学資保険の満期金に税金はかかる?受け取り時の注意点

税理士に相談・依頼できること

お子さんの将来を考えて、学資保険を検討している方も多いと思います。

学資保険では、進学に備えてコツコツ保険料を支払い、満期になれば数百万円とまとまったお金を受け取れます。

そうなってくると、気になるのは「学資保険に税金がかかるのか?」ではないでしょうか?

もし、税金がかかるのであれば、受け取り金額は大きく減ってしまいます。

本記事では、学資保険に税金がかかる条件と、注意点をご紹介します。これから学資保険を検討している方はぜひ参考にしてください。

学資保険とは?

教育資金の準備として、「学資保険」を検討している方も多いと思います。

学資保険とは、将来の教育費に備えるための保険です。

毎月コツコツ保険料を支払い、将来満期を迎えたときに保険金を受け取ることができます。学資保険は、積み立て貯金と似た感覚で教育資金を準備できます。

また、万が一、契約者である親の死亡や病気によって収入が途絶えてしまった場合には、その後の保険料が免除となり、保険金も予定通り受け取ることができるタイプもあります。

結局学資保険には税金がかかるの?

やはり、気になるのは税金がかかるのかですよね。

学資保険でもらえるお金には、税金はかかるのでしょうか?

実は一般的な契約であれば、税金がかからることはほとんどありません。

なぜかというと、税金は、支払ったお金よりも受け取るお金が50万円を越える時にかかります。現在の学資保険では、差額が50万円(特別控除)を超えるプランはあまりありません。

学資保険の返戻率の平均は104%前後で、高いものでも110%程となっています。返戻率とは、支払った額に対して受け取る金額をパーセンテージで表したものです。

学資保険は将来受け取る金額が200万~300万円くらいとなる契約が一般的です。そのため、例えば、返答率が110%で、満期金が300万円を受け取ったとしても、このうち保険料は、270万円ほどになるので、儲けが30万円ほどになります。

この額であれば、特別控除(50万円)のお金なので、税金はかかりません。このように、現在の返戻率ですと、税金がかかるケースは少ないです。

ただし、契約者と受取人が異なるケースや学資年金として受け取るケースなど、一部のケースでは、税金がかかる場合があります。

どういった場合に税金がかかってくるのか、またどのような対策をすれば余計な税金を支払わずに節税できるのかなど、学資保険と税金について解説していきます。

なお、学資保険をはじめ、生命保険、医療保険は、お子さんの年代や家族構成に応じて定期的に見直していく必要があります。

無駄な保険料をかけたくない方は、保険無料相談サービスを活用してみましょう。

学資保険で税金がかかる3つのケース!

学資保険は受取人が誰かで税金が違ってきます。また、学資金の受け取り方によっては税金がかかってくることもあります。

ケース①支払った金額よりも受け取り金額が50万円以上多い

受け取り金額が支払った金額よりも、50万円以上多い場合税金がかかります。

※契約者と受取人が同一場合

学資保険を一括で受け取る場合通常、一時所得に分類されます。一時所得とは、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得です。

所得税の計算方法は次のようになります。

一時所得の金額=満期保険金(受け取った金額)-払込保険料総額(支払った金額)-50万円(特別控除)

学資保険は、毎月保険料を支払っていき、将来、支払った保険料以上のお金が戻ってくることを期待して加入するものです。そして、所得税はお金をもうけたときにかかる税金です。

つまり、学資保険で支払った保険料よりも多くのお金が戻ってきたときには、そのもうかった部分について税金がかかることになります。さらに、一時所得には特別控除があり、もうかった金額が50万円までなら所得は0円ということになり税金がかかりません。

そのため、払い込んだ保険料よりも50万円以上多く返ってこなければ税金がかかりません。例えば、現在の学資保険の返戻率は104%程度です。300万円の満期金の場合、払込保険料は288万円程度になります。その差額は12万円ですので、税金がかからないことがわかります。

また、利益が50万円を超えたときでも、会社員などで元々確定申告が不要な人の場合は、給与所得以外の所得が20万円以内であれば、その分の確定申告も不要となるため、結果的に税金はかかりません。

ケース②学資年金として受け取った時

学資保険の保険金の受け取り方には、満期金を一括で受け取る方法と、毎年決まったお金を分割で受け取る学資年金という方法があります。

例えば、満額300万円の学資保険を一括ではなく、3年間で100万円ずつ受けることができるのです。

最終的に受け取る金額は一緒なのですが、学資年金一時所得ではなく雑所得に該当します。雑所得は一時所得と同様に所得税の一種ですが、一時所得のような50万円の特別控除がありません。

雑所得の計算は、以下のように合わらせます。

雑所得の金額= 満期保険金(受け取った金額)-払込保険料総額(支払った金額)

たとえば、返戻率が110%の学資保険、満期保険金が200万円の学資保険と契約したとします。こ満期きんを18歳から4年間、毎年50万円の学資年金を受け取るとすると、50万円からその額に該当する支払保険料(45万円)を差し引いた額、5万円が雑所得となります。

この5万円とその他の所得とあわせて課税されます。受け取るお金は一見同じように見えるのですが、学資年金にすると税金がかかってしまいます。

しかし、一点だけ注意することがあります。受取人が、給与食者の場合には、給与所得と退職所得以外の金額が20万円までは非課税となります。

つまり、先ほどの例だと非課税になるのです。かなり高額な契約でなければ非課税の範囲に収まります。しかし、自営業者の場合にはこの非課税の枠がありませんので、注意しましょう。

ケース③契約者と受取人が違う場合

これまで紹介した一時所得のケースや雑所得のケースでは、契約者の方が受取人でした。しかし、両親が契約し、子供が受取人になる場合、これは法律上、お金の贈与と見なされてしまい、贈与税がかかります。

普通に、親が子供のために教育資金や生活費を出すことは贈与にはなりませんが、学資保険としてお金を受け取る場合、贈与税がかかるので注意しましょう。

贈与書時には、年間で、110万円の基礎控除があります。この基礎控除を超えた金額に対して、金額ごとに設定された税金がかかります。

下記の計算方法で贈与税が求めることができます。

(満期保険金-特別控除額110万円)×税率-控除額=贈与税

税率と控除額は基礎控除後の課税価格によって違ってくるので、満期保険金額から基礎控除額を差し引いた額を下の表に当てはめて求めます。

基礎控除後の課税価格税率控除額
200万円以下10%
300万円以下15%10万円
400万円以下20%25万円
600万円以下30%65万円
1,000万円以下40%125万円
1,500万円以下45%175万円
3,000万円以下50%250万円
3,000万円超55%400万円

例えば、300万円の満期金を受け取った場合を考えると、特別控除額を引いた190万円に、税率10%がかかるので、19万円が贈与税として発生します。

300万円のうち、19万円も税金で、引かれるのは厳しいです。特別な理由がない限りは、受取人と契約者を同一にすると良いでしょう。

もしくは、契約者と受取人とが別の契約になってしまうのであれば、年間の贈与額が110万円以内におさまるようにしましょう。学資保険以外に贈与がなければ、特別控除額の110万円以内に収めることで贈与税はかかりません。

育英年金にかかる税金には要注意!

学資保険に特約で追加できる育英年金(養育年金)と言うものがあります。育英年金とは、契約者である親が死亡した場合に、その後保険が満期になるまでの間、保険料を支払わずに、定められた年金がもらえる制度です。

しかし、この育英年金には、税金がかかります。

まず契約者(保護者)が死亡したときに発生するので、子供が受け取るということで、相続税がかかります。相続税は、「将来受け取る育英年金の受給権」に対して課税されます。ただし、この相続税に関しては基礎控除がかなり大きいため、多くの場合この範囲内になるでしょう。

そして、翌年以降の育英年金は雑所得として所得税の対象となります。注意しなければいけないのは、この所得税です。

所得税は、雑所得と一時所得に分けられます。公的年金や年金保険といった毎年受け取るものは雑所得、毎年ではないものは一時所得に分類されます。育英年金の場合、年金ですので雑所得となります。

そのため、所得が年間38万円を超える場合には受け取るのが子どもだとしても税制上は収入があるとみなされてしまいます。子どもでも所得税・住民税を納めなければならなくなります。

さらに、収入がある、と見なされると親の扶養ではなくなってしまいます。 例えば父親が亡くなって母子家庭になった場合、母親の扶養から外れてしまうことで、自治体の援助などを受けられなくなる可能性がでてくるのです。

また、育英年金を受け取っている間は毎年確定申告が必要になってきます。親の死後のために備えるための育英年金なのに、これでは帰って負担が大きくなってしまいます。

そうならないためにも、万が一に備えるのは学資保険ではなく、生命保険など別の保険を利用すると良いでしょう。

学資保険を途中解約したら税金はどうなる?

もし、学資保険を途中解約してしまった場合はどうなるのでしょうか?

途中解約した場合の返戻金も課税の対象です!返戻金も学資金などの受け取りと同様に一時所得として扱われます。

しかし、上記でも説明しましたが、一時所得は受け取った解約返戻金が支払った保険料の額よりも大きいときに、その利益に対して税金がかかります。

学資保険を途中解約した場合、一般的に支払った保険料よりも、解約返戻金は少なくなります。さらに50万円の特別控除があるので税金がかかることはほとんどありません。

という事で、今回は学資保険に税金がかかるケースをご紹介しました。

基本的な考え方としては、満期の受取額が、支払った保険料よりも50万円以上多いときに税金がかかります。

今後、導入を検討している方はぜひ参考にしてください。

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