最近では、厚生労働省の「モデル就業規則」で「労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる」と改定し、政府も主体的に副業を容認し始めています。
しかし、実態としてはまだまだ副業禁止の会社も多く、気軽に副業を始めることは難しい状況にあると思います。
このように一般的に禁止されているケースの多い副業ですが、その場合には絶対に副業することは許されないのでしょうか?
また、副業をしていることが会社にバレない方法はあるのでしょうか?実はこちらについても2018年の税制改正に伴い、副業をする会社員が注意しなければならない点が新たに出現しました。
副業を検討されている方はぜひ本記事を参考にしてみてください。
副業は法律的にもアウト?なんで禁止と言われてるの?
就業規則で禁止されているケースが大半
結論から言うと「副業禁止は就業規則で定められているだけであり、法律による拘束ではない」のです。
リクルートキャリアの調査によれば(2018年10月12日)によれば、兼業・副業を容認している企業は28.8%であり、禁止している企業は71.2%となっています。
前年よりも容認している企業は増加しているものの、まだまだ少なく、増加率も小さい状況です。
副業が禁止されている理由
それでは、なぜ企業は社員の副業を禁止しているのでしょうか。
基本的には「副業に労働力を割くことで、本業がおろそかになってしまうことを防ぐため」です。
そのため、例えば、終業後から夜中までのアルバイトや本業の会社と競合する会社での仕事など、本業に影響してしまうような副業は副業禁止規定に抵触する恐れがあります。
一方で、株や不動産投資などの投資系や家賃収入などは本業への影響が低いと想定されますので、副業禁止規定に抵触する恐れは少ないでしょう。
副業が忙しく、本業の仕事中に寝てしまう、遅刻・欠勤が激しい、というような状況になってしまうのであれば会社も禁止せざるを得ませんよね。
また、その他には副業によって会社が風評被害を受けてしまうことや情報漏洩があることを危惧することも副業禁止の理由となっているようです。
もし副業がバレたら懲戒処分!?
投資等の副業で懲戒になるケースはほとんどない
上記のような投資や家賃収入など、本業に支障をきたす可能性の低い副業であれば、もし仮に会社にバレたとしても懲戒処分になるケースはほとんどありません。
また、憲法・法律によって副業をしていたことを咎められることはありません。
しかし、会社の評判を落とす・情報漏洩など、本業に支障をきたすような結果を招いてしまうような場合には、懲戒処分になる恐れがあります。
実際の裁判でも判断が分かれるところですので、一概に判断することはできませんが「副業が本業にどれほど影響を与えたか」という点を基準に判断されることは間違い無いでしょう。
公務員の副業は禁止されているので注意しよう
憲法・法律では副業は禁止されていないと述べましたが、公務員の場合には注意しましょう。
公務員以外の方の場合には、憲法によって職業選択の自由が保証されていますが、公務員の場合には「国家公務員・地方公務員法」が適用され、副業が禁止されています。
この理由は同じで、本業である公務に専念するため、そして業務に関しての情報が漏洩することを防ぐためです。
しかし、最近では公務員の副業も徐々に解禁されてきています。
限定的ではありますが、主にNPO法人やNGOなどの「公益的活動」を目的とする活動が今後は解禁されていくようです。
公務員の副業解禁の先駆けとして、神戸市の「地域貢献応援制度」の例があります。
神戸市がこういった動きに踏み入った理由としては「人手不足」や「労働人口の減少」があげられます。震災からの復興を進める上で、人手を賄うため、公務員の参加も積極的に促すために許可されたのでしょう。
また、公務員でも、金融商品への投資(株式等)や不動産投資、講演・執筆活動は一部認められています。
どんな時に副業がバレる?
住民税の増額
副業で収入を得ると、それに応じて住民税が発生します。
住民税は、前年度の所得に応じて決定し、税務署が私たちの居住している市町村にその額を通知することになります。
そして、会社員の場合には、住民税を会社が私たちに代わって収めることになります。
これを特別徴収と呼び、ほとんどの会社員の方は特別徴収で納めています。
注意したいのは、この会社に通達される住民税も、副業収入の分増加したものであるという点です。つまり、住民税が増えることで別の収入があることが会社にバレてしまうのです。
知人の密告
もう一つは、会社の同僚などに密告されてしまうケースです。
これは、副業に関しては誰にも言わない、もしくは本当に信頼できる人にしか言わないなどの対処法しかありません。
副業が会社にバレない方法はある?
以前は住民税の支払い方法を変更することで対応できた
実は、これまでは副業していることが会社にバレない方法が存在しました。
上述したように、副業がバレてしまうケースとしては、住民税が会社に通知されたタイミングが大半です。
しかし、特別徴収ではなく、自分で住民税を収める「普通徴税」というものが存在します。
副業をされている方であれば、確定申告をされていると思います。
その申告書に住民税の項目があり、下記の2点を丸つける箇所があるのです。
◯給与から天引き(特別徴収)
◯自分で納付(普通徴収)
この時に、普通徴収の方に丸をしておけば、申告した所得に対する住民税の通知は会社ではなくあなたの元に届くようになります。
そうすることで、会社にあなたに副業収入があることを知る機会は訪れないのです。
2018年から年末調整用紙の変更し、対応が難しくなってしまった
しかし、2018年(平成30年度)に配偶者控除および、配偶者特別控除の見直しが行われ、それに伴い、年末調整の用紙が変更する運びとなりました。具体的には、年末調整で提出する必要のある申告書類が2種類から3種類になっています。
以前は「給与所得者の扶養控除等申告書」「給与所得者の保険料控除申告書 兼 配偶者特別控除申告書」の2種類でしたが、以下の3種類の提出が必要とされています。
①:給与所得者の扶養控除等申告書
②:給与所得者の保険料控除申告書
③:給与所得者の配偶者控除等申告書
従来は、配偶者控除を受けるためには、『給与所得者の扶養控除等(異動)申告書』に配偶者を記載するだけで済んでいました。
しかし、今回の改正によって③の「給与所得者の配偶者控除等申告書」の提出が必要となりました。
そして、「給与所得者の配偶者控除等申告書」には配偶者だけでなく、本人の所得も詳細に記入する必要があり、副業をお持ちの方は本業以外の収入も記入する必要があります。
つまりは、新たに「給与所得者の配偶者控除等申告書」を提出する必要が発生したことで、普通徴税に変更しても、会社に副業所得がバレてしまう恐れが発生したことになります。
副業の可否が心配な方は会社や税理士に相談してみましょう
まだまだ副業禁止である会社が多くありますが、投資活動などで副業収入を得ていらっしゃる方もいらっしゃると思います。
しかし、これまでは普通徴税への切り替えで対処されていた方も、2018年の税制改正によりそれだけでは対処しきれなくなってしまいました。副業の種類にもよりますが、これからはより煩雑な対策が必要とされるでしょう。
副業収入も重要だと思いますが、会社にバレてしまい、問題になってしまっては困りますよね。
会社によって、就業規則で定めている内容はまちまちです。もし副業をするにあたって心配がある場合は、会社の就業規則を確認させてもらったり、税理士に相談してみる、などの対応を行なってくださいね。
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