少子高齢化が進む日本では、今後ますます女性の労働力というものが強く求められていくと考えられています。
保育環境の整備や育休制度がさらに充実すれば、女性の社会復帰も進んでいくと期待されている一方、なかなか進まないのが現状です。
多くのパート勤務をしている主婦の方は夫の扶養の範囲内で働いていると思いますが、フルタイム勤務に復帰する際には、扶養を外れなければなりません。
またフルタイムまではいかないものの、パートでしっかり働いて家計をサポートしたいという主婦の方も多いでしょう。
今回は、主婦が扶養を外れて自ら社会保険に加入するのはプラスなのか、その手続きにはどういったものがあるのかを解説していきます。
<テーマ>
社会保険の扶養範囲を超えるべき?メリットとデメリットで比較!
社会保険の扶養は妻の年収が130万円まで!交通費は含みます!
みなさん「130万円の壁」という言葉は聞いたことがあるのではないでしょうか?
130万円の壁というのが、社会保険に自分で入るか、夫の扶養範囲内でとどまっていられるかの境界線なのです。
年収130万円というのは、月収換算で10万8334円となり企業によっては年収ではなく月収換算で社会保険への加入が決定する場合があるので、誰しもが年収130万円のラインを気をつけていればいいというわけではないので気をつけましょう!
また、所得税などの税金計算における収入には交通費は換算しない一方、社会保険に関わる計算では交通費は含めて計算するので、うっかり交通費を抜きにして130万円ギリギリで働くとわずかに足が出てしまうケースもあるので注意しましょう!
社会保険に加入するメリットとデメリットは?
メリット
社会保険に加入する最大のメリットは、将来もらえる年金が増えることです。
最近では、「本当に自分の老後に年金がもらえるのか」という不安の声がよく聞かれますよね。
配偶者の扶養を抜けて自分で年金に加入すると、厚生年金保険に加入することとなり、短期的に見ると手取り額が減った気持ちになりますが、長期的には一概に損とは言い難いです。
デメリット
上のメリットでも多少触れていますが、社会保険に自ら加入することで、今まで支払ってこなかった社会保険料分の負担が上乗せされるというデメリットがあります。
社会保険の負担は年収が130万円を超えた途端にスタートするので、年収129万円と131万円では手取りに直すと前者の方が断然大きくなってしまいます。
扶養内で働くメリットとデメリットは?
メリット
社会保険料を自分で支払う必要がない、というのが扶養内にとどまる大きな利点です。
これから説明しますが、社会保険料の支払いは税金などと異なり、所得が多かろうが少なかろうが一定の割合で課せられます。
そのため、所得が小さなうちには手取り額が扶養を外れた場合よりも大きく維持できる場合があります。
また、面倒な手続きをしなくて年末調整だけで済む、というのも大きなメリットですね。
デメリット
これは社会保険に加入するメリットの裏返しで、将来もらえる年金額が増えないという点です。
また、配偶者が失業した場合には、国民健康保険や国民年金に再度加入し直さなければならないという難しさがあります。
もし、妻の方も自立して社会保険に入っていれば、夫が失業しても扶養に入れてあげられるので、万が一の場合に備えて別々で社会保険に入っておくというリスク管理もできるかもしれません。
社会保険の負担額はどのくらい?
社会保険料率は何%!?
社会保険料率は住んでいる地域によって異なります。
おおよそ収入の14%~15%と考えておけばまず間違いはありません。
多くの場合は、会社員と会社が同額を負担することとなっています。
雇用保険
雇用保険は一般的には、失業保険とも呼ばれます。
労働者が万が一失業した際には、失業後の生活を保護するための失業手当が受けられるようにするのが、雇用保険の役割です。
労災保険
労災保険は、業務時間内での怪我や業務に起因する病気などが発生した際に、治療費や休業中の賃金補償を受けるための保険です。
万が一こうした怪我や病気が原因で後遺症が残った場合の障害年金なども、この保険から支給されます。
健康保険
健康保険は労災保険とは異なり、業務以外での病気や怪我の治療費を補償してくれる保険です。
これが最も保険らしい保険とも言えますね。
厚生年金保険
厚生年金保険とは、加入した人が一定の年齢に達した際に、国民保険と合わせて老後資金を給付するための保険です。
社会保険に関する詳しい情報は以下のリンクで紹介しているので、気になる方はぜひチェックしてみてください!
夫の扶養から外れる手続きは?手続きをしないと損をする?
夫がやるべき手続きは!?
①まずは夫の会社に保険証を返却!
これから紹介する扶養から外れる手続きはほとんど夫の会社を通して行われます。
また、税金などは一般的には誰かに言われてからでは延滞金などを支払わなければいけないなど、損をするようにできているのがほとんどです。
自分で主体的に手続きを行っていく意思が必要になります。
まずは、夫の会社に扶養を抜けるという意思を伝えて「健康保険被扶養者届」を受け取り、記入します。
この書類を健康保険証と合わせて会社に提出することで会社に扶養を外れる意思をしっかり伝えることとなります。
②被扶養配偶者非該当届を提出し、扶養を外れたことを伝える
会社に扶養を外れる旨を伝えたら、いよいよ第3号被保険者を卒業します。
被扶養配偶者非該当届を提出しないと、年金処理においては第3号のままとなってしまい、年金が受け取れなくなる恐れがあるので忘れずに提出しましょう!
③資格喪失証明書を受け取る!
最後に、資格喪失証明書を受け取ります。
これは、妻が社会保険の扶養から外れた日を証明する書類で、夫の会社に発行してもらえます。
この書類も国民年金や国民健康保険の加入で必要となるので、しっかりもらっておきましょう!
④年末調整で妻の年収を申告する!
妻が扶養から外れた場合には、扶養控除申告書などには妻の名前は書けなくなるので注意しましょう!
妻がやるべき手続きは!?
勤務先の社会保険に入るのであれば特にやることはない!
勤務先の社会保険に加入する場合には、妻自身が個人的にやらなければいけないことは特にはありません。
会社で求められた書類をしっかり提出すればOKです!
自分で国民年金や国民健康保険に加入するのは大変!
勤務先で社会保険に入れなかった場合にはかなり厄介なことになります。
扶養を外れてから14日以内に、近くの市役所などで国民年金や国民健康保険の加入手続きを行わなければなりません。
手続きをしないと損をする?どんな問題がある?
上記の手続きを怠るとどういった問題があるのでしょうか?
仮に夫の扶養に入りつつ、自分でも社会保険にも入った場合には二重に保険に加入していることとなります。
それ自体には問題はあまりありませんが、夫の企業から扶養手当を受けている場合は大きな問題が発生します。
妻が扶養から外れているにも関わらず、扶養手当を受けたことが発覚すると返還義務と罰則が与えられるので、隠す意思がなかったとしても迅速に会社には扶養を抜けることを伝えましょう。
まとめ
今回は、妻が扶養を外れる際の手続きや注意点を確認しました。
妻が扶養を外れる際には、夫の協力が欠かせないので妻の社会復帰には夫婦間でしっかり話し合う必要がありますね。
社会保険の具体的な加入条件は以下の記事で解説しているので、ぜひ見てみてください!
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