自分で会社を起業するとなると、サラリーマンとは違って税金を自分で計算し納めなければなりません。
法人税、法人住民税、法人事業税、地方法人特別税、消費税、印紙税、登録免許税、所得税、固定資産税、自動車関連の税などなど
会社の運営に毎年様々な種類の税金がかかります。
税理士に任せることもできますが、社長自身が把握しておくのも大事なことです。
今回の記事では資本金一億円以下の中小企業法人(株式会社・合同会社)を対象に税金の種類と納税時期をまとめました。
1、法人税(国税)
まずは法人税です。所得金額に税率をかけて金額を計算します。
計算式は以下の通りです。
会社の利益(益金) - 算入できる損金 = 所得金額
所得金額 × 法人税率 = 法人税額資本金が一億円以下の中小企業は税率が二段階になっています。
所得金額 法人税率 所得が年間800万円以下 15.0% 所得が年間800万円超 23.4% ※平成26年度税制改正によって復興特別法人税は廃止されました。
納付時期:事業年度の終了日の翌日から2か月以内
地方法人税(国税)
地方法人税は平成24年度に新たに施行された税制度です。
今まで地方税である法人住民税として自治体が徴収していた部分の一部を国に移行し、国から各自治体に配分される地方交付税の財源としたものです。
法人税額 × 4.4%
納付時期:事業年度の終了日の翌日から2か月以内
2、法人住民税(地方税)
法人住民税は地方税です。
均等割と所得割の二部分に分かれています。
税率や金額は所在地の都道府県などの自治体によって異なります。
法人住民税 = 所得割 + 均等割
東京都に事業所を置く中小企業の場合法人住民税は以下のようになります。
法人住民税 = 法人住民税額 × 12.9% + 7万円(18万円)
条件 法人住民税 所得割 資本金が1億円以下で、法人税額が2000万円以下 法人税額 × 12.9% 均等割 資本金1000万円以下で、従業員が50人以下 70,000円 資本金が1000万円超1億円以下で、従業員が50人以下 180,000円 ※実際には何段階もあるが、中小企業に対応する部分のみ抜粋
注意点として法人住民税の均等割の部分はその年の決算が赤字でも払わないといけません。
納付時期:事業年度の終了日の翌日から2か月以内
3、法人事業税(地方税)
法人事業税も法人住民税と同じく自治体に納める税金なので、都道府県によって税率が異なります。
法人事業税額 = 所得金額 × 法人事業税率
東京都に事業所を置く場合、法人事業税率は以下のようになります。
資本金1億円以下かつ年間所得2500万円以下かつ年収入金額2億円以下の法人(標準税率)
所得金額 法人事業税率 400万円以下 3.4% 400万超~800万以下 5.1% 800万超 6.7%
納付時期:事業年度の終了日の翌日から2か月以内
4、地方法人特別税(国税)
平成20年度に導入された国に納める税金で、地域間の税源偏在を是正するために、抜本的改革が行われるまでの暫定措置として創設されたものです。
地方法人特別税は消費税増税と同時に2019年10月に事業法人税に統合される予定になっています。(2017年9月時点)
外形標準課税法人以外の法人(≒中小企業)である場合
地方法人特別税率 = 法人事業税率 × 43.2%
地方法人特別税額 = 所得金額 × 地方法人特別税率
所得金額 地方法人特別税率 400万円以下 1.469% 400万円超~800万円以下 2.203% 800万円超 2.894%
納付時期:事業年度の終了日の翌日から2か月以内
実効税率とは?
以上法人の利益にかかる税金についてまとめました。
法人税、法人住民税、法人事業税の三つをまとめて法人税ということもあります。
でも知っていますか?法人税には表面税率と実効税率の二つがあるんです。
表面税率は上の4つの税を単純に合計したものになります。
表面税率 = 法人税率×(100%+地方法人税率+法人住民税率)+(法人事業税率+地方法人特別税率)
法人事業税と地方法人特別税は損金算入できるので次年度以降の税率を抑えることができます。
しかし、上の計算だと損金算入によって得られる税効果を無視しています。
そこで登場するのが実効税率という概念です。
損金算入によって得られる将来にわたる税効果を考慮した実質の負担税率を知ることができます。
例えば所得金額が400万超~800万円以下の中小企業の場合を計算すると
表面税率:24.9%
実効税率:23.2%
となります。
細かいかもしれませんが、大切な概念なので覚えておきましょう。
5、消費税(国税)
ここからは会社固有の税金ではなく、個人事業主にもかかってくる税金になります。
ただ企業は個人と比べて収入や支出の規模が大きくなるので、税金の額も馬鹿にはできません。
消費税は現在8%ですが、2019年10月に10%に引き上げられる予定になっています。(2017年9月時点)
商品・サービスを販売するとき顧客から消費税を預かり、期末に税務署に一括して納付する形になります。
資本金が1000万未満の場合は起業後2年間は消費税を納めなくても大丈夫です。
その後も売上高が1000万を超えた翌々年に課税対象となり納付を開始することになります。
納付税額 = 売り上げにかかる消費税額 ー 仕入れにかかる消費税額
(課税期間の課税売上高) × 8% (課税期間の課税仕入れ高) × 8%
注意点として課税年度になったあとの消費税は赤字であっても納めなければなりません。
いざ納付する時期になってお金が足りないというのはよくある話なので、事前にしっかり準備しておきましょう。
納付時期:事業年度の終了日の翌日から2か月以内※特例として複数回納付
6、印紙税(国税)
5万円以上の領収書など取引上で必要になる印紙にかかる税金です。
納付時期:収入印紙を貼ったとき
7、登録免許税(国税)
会社の設立時には15万円の登録免許税を払います。
それ以外にも著作権や、漁業権の登録、船舶の登記、法人の登記、弁護士・公認会計士・税理士・司法書士などの登録や宅地建物取引業など
登記、登録、特許、免許、許可、認可、指定及び技能証明の際に課税されます。。
8、所得税(国税)
受け取る利子や配当に対してかかります。(配当所得)
役員報酬や従業員の給料から天引きされる源泉所得税も企業がいったん預かり、翌月10日までに税務署に納付するという形になります。
納付時期:給料を支給する度
9、固定資産税(区市町村税)
1月1日時点の保有する土地や建物に対してかかる税金です。
東京都の場合土地や建物の評価額の1.4%の税金がかかります。
またこれに加えて市街化区域に指定されている場合都市計画税として0.3%がかかります。(東京23区は全域が市街化区域に指定されている)
納付時期:6月以降、一括納付もしくは4回に分けて納付
10、自動車関連の税金
社用車を持っている場合、購入する際は税金がかかってきます。
自動車取得税
自動車を購入する際に課される税金です。
新車と中古車で税率の計算方法が違います。
環境性能の高い車は税率が優遇されます。
納付期間:車の購入時
自動車税
4月1日時点の自動車の保有者にかかる税金です。
環境性能の高い車は税率が優遇されます。
納付時期:原則として5月末日
自動車重量税
車の重量によって税額が変わってきます。
環境性能の高い車は税率が優遇されます。
納付期間:車検時
11、社会保険
税金ではありませんが、従業員を雇う際に加入する社会保険も会社の負担額を考えると税金に匹敵する重さです。
社会保険は主に健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険、介護保険の5種類を指します。
大まかに言えば会社は従業員に毎月支払う給料の約15%を社会保険として負担しなければなりません。
社会保険について詳しく知りたい方は下の記事を参照してください。
その他の税金
そのほかの税金として、事業内容によって関税や酒税などかかる場合があります。
まとめ
様々な法人にかかる税金についてまとめました。
個人事業主にかかる税金については以下の記事を参考にしてください。
起業後の個人事業主の税金まとめ・計算方法と支払い時期
会社は黒字なのに税金が払えなくて倒産した例も過去にはあります。
記事を参考にして計画的に支払う準備をしておきましょう。
とはいっても自分は事業に集中したい、税金の計算を自分でするのは面倒だと考える経営者は多いでしょう。
税理士といった専門家の力を借りることも時には必要です。
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