法曹三者(弁護士・検察官・裁判官)の中でも特に狭き門といわれている裁判官。
今回は、裁判官の年収について詳しく解説をしていきます。
裁判で判決を下す責任重大な職業であることから、年収が高そうというイメージもあるのではないでしょうか?
本記事を通じて、これまであまり馴染みのなかった裁判官の給与やキャリアについて理解を深めて頂けると嬉しいです。
裁判官の給料は法律で決まっている!
裁判官は国家公務員の一種であり、給料は法律によって定められています。
省庁等で働く一般職の職員は、「一般職の職員の給与に関する法律」によって給料が定められていますが、裁判官の場合には、「裁判官の報酬等に関する法律」によってその金額が提示されています。
まずは裁判官の階級・キャリアを知ろう
金額の前に、まずは裁判官の階級についてご説明します。
裁判官は、最高裁長官をトップとして以下のような序列と人数になっています。
- 最高裁長官・・・1名
- 最高裁判事・・・14名
- 高裁長官・・・8名
- 判事・・・1,415名
- 判事補・・・805名
- 簡裁判事・・・806名
国内の裁判官は、合計約3,000名程度となります。
司法修習を合格し裁判官になる(任官)と、まずは、簡裁判事または判事補からのスタートとなります。
その後は、勤続年数に応じて段階的に昇給するのが一般的。約10年間勤務すると、判事補から判事へ昇格します。
高裁長官は、東京高裁、大阪高裁をはじめとした日本の大都市8箇所に置かれている高等裁判所の長官です。
最高裁長官になるのは、東京高裁長官、大阪高裁長官からというのが通例となっています。
【役職別】裁判官の俸給表
階級別の基本給を定めた俸給表がこちらです。
区分 | 報酬月額 | |
最高裁判所長官 | 2,010,000円 | |
最高裁判所判事 | 1,466,000円 | |
東京高等裁判所長官 | 1,406,000円 | |
その他の高等裁判所長官 | 1,302,000円 | |
判事 | 一号 | 1,175,000円 |
二号 | 1,035,000円 | |
三号 | 965,000円 | |
四号 | 818,000円 | |
五号 | 706,000円 | |
六号 | 634,000円 | |
七号 | 574,000円 | |
八号 | 516,000円 | |
判事補 | 一号 | 421,500円 |
二号 | 387,800円 | |
三号 | 364,900円 | |
四号 | 341,600円 | |
五号 | 319,800円 | |
六号 | 304,700円 | |
七号 | 287,500円 | |
八号 | 277,600円 | |
九号 | 256,300円 | |
十号 | 247,400円 | |
十一号 | 240,800円 | |
十二号 | 234,900円 | |
簡易裁判所判事 | 一号 | 818,000円 |
二号 | 706,000円 | |
三号 | 634,000円 | |
四号 | 574,000円 | |
五号 | 438,900円 | |
六号 | 421,500円 | |
七号 | 387,800円 | |
八号 | 364,900円 | |
九号 | 341,600円 | |
十号 | 319,800円 | |
十一号 | 304,700円 | |
十二号 | 287,500円 | |
十三号 | 277,600円 | |
十四号 | 256,300円 | |
十五号 | 247,400円 | |
十六号 | 240,800円 | |
十七号 | 234,900円 |
任官したばかりの新米判事の場合の月額基本給は、234,900円。
裁判官の年収は、この俸給額×12ヶ月分に加えて、他の国家公務員同様に地域手当、住宅手当、扶養手当、勤勉・期末手当(ボーナス)を足した金額になります。
最高裁長官になると俸給額は、なんと月200万円超え。
他の特別職の職員の給与(大臣、副大臣等)の参考に年収を計算すると、その金額は、4,000万円近くになります。
最高裁長官の年収は総理大臣レベル!?検事総長と比べると?
実は、この最高裁長官の年収、様々な国家公務員の中でもトップクラスで高い金額になります。
参考に総理大臣や検事総長の年収を表にしたものが以下の表です。
役職 | 月収 | 年収 |
内閣総理大臣 | 225.5万円 | 4,289万円 |
国務大臣 会計検査院長 人事院総裁 検事総長 | 164.6万円 | 3,131万円 |
内閣法制局長官 内閣官房副長官 副大臣及び副長官 宮内庁長官 公正取引委員会委員長 | 157.6万円 | 2,997万円 |
東京高検検事長 | 146万円 | 2,777万円 |
検査官 人事官 大臣・長官政務官 東大・京大学長 最高検次長検事 | 134.5万円 | 2,558万円 |
内閣総理大臣補佐官 内閣危機管理監 | 1,33.5万円 | 2,539万円 |
国家公安委員会委員 公正取引委員会委員 事務次官 東北大学学長 検事1号 | 131.7万円 | 2,505万円 |
警視総監 | 1,242,000円 | 2,362万円 |
外局長官 検事2号 | 1,160,000円 | 2,206万円 |
上記をみるとわかる通り、最高裁長官の年収は、内閣総理大臣とほぼ同じであることが分かります。
同じ法曹三者である検察官のトップ検事総長と比べても最高裁長官の方が給与が高いのですね。
超難関!?裁判官になるまでの3ステップ
全国約3,000名の裁判官のトップに位置する最高裁長官はとんでもない年収でしたが、そもそも裁判官になるにはどれだけ大変なことなのでしょうか?
①:法科大学院課程を修了、または司法予備試験に合格
裁判官になるには国家試験の1つである司法試験に合格する必要があります。
そして、司法試験を受けるためには、法科大学院課程を修了するか、または司法試験の予備試験に合格していなければいけません。
ちなみに、2019年の司法試験は、4,466人が受験し、その内、1,502人が合格しました。
合格率は34%。そこまで難しくないのでは?と思うかもしれませんが、そもそも司法試験を受けるための条件の1つである予備試験の合格率は4%程度なので、その難易度の高さが伺えると思います。
②:1年間の司法修習で実務を学ぶ
晴れて司法試験に合格したら、司法修習と呼ばれる1年間の実習が行われます。
司法修習では、弁護士事務所、検察庁、裁判所の3ヶ所で実務を行います。
司法修習の最終試験(2次試験)を合格したら、弁護士・検察官・裁判官の3つから希望の職種を選ぶことができます。
その後、各職種ごとの採用試験を受けて合格したら初めてその職に就職できます。
③司法修習の成績優秀者が裁判官になれる
裁判官になれるのは、司法修習の成績優秀者だけ。
そもそも司法試験に合格し検察官・弁護士等を目指すハイレベルな人たちの中で、さらに優秀な成績を納めた人だけが裁判官になる権利を得ます。
裁判官は、弁護士と検察官を相手にして双方が納得のいく判決を出すことが必要です。
また、自分の判例によってのちに法律が変わってしまうかもしれない責任重大な職種でもあります。
法曹三者なの中でも優秀な人が裁判官になれるというのは、そうした職務上の立場が要因なのかもしれませんね。
こうして選りすぐられた裁判官の中のトップが最高裁長官になれるのです。
裁判官は高収入だが、同時に責任も重い
裁判官の年収について解説をしてきました。
金額だけをみるともらいすぎ?と直感的に思ってしまうかもしれませんが、そもそも裁判官になるまでの過酷な競争、そして任官後の出世などを踏まえると、妥当なことなのかもしれませんね。
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