東証がプレミアム市場を創設!上場・降格基準の厳格化で影響を受けるのは誰?

東京

東京証券取引所が一部市場の見直しをはじめ、市場全体を再編する案を固めました。

 

また、市場再編に伴い、これまで最上位にあった東証一部への上場基準を厳しくして、国内外の投資家が優良企業へ投資できる状況を整えています。

 

今回は、市場再編の内容や影響、再編に至った経緯などをわかりやすく解説します。

 

東京証券取引所が市場再編!内容や変更点は?

資料とグラフ

1部はプレミアム、2部・ジャスダックは統合してスタンダードに変更

東京証券取引所は、これまで1部・2部・ジャスダック・マザーズの4市場で編成されていた市場を3市場に再編する方針を固めました。

 

再編後は、

  • 最上位の「プレミアム市場」
  • 中堅の「スタンダード市場」
  • 新興企業向けの「エントリー市場」

の3つの市場となります。

 

市場再編のポイントは、以下の2点になります。

  • 1部への上場基準・降格基準を厳格化し、1部上場企業数を絞り込み「プレミアム市場」を創立
  • 東証2部とジャスダックを統合し「スタンダード市場」へ

 

東証改革を進めている「市場構造の在り方等に関する懇談会」がこれらの内容を盛り込んだ報告書をまとめ、東証が2019年3月内に公表する見通しです。

 

報告書では、新興企業向け市場(エントリー市場)については、上場から一定期間経営が経過したあとにスタンダードへの昇格を行う内容なども盛り込まれているようです。

 

東証一部の上場・廃止基準が厳格化へ

現在、東証一部上場企業への新規上場基準は、時価総額250億円以上となっており、東証2部とマザーズから内部昇格する場合は時価総額40億円以上という条件が設けられています。

 

これは、2012年のリーマンショック時に市場が冷え込み、新規上場企業が減少したことから設定されたもので、当時の時価総額500億円以上から半分の250億円と大幅に引き下げられました。

 

この度の市場再編によって、上場基準および廃止基準が見直しされることになり、現時点では、

  • 時価総額
  • コーポレートガンバンス
  • 株式流動性

 

の観点で引き締めされることが論じられています。

 

時価総額に関しては以前の500億円〜1,000億円案が検討されており、もし500億円以上であれば東証一部企業数は約1000社に、1,000億円以上なら約620社まで減少することになります。

 

現在の東証一部企業数は2137社(2019/3/15時点)なので、市場再編によって半数以上の企業が一部上場(プレミアム市場)の基準に満たないことになります。

 

また、日本経済新聞の報道によると、上場を維持できる時価総額の基準を現行の20億円から250億円に引き上げることが検討されています。現在の時価総額で考えると、これにより全体の3割(約720社)が除外される計算になるとのことです。

なぜ東証の再編が実施される?理由や背景を解説!

ポイント

それでは、なぜ今回東京証券取引所の再編が行われたのでしょうか。

ポイントは、増え過ぎた東証一部企業数であるといえます。

 

日本の東証一部企業数は、現在2,137社で、これは東京証券取引所全体の上場企業の内58%をも占めています。つまり東証2部、マザーズ、ジャスダックの合計企業数よりも多いのです。

 

また、世界をみてみると、米ナスダックのグローバル・セレクト市場で1400社、ロンドンのプレミアム市場で500社となっており、世界的にみても東証一部企業数が多いことがわかります。

 

日本の市場関係者からも廃止基準がゆるく、企業が増え続ける一方という点が問題視されていました。

 

また、ジャスダックやマザーズから内部昇格する場合、マザーズでは時価総額40億円で一部鞍替えができるのに対し、ジャスダックでは250億円以上の時価総額が必要となっており、複雑化していることも問題となっています。

 

つまり、東証一部という最上位の市場ながらも条件は必ずしも高いハードルではなく、また廃止基準もゆるいことから様々な企業が入り混じっている状態となってしまっているのです。

 

経営者としても、一部上場がゴールとなってしまい、上場後の企業価値の向上をおろそかにしているのではないかという声も上がっていました。

 

こうした背景があり、一部上場の引き締めを中心に今回の市場再編が実施されることとなりました。

 

プレミアム市場の創立で影響を受けるのは誰?

計算

プレミアム市場の創立によっておよそ半数以上の企業が最上位市場から締め出される見通しとなっていますが、中でも最も影響を受けるのが「地銀」ではないかと言われています。

 

現在、83の銀行が東証に上場していますが、それら全てが一部に上場しています。

 

もしプレミアム市場の上場基準が時価総額500億円になった場合、上記83行の内、32行が対象外となってしまいます。

 

地方銀行は、地元での知名度の向上や採用ステータスのために上場による恩恵を受けているため、仮に現在時価総額500億円に満たない場合、何らかの対応をとることが予想されています。

 

対応策として現実的なものが他行との統合と言われています。地銀の場合は他の業界と異なり、これまでも多くの統合事例があります。現状としても経営環境が不安定になっている中で現実的な手段だとみられているようです。

 

プレミアム市場の誕生によって、一部上場企業各社がどのような施策を打ってくるのか、今後の動きに注目したいところです。

東証再編で日本経済はどう変わるか

日本地図

プレミアム市場の誕生によって、日本経済に大きな影響があることは間違いありません。

 

移行については具体的な期間については決まっていませんが、上場企業から反発の声が上がることもあるでしょう。移行には十分な期間が必要だといえます。

 

新たな審査基準に満たない一部上場企業は、対応を迫られています。こうした状況の中で各社が自社の企業価値向上のために一層の努力をしてくれるといいですね。