金融システムが変わる?Facebookの仮想通貨”リブラ”とは?

ポイント

みなさんは「リブラ」という仮想通貨を聞いたことはありますか?

仮想通貨というとビットコインやイーサリアム、リップルなどが広く知られていますが、最近話題となっているのがこのリブラなのです。

通常の仮想通貨では、その決済の台帳であるブロックチェーンを誰でもどこでも書き込むことができる、いわば中央管理者がいない状況が前提となっていました。

しかし、リブラではFacebookという世界有数のIT企業が管理を行うことから、従来の仮想通貨とは一風変わった特徴を持っているのです。

今回は、リブラの持つ特徴や金融システムへの影響などをわかりやすくご紹介していきます!

仮想通貨「リブラ」とはどんなもの?他の仮想通貨にはない特徴とは?

では、さっそくリブラとはどんな仮想通貨なのか、どのような特徴があるのかなどを詳しくご紹介していきます!

リブラの特徴その1:価格の変動が起きにくい

リブラの持つ特徴の一つが、価格の変動が生じにくいという点です。

仮想通貨というと、短期間のうちに価格が大きく変動することによって大儲けしたり、大損をしてしまうなどの投機的な側面が大きくありました。

こうした価格変動がどうして起きるのかというと、ビットコインやイーサリアムなどの一般的な仮想通貨では、発行にあたって裏付けされる資産がありませんので、その価値は買いたい人と売りたい人との受給関係でかなり柔軟に決まってしまいます。

逆に言えば、法定通貨などの信用度の高いものとの交換比率がある程度決まっているのであれば、明確に根拠となる資産の存在がありますので、仮想通貨のような価格変動は起きないと考えられています。

現時点では、このリブラと連動する通貨として、米ドル、ユーロ、日本円、英ポンド、シンガポールドルなどのかなり信用度の高い先進国の通貨が予定されているとされています。

リブラの特徴その2:国際決済の新たな手段となる

リブラの特徴の2つ目は、新たな国際決済の手段となるという点です。

リブラの運営には、協力団体というものが存在しており、そこには世界の名だたる企業が参画しています。

その中には、クレジットカードでお馴染みの「マスターカード」や「VISA」、決済サービスの「PayPal」、配車サービスの「Uber」などが名を連ねています。

現時点では、決済の時に仮想通貨で支払いを選択する機会は多くはありませんが、今後サービスの拡大によって協力団体の運営するサービス内でのリブラの利用が可能になる可能性は高いとされています。

また、あくまで予想ではありますがリブラ専用のウォレットアプリの開発も進んでいるようです。

これによって、銀行口座を持っていない人でも簡単に送金ができるようになることから、特に発展途上国への送金の面倒が解消される社会的な意義もあると考えられているのです。

リブラの特徴その3:利用人数が他の仮想通貨よりも圧倒的に多くなる?

冒頭でも申し上げたように、このリブラの主導権を握っているのはみなさんもご利用してるかもしれない、あのFacebookです。

現時点でのFacebookの全世界でのユーザー数は24億人となっており、ユーザーは世界中どこにでも存在している状況です。

通貨というのは利用している人が多ければ多いほど、使われている範囲が広ければ広いほど、信頼性や安定性・利便性を持ちますので、すでに24億人ものデータを持っているFacebookがリブラを運営していることは、仮想通貨としての普及の可能性の高さを物語っていますね。

金融システムが大きく変わるかも?リブラの実現が経済に与える影響とは?

上記のような他の仮想通貨とは異なる特徴を持つリブラですが、これが普及すると世界にはとんでもない影響を与える可能性があることも示唆されています。

中には既存の経済や金融の仕組みを揺るがすような大きなものもありますので、詳しく見ていきましょう。

リブラによる影響その1:売買データがより企業によって収集されやすくなる

リブラを用いてインターネット上での決済が広まっていくと、Facebookは世界中のあらゆる人の購入データを入手することとなります。

これをインターネット通販を行っている企業だったり、インスタグラムやTwitterなどが利用すると、その人の趣味や趣向にあった商品のみを広告として表示することが可能になっていきます。

例えば、ある人がAというブランドの商品を購入する傾向が強いというデータがあったとすると、インスタグラムの広告としてそのブランドの新商品の情報を表示したり、セール情報などを流すなどの取り組みがされますね。

そしてユーザーは日本円ではなく、アプリ上で簡単にやり取りできるリブラを保有していれば、広告をクリックするだけで簡単に好きな商品を購入できるという利点を享受することができるのです。

リブラによる影響その2:為替という概念が変質する可能性がある

もっと大きな影響の部分で言えば、為替という概念がなくなってしまう可能性も懸念されています。

みなさんがアメリカに旅行に行く際には、日本円をアメリカの通貨であるドルに両替してから行っていますよね。

しかし、リブラを持っていれば日本でもアメリカでも同じように使うことができますから、わざわざその土地の通貨に交換する必要はなくなりますよね。

こうしたリブラを媒介とする貨幣システムの実現によって、そもそもの為替という概念がなくなったり、薄れていく可能性があると考えられているのです。

リブラによる影響その3:リブラ協会が国家よりも大きな力を持つことになる

先ほどの為替の話ともかぶりますが、どこでも同じように使える通貨が存在するのであれば、円やドルよりも便利ですし、手軽なのでリブラをみんなが持ちたがりますよね。

するとどうなるかというと、各国の中央銀行が発行する通貨の魅力をリブラが上回るということになりますので、リブラを運営する協会がとてつもない権力を持つ可能性があります。

現時点でもIT業界の勢いは凄まじいですが、こうしたIT業界によって世界の金融システムが支配されてしまう未来もそれほど遠くないと考えられているのです。

リブラに反対する声は多い!その理由や今後の可能性は?

こうした便利で安全面もある程度保証されているリブラではありますが、実は大きな批判の声も上がっているのです。

批判の声はどこから来るのか、また批判の理由はどんなものなのかを解説していきます。

また、それらを踏まえてリブラの今後の展望に関してもあくまで推測にはなりますがご紹介していきたいと思います。

トランプ大統領もリブラを批判!?政府や中央銀行がリブラを嫌うワケとは?

リブラの構想が上がっている段階から主要先進国の要人たちはリブラに対する批判の声を上げていました。

実はあのトランプ大統領も、「リブラにはなんの地位も信頼性もない」と批判するなど大きな注目の的となりました。

では、どうして各国の要人がリブラを批判するのでしょうか?

その理由の一つが、「自国の通貨を取って代わられるかもしれないという恐怖」があるという点です。

中央銀行としては、自分たちが発行している通貨よりもみんなが使いたがる通貨が国内にできてしまうと、もはや誰も自分たちの発行する通貨を使ってくれなくなる可能性が出てきます。

政府としても現時点での為替のシステムが全くなくなってしまうと、自国にとって不利益が出たり、自分の立場が危うくなったりという懸念があります。

また、こうした利己的な理由だけではなく景気変動への対応の難しさも批判の理由となっています。

例えば、中央銀行の管理する通貨であれば、景気が悪いときには金利を下げる、景気が良すぎる場合には金利を上げるという対処法によって景気を安定化させることができます。

しかし、中央銀行が存在しないリブラが世界を席巻するとなると、景気が悪化したり、好景気化しすぎた場合にうまくコントロールできない可能性も指摘されています。

リブラの今後の可能性は?

ユーザーにも大きなメリットがあり、爆発的な普及の余地のあるリブラですが、G20の会談が2019年10月にあり、リブラに対する規制が提言されるなどの、実現への見通しが怪しくなっているという現状があります。

リーマンショック後の世界経済の混乱を考えれば、やはりリブラの急速な普及を不安視する声が上がることは無理がありませんね。

しかし、現時点ではいくつもの障壁や規制がありますし、政府の批判が収まらないうちには、実現させることは難しいでしょう。

私たちのような個人ユーザーとしては実現すれば願ったり叶ったりの便利なサービスですが、すぐに実現するのは残念ながらまだまだ遠い将来になるかもしれません。

また、価格の上下が少ないのが大きな特徴ですので、投資目的の方の場合には別の仮想通貨への投資を検討した方が良いかもしれませんね。

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