専業主婦の年金受給額はいくら?国民年金の仕組みや問題点とは?

手続きの様子

少子高齢化の進行に伴い、「年金制度はもうあてにできない!」「これからは自力で老後の資産形成をしていく時代だ!」という声はしばしば聞かれています。

こうした状況を見ると、自身の老後の年金はどうなってしまうのかと不安に感じている方も多いでしょう。

特に最近は女性の働きやすい環境づくりも進んできているものの、専業主婦をしていらっしゃる女性もまだまだ多い状況です。

こうした中で、夫の稼ぎだけで十分な年金が得られるのか、という専業主婦の方の不安や疑問にお答えするべく、今回は専業主婦家計の年金受給額を簡単にシミュレーションしていきます。

また、国民年金の仕組みについても簡単に解説していくので、年金についてよく知らないという方でも安心して読んでみてください!

専業主婦が受け取ることのできる年金の金額はいくらになるかシミュレーション!

専業主婦の方であっても、結婚や出産に至るまでは企業で勤めている経験があるかと思います。

そこで今回は、夫の年収と妻の年収・勤続年数の条件によってどのくらい年金の受給額が変わるのかを見ていきましょう!

夫の年収が540万円・妻は年収240万円で5年間勤務したケース

まず1つ目のケースとして、夫が22歳から60歳になるまで生涯を通しての年収が平均して540万円であり、妻は年収240万円で5年間働いていたと仮定します。

このケースでは、夫の年金受給金額は年間で196万円、妻の年金受給額は年間で84万円となります。

夫婦合わせての年間の年金受給金額は280万円となるので、1ヶ月あたりの夫婦での受給金額は23万3333円となります。

持ち家などを持っており、住宅ローンが完済している場合であれば、比較的ゆとりのある生活も可能になりそうですね。

夫の年収が600万円・妻の年収は240万円で10年間勤務したケース

では、夫の年収が少し高く、また妻の勤続年数も5年間長かった場合の年金受給額を見ていきましょう。

このケースでは、夫の年金受給金額は年間で209万円、妻の年金受給額は年間で91万円となります。

夫婦合わせての年間の年金受給金額は300万円となるので、1ヶ月あたりの夫婦での受給金額は25万円となります。

あくまでこうした金額は、現状の社会保障制度が維持された場合の年金受給額になります。

こうして考えると、一般世帯であれば老後に受け取ることができる年金の金額は生活する上では比較的十分なものとなりそうですね。

第3号被保険者とは?専業主婦になる際に必要な手続きは?

専業主婦は第3号被保険者に該当!第3号被保険者とは?

日本国内に住んでいる20歳から60歳の方は、誰でも国民健康保険の被保険者となる必要があります。

国民健康保険の加入には、第1号被保険者・第2号被保険者・第3号被保険者の3つがあります。

第1号被保険者は自営業の方や農業に従事している方とその家族、学生、無職の方などが対象となります。

第2号被保険者は民間に勤めている会社員や公務員など厚生年金、共済組合の加入者が対象となります。

また、第3号被保険者は第2号被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者などが対象となります。

ですから、夫が会社勤務であり、自身が専業主婦の場合には第3号被保険者という扱いになります。

第3号被保険者は自分自身で保険料を納付する必要がありません。

その代わりに夫の扶養家族に入ることで、配偶者が部分的に負担することになります。

退職後に専業主婦になった場合に必要な手続きや届出は?

会社に勤めている間は第2号被保険者であっても、結婚や出産を機に、専業主婦になった場合には第3号被保険者へ移る手続きを行う必要があります。

この場合には、夫の勤務先に妻が第3号被保険者になった旨を伝えることとなります。

また、専業主婦であっても以下の条件を満たす場合には第3号被保険者で無くなる場合があります。

  • 第3号被保険者本人の年収が130万円以上になる場合
  • 配偶者と離婚した場合
  • 第2号被保険者である配偶者が、死亡、退職などにより厚生年金等の加入者でなくなった場合
  • 第2号被保険者である配偶者が65歳に到達(誕生日の前日)した場合

こうした場合に該当する方は、お近くの年金事務所の窓口にいき、種別変更の届出をする必要があります!

知っておきたい!国民年金の仕組みや現状の課題は?

専業主婦が将来受け取るのは、「老齢基礎年金」と呼ばれる国民年金の一種です。しかし、国民年金は度々その仕組みが問題視され、ニュースなどでも取り上げられています。

ここでは、年金の仕組みがいまいち分からないという方へ対して、国民年金の仕組みと問題点をわかりやすく解説していきます。

国民年金は「賦課方式」と呼ばれる仕組みで運用されています。聞きなれない言葉かと思うので、簡単説明します。

賦課方式とは現役の働いている世代が払った保険料がそのまま高齢者の年金に使われるということです。

皆さんの中には、納めている保険料が積み立てられて、年金として老後に支払われるというイメージを持っている方がいます。

これは「積立方式」と呼ばれ日本でも利用が拡大している「確定拠出型年金制度」はこの方式を採用しています。

しかし、国民年金で支払った保険料は積み立てられるわけではありません。

つまり、そのまま年金として支払われるので将来支払った額がそのまま受け取れるわけではないので、受け取る時代に保険料を収める人が少なくなると受給額も減少してしまいます。

よって、現役世代が支払った保険料で得られるのはあくまでも年金を受け取れる権利だけなのです

昔はこの国民年金制度がうまく機能していました。

しかし皆さんご承知の通り現在の日本は保険料を支払う若い現役世代がどんどん減少し、年金を受け取る側の高齢者がどんどん増えています。

後述しますがこれによって「将来年金制度が維持できなくなってしまうのではないか?」という問題が発生しています。

今回は、専業主婦の方がどのくらい年金を受給することができるのかを調べていきました。

専業主婦の方は、第3号被保険者という種別に該当し、自分自身では保険料を納める義務はありません。

その反面、夫の収入や自分自身の勤続年数などが年金の支給額に影響してくることはシミュレーションを通じてわかったかと思います。

少子高齢化の進行に伴って、年金制度の存続も疑問視される中、老後の資産については働いている時に計画的に行動していく必要がありそうです。

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