2019年2月27、28日、トランプ大統領と金正恩朝鮮労働党委員長による第2回米朝首脳会談がシンガポールで開かれました。
会談でアメリカが北朝鮮の非核化の合意締結とミサイル開発の中止を要求、北朝鮮側は経済制裁の緩和を要求しましたが、北朝鮮との非核化は合意されず、北朝鮮が再びミサイル発射施設を復旧しているというニュースが話題となっていますね。
北朝鮮は2年前の2017年にミサイル発射を繰り返し、核実験も行い、北朝鮮が発射したミサイルが日本列島上空を横断したこともありました。記憶に新しい方も多いのではないでしょうか?
目の前の国からミサイルが発射されるともなれば、国の安全が脅かされることになります。経済や株式市場もそんな情勢に反応しないわけがありません!
今回は北朝鮮のミサイル発射や核開発の継続などの影響で株価に動きがみられた銘柄をご紹介します。
近年の北朝鮮のミサイル発射・核実験の動向をおさらい
まず初めにここ数年の北朝鮮の動向をおさらいしてみましょう。
防衛省の発表によると2017年の北朝鮮のミサイル発射や核実験の実行などのイベントは以下の通りでした。
日付 | 主な出来事 | 備考 |
2017年2月12日 | 新型の地上発射型弾道ミサイル(推定)発射 | 飛距離約500km |
2017年3月6日 | スカッドER(推定)発射 | 飛距離約,1000km |
2017年3月22日 | 分析中 | 発射数秒以内に爆発し、失敗 |
2017年4月5日 | 分析中 | 飛距離約60km |
2017年4月16日 | 分析中 | 発射直後に爆発し、失敗 |
2017年4月29日 | 分析中 | 飛距離約50km離れた内陸部に落下し、失敗 |
2017年5月14日 | IRBM級の新型弾道ミサイル(推定)発射 | 飛距離約800km |
2017年5月21日 | 新型弾道ミサイル(推定)発射 | 飛距離約500km |
2017年5月29日 | スカッドを改良した新型弾道ミサイル(推定)発射 | 飛距離約400km |
2017年7月4日 | ICBM級の新型弾道ミサイル(推定)発射 | 飛距離約900km |
2017年7月28日 | ICBM級の新型弾道ミサイル(推定)発射 | 飛距離約1,000km |
2017年8月29日 | IRBM級の新型弾道ミサイル(推定)発射 | 飛距離約2,700km |
2017年9月3日 | 6回目の核実験実施 | |
2017年9月15日 | IRBM級の新型弾道ミサイル(推定)発射 | 飛距離約3,700km |
2017年11月29日 | ICBM級の新型弾道ミサイル(推定)発射 | 飛距離約1,000km |
2018年4月27日 | 第3回南北首脳会談 | 板門店宣言発表 |
2018年5月26日 | 第4回南北首脳会談 | |
2018年6月12日 | 第1回米朝首脳会談 | 北朝鮮の非核化と緊張状態の緩和を合意 |
2018年9月18日 | 第5回南北首脳会談 | |
2019年2月27,28日 | 第2回米朝首脳会談 | 非核化交渉決裂、北朝鮮への制裁継続が決定的に |
参考)防衛省発表資料
スカッド・・・旧ソ連が開発した比較的短距離のミサイル。
IRBM(intermediate-range ballistic missile)・・・中距離弾道ミサイル。大陸間弾道ミサイルには及ばなないものの、北朝鮮からグアムやインドネシアなどのオセアニア諸国やインド東部まで到達可能。
ICBM(intercontinental ballistic missile)・・・大陸間弾道ミサイル。大陸間弾道ミサイルは名前の通り、大洋に隔てられた大陸間を横断して飛翔可能。
2017年に発射されたミサイルの飛距離をみてみると、みるみるその距離が長くなっていることがわかります。
2017年5月からは大陸間を横断して攻撃可能なミサイルが発射されました。強力なミサイルを開発・発射されれば日本やアメリカの安全は今までよりはるかに脅かされてしまいます。
北朝鮮がミサイル・核開発を加速させたのは金正恩体制になってからです。金正日体制は1994年〜2011年の間で、ミサイル発射は16発、核実験は2回行われました。
「テポドン」や「ノドン」という名前に聞き覚えのある方はいるのではないでしょうか?これらは金正日体制時に打ち上げられたミサイルの名前です。
2012年から金正恩体制に変わると、先ほども述べた通り、ミサイル・核開発が加速します。金正恩体制で現在までにミサイル55発、核実験が4回行われています。
金正日体制時と比べると開発のスピードが格段早くなり、2017年9月の実験では3700kmの飛距離を記録するなど、ミサイルの精度の向上も確認できます。
では、こういった北朝鮮のミサイル・核開発の加速化や精度の向上が経済や株価にどのように影響するのでしょうか?次章でついに北朝鮮・防衛関連銘柄を紹介します!
北朝鮮ミサイル発射・非核化中止で注目の北朝鮮・防衛関連株8選!
ここまでミサイル技術の向上など北朝鮮の動向が活発化してきたことを確認しました。
北朝鮮がミサイル開発や核開発を進めると防衛需要が拡大するとの憶測から防衛関連株が注目され、株価が急騰することが度々あります。
では、ここからどういった銘柄が北朝鮮と関連して動くのかを見ていきましょう!
特に値動きが顕著であったり、今後値動きする可能性の高い8銘柄をご紹介します!
石川製作所(6208)
- 株価:1238円(第2回米朝首脳会談前)(2月26日)
- 株価:2055円(第2回米朝首脳会談後)(3月11日)
- 上場市場:東証一部
- 主な事業:ダンボール製函印刷機主体の機械メーカー。防衛機器も扱っています。
石川製作所は全売上のうち48%が防衛機器の売り上げです。防衛関連の株としてたびたび注目されます。
2017年の度重なる北朝鮮のミサイル発射や核実験などで株価が急騰しました。
最近では第2回米朝首脳会談で非核化が合意にいたらず、北朝鮮がミサイル施設の復旧を始めた兆候が確認されたことから株価が急騰しました。
豊和工業(6203)
- 株価:891円(第2回米朝首脳会談前)(2月26日)
- 株価:1084円(第2回米朝首脳会談後)(3月11日)
- 上場市場:東証一部
- 主な事業:産業用機械の老舗。工作機械が主力。
火器・防音サッシなどの需要が大きく、特装車両も扱っている防衛関連株です。
北朝鮮のミサイル発射などに伴う防衛関連株の急騰の中でも石川製鉄所などとともに特に大きく株価が変動しました。
重松製作所(7980)
- 株価:626円(第2回米朝首脳会談前)(2月26日)
- 株価:761円(第2回米朝首脳会談後)(3月11日)
- 上場市場:東証JASDAQ
- 主な事業:産業用防毒マスク
防毒マスク・防塵マスクを製造しており、官公庁向けにも実績があります。防衛関連株としてマークされています。
細谷火工(4274)
- 株価:733円(第2回米朝首脳会談前)(2月26日)
- 株価:1124円(第2回米朝首脳会談後)(3月11日)
- 上場市場:東証JASDAQ
- 主な事業:自衛隊向け照明弾、発煙筒。
自衛隊向けに火器を提供している大手です。
照明弾や発煙筒など、北朝鮮の動きとは一見関係なさそうに思える事業でも、自衛隊などに防衛器具を提供している企業として株が買われています。
日清紡ホールディングス(3105)
- 株価:964円(第2回米朝首脳会談前)(2月26日)
- 株価:933円(第2回米朝首脳会談後)(3月11日)
- 上場市場:東証一部
- 主な事業:綿紡績
日清紡ホールディングスは直接的には防衛関連事業は行っておらず、第2回米朝首脳会談後の北朝鮮ミサイル施設復旧時も株価が上昇していません。
しかし、子会社に「新日本無線」という無線機器と扱う会社があり、この新日本無線が自衛隊の無線提供などを行っています。
このことから今後、防衛関連株として注目されるかもしれません。
阿波製紙(3896)
- 株価:462円(第2回米朝首脳会談前)(2月26日)
- 株価:532円(第2回米朝首脳会談後)(3月11日)
- 上場市場:東証一部
- 主な事業:和紙発祥の特殊紙
2017年に北朝鮮がミサイルを連発した際、ミサイルから電磁波を放って電子機器を故障させる目的があるとの予測がされました。
北朝鮮の電磁波パルス攻撃対策として阿波製紙の電磁波シールドシートが使われるとの憶測から株価が上がりました。
東京計器(7721)
- 株価:933円(第2回米朝首脳会談前)(2月12日)
- 株価:1179円(第2回米朝首脳会談後)(3月11日)
- 上場市場:東証一部
- 主な事業:航海・航空計器
防衛省向け機器として航海・航空計器を提供する大手です。
軍艦や戦闘機などのレーダー機能を手掛けており、防衛需要が高まるとの憶測からしばしば株価が高騰することがあります。
興研(7963)
- 株価:1309円(第2回米朝首脳会談前)(2月26日)
- 株価:1436円(第2回米朝首脳会談後)(3月11日)
- 上場市場:東証JASDAQ
- 主な事業:防塵・防毒マスク
防塵・防毒マスクの2大メーカーの1つで、防衛省向けには独占供給しています。
防衛省に独占供給しているというのは防衛関連株として見逃せません!
米朝首脳会談の行く末は?北朝鮮の今後と株価の動きに注目してみましょう
本記事では近年の北朝鮮の動向とそれらに関連して株価が急騰する防衛関連株を見てきました。
以上の銘柄のうちの多くは2017年に北朝鮮がミサイルを連発し、核実験を行った時に急騰しました。
今回の第2回米朝首脳会談での非核化の合意が決裂したことで北朝鮮のミサイル開発・核開発が懸念されます。
そんな中、今回確認した通り以上の銘柄がまた急騰することがあるかもしれません。まだまだ先の見えない北朝鮮情勢、以上の銘柄の株価の動きと合わせて注目です!
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