最近では、メルカリなどのフリマアプリやSNSを利用して手軽に誰でも物を売ったり買ったりすることができるようになってきました。
こうした消費者同士での売買は、売り手としてはいらないものをわざわざ買取店に持っていくことなく販売できること、買い手としてはなかなかお店では扱っていないマニアックな商品が変えたり、中古であるがゆえにお手頃な価格で入手できるなどのメリットがあります。
しかしその反面、商売のプロが関わることのないやり取りとなるため、トラブルが発生するケースも少なくありません。
特に商品を出品する際に注意しなければならないのが、「誇大広告」というものです。
誇大広告とは、実際の商品の状態や様子よりも販売中の商品に関する記載を着色して、より買い手にとって魅力的に見せたりすることで、より高く早く売れやすくする広告の書き方を意味します。
もちろんアプリの運営なども目を光らせてパトロールしたり、規約に記載はしているものの、初心者の方だと気がつかないうちにルール違反を犯してしまいがちです。
また、買う側としてもうまく広告の確からしさを見抜くことができなければ、ネットでの商品の購入に失敗してしまうでしょう。
そこで今回は、ネットショッピングやフリマサイトでの出品・購入時に注意したい、誇大広告の具体例や法律周りの簡単な基礎知識を、法律初心者の方にもわかりやすく解説していきます!
商品の広告内容は「景品表示法」に注意!概要と違反時の罰則とは!?
基本的に商品の広告(いわゆるCMなどの大きなものに限らず、チラシの記述や売り文句なども含みます)に関する規則は、「景品表示法」という法律によって規定されています。
景品表示法は正式には不当景品類及び不当表示防止法といい、売主よりも基本的に商品に関する知識が少なく、弱い立場にある消費者を守るために、しっかりと正しい情報のもとで合理的な選択ができるよう、制定された法律となっています。
もし景品表示法がなければ、物が売れるように調子のいい宣伝文句をうたったり、ありもしないメリットを語って消費者を騙そうとする販売者が出てきてしまいます。
もちろんそれは本業としている業者に限らず、ネットでの商品の出品を行う個人にも適用される法律ですので、特に出品を検討している方や実際に行なっている方は、これを機に景品表示法に関して勉強しておきましょう!
よくわかる「景品表示法」とは?
では早速、景品表示法とはどんな法律なのかをわかりやすく解説していきますね。
景品表示法で禁止されている行為は、大きく分けて次の2つがあります。
- 不当な表示
- 過大な景品の提供
特に出品をする方は、一つ目の不当な表示に関する内容をしっかりと理解しておいてくださいね!
不当な表示とは!?
まず、不当な表示に関して説明していきます。
こちらは、現実とは乖離した嘘や偽りを含んでいる広告を表示することです。
不当な表示の中にも、表示している内容や仕方によって3つのパターンがあります。
一つ目が、「優良誤認表示」と呼ばれるものです。
これは、根拠やデータの伴わない内容を表示しているパターンの不当な表示です。
例えば、あるA社のサイトを見てみると、「業界最安値でお得!」と書いてあったにも関わらず、同じ商品をB社のサイトで見てみると、「業界トップの安さでご提供!」と書いてあったなんてことはありませんか?
業界トップ・ここでしか買えない・芸能人も愛用、などといったワードはどうしても消費者もつられやすく、ついつい購入したくなってしまいますよね。
ですがこうしたものの多くは、あまり根拠となるものが示されていない場合が多いですし、出品する場合にも迂闊に記載してはいけません。
他にも、海外産のものを国産と表記したり、養殖のものを天然物と表示することも優良誤認表示にあたります。
2つ目の不当な表示は、「有利誤認表示」です。
ネットで商品を出品する際に多くの人がやってしまいがちなのが、この有利誤認表示なのではないでしょうか?
具体的には、値下げをしていないにも関わらず今だけタイムセール中と書いたり、バラ売りと同じ価格なのにセット割引実施中と記載することが、この不当な表示に該当します。
一度出品したのはいいものの、買い手がつかないのでとりあえず値下げをしてみた、なんてことはメルカリなどではしばしばあります。
しかし、その際に値下げ金額を嘘のものを記載したり、メーカーからの希望販売価格を不当に高くしたりするのは実は景表法違反にあたってしまうのです。
3つ目は、「その他誤認されるおそれのある表示」です。
こちらはあまりネットでの出品時には気にすることは無いかもしれませんが、例えば果汁が含まれていない無果汁のジュースのパッケージにみずみずしいフルーツの写真を載せたり、産地とは別の地名の箔を付ける行為などが該当します。
実は不動産屋がやりがちのおとり物件もこの「その他誤認されるおそれのある表示」に該当するのです。
過大な景品の提供とは!?
続いて、過大な景品の提供に関して解説していきます。
みなさんの中にも、景品があるからついつい買いすぎでしまった、なんて経験のある方も多いかと思います。
景品表示法の中の、景品類に対する規制には、総付景品、一般懸賞、共同懸賞の3種類があります。
まず、総付景品とは何かを購入した際に付随してくる景品のことです。
例えば、1000円以上購入した方はくじを引くことができ、もれなく何か景品がついてきます、というものですね。
こちらの場合には、以下のように取引金額に応じて、渡しても良い景品の価格の最高価格が決まっています。
取引価格 | 景品の最高価格 |
1000円未満 | 200円 |
1000円以上 | 取引価格の20% |
一般懸賞とは、くじなどの偶然性の伴うものによって付与される景品のことです。
一番思いつきやすいのが、夏祭りの屋台くじなどですね。
取引価格に対する景品の価格の上限は以下のようになっています。
取引価格 | 景品限度額 | |
最高額 | 総額 | |
5000円未満 | 取引価格の20倍 | 売上額の2% |
5000円以上 | 10万円 |
共同懸賞とは、商店街などでよくやっている福引などですね。
ハワイ旅行などが当たることもあり、景品の価格は他のものよりも大きな金額が設定されています。
景品限度額 | |
最高額 | 総額 |
30万円 | 売り上げ金額の3% |
景品表示法に違反するとどうなるの!?罰則はどんなもの?
ここまでは、景品表示法の中身に関して解説していきました。
ここからは、実際に景品表示法に違反する広告を表示してしまった場合にはどんな罰則があるのかを解説していきます。
①消費者庁による行政処分
景表法に違反する広告を表示した場合には、まずはじめに消費者庁による行政処分を受けることになります。
行政処分の中身としては、「措置命令」と「課徴金の納付命令」の2つが挙げられます。
措置命令とは、簡単にいうと消費者庁から事業者に対して行われる聞き取り調査のことで、ここで広告の正当性が認められれば、特に問題なく解決ということになります。
しかし、事業者側の言い分が認められず、広告が不当であるとされた場合には、広告を改善するように表示をし直すこと、また再発がしないように注意すること、といった改善命令が出されます。
これが措置命令です。
一方、措置命令と並行して課徴金というものを納める必要があります。
不当な表示をして稼いだお金は、事業者が持っているのはまずいですよね。
そのため、不当な表示によって発生した売り上げは、課徴金として消費者庁に取り上げられてしまいます。
②刑事的な罰則
消費者庁による措置命令の後でも広告を改善しなかった場合には、以下のような刑事的罰則のどちらか一方かその両方が課せられます。
- 最大2年の懲役
- 最大300万円の罰金
③損賠賠償請求
景表法を違反したことによって他者に損害を与えた場合には、損害賠償をする義務を負います。
例えば、中古の自転車などを販売する際に、実はタイヤやブレーキに問題があったにも関わらず、「点検済みで安全」と表示して販売し、買った人が怪我をした場合などは、損害賠償をする義務を負います。
④その他アプリの利用停止など
また、ここまで大きな問題にはならなくとも、法的にグレーに近い行為を続けていると、アプリの運営者からアカウントがBANされたり、他のユーザーから低評価がたくさんついて売買が成立しにくくなるケースもあります。
法律に違反していないからといって、ギリギリの行為を続けていると、思うような取引に恵まれなくなってしまうので注意が必要です。
メルカリやオークションの出品時にやってしまう事例とは?
ここからは、実際のメルカリやオークションでの出品の際にやってしまいがちな景品表示法に違反する事例をいくつか紹介していきます。
その1:購入先を偽る記述
こちらは転売をする際に注意が必要しなければならない内容です。
例えば、中国系の安いサイトで購入したものを、あたかも本物の正規店で購入したかのように表示することです。
どこで購入したかは基本的には記載義務がないものですので、隠したいのであればわざわざ書かないほうが得策でしょう。
その2:不当な値下げ期間や金額を表示
売れやすいように値下げをすることはもちろん構いません。
ですが、100円しか値下げしていないのに、1000円の大幅値下げなどと記載してしまうのは当然景表法違反ですね。
また、ずっと値下げをしているのに、今だけタイムセールなどと書くのも期間を偽っているのでNGとなりますね。
その3:存在しないセット割引
最後に紹介するのが、たくさん売りたいがためにやってしまうセット販売にかかわる不正な表示です。
2つ買うと10%OFFと謳いながら、実際には単品で買った場合の合計金額と変わらない、などのケースも先ほども紹介したように景品表示法に違反することとなります。
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