親が認知症や病気で寝たきりになってしまった場合には、家族の手を借りて生活をせざるを得なくなってしまいます。
何か問題が会った時に病院に行く必要がある上、普段の生活にも費用がかかってくるのが現状です。
こうした要介護者に対する介護の仕方としては、
- 在宅介護
- 老人ホームへの入居
の2つの手段が基本的になっています。
前者の場合には、自宅での生活をしながら家族が献身的にサポートしたり、定期的に介護ヘルパーの人に訪問してもらって、サービスを受けることとなります。
後者の場合には、介護のプロにお任せして老人ホームへの入居をさせてあげることができます。
在宅介護の場合にはお金はそれほどかからないものの、家族に大きな負担になってしまう。
その反面、老人ホームではプロによる介護ができるので安心ですし、家族も働き続けることができるが経済的な負担は多いというメリット・デメリットがあります。
在宅介護と老人ホームの利用は一長一短ですが、今回は費用の面で比較をすることで、どのくらい介護にかかる費用に差が出るのかをみていきたいと思います。
在宅介護にかかる費用はいくら!?要介護度別に紹介!
まず最初に在宅介護を行う際の費用を見ていきます。
在宅介護にかかる平均費用
家計経済研究所による「在宅介護のお金と負担2016年調査結果」によれば、在宅介護一人にかかる一か月あたりの費用は6万9千円と計算されました。
要介護度が高くなるにつれて、以下の表のように必要となる介護費用の金額は上昇していきます。
全体平均 | 6.9万円/月 |
---|---|
要支援度1 | 2.8万円/月 |
要支援度2 | 3.4万円/月 |
要介護度1 | 6.5万円/月 |
要介護度2 | 7.7万円/月 |
要介護度3 | 6.9万円/月 |
要介護度4 | 10.1万円/月 |
要介護度5 | 10.7万円/月 |
要介護度が5になると、在宅で介護する場合であっても平均で毎月10万円ほどの費用が必要となることから、かなり家計への負担も大きくなってしまいますね。
在宅費用でかかる費用の項目
在宅介護にはどのようなお金がかかるのでしょうか?
ここからは項目別に目安となる金額を紹介していきます。
- 介護サービス費用
訪問型のデイケアサービスを利用する際には、要介護度の度合いに応じて費用が変わってくるのが一般的となっています。
先ほど同様、家計経済研究所による「在宅介護のお金と負担2016年調査結果」によれば、介護サービスにかかる費用を要介護度別に見ていくと、次の表のようになっています。
全体平均 | 3.7万円/月 |
---|---|
要支援度1 | 1.2万円/月 |
要支援度2 | 1.0万円/月 |
要介護度1 | 2.6万円/月 |
要介護度2 | 4.0万円/月 |
要介護度3 | 4.7万円/月 |
要介護度4 | 5.2万円/月 |
要介護度5 | 7.0万円/月 |
受けるサービスの内容や、より具体的な要介護者の状況によって金額は変わってくるものですが、目安としてはかなり信用性の高い数字と言えそうです。
要介護度が高くなればなるほど、介護に詳しくない家族だけでは対応できないので、単価も高く、サービスの利用の頻度も上げていかなければならないので、介護サービスにかかる費用も上がってしまう傾向があります。
- 日用品代
介護を自宅でするにあたって、日用品を日常的に購入する必要があります。
具体的にはおむつや衣服などで、要介護度が低い場合には今まで通りの生活に近いものが遅れますが、状態が重くなるにつれて生活をサポートするために必要なものは増えていきます。
- 食費
老人ホームに入るのであれば、3食食事がつく場合がほとんどですが、在宅介護の場合には食費も今まで通りかかってきます。
その際に、食べやすいように調理したり、体に気を使ったメニューにするなどの工夫が必要となり、家族とは異なる食材を追加で購入するケースも少なくありません。
- リフォーム代金
日常的にかかるお金ではありませんが、自宅をリフォームする必要がある場合にはリフォーム代金も頭に入れなければなりません。
例えば、階段を緩やかにしたり、お風呂やトイレを高齢者でも使いやすいものにしたりと、あらゆる部分に手を加える必要があります。
場合によっては、数十万円から数百万円かかる場合があるので、初期費用の大きさによっては在宅介護が安く済むというわけではない場合もありますね。
老人ホームに入居した場合にかかる費用はいくら?施設別に紹介!
では、老人ホームへの入居をした場合の費用を見ていきます。
ここでは老人ホームの入居にあたってかかる費用の項目と、施設の性質別に必要となる費用の比較をしていきます。
老人ホームを利用する際にかかる費用
- 入居一時金
入居時一時金とは、所属する老人ホームに一生涯住むために支払う家賃のようなものです。
入居一時金は、一般的な相場は約500万円になります。
入居一時金を設けている老人ホームは必ず償却期間が設けられています。もし仮に退去した場合でも、償却期間内であれば、未償却期間分の入居一時金は返金されます。
- 月額利用料
月額利用料は毎月支払う料金のことをいい、老人ホーム毎に定められた固定費と、日常消耗品などの個人によって異なる雑費の2つから構成されています。
- 固定費
一般的な固定費の内訳は、管理費や食費などになりますが、老人ホーム毎によって内容がかなり異なります。もし検討している老人ホームがある場合は、契約前に必ずホームページから確認してみてください。
- 雑費
雑費は医療費や、おむつ代など入居者によってかかる費用をさします。
資金計画をする際は、固定費だけをみるのではなく、雑費も含めて計画を立てる必要があります。
老人ホームの費用を種類別に紹介!
老人ホームには、民間企業が運営しているものから公共事業として活動されてる施設まで幅広くあります。
様々な形態をもつ老人ホームの中から、代表的な6つの形態とその費用の相場を比較しました。
費用は、初期費用と月額利用料の2つの項目毎に分けています。
老人ホーム・介護施設種類 | 入居時一時金の目安(初期費用) | 月額利用料金の目安 | |
民間施設 | 住宅型有料老人ホーム | 数百万円 | 20~30万円 |
サービス付き高齢者向け住宅 | 数十万円 | 10~20万円 | |
グループホーム | 数百万円 | 15~25万円 | |
シニア向けマンション | 数千万円 | 20~30万円 | |
公共施設 | 特別養護老人ホーム | 0円 | 8~13万円 |
ケアハウス | 数十万円 | 約10万円 |
上記の表のうち、主なものに関して内容や特徴を紹介していきます。
- 住宅型有料老人ホーム
住宅型有料老人ホームとは、食事や清掃などの生活支援サービスがついた老人ホームです。
住宅型有料老人ホームでは、老人ホームのスタッフが直接介護をするのではなく、外部の介護専門の会社と契約しております。生活中に介護が必要になった場合は、外部の介護スタッフが生活を支援するという特徴があります。
- サービス付き高齢者向け住宅
主に、自立している方や介護の必要度があまり高くない高齢者の方を受け入れる施設となっております。
サービス付き高齢者向け時住宅では、万が一に備えて、医療や介護の資格をもつ専門のスタッフが常駐しております。
受けられる主なサービスは、「安否確認」と「生活相談」となっています。
これらはどちらも、サービス付き高齢者向け住宅で義務付けられているものです。
「安否確認」は、定期訪問や食事時での職員による確認か、ビデオカメラやセンサーなどでの確認、また施設によってはその両方を組み合わせて行われます。
「生活相談」とは、生活相談員による暮らしの中での生活サポートのことで、買い物や病院への付き添いから、家族への連絡などまで、専門家が基本的に常駐し入居者にサービスを提供します。
- シニア向けマンション
シニア向けマンションとは住宅型老人ホームとは違い、高齢者の方が生活しやすいように徹底された分譲マンションです。
シニア向けマンションは、老後を活動的に過ごしたいという方を対象にした物件が多く、マンション内には、ジムやプールを併設していることもあります。
分譲マンションのため、介護サービスを受けたい場合は個人で契約する必要があります。
- 特別養護老人ホーム
特別養護老人ホームは公共事業です。
自宅での生活が難しい介護者が対象の施設で、基本的に終身利用を前提としており、看取り看護まで対応しているところも多くあります。
具体的なサービス内容は、食事や、入浴、排泄などの日常生活の介護や、健康管理など要介護者の生活を支える介護を中心に受ける事ができます。
また、特別養護老人ホームのサービス内容は法令で定められているので、どこの施設に入居しても、同じ水準のサービスを受けることができます。
費用も安く、サービスも安定してばらつきがないため、かなり安心できるのが特別養護老人ホームの特徴となっています。
しかし、こうしたメリットから人気が高くなっており、多くの地域では入居待ちの状態が続いているのが現状です。
- ケアハウス
ケアハウスは、60歳以上の高齢者が食事や洗濯などの介護サービスを受けられる施設で、一般型と介護型の2つがあります。
一般型は、介護が不要な人のほか、軽度の介護が必要な人も入居が可能です。
介護型では生活支援のほか、介護サービス、通院の付き添い、安否確認などがあります。
また、地方自治体などが運営しているため、比較的安い料金で利用できる福祉施設となっています。
在宅介護と老人ホームはどっちがいい?メリット・デメリットを解説!
ここまで見てきて、在宅介護と老人ホームでは費用面やサービスの面で大きな違いがあることがわかりました、
しかし、そうした違い以外にも、在宅介護と老人ホームではメリットとデメリットがあります。
ここからは、在宅介護と老人ホームへの入居それぞれのメリットとデメリットをご紹介するとともに、どんな人が向いているかを解説していきます。
在宅介護のメリット・デメリット
まずは在宅介護を利用する際のメリットとデメリットをご紹介していきます。
在宅介護を利用するには、以下の2つのメリットがあります。
- 家族に見守られながら生活することができる
ずっと自宅で過ごしていた方が、突然見ず知らずの方ばかりの老人ホームに移されてしまうと、精神的なストレスを感じやすくなってしまいます。
家族と一緒にいる安心感は、他のものとは替えがたいものです。
介護に慣れていない家族の負担はかかってしまいますが、家族の時間をより多く取ることができる点で、在宅介護は要介護度が低い方であればおすすめかもしれません。
- 老人ホームに入るよりも経済的な負担は少ない
先ほどの費用の比較でもわかるように、在宅介護の方が費用は安く済みます。
特別養護老人ホームなどの費用がそれほど高くはない施設となると、人気も高く入居待ちの状況が続いているところも多くあります。
続いて、在宅介護の場合のデメリットを見ていきます。
- 介護初心者の家族が介護をすることに不安がある
病気を患っている方を介護する場合などには、専門的な知識の薄い家族が介護することには不安がつきものです。
しっかりとしたサポートができない不安を感じながら介護をすることは非常に大変なことであるので、在宅介護をしたいけれども技能が伴っていないという場合には、ホームヘルパーの方を呼ぶ頻度を調整するなどの対応をするといいでしょう。
- 家族にかかる精神的・肉体的な負担が大きい
介護をすることは非常に体力を使う仕事になります。
重い体を何度も起こしたり、ベッドに寝かせる必要があるので、介護を通して体を痛めてしまう方も多くいらっしゃいます。
介護がしやすいベッドなどを購入することである程度の負担は軽減できますが、やはり体力的には厳しいと感じた場合には老人ホームを活用する方が良いでしょう。
また、介護をする側が精神的に弱ってしまうケースも少なくありません。
介護うつという言葉もしばしば聞かれるようになってきたため、介護する側の精神面も介護の際には気をつける必要があるのです。
老人ホームのメリット・デメリット
続いて、老人ホームのメリット・デメリットを紹介していきます。
老人ホームのメリットとしては次のような2つがあります。
- 介護のプロのサポートが受けられる
病気を患っていたり、体の一部が不自由になっている場合には、やはり介護のプロを借りられることのメリットは大きくなります。
家族と一緒にいる安心をとるか、いつでも介護のプロのケアを受けられる環境をとるかは人それぞれかと思います。
- 家族の負担が小さい
先ほどの在宅介護の部分で、介護する家族の肉体的・精神的な負担の話をしました。
こうした負担が家族にかからないのが老人ホームを活用した場合の理由の一つでもありますね。
続いて、老人ホームを利用する際のデメリットを見ていきます。
この場合のデメリットは、やはり費用面で負担が大きくなるという点です。
また、費用が少ない施設ほど人気が高い傾向がありますので、希望の施設があったとしても入居できないケースもあります。
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