サラリーマンのスーツが経費に?特定支出控除の適用条件や節税効果とは

アドバイス

2012年に特定支出控除制度の改正があり「サラリーマンのスーツ代が経費になる!?」と一躍話題になりました。

しかしまだまだなじみが薄いことも事実であるので、今回は特定支出控除制度の条件や節税効果についてまとめてみました!

制度の利用を考えている方や、スーツ代がかさんでしまった人は是非参考にしてください!

サラリーマンのスーツ代が経費になる!特定支出控除制度とは?

サラリーマンの必須アイテムであるスーツですが、2012年税制改正によりサラリーマンの方でもスーツ代を経費にしやすくなりました。

これは特定支出控除制度の適用条件緩和によるものです。

ただここで注意すべきなのは、経費にし「やすく」なった、ということです。

そのあたりも含めて解説していきます。

そもそも特定支出控除制度って何?

まだまだ特定支出控除制度は馴染みが薄い言葉ですよね、いったいどのような制度なのでしょうか?

特定支出控除制度とは簡単に言うと、仕事のために一定以上自腹を切った時に、控除を受けることができる制度です。

つまり条件金額以上に仕事のためにお金を使うと、その超えた分を給与所得控除後の所得金額から、さらに差し引くことができる、ということです。

特定支出控除制度を受けられる条件は?

これだけ聞くと、「じゃあスーツ代とか全部経費扱いになるのか!」という発想になってしまいがちですが、残念ながらそう甘くもありません。

特定支出控除制度を受けるにはそれなりに厳しい条件があるのです。

それは上にあげた条件金額がそれにあたります。

この金額は具体的に給与所得控除額の半分となっていますが、この額の最少額(=一番所得が低い層の給与所得控除額の半分の額)は32万5千円です。

そしてその給与所得控除の半分以上の額を仕事のために支出していることが条件になります!

年間32万円以上を仕事用に使う人ってなかなかいない気がしますし、この金額は上に書いたように所得が低い層、具体的には年収180万円以下の人の額です。

もっと収入が多い人は条件金額もさらに上がり、厳しくなりそうですね。

特定支出控除制度を利用するときの注意点!

上記の条件に当てはまっている人は特定支出控除制度を利用することができます。

利用できるとしてもいくつかの注意点があるため、まとめました!

  • 会社からの証明が必要!

特定支出控除制度を利用するためには務めている会社からの証明が必要です。

そもそも会社によっては交通費を出していたり、領収書を提出すれば経費として認められる場合もあります。

そのような会社だと特定支出と認められるのは難しいかもしれませんね。

  • 確定申告が必要!

特定支出控除制度を利用するために確定申告が必須です。

確定申告は2月の中旬からの1か月間しかできないため、忘れないようにしましょう!

特定支出控除制度の節税効果は?会社員・サラリーマン必見!

それでは特定支出控除制度の節税効果はどれほのなのでしょうか?

ここでは年収300万円の方を例に解説します。

年収が300万円だと条件金額は54万円となります。

特定支出として70万円を使ったとしたら70万円から54万円を引いた16万円が返ってくる…わけではありませんよ!

税率を10%とすると、16万円×10%=16000円が節税できるということです。

年収300万円の人が70万円の支出をして16000円の節税ができるということですが、あまり高い節税効果があるとは言えませんね…。

しかし何らかの理由で条件金額を超えることがあったら、ちゃんと申請して特定支出控除制度を利用しましょう。

節税に関心がある方は、ふるさと納税もおすすめです。気になる方は以下の記事も合わせてご覧ください。

自営業・フリーランスは特定支出控除を活用できる?

自営業の方はどうなるのでしょうか?

結論から言うと自営業の方は特定支出控除制度を利用することはできません。

特定支出控除制度は給与所得者、つまりサラリーマンのための制度ですので、自営業の方はそもそも制度の対象外です。

では自営業の方の経費はどうなるのかと言いますと、経費が個別に認められているため、個別に計上してしまって大丈夫です。

給与所得控除はサラリーマンにとっての経費のようなものですが、あくまで予想の額ですので、実際の経費がかなり高い場合の補填をしてくれる制度が特定支出控除制度ということになります。

特定支出控除の利用状況

では実際の利用状況はどうなのでしょうか?

税制改正があった翌年の2013年は特定支出控除制度の利用者が260倍以上に増加しています。

しかし注意してほしいのは2012年の改正前の制度利用者は全国で6人だったということです。

6人の260倍は1560人ですのでお世辞にも多いとは言えませんね。

2015年では制度利用者は1800人となり少し増えたみたいですが、それでもまだ全国の給与所得者5400万人に対して少ない数字と言えます。

やはり特定支出控除制度は気軽に使える制度ではないようです。

おわりに

今回は特定支出控除制度についてまとめてみました。

無理に制度を利用しようとする必要はないですが、何らかの理由で制度を利用する条件を満たしている方は2月の確定申告に向けて準備をしましょう!

制度の利用を考えている人や制度を詳しく知りたい人の参考になれば幸いです!

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