育児休暇や出産休暇中には会社に所属しているものの、所得はないという状態になりますよね。
そこで疑問に思うのが、所得がないのであれば夫の扶養に入れるのではないかということです。
結論から申し上げますと、育休や産休の間だけ夫の扶養に入ることはできます。
産休・育休中に夫の扶養に入ることで、夫が配偶者控除を受けられ、節税対策になります。
今回は、育休・産休中に夫の扶養に入る条件や配偶者控除・配偶者特別控除の違い、注意点などを解説していきます。
家計の負担を減らすためにも、ぜひ本記事を参考にしてください。
産休や育休で所得が少なければ夫の扶養に入れる!その条件とは?
共働きで会社に在籍中でも夫の扶養に入れるって本当!?
共働きをしていて、夫婦両方にある程度収入がある場合にはお互いに扶養に入り、自分の勤務先を通じて社会保険料なり税金の源泉徴収を受けていることと思います。
しかし、出産や育児に伴い産休や育休で妻が職場を一時的に離れると、その間の所得はなくなります。
もちろんそのまま放置することも可能ではありますが、今回は産休や育休で収入が一時的になくなった場合に、臨時で夫の扶養に入ることを提案します。
これによって、夫の扶養家族が増え、受けられる所得控除がぐっと増えることになります。
ただでさえ共働きではなくなって家計がピンチな状況であれば、こうした控除を利用しない手はありませんね。
育休・産休中に夫の扶養に入る条件とは?
妻の年収が201万6000円未満であれば、配偶者控除や配偶者特別控除という控除を受ける対象になります。
ですので、半年だけ働いて残りは産休を取ったという場合にもこれからご紹介する控除は受けることができます。
しかし、201万6000円以上をその年に稼いでしまっている場合には、控除は受けられませんので注意が必要です。
その場合には、出産後に継続して育児休暇を取るタイミングなどで夫の扶養に入るとよいでしょう!
配偶者控除と配偶者特別控除との違いは?
配偶者控除とは
ここまで足早に配偶者控除や配偶者特別控除の話をしてきましたが、そもそも二つはどんな仕組みなのかというのを簡単に解説していきます。
配偶者控除とは配偶者の年収が給与所得の場合は103万円以下の場合には、納税者である夫に対して38万円分の控除がされる仕組みです。
配偶者控除自体は妻の年収が103万円を超えると、0円になってしまいますので、この金額は超えないように注意しましょう。
配偶者控除と配偶者特別控除との違い
とはいえ、年収が103万円を少しでも超えると控除がまったくなくなるというのは少し厳しいですよね。
もし、妻の年収が103万円を超えてしまった場合に適用されるのが、配偶者特別控除です。
いきなり配偶者控除が0になるのは家庭にとって影響が大きいので、少しずつ控除がを縮小していくのがこの控除の目的です。
実はこの配偶者特別控除ですが、2018年に改正されました。
改正点は大きく以下の2つあります。
- 配偶者特別控除の適用される妻の年収が拡大
- 夫の年収に上限が追加される
そこで夫の年収の条件を加味しながら、配偶者特別控除の対照表を見てみましょう。
配偶者特別控除 | 夫の年収 | ||||
1120万以下 | 1170万円以下 | 1220万以下 | 1220万超え | ||
妻の収入 | 150万以下 | 38万 | 26万 | 13万 | 0 |
155万以下 | 36万 | 26万 | 13万 | 0 | |
160万以下 | 31万 | 21万 | 11万 | 0 | |
166.8万未満 | 26万 | 18万 | 9万 | 0 | |
175.2万未満 | 21万 | 14万 | 7万 | 0 | |
183.2万未満 | 16万 | 11万 | 6万 | 0 | |
190.4万未満 | 11万 | 8万 | 4万 | 0 | |
197.2万未満 | 6万 | 4万 | 2万 | 0 | |
201.6万未満 | 3万 | 2万 | 1万 | 0 | |
201.6万以上 | 0 | 0 | 0 | 0 |
まず配偶者特別控除の適用される妻の年収ですが、満額の38万円が従来の105万円から150万円に引き上げられました。
そのため新たに「150万円の壁」という呼び名も登場したようです。
また配偶者特別控除が0円になってしまう段階も50万円以上引き上げられました。
さらに、夫の年収が1220万円を超える場合は、妻の収入の有無に変わらず、配偶者控除の対象外となってしまいました。
※詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
近年では所得の再分配を目的とした政策が増えているため、高所得世帯には大きな打撃ですね。
ここで、より分かりやすくするために今回の改正で増税になるのか減税になるのかを夫と妻の年収ごとに対照表に示します。
給与収入 | 配偶者 | ||||
103万円以下 | 141万円未満 | 201.6万円未満 | 210.6万円以上 | ||
夫の収入 | 1120万円以下 | 影響なし | 減税 | 減税 | 影響なし |
1170万円以下 | 増税 | 減税又は増税 | 減税 | 影響ない | |
1220万円以下 | 増税 | 減税又は増税 | 減税 | 影響なし | |
1220万円超 | 増税 | 影響なし | 影響なし | 影響なし |
これを見ると、一般家庭にとってはパートを増やせば減税の恩恵を受けられるメリットは大きそうですね!
出産育児準備金・出産手当金などの手当は年収に含まれる?社会保険はどうなる?
補助金や手当金は年収には含まない!積極的に制度を活用しよう
出産や育児をする際には公的機関から、出産育児準備金や出産手当金などの補助を受けることができます。
こうした補助や手当金は年収には含まれませんので、扶養から外れてしまうのではといった心配はいりません。
ですので、しっかりと期限や手続きを確認して、漏れなく受け取りましょう!
産休・育休中に扶養には入れても社会保険は別物なので注意!
ただし、税金上の扶養と社会保険上の扶養は別扱いなので注意が必要です。
在職中であれば、従来通り自分の勤務先の社会保険に加入し続けることになります。
扶養先と社会保険の登録が一致しなくても問題はありませんので、社会保険に関しては特段なにもすることなく、産休・育休を過ごしていてOKです!
おわりに
今回は、育児休暇や出産休暇の際に、夫の扶養に入ることができるのかというテーマで解説していきました。
出産や育児にはたくさんお金がかかるので、しっかりと公的機関からの援助をうけつつ、税金面にもしっかりと対策を立てていくことが大切になります。
また、産休に入る年の妻の年収は配偶者控除や配偶者特別控除を考える際に大きな要素となるので、しっかり把握しておきましょう!
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