,801円 | 6,121,077円 |
44〜47歳 | 6,704,385円 | 6,522,555円 |
48〜51歳 | 7,033,643円 | 6,794,343円 |
52〜55歳 | 7,314,687円 | 7,036,860円 |
56〜59歳 | 7,572,747円 | 7,206,134円 |
60歳 | 6,334,125円 | 5,614,296円 |
生涯年収
生涯年収は、高卒・大卒それぞれ高校卒業後(19歳)すぐ、大学卒業後(23歳)すぐから60歳定年まで働き続けた場合で算出しました。退職金は、一律2,265万円で計算しています。
大卒 | 高卒 | |
生涯賃金 | 247,661,751円 | 253,668,039 |
この仮定では、高卒大卒の生涯賃金は高卒の方が高いという結果になりました。
高卒・大卒国家公務員の給料はいくら?年齢別まとめ
次に高卒国家公務員と大卒国家公務員の給料の違いについて見ていきたいと思います。
こちらも
月収(基本給+諸手当)
ボーナス(勤勉・期末手当)
年収
生涯賃金
の4項目で比較してみました。
月収
以下の月収は一般行政職(行政職俸給表(一))における学歴別の月給例です。
俸給+諸手当の合計金額になります。
年齢 | 大卒 | 高卒 |
20歳未満 | 208,836円 | 162,423円 |
20〜24歳 | 217,407円 | 189,139円 |
24〜28歳 | 242,174円 | 233,426円 |
28〜32歳 | 287,645円 | 278,693円 |
32〜36歳 | 342,744円 | 320,834円 |
36〜40歳 | 387,563円 | 354,757円 |
40〜44歳 | 424,432円 | 393,966円 |
44〜48歳 | 465,146円 | 426,495円 |
48〜52歳 | 509,924円 | 456,308円 |
52〜56歳 | 529,894円 | 478,249円 |
56〜60歳 | 532,903円 | 495,369円 |
60歳〜 | 510,292円 | 437,001円 |
地方公務員同様にこちらも30代後半あたりから差が出てくることが分かります。
ボーナス
ボーナス金額は、(俸給額+地域手当+扶養手当)×4.5ヶ月で計算しました。厳密には管理職加算額、役職段階別加算額なども含みますが、ここでは簡易的に無視をしています。
ボーナス | 大卒 | 高卒 |
20歳未満 | 869,280円 | 676,086円 |
20〜24歳 | 904,957円 | 787,291円 |
24〜28歳 | 1,008,049円 | 971,636円 |
28〜32歳 | 1,197,322円 | 1,160,060円 |
32〜36歳 | 1,426,672円 | 1,335,472円 |
36〜40歳 | 1,613,231円 | 1,476,676円 |
40〜44歳 | 1,766,698円 | 1,639,883円 |
44〜48歳 | 1,936,170円 | 1,775,285円 |
48〜52歳 | 2,122,559円 | 1,899,382円 |
52〜56歳 | 2,205,684円 | 1,990,711円 |
56〜60歳 | 2,218,209円 | 2,061,973円 |
60歳〜 | 2,124,090円 | 1,819,017円 |
実際には、役職に応じた加算割合が発生します。月給をみると大卒の方が役職について月収が高くなる傾向があるので、大卒のボーナス額はもう少し上振れで考えても良いかもしれません。
年収
年収は、月収×12ヶ月+ボーナスで算出しています。
年収 | 大卒 | 高卒 |
20歳未満 | 3,375,312円 | 2,625,162円 |
20〜24歳 | 3,513,841円 | 3,056,959円 |
24〜28歳 | 3,914,137円 | 3,772,748円 |
28〜32歳 | 4,649,062円 | 4,504,376円 |
32〜36歳 | 5,539,600円 | 5,185,480円 |
36〜40歳 | 6,263,987円 | 5,733,760円 |
40〜44歳 | 6,859,882円 | 6,367,475円 |
44〜48歳 | 7,517,922円 | 6,893,225円 |
48〜52歳 | 8,241,647円 | 7,375,078円 |
52〜56歳 | 8,564,412円 | 7,729,699円 |
56〜60歳 | 8,613,045円 | 8,006,401円 |
60歳〜 | 8,247,594円 | 7,063,029円 |
生涯年収
生涯賃金は地方公務員と同様に高卒19歳、大卒23歳から60歳定年まで働いた場合の年収を合計し、退職金を加えて計算しました。
退職金は、平均値の2,968万円で統一しています。
大卒 | 高卒 | |
生涯賃金 | 264,848,617円 | 257,805,969円 |
こちらは大卒の方が700万円近く高くなることが分かりました。
公務員は学歴による収入差があまりない?
厚生労働省の賃金構造基本統計調査結果によると、公務員に限らず民間企業を含めた全業種の高卒と大卒の生涯賃金の差は約4000万円ほど大卒の方が高くなるという結果が出ています。
公務員の生涯賃金では、大きな傾向として、大卒・高卒の給料の差はそこまでなく、場合によっては、4年間早く働き始めた高卒の方が生涯賃金でみると高くなる可能性もあることが分かりました。
もちろん、本記事で算出したケースはあくまで簡易的なものであり、実際の職種や家族構成などによっても収入は変わってくると思いますが、1つの目安として参考にしていただけると幸いです。
暮らしに役立つお金の情報を無料でお届けしています!