ディスパッチャーの平均年収は453.6万円!企業の年収ランキングや必要資格も解説

ディスパッチャー 平均年収

ディスパッチャーという職業を知っていますか?

「ディスパッチャーって何する職業?」

「平均年収はどれくらい?」

「どうしたらディスパッチャーになれる?」

上のようなことを思ったことがある方もいるかもしれません。

この記事では、

  • ディスパッチャーの仕事内容
  • ディスパッチャーの平均年収
  • 企業ごとの年収ランキング
  • ディスパッチャーになるための具体的な方法

などなど、ディスパッチャーに関する気になる情報を1から解説していきます!

ディスパッチャーって何?航空管制官との違いとは

ディスパッチャーという職業は、パイロットと違って目立った職業ではないものの、航空業界の中でも非常に責任の重い職業なのです。

ここからは、そんなディスパッチャーの仕事内容を解説していきます。

ディスパッチャーは「飛行計画の専門家」

☑︎ディスパッチャーの仕事内容

  • 飛行計画の作成
  • 航空機の飛行監視

ディスパッチャーの主な仕事は、大きく二つに分けられます。

1つ目は「飛行計画の作成」です。

毎日運航されている定期便でも、天候や乗客の数は毎回変化します。

そこで、雲の状況や風速といった気象情報、乗客や貨物の情報、航路付近の施設情報など、運航に関するあらゆる情報を集めて安全な飛行ルートを考えます。

作成した飛行計画が機長に承認されると、飛行計画は航空交通管制センターに送られます。

2つ目は「航空機の飛行監視」です。

航空機は基本的に飛行計画の通りに運航しますが、航空機の故障や乗員の急病などの非常事態が発生した場合、適切な対応が求められます。

そこでディスパッチャーは、飛行機が離陸してから着陸するまで、パイロットをサポートするために運航状況を監視する業務も行っています。

現在ではコンピュータの技術が進んだことにより、飛行前の情報収集・飛行計画の作成が容易になってきています。

そのため、ディスパッチャーの仕事はパイロットの飛行サポートが主となってきています。

航空管制官との違い

航空管制官とディスパッチャーは、どちらも運航管理という点で共通していますが、大きく3つの点で違っています。

  1. 業務内容の違い
  2. 雇用形態の違い
  3. 職場の違い

まず1つ目に、「業務内容」の違いです。

航空管制官は地上から離着陸の許可を出し、地上にある滑走路の交通整理を行います。

一方ディスパッチャーは、地上からパイロットのサポートを行い、飛行中の空での交通整理を行います。

2つ目に、「雇用形態」の違いです。

航空管制官は国土交通省に所属する国家公務員として働きます。

一方ディスパッチャーは、基本的に正社員や契約社員として民間の航空会社や関連会社に勤務しています。

3つ目に、「職場」の違いです。

航空管制官は全国各地にある空港の他に、札幌・東京・福岡・那覇にある航空交通管制部など、国の管理する施設に勤務します。

一方ディスパッチャーは、民間の航空会社や運航管理を専門とする関連会社でオフィス勤務をしています。

ディスパッチャーの平均年収は453.6万円!

ディスパッチャー 平均年収

厚生労働省の「令和3年賃金構造基本統計調査」によると、ディスパッチャーを含む「運輸・郵便事務従事者」の平均年収は453.6万円となっています。

  • 平均年収:453.6万円
  • 平均年齢:44.9歳
  • 平均勤続年数:14.2年
  • 就業者数:206,550人

国税庁の「令和3年分 民間給与実態統計調査」によると、日本の平均年収は443万円となっています。

そのため、ディスパッチャーの平均年収は日本平均と同じくらいだと言えます。

平均年収は以下のように計算しました。

☑︎ディスパッチャーの平均年収

=きまって支給する現金給与額(≒月収)×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額

=315,300円×12ヶ月+752,800円

=4,536,400円

※出典:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査

ここからは、ディスパッチャーの平均年収を項目別に見ていきます。

【男女別】ディスパッチャーの平均年収

男女別に見たディスパッチャーの平均年収は以下のようになっています。

男性女性
484.3万円340.2万円

※出典:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査
※上記数値は、「きまって支給する現金給与額(≒月収)×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額」で算出しています。

ディスパッチャーの平均年収は、男性が484.3万円、女性が340.2万円となっており、男女差は140万円以上にも及びます。

【年代別】ディスパッチャーの平均年収

年代別に見たディスパッチャーの平均年収は以下のようになっています。

年代平均年収
20~24歳約300万円
25~29歳約361万円
30~34歳約401万円
35~39歳約460万円
40~44歳約514万円
45~49歳約535万円
50~54歳約531万円
55~59歳約516万円
60~64歳約362万円
65~69歳約287万円
70歳~約291万円

※出典:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査
※上記数値は、「きまって支給する現金給与額(≒月収)×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額」で算出しています。

ディスパッチャーの平均年収は、年代が高くなるほど上がっていき、40代後半でピークを迎えています

【地域別】ディスパッチャーの平均年収

地域別に見たディスパッチャーの平均年収は以下のようになっています。

地域平均年収
北海道・東北339万円
甲信越・北陸367万円
関東394万円
東海393万円
関西381万円
中国338万円
四国360万円
九州・沖縄332万円

※出典:求人ボックス「運行管理者の仕事の年収・時給・給料(求人統計データ)

ディスパッチャーの平均年収は、最も高いのが関東地方の394万円、最も低いのが九州・沖縄地方の332万円となっています。

【都道府県別】ディスパッチャーの平均年収

都道府県別のディスパッチャーの平均年収は以下のようになっています。

都道府県平均年収
北海道401.8万円
青森県435.1万円
岩手県456.5万円
宮城県455.8万円
秋田県339.2万円
山形県401.9万円
福島県410.7万円
茨城県475.6万円
栃木県426.4万円
群馬県427.7万円
埼玉県456.5万円
千葉県497.8万円
東京都479.3万円
神奈川県488.2万円
新潟県469.7万円
富山県427.3万円
石川県445.9万円
福井県428.6万円
山梨県446.6万円
長野県472.3万円
岐阜県452.9万円
静岡県462.2万円
愛知県491.7万円
三重県500.6万円
滋賀県428.4万円
京都府468.0万円
大阪府465.8万円
兵庫県448.9万円
奈良県544.0万円
和歌山県431.2万円
鳥取県376.3万円
島根県363.6万円
岡山県483.6万円
広島県433.7万円
山口県373.0万円
徳島県373.0万円
香川県430.0万円
愛媛県493.9万円
高知県454.9万円
福岡県360.8万円
佐賀県370.7万円
長崎県377.7万円
熊本県391.8万円
大分県340.5万円
宮崎県392.7万円
鹿児島県389.7万円
沖縄県330.5万円

※出典:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査
※上記数値は、「きまって支給する現金給与額(≒月収)×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額」で算出しています。

ディスパッチャーの平均年収は、最も高いのが奈良県の544.0万円、最も低いのが沖縄県の330.5万円という結果になりました。

奈良県の他に、神奈川県や千葉県など都心付近の平均年収も比較的高くなっています。

【企業規模別】ディスパッチャーの平均年収

企業規模別に見たディスパッチャーの平均年収は以下のようになっています。

10~99人100~999人1000人~
435.3万円413.5万円473.5万円

※出典:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査
※上記数値は、「きまって支給する現金給与額(≒月収)×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額」で算出しています。

上記によると、企業規模が違っても平均年収に大差はありません。

企業規模と平均年収に大きな相関関係はなく、ディスパッチャーの年収は個々の企業によると言えそうです。

【経験年数別】ディスパッチャーの平均年収

経験年数別に見たディスパッチャーの平均年収は以下のようになっています。

0年1~4年5~9年10~14年15年~
341.0万円354.4万円434.4万円407.1万円493.1万円

※出典:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査
※上記数値は、「所定内給与額(≒月収)×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額」で算出しています。

ディスパッチャーの平均年収は、経験年数を積むほど徐々に上がっていく結果となっています。

専門性の強い職業のため、ディスパッチャーとして収入をアップさせるためには実務経験を積むことが重要だと思われます。

【雇用形態別】ディスパッチャーの平均年収

ディスパッチャーには正社員以外の働き方もあります。

ここでは、「非正規社員」という括りで平均年収をまとめてみました。

正社員非正規社員
453.6万円144.9万円

※出典:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査
※正社員の平均年収は、「きまって支給する現金給与額(≒月収)×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額」で算出しています。

国税庁の「令和3年分 民間給与実態統計調査」によると、日本の非正規雇用者(アルバイトやパートなど)の平均年収は198万円となっています。

そのため、ディスパッチャーが非正規社員として働くと、お給料は日本平均を少し下回ることが分かります。

非正規社員として働くディスパッチャー平均年収は以下のように計算しました。

厚生労働省のデータによると短時間労働者の労働状況は、

  • 平均時給:1,210円
  • 1日あたりの平均労働時間:5.2時間
  • 1ヶ月あたりの労働日数:18.2日
  • 年間賞与(ボーナス)等:75,200円

となっているので、

☑︎ディスパッチャー(非正規社員)の平均年収

=1,210円×5.2時間×18.2日×12ヶ月+75,200円

=1,449,372円

という結果になりました。

ただし、上記は全て平均値なので、実際の収入と大きく異なる場合がございます。

ディスパッチャーの生涯年収

年代別の平均年収を参考に、ディスパッチャーの生涯年収を計算すると約1億7500万円となりました。

生涯年収は以下のように計算しました。

大学卒業後(23歳)〜60歳までの38年間働くと仮定すると、

☑︎ディスパッチャーの生涯年収

=300万円×2年間+(361万円+401万円+460万円+514万円+535万円+531万円+516万円)×5年間+362万円

=1億7552万円

独立行政法人労働政策研究・研修機構が公表している「ユースフル労働統計2021 ―労働統計加工指標集―」によると、

大学・大学院卒業後60歳までフルタイムの正社員を続けた場合、日本の平均的な生涯年収は男性が2億7,000万円、女性が2億2,000万円となっています。(退職金は含みません。)

ディスパッチャーの生涯年収は、大学卒業後〜60歳まで働くと仮定すると、統計上は日本平均を5000万円〜1億円ほど下回ると言えます。

ただし、上記は全て平均値なので、実際の収入と大きく異なる場合がございます。

航空会社別に見る!ディスパッチャーの年収ランキング

ここからは、ディスパッチャーの年収を航空会社別に見ていきます。

 会社名平均年収
1ANAホールディングス株式会社679.9万円(2013年時点)
2株式会社AIRDO570.9万円(2022年時点)
3日本航空株式会社(JAL)455.8万円(2022年時点)
4株式会社ソラシドエア454.2万円(2021年時点)
5スカイマーク株式会社452.5万円(2015年時点)
6株式会社スターフライヤー400万円(2022年時点)

出典:各社有価証券報告書

ディスパッチャーの年収は、各社有価証券報告書の「一般従業員」や「地上社員」の年収を引用しています。

上記の通り、ディスパッチャーの年収は航空会社大手のANAホールディングス株式会社が1位となっています。

ただし、参照している有価証券の提出年度が異なるものもあるため、あくまで参考程度にご覧ください。

パイロットや客室乗務員の年収ランキングは下のリンクでご紹介しています。

ディスパッチャーになるためにはどうしたら良い?

☑︎ディスパッチャーになるための3ステップ

  • 航空会社に就職
  • 国家資格を取る
  • 社内審査をクリアする

ここからは、ディスパッチャーになるための具体的な方法を3ステップに分けてご紹介していきます。

①:航空会社・関連会社に就職する

まずは、航空会社や航空機の運航管理を専門とする関連会社に就職するのが最初のステップです。

ディスパッチャーとして就職するのではなく、就職後に様々なステップを経てディスパッチャーになるのが一般的です。

就職後、適性が認められると飛行乗務室に配属され、そこでディスパッチャーの補助要員として実務経験を積みます。

②:国家試験「運航管理者技能検定」を受験する

航空会社・関連会社でディスパッチャーの補助要員として数年間実務経験を積むと、「運行管理者技能検定」という国家試験を受けることができます。

ここでは、国家試験の概要について解説していきます。

→出典:国土交通省「航空従事者関連

■受験資格

  • 21歳以上
  • 2年以上の実務経験(運航管理に関するもの)

■試験日程

運航管理者技能検定は、学科試験実地試験に分かれています。

学科試験は例年7月・3月、実地試験は学科試験の合格通知日から2年以内の希望日に受験することができます。

■試験内容

学科・実地のそれぞれの試験内容は以下のようになっています。

☑︎学科試験

  • 航空機
  • 航空機の運航
  • 航空保安施設
  • 無線通信
  • 航空気象
  • 気象予報
  • 天気図の解説
  • 空中航法
  • 法規

☑︎実地試験

  • 天気図の解説
  • 航空機の航行の援助

■受験料

学科試験:5600円

実地試験:49300円

③:社内審査をクリアする

国家試験に合格したからといって、すぐにディスパッチャーとして働ける訳ではありません。

第二関門として勤務する社内での適性検査があります。

合格後さらに実務経験を積み、厳しい社内審査をクリアして初めてディスパッチャーを名乗れるようになります。

社内審査は、企業によっては国家試験よりも厳しいとも言われており、ディスパッチャーを目指す人にとって大きな壁となっています。

しかし、乗客の命を預かる職業である以上、試験や審査の厳しさには納得できますね。

パイロットと同じく、ディスパッチャーも責任の重い職業

いかがだったでしょうか?

ディスパッチャーと聞いて、どのような職業なのか思い浮かぶ方は多くないと思います。

しかし、パイロットやCAなどの有名な職業と比べて目立ってはいないものの、ディスパッチャーはフライトを支える非常に責任の重い職業だということが分かっていただけたら嬉しいです。。

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