みなさんは、産休・育休についてどれだけ知っていますか。近年、よくニュースで見かけたり、同僚の方が取得していたりと耳慣れたものだとは思います。
しかし、その詳細をしっかりと把握している人は意外と少ないかもしれません。特に、産休・育休時の給料や給付金制度など、お金に関することは知らないこともあるのではないでしょうか。
育児には当然ながら多額のお金がかかります。お金が必要であるにもかかわらず、仕事を休まざるを得ない中、どのようにお金を工面すればいいのでしょうか。
給付金や税金控除についてしっかりと理解を深め、最大限に活用することで家計の負担を抑えることができるのです!
本記事では、産休・育休制度の基本的な仕組みから、税金控除、手当金の金額、申請条件・方法について詳しく解説していきます。
POINT
- 産休・育休の仕組み・取得条件・期間が分かる
- 産休・育休中の給料や給付金に関する知識が身に付く
- 産休・育休時に使える4つの手当金の申請方法・受給金額が分かる
そもそも産休・育休制度の仕組みって?
産休制度とは?
産休とは、産前休業・産後休業の略。子どもを産む前と、産んだ後に一定期間、仕事を休業できる制度です。
産休は、国が公的に労働基準法によって定めた制度になります。
産休の取得条件・期間は?
まず、産休制度の適応対象は、実際に子どもを出産する女性に限られます。その中でも働いている女性で妊娠をしている状態であれば、誰でも産休取得できます。
産休制度の適用者は正社員に限らず、非正規雇用、アルバイトの方も産休取得が可能です。
休業期間は、出産予定の6週(42日)間前から取得できます。また、産後休暇に関しては、産後8週(56日)間休業することができます。つまり、出産前後に合計14週間の休暇を取れる制度です。
産休制度の内、産前休業をとるかどうかは本人の自由なので、出産直前まで働くことも希望すれば可能です。
一方、産後に関しては、本人の希望にかかわらず、6週間は必ず休まなければいけません。
育休制度とは?
育休とは、育児休業の略です。育児休業は、労働基準法に基づいて定められた、生後間もない赤ちゃんを育てるために労働者が取得できる制度です。
育休の取得条件・期間は?
育休は、産休とは違い、男女共に取得することができます。また、育休は正社員に限らず非正規雇用の方も取得できる制度です。
育休を取得するにあたって、クリアしなければいけない条件がいくつかあります。
《正社員の育休取得条件》
- 同一事業主に1年以上勤務していること
- 1週間に3日以上勤務していること
《非正規雇用者の育休取得条件》
- 同一事業主に1年以上勤務していること
- 1週間に3日以上勤務している
- 子どもが1歳6ヶ月の時点で契約が満了しない、もしくは明らかではない
- 契約が更新される場合に、更新後の契約期間が子どもが1歳6ヶ月時点までに満了しない、もしくは明らかではない
次に、育児休暇の期間について説明します。男性の場合、子どもが誕生した日から子どもが1歳になる前の日までの期間に育休を取得できます。
女性の場合は、出産日の翌日から8週間、つまり産後休業が終了した時点から子どもが1歳になる前日まで育休を取得できます。
なお、育休は連続して取得しなければならず、細切れの休暇取得はできません。また、育休は延長が可能であり、最長で2年間延長することが可能です。
《育休を延長できる3つのケース》
- 1歳2ヶ月まで延長
- 1歳6ヶ月まで延長
- 2歳まで延長
以下に詳細を記載します。
①1歳2ヶ月まで延長
パパ・ママ育休プラスという制度を利用することで、子どもが1歳2ヶ月になる前日まで育休を延長できます。
男性と女性が育休をずらして取得することで、子どもが1歳になった以降でも、どちらかが育休を取得し続けられます。
ただし、男性の場合、育休取得の上限は1年間、女性の場合は産後休業期間を含む出産後1年間が休暇取得の上限です。
例えば、母が子どもが1歳になるまで休暇を取得し、父が生後2ヶ月時点に育休を開始することで、子どもが1歳2ヶ月になるまで両親が切れ目なく休業できることになります。
②1歳6ヶ月まで延長
以下のような事情がある場合、1歳6ヶ月まで育休を延長できます。
- 保育所への入所を希望しているものの、入所できない場合
- 配偶者の死亡、負傷、疾病などのやむを得ない事情により、子ども養育が困難になった場合
③2歳まで延長
子どもが1歳6ヶ月になっても保育所などの養育施設に入れない場合に限り、育休を2歳まで延長できます。
産休・育休中は給料を貰える?税金はどうなる?
それでは、多くの人が育休・産休に関して一番気になっていることの一つである育休・産休休中の給料に関して解説していきます!
産休・育休中は原則、給料は出ない
産休・育休中は残念ながら、ほんの一握りの企業以外は給料が出ません。
労働基準法によって、産休・育休制度が定められていますが、その期間、企業には給料支払いの義務はありません。よって、ごくわずかな企業を除き、原則、産休・育休中に給料は支払われません。
給料は出ないが、手当金は受け取れる
休業期間中に給料が出ない場合、その期間の生活はどうすれば良いのか?と思われるのではないでしょうか。
実は、休業期間は、給料の約5〜7割にあたる手当金を受け取ることができます。代表的なものとしては、以下の4つがあります。
産休中に取得できる手当金2つ
- 出産一時金
- 出産手当金
育休中に取得できる手当金2つ
- 育児休業給付金
- 児童手当(子ども手当)
詳細は以下で説明しますが、それぞれの手当を受け取るには取得条件や申請締切日があります。これらの点に着目しながら以下を読んでみてください。
産休・育休中は、社会保険料が免除!
2014年度から産休・育休期間中共に社会保険料が免除されることになりました。
日本では以上のように給料は出ませんが、前述の通り、給料の5〜7割にあたる手当が支給されます。厚生年金や健康保険等の社会保険料は、休業期間中に関しては免除という仕組みが整えられています。
①出産育児一時金とは?貰える金額、申請条件や手続きを解説
以下では、上に挙げた4つの手当金について解説していきます!まずは、出産育児一時金について見ていきましょう。
出産育児一時金とは?
出産育児一時金とは、健康保険等の被保険者・被扶養者が出産した際に、出産に要する経済的負担を軽減するために支給される助成金です。
出産育児一時金でもらえる金額は?
基本的には、赤ちゃん一人につき42万円です。双子の場合は84万円、三つ子の場合は126万円になります。
ただし、出産にかかった費用が42万円以下である場合、その差額分が支払われます。
出産育児一時金の申請条件・方法は?
この助成金を受け取ることができる条件は以下の2点です。
《出産育児一時金の申請条件》
- 健康保険もしくは国民健康保険に加入している、または配偶者の健康保険の被扶養者になっている
- 妊娠4ヶ月(85日)以上での出産
上記2点を満たしている場合、出産育児一時金の受給対象者になります。
続いて、助成金を受け取るために必要な手続きを解説していきます。出産育児一時金は、出産の次の日から2年以内であれば申請することができます。
妊娠4ヶ月以降もしくは出産後にそれぞれの担当者、担当窓口に申請します。
- 会社勤務の方は勤務先の健康保険を活用、担当へ申請
- 妊娠のタイミングなどで会社を退職した方、専業主婦の方は配偶者の企業へ申請
- 国民健康保険に加入している場合は、お住いの市区町村役所へ申請
にそれぞれ、出産育児一時金の申請する必要があります。
各窓口に行った際には、健康保険証を提示します。出産前に申請を終えると出産の1〜2ヶ月後、出産後に申請をすると申請の2週間〜2ヶ月後に助成金が振り込まれます。
②出産手当金とは?貰える金額、申請条件や手続きを解説
出産手当金とは?
出産の際に会社を休業し、給料を受け取れなかった場合、健康保険から支給される手当金のことを出産手当金といいます。
出産手当金でもらえる金額は?
産休の期間で本来もらうはずであった給料の3分の2にあたる金額を受け取ることができます。
例えば、仕事を休んだ健康保険加入者の月収が25万円である場合は、1日あたりの報酬が8,333円であるため、1日あたりの支給額は5,550円になります。
この1日あたりの支給額に産休期間に休んだ日数を掛け合わせた金額が支給されます。
出産手当金の申請条件・方法は?
出産前休業(42日)、出産後休業(56日)の期間に会社を休んだ健康保険加入者が対象となります。
なお、国民健康保険加入者や産休中に本来もらうはずだった3分の2以上の給料が支払われている場合、出産手当金を受け取れません。
出産手当金は、産休開始の翌日から2年以内に申請しなければいけません。申請手順として、まずは申請用紙を勤務先や社会保険事務所で手に入れる必要があります。
その後、担当医に必要事項を記入してもらい、産後休業後に必要事項を自らで記入し、職場もしくは社会保険窓口に書類を提出します。
申請後、1〜2ヶ月後に助成金が振り込まれます。
③育児休業給付金とは?貰える金額、申請条件、手続きを解説
以下では、育休中に受け取ることのできる2つの助成金を紹介します。
育児休業給付金とは?
育児休業給付金は、育児休業中に仕事に入れない人が生活に困らないようにするために支払われる助成金です。
育児休業給付金でもらえる金額は?
【育休開始日から180日目まで】
- 育休開始時の月給の67%×育休日数
ただし、1ヶ月の支給上限額は285,621円です。
【育休開始日から181日目以降】
- 育休開始時の月給の50%×育休日数
ただし、1ヶ月の支給上限額は213,150円です。
育児休業給付金の申請条件・方法は?
育児休業給付金を受け取るためには以下の5つの条件を満たしていなければいけません。
《育児休業給付金の申請条件》
- 1歳未満の子どもがいる
- 雇用保険に加入している
- 育休前の2年の間で1ヶ月に11日以上働いた月が12ヶ月以上ある
- 育休中に育休開始前の8割以上の給料が支払われていないこと
- 育休中に1ヶ月につき就業日数が10日以下であること
続いて、申請から助成金受け取りまでの流れを解説します。
「育児休業給付受給資格確認票」、「育児休業給付金支給申請書」を勤め先の会社からもらい、必要事項を記入し、育休開始の翌日から10日以内に会社に提出する必要があります。
本助成金は、育休開始から3ヶ月後に助成金が振り込まれます。その後は、2ヶ月ごとに雇用保険から助成金が振り込まれます。
③児童手当とは?貰える金額、申請条件、手続きを解説
児童手当とは?
児童手当とは、子どもを養育する家庭の生活の安定と子どもの健やかな成長のために支払われる給付金です。
児童手当でもらえる金額は?
児童手当で貰える金額は、子どもの年齢によって異なります。また、960万円(夫婦・児童2人世帯)が基準として設定された所得制限があります。
所得制限の対象家庭には、子どもが何歳であろうとも一律に1ヶ月5千円が支給されます。
通常の場合、1ヶ月あたり、0〜3歳で1万5千円、3歳〜小学校修了の期間は1万円(第3子は1万5千円)、中学生には1万円の給付金が支払われます。
児童手当の給付金は、毎月ではなく、2・6・10月にまとめて振り込まれます。
児童手当の申請条件・方法は?
児童手当は、出産手当金や育児休業給付金とは異なり、子どもがいる家庭全てが支給対象になります。ただし、上記で説明したように所得制限があるので注意してください。
続いて、児童手当の申請の流れを説明します。
申請は、住所を登録している市区町村役所の窓口で行います。2・6・10月に児童手当が指定先の口座に振り込まれます。
申請の際には、以下の4点が必要です。
- 児童手当認定請求書
- 申請者の健康保険証の写し
- 申請者名義の振込先口座がわかるもの
- 申請者の印鑑
おわりに
産休・育休の基本的な仕組みとこれらに伴うお金の話をしてきました。
産休・育休は給料は貰えるのか、といった疑問から、取得期間や申請方法・申請条件を基本的な制度について理解を深めておくことは大切です。
しかし、それらのことに加えて、産休・育休期にどれだけのお金がもらえるかを把握し、期限内に申請することも重要です。
出産、育児にはお金がかかりますが給付金や助成金などの手当を最大限に活用し、少しでも家計の負担を抑えて、より良い育児ができるようにしたいですね!
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