老人ホームの費用を施設種類別に比較!年金だけで入居費はまかなえる?

老人の集まり

「そろそろ親を老人ホームにいれないと。。」「老後に施設に入るとしたらどれ位お金がかかる?」こんな思いから、老人ホームの費用がいくらかかるか心配になる方も多いと思います。

一口に老人ホームといっても特養やケアハウス、有料老人ホームなど種類が多く、料金だけではなくそもそもの違いや特徴が分からないという声もよく聞きます。

そこで、今回は、老人ホーム・介護施設にかかる費用を種類別にまとめてご紹介します。それぞれの入居条件から年金だけで入居できるのかといった素朴な疑問にもお答えしていますので、ぜひ最後までご覧ください。

そもそも老人ホームの費用って何がかかるの?内訳は?

老人ホームの費用の内訳はどうなっているのでしょうか?

老人ホームの費用の内訳は、大きく分けると2つに分類できます。

1つは入居時に支払う、『入居一時金』と呼ばれる初期費用です。そして、2つ目は毎月支払う『月額利用料』になります。

入居一時金

入居時一時金とは、所属する老人ホームに一生涯住むために支払う家賃のようなものです。

入居一時金は、一般的な相場は約500万円になります。

入居一時金を設けている老人ホームは必ず償却期間が設けられています。もし仮に退去した場合でも、償却期間内であれば、未償却期間分の入居一時金は返金されます。

月額利用料

月額利用料は毎月支払う料金のことをいい、老人ホーム毎に定められた固定費と、日常消耗品などの個人によって異なる雑費の2つから構成されています。

固定費

一般的な固定費の内訳は、管理費や食費などになりますが、老人ホーム毎によって内容がかなり異なります。もし検討している老人ホームがある場合は、契約前に必ずホームページから確認してみてください。

雑費

雑費は医療費や、おむつ代など入居者によってかかる費用をさします。

資金計画をする際は、固定費だけをみるのではなく、雑費も含めて計画を立てる必要があります。

老人ホームの費用の相場はいくら?種類別に比較!

老人ホームには、民間企業が運営しているものから公共事業として活動されてる施設まで幅広くあります。

様々な形態をもつ老人ホームの中から、代表的な6つの形態とその費用の相場を比較しました。費用は、初期費用と月額利用料の2つの項目毎に分けています。

老人ホーム・介護施設種類入居時一時金の目安(初期費用)月額利用料金の目安
民間施設住宅型有料老人ホーム数百万円20~30万円
サービス付き高齢者向け住宅数十万円10~20万円
グループホーム数百万円15~25万円
シニア向けマンション数千万円20~30万円
公共施設特別養護老人ホーム0円8~13万円
ケアハウス数十万円約10万円

施設ごとの入居条件・特徴を解説!サポート内容も大きく違う!

老人ホームには、それぞれ入居条件があり、今回は主要な5つの施設を比較します。

入居条件を大まかに分けると下記のようになります。

老人ホーム・介護施設種類入居条件
自立要支援要介護 認知症看取り
住宅型有料老人ホーム
サービス付き高齢者向け住宅
シニア向けマンション×
特別養護老人ホーム××
ケアハウス

※○受け入れ可能 △要相談 ×受け入れ不可

自立 : 身の回りのことを自分で行える状態

要支援 :  現在は介護の必要はないが、将来的に介護が必要になる可能性があり、今のうちから支援を受けている状態

要介護: 要介護とは自立した生活を送るために介護支援を受けている状態

住宅型有料老人ホーム

住宅型有料老人ホームとは、食事や清掃などの生活支援サービスがついた老人ホームです。

住宅型有料老人ホームでは、老人ホームのスタッフが直接介護をするのではなく、外部の介護専門の会社と契約しております。生活中に介護が必要になった場合は、外部の介護スタッフが生活を支援するという特徴があります。

サービス付き高齢者向け住宅

主に、自立している方や介護の必要度があまり高くない高齢者の方を受け入れる施設となっております。

サービス付き高齢者向け時住宅では、万が一に備えて、医療や介護の資格をもつ専門のスタッフが常駐しております。しかし最近では、介護サービスを実施している施設も増え、住宅型老人ホームとの境界線が曖昧になってきています。

シニア向けマンション

シニア向けマンションとは住宅型老人ホームとは違い、高齢者の方が生活しやすいように徹底された分譲マンションです。

シニア向けマンションは、老後を活動的に過ごしたいという方を対象にした物件が多く、マンション内には、ジムやプールを併設していることもあります。

分譲マンションのため、介護サービスを受けたい場合は個人で契約する必要があります。

特別養護老人ホーム

特別養護老人ホームは公共事業です。

自宅での生活が難しい介護者が対象の施設で、基本的に終身利用を前提としており、看取り看護まで対応しているところも多くあります。

ケアハウス

ケアハウスは、60歳以上の高齢者が食事や洗濯などの介護サービスを受けられる施設で、一般型と介護型の2つがあります。

一般型は、介護が不要な人のほか、軽度の介護が必要な人も入居が可能です。

介護型では生活支援のほか、介護サービス、通院の付き添い、安否確認などがあります。

また、地方自治体などが運営しているため、比較的安い料金で利用できる福祉施設となっています。

老人ホームの一時金や月額利用料の支払い方法は?

老人ホームでは、初期費用がとても高額だと記載しましたが、実は施設の多くは複数の支払い方法を用意しております。

本記事では、支払い方法の主な特徴をまとめました。ご自身の資金計画にあったお支払い方法を洗濯してみてください。

  • 全額前払い方式 

入居一時金などの全ての費用を一括して前払いする方法
メリット 一括で支払うことにより、トータルの支払い金額を抑える事ができる

  • 一部前払い方式 

入居一時金の一部を頭金として支払い、残りの料金を月額利用量と合わせて支払う方法
メリット もし退去した場合『返還金制度』によって、支払った金額の未償却分返金

  • 月払い方式

前払いをせずに、月毎に月額利用料と入居一時金を支払っていく方法
メリット 老人ホームの月額利用料が値下げされた場合、支払い金額を安く抑える事ができる

年金だけで老人ホームに入居することはできる!?

定年退職後は、万が一の場合に備えて出費を最小限に抑えたいですよね。

老人ホームの費用も、年金の支給額でまかなおうと思っている方も多いと思います。

ここからは、年金だけで老人ホームの費用がまかなえるのか検討していきます。

国民年金・厚生年金の平均受給額はいくら?

まずは、毎月いくら年金が支給されるのかを考えなければいけません。

年金の支給額は、納めた保険料により異なります。また、会社勤めで厚生年金があるのか、自営業で国民年金しか受け取れないのか、それによっても年金の支給額は大きく異なるので確認する必要があります。

本記事では、平均支給額で考えていきます。

厚生労働省によると平成28年度の年金支給額は、国民年金支給額の平均が55,464円、厚生年金支給額の平均が147,927円です。ちなみにここ3年間の年金の推移は以下の通りです。

年度厚生年金受給額(平均)国民年金受給額(平均)
平成26年度147,513円54,497円
平成27年度147,872円55,244円
平成28年度147,927円55,464円

平成28年度 厚生労働省年金局 厚生年金保険・国民年金事業の概況 参照

年金だけで費用をまかなうのは難しい!

やはり、年金だけで老人ホームの費用をやりくりするのは難しいです。

国民年金の受給額が6万円弱なので、老人ホームの月額利用料の相場が20万円とは大きく乖離してしまします。厚生年金・国民年金を受け取れる人であっても現実的にかかる生活費も含むと、年金で費用をまかなうのは難しいといえるでしょう。

しかし、条件によっては年金だけでまかなうことも可能です。

今回は、年金でまかなえる2つの条件をお伝えします。

  • ①厚生年金・国民年金を受け取り、特別養護老人ホームに入居した場合

特別養護老人ホームの場合、初期費用がかからず、月々の利用料も8~13万円となっているため、厚生年金と国民年金を受け取っている方は年金だけで、まかなうことも可能です。

  • ②ケアハウス(低所得者限定)

ケアハウス(軽費老人ホーム)では、世帯収入により、利用料が設定されます。

例えば、東京都のあるケアハウスでは、対象収入が年間150万円以下の入居者の場合、費用・料金は毎月約7万円となっています。

この利用料金の金額は、地方自治体により異なるので、お住いの地域毎に確認してみてください。

ただし、ケアハウスの場合は、入居倍率が高いので要注意!初期費用がかからず、月額の負担量が少ないケアハウスは、数が少なく、入居倍率が高いというデメリットがあります。

入居希望を出しても、実際に入居までの期間が半年以上、長い場合には1年以上となる場合もしばしばあります。ケアハウスの入居を考えている場合は、早めに準備することをおすすめします。

老人ホームの費用が払えない時の対処法!利用できる制度やサービスは?

①国の軽減制度を活用する

老人ホームに、入居する場合、費用を軽減するための制度があります「高額介護合算療養費制度」と「高額介護サービス費制度」です。

この2つの制度を利用することで、少しでも負担を減らすことができるかもしれません。

高額介護サービス費

高額介護サービス費とは、自己負担額が一定金額を超えたとき、超えた分のお金が戻ってくるという制度です。

この制度では所得区分によって上限金が異なります。

下の表は所得区分による自己負担の上限金額です。

所得区分自己負担上限額
生活保護受給者1,5000円
世帯全員が市区町村民税の課税対象外2,4600円
世帯内に市区町村民税の課税対象者がいる場合4,4600円
課税所得145万円以上、世帯内の収入520万円の収入がある場合4,4000円

特定入所者介護サービス費

特定入所者介護サービス費とは、生活保護世帯など、所得の少ない方に対してショートステイを含む介護保険施設の利用料のうち、居住費と食費の軽減措置が受けられる制度です。

特定入所者介護サービス費用を利用するには、負担限度額認定というものを市区町村に申請し、認定されていることが条件となります。

下の表は、特定入所者介護サービス費を利用できる方の条件となっています。

・生活保護者等、もしくは世帯全員が市町村民税非課税で老年福祉年金受給者

・世帯全員が市町村民税非課税で、本人の公的年金収入額+合計所得金額が80万円以下

・世帯全員が市町村民税非課税で、本人の公的年金収入額+合計所得金額が80万円超

②年金で在宅介護サービスを利用する

老人ホームに入居する以外にも、訪問型の在宅介護サービスを利用することも可能です。

在宅介護サービスには、訪問型以外にも、デイサービス事業所に通うなど様々なサービスを受けることができます。

公益財団法人 家計経済研究所によると、1ヶ月あたり、在宅介護にかかる費用は5万円程度で、老人ホームに加入するより料金をお安く抑えることができます。

以上、今回は老人ホームの費用についてお話しました。年金だけで費用を補填できないとなると、早めから準備をしておく必要がありそうですね。

今後医療の発展により、人々の寿命はどんどん伸びていくことでしょう。いざ自分が長い期間、施設に入らなくてはならなくなった時も必要な資金を貯めておくことをおすすめします。

老後の貯蓄について心配な方は以下の記事も合わせて読んでみてください。

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