弁護士・裁判官と並び、法曹三者の1角である「検察官」。
様々な不正や事件を取り締まっている、というイメージは持っていても、弁護士や裁判官と比べるといまいち身近に感じにくい職業でもあるのではないでしょうか。
今回は、そんな検察官の給与体系や年収を詳しく解説していきます。
検察官といえば、黒川検事長の定年延長問題がニュース等で騒がれていますね。
新聞やテレビで目にすることの多い「検事総長」「東京高検検事長」の具体的な収入も公開していますので、ぜひご覧ください。
検察官の主な役職と給与の決め方を知ろう
「検察官」と一口にいっても種類は意外と多くあります。
検察官のことを、検事と呼ぶ方もいると思いますが、実は検事というのは、検察官の中の階級ランクの1つを指しています。
つまり、検察官=検事ではなく、検察官の中の1つに検事というポジションがあるのです。
それでは、検事以外にはどのような階級があるのでしょうか?
検察官は大きく6つの階級がある
検察官の種類は6つあります。
それぞれの階級と職務内容は以下の通りです。
階級 | 職務内容 |
検事総長 | 最高検察庁のトップ。全検察庁の職員を指揮監督する。 |
次長検事 | 検察庁No.2。最高県庁に所属し、検事総長の補佐を行う。検事総長が事故や病気等で職務を全うできない際に代わりに業務を行う。 |
検事長 | 高等検察庁のトップ。高等検察庁の職員を指揮監督する。高等検察庁は、東京・大阪・名古屋・広島・福岡・仙台・札幌・高松の8拠点ある。 |
検事正 | 地方検察庁のトップ。地方検察庁の職員を指揮監督する。地方検察庁は、各都道府県県庁所在地+北海道函館・旭川・釧路を加えた50拠点がある。 |
検事 | 最高検察庁、高等検察庁、地方検察庁などに配属され、捜査や裁判執行の指揮監督などの業務を行う。 |
副検事 | 区検察庁に配属され、捜査は裁判執行の指揮監督などの業務を行う。区検察庁は、全国438庁ある。 |
上記のうち、検事総長・次長検事・検事長は内閣が任免するすることになっていますが、1983年以降、東京高検検事長が次期検事総長となるのが慣例になっているようです。
検察官は国家公務員の中でも特別な給与が設定される
検察官は、法務省に所属する国家公務員になります。
国家公務員の給与は法律に定められていて、一般的には俸給表と呼ばれる基本給(月給のようなもの)に諸手当とボーナスを加えた額が年収になります。
ただし、検察官の場合は、職種の特殊性から一般的な国家公務員の俸給と異なり、「検察官の俸給等に関する法律」で別途定められています。
このように一般的な国家公務員とは異なった給与体系を持つ特別な公務員には、内閣総理大臣や国務大臣、裁判官、防衛省職員などがあります。
検察官の給料は高い?低い?役職別の給与一覧を公開!
検察官の基本給は、法律により以下の通り定められています。
【検事の場合】
階級 | 基本給 |
検事総長 | 1,503,000円 |
次長検事 | 1,228,000円 |
東京高等検察庁検事長 | 1,334,000円 |
その他の検事長 | 1,228,000円 |
検事1号 | 1,204,000円 |
検事2号 | 1,060,000円 |
検事3号 | 989,000円 |
検事4号 | 838,000円 |
検事5号 | 724,000円 |
検事6号 | 650,000円 |
検事7号 | 588,000円 |
検事8号 | 529,000円 |
検事9号 | 428,800円 |
検事10号 | 394,200円 |
検事11号 | 368,900円 |
検事12号 | 345,100円 |
検事13号 | 322,200円 |
検事14号 | 306,400円 |
検事15号 | 288,200円 |
検事16号 | 277,600円 |
検事17号 | 253,800円 |
検事18号 | 244,800円 |
検事19号 | 234,300円 |
検事20号 | 227,000円 |
【副検事の場合】
階級 | 基本給 |
副検事1号 | 588,000円 |
副検事2号 | 529,000円 |
副検事3号 | 446,700円 |
副検事4号 | 428,800円 |
副検事5号 | 394,200円 |
副検事6号 | 368,900円 |
副検事7号 | 345,100円 |
副検事8号 | 322,200円 |
副検事9号 | 306,400円 |
副検事10号 | 288,200円 |
副検事11号 | 277,600円 |
副検事12号 | 253,800円 |
副検事13号 | 244,800円 |
副検事14号 | 234,300円 |
副検事15号 | 227,000円 |
副検事16号 | 215,000円 |
副検事17号 | 206,600円 |
上記の表をみると、検事と副検事で大きく給与が変わることがわかります。
これは、検事と副検事では資格の取得方法が異なるからです。
検事は、司法試験に合格後、1年間の司法修習と2回試験に合格した人がなれるのに対して、副検事は、国家公務員試験に合格した後、検察事務次官を一定期間務め、試験に合格した人がなれるものです。
副検事を3年以上勤めると、検察官特別考試の受験資格が得られ、副検事から検事になることも可能となります。
【補足:検察事務次官とは】
検察事務次官は、検察官のサポート役のイメージです。検察官の指示を受けて犯罪捜査や逮捕に関する補佐業務、総務会計などの事務業務などを行います。
俸給は一般的な国家公務員と比べると高い傾向
大学院卒で検事20号からスタートした場合、基本給は227,000円となります。
通常の国家公務員の大学院卒の平均俸給が213,000円なので、それらと比べると高く設定されていることがわかります。
また、一般的な国家公務員の場合俸給月額の上限は課長で559,100円なので、階級によっては、それ以上の収入が得られる検察官は、国家公務員の中でかなり収入の多い職種だということがわかります。
ボーナスや各種手当はどうなってる?
ボーナスや各種手当(地域手当・扶養手当・住居手当など)は一般的な国家公務員と同様にもらえます。
なお、公務員のボーナス額はその年の民間企業のボーナス動向にも影響を受けますが大体4〜4.5ヶ月分が支給されることが多いです。
検事総長・検事長の年収は凄い!?総理や国務大臣と比較してみた
検事総長、検事長ともなると基本給だけで130万円〜150万円の月額俸給を受け取ることができます。
実は、検察官トップクラスの階級になると、幹部公務員(総理大臣や内閣官房長官などの政府の要職)と比較しても高い年収となることが分かりました!
具体的な比較表がこちらです。平成15年と少し古い表となりますが、それぞれの相関関係は大きな違いはないと思います。
役職 | 月収 | 年収 |
内閣総理大臣 | 225.5万円 | 4,289万円 |
国務大臣 会計検査院長 人事院総裁 検事総長 | 164.6万円 | 3,131万円 |
内閣法制局長官 内閣官房副長官 副大臣及び副長官 宮内庁長官 公正取引委員会委員長 | 157.6万円 | 2,997万円 |
東京高検検事長 | 146万円 | 2,777万円 |
検査官 人事官 大臣・長官政務官 東大・京大学長 最高検次長検事 | 134.5万円 | 2,558万円 |
内閣総理大臣補佐官 内閣危機管理監 | 1,33.5万円 | 2,539万円 |
国家公安委員会委員 公正取引委員会委員 事務次官 東北大学学長 検事1号 | 131.7万円 | 2,505万円 |
警視総監 | 1,242,000円 | 2,362万円 |
外局長官 検事2号 | 1,160,000円 | 2,206万円 |
警察庁トップの警視総監よりも検事1号以上の階級の検察官の方が給料が高いということが分かります。
ちなみに、参考としての司法のトップである最高裁長官になると月給201万円と公務員の中で最も高い給与水準となっています。
弁護士と検察官、双方の意見を聞いた上で最終判断を下す重要な役目、と考えるとこの金額も納得できそうなところですね。
以上、今回は検察官の年収について詳しく述べていきました。
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