少子高齢化が進む日本において、高齢者施設も多様化してきています。
家族や親戚、または自分がこれから高齢者施設を利用するにあたり、どんな種類があるのか、どんな人が入れるのか、入居にかかる費用はどれくらいか、など、いろいろ気になりますよね!
そこでお伝えしたい今回のテーマが、サービス付き高齢者向け住宅。
そもそもサービス付き高齢者向け住宅とはなんなのか、から始まり、老人ホームとの違いやサービス内容、そして入居条件や費用などについても、詳しく解説していきます!
サービス付き高齢者向け住宅の概要!費用やサービス内容は?
サービス付き高齢者向け住宅とは?
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住・サ付き住宅)とは、高齢者が安心して暮らせるサービスを提供する、バリアフリー構造の賃貸住宅・介護施設のこと。
2011年10月に、国土交通省・厚生労働省が所管する「高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)」が改正され誕生した、高齢者のための住宅です。
初期費用と月額費用はそれぞれいくら?
では、サービス付き高齢者向け住宅はどのくらいの値段で利用できるのでしょう?
入居のための初期費用については、一切かからないところもありますが、一般的には敷金や保証金として数十万円程度かかるところが多いです。
一般の賃貸住宅に住む際と大きくは変わらないと言えるでしょう。
また、月額費用は約5~15万円程度となっています。その内訳は、家賃や食費、光熱費・水道費、管理費など。
管理費とは、施設や共有スペースの維持費にかかる費用で、ここには下で詳しく述べる「安否確認」や「生活相談」のサービス費用が含まれる場合もあります。
どのようなサービスがある?
受けられる主なサービスは、「安否確認」と「生活相談」です。
これらはどちらも、サービス付き高齢者向け住宅で義務付けられているものです。
「安否確認」は、定期訪問や食事時での職員による確認か、ビデオカメラやセンサーなどでの確認、また施設によってはその両方を組み合わせて行われます。
「生活相談」とは、生活相談員による暮らしの中での生活サポートのこと。買い物や病院への付き添いから、家族への連絡などまで、専門家が基本的に常駐し入居者にサービスを提供します。
また、施設内のサービスとして、部屋は完全個室で各部屋にそれぞれキッチン・トイレ・洗面台・浴室が設置されています。
そのほか施設によって異なりますが、食堂や共有リビングに加え、温泉やカラオケルーム・シアタールームなどの設備があり、施設全体としては段差のないバリアフリー構造が採用されています。
入居条件は?介護レベルはどのくらい?
入居条件について
このように便利なサービス付き高齢者向け住宅ですが、誰でも入れるわけではありません。
施設入居者は60歳以上の高齢者であるか、要介護者・要支援者認定を受けた60歳未満の方、またその同居者が条件となっています。
なお、同居者は、配偶者(戸籍上の婚姻関係はなくとも、事実上は夫婦関係にあるものも含む)であること・60歳以上の親族、要介護者・要支援者認定を受けている親族・その他特別な理由から同居を知事に認められていることが条件です。
ただし、施設によって「自分で身の回りのことができること」や「認知症でないこと」などが追加条件として定められていることもあるので、必ず確認しましょう。
また、入居にあたってほとんどの場合、連帯保証人・身元引受人が必要です。
連帯保証人がいない場合でも、高齢者住宅財団の家賃債務保証制度を利用するという手段がありますし、身寄りがあっても身元引受人がいない場合は各施設との相談次第で入居できる場合があります。
介護レベルは?
入居の前提となる介護レベルは、ほとんど介護が必要ない、あるいは軽い介護が必要な状態が対象です。
また、入居できたとしても、入居後に介護度が上がった場合には退去しなくてはならない場合があるので注意が必要です。
サービス付き高齢者向け住宅のメリットデメリットを紹介!
メリット① 自由度が高い
有料老人ホームなどの介護施設では、入居者の外出や外泊に許可が必要です。
しかし、サービス付き高齢者向け住宅はこれらの制限が基本的になく、自由度がとても高いのが特徴です。
これに加え、部屋は完全個室である点、自炊などの家事も自分で行う点などから、共有スペースを利用しながらも普通の暮らしをする自由度の高さがあります。
メリット② バリアフリー機能の充実
施設全体として段差がなく、手すりや洗面台などの高さも顧慮されたバリアフリー構造になっています。
そのため、車いすの方やその他高齢者の方にとっても非常に住みやすい生活空間になっています。
メリット③ 有料老人ホームよりも初期費用が安い
有料老人ホームでは入居費が平均1000万円前後(東京都の場合)かかります。
一方、サービス付き高齢者向け住宅では敷金2~3カ月分の月額費用(月額費用は15~20万円程度)が入居費ですので、有料老人ホームよりも初期費用が低額であると言えるでしょう。
デメリット① 介護サービス度が低い
基本的に、サービス付き高齢者向け住宅には、看護師を含む介護職員は配属されていません。
そのため、介護が必要な方は有料老人ホームに入ることを勧めます。
デメリット② 介護が難しくなった際は、退去の可能性もある
前述したとおり、入居できたとしても介護度が上がった場合に、退去を命じられる場合がありますので注意してください。
介護度が上がった場合、介護サービスを行っている事業者に外部委託するか、有料老人ホームに入居し直す必要があります。
サービス付き高齢者向け住宅と有料老人ホームの違いは?
サービス付き高齢者向け住宅は、有料老人ホームとよく比べられることがあります。
では、両者は何が違うのでしょうか?
入居条件・入居費用が異なる
前述のとおり、サービス付き高齢者向け住宅はが入居できるのは、施設入居者は60歳以上の高齢者であるか、要介護者・要支援者認定を受けた60歳未満の方、またその同居者となっています。
また、介護度も自立しているか軽度の要介護が条件です。
しかし、有料老人ホームは入居できるのは原則65歳以上で、重度の介護を必要とする方でも入居できる施設となっています。
また、入居においての連帯保証人・身元引受人の有無に違いはなく、どちらもそれぞれ原則的に必要となっています。
また、入居費用については上に詳述しましたが、サービス付き高齢者向け住宅の方がリーズナブルな価格で入居できます。
施設としての機能が異なる
次に、両者の施設としての機能の違いが挙げられます。
サービス付き高齢者向け住宅はあくまで「賃貸住宅」です。
住宅を居住者みんなでシェアしながら、必要なサービスを受けて生活するというイメージです。
一方、有料老人ホームでは重度の介護が必要な方にも介護を行う施設というイメージです。
受けられるサービスが異なる
サービス付き高齢者向け住宅で受けられるサービスは、基本的に安否確認と生活相談のみです。
介護サービスについては、必要であれば外部事業者と契約しますが、施設内に介護スタッフは配属されていません。
一方、有料老人ホームで受けられるサービスは、介護スタッフによる食事サービス・介護サービス・健康管理が充実しており、その中から希望に沿ってサービスを受けられます。
自由度が異なる
サービス付き高齢者向け住宅は、有料老人ホームに比べて様々な点において自由度があります。
有料老人ホームでは外泊や外出、来客に許可や付き添いが必要になることが基本です。
しかし、サービス付き高齢者向け住宅にはそれらの制限がありません。
部屋も完全個室で、家事も自分のペースで行うことができるので、ある程度自立して生活ができる人にとっては、より自由な生活ができるサービス付き高齢者向け住宅の方が快適に過ごせるのではないでしょうか。
メリット・デメリットをよく考えて施設を選ぼう!
サービス付き高齢者向け住宅は、たくさんのメリットがあり、魅力的な施設であることは間違いありません。
しかし、見ていただいた通り、入居の際に注意すべき点が多くあり、有料老人ホームとのサービスの違いも大きいです。
入居してから後悔しないためにも、入居者の介護度はどれくらいか、必要なサービスは受けられるかなど、よく考えて入居する施設を選びましょう!
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