臨床検査技師の年収はどのくらい?仕事内容や必要な資格についても解説

臨床検査技師 年収

皆さんは「臨床検査技師」という職業をご存じでしょうか?

この職業は、医師や看護師と同様に、国家試験に合格した人だけがなることができます。

とはいえ、具体的にはどういった仕事をしているのか、年収はどれくらいなのか、想像がつきにくい方も多いと思います。

そこで今回は、このような臨床検査技師の仕事内容気になる年収事情について、項目別に紹介していきます!

特に年収事情については、その他の医療従事者である看護師や薬剤師などと比較しながら分かりやすく解説します。

お金のカタチでは、他にも以下のような国家資格の年収をご紹介しています。気になる方は下のリンクからどうぞ。

そもそも臨床検査技師ってどんな仕事?

臨床検査技師は、医師の指示に従って臨床検査という検査を行う職業です。

臨床検査とは、患者の体を観察して健康状態を調べるための検査のことで、「検体検査」と「整体検査」という2種類に分けられます。

まず「検体検査」では、患者の体から血液・尿・組織などを取り出して検査します。

この検体検査はさらに多くの分野に分けることができ、その仕事内容は広範囲に及びます。

例えば、患者の血液を分析して健康状態や病気の原因を調べたり、遺伝子を取り出して調べることもあります。

次に「整体検査」では、専門の測定器を使って体の表面や内部を検査します。

例えば、心臓の動きを測る心電図を使って心臓を検査します。

臨床検査技師は主に病院や保健所といった医療機関で働きます。

規模の大きい医療機関ほど、より細かく専門が分けられており、規模の小さい医療機関では、一人の臨床検査技師が複数の専門をかけもちしている施設もあります。

臨床検査技師の平均年収は496万円!

臨床検査技師 年収

厚生労働省が発表した「令和3年賃金構造基本統計調査」によると、臨床検査技師の平均年収は496.5万円(平均年齢41.6歳)となっています。

それでは、臨床検査技師の平均年収を項目別に見ていきましょう。

【年代別】臨床検査技師の平均年収

年代計約505万円約441万円
20~24歳約314万円約321万円
25~29歳約369万円約381万円
30~34歳約408万円約396万円
35~39歳約466万円約446万円
40~44歳約512万円約464万円
45~49歳約641万円約472万円
50~54歳約708万円約529万円
55~59歳約656万円約512万円
60~64歳約447万円約513万円
65~69歳約678万円約412万円
70歳~約258万円約323万円

出典:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査

就職したての20代で男女で大きな差はありませんが、年代が上がるにつれて差が開いていることが分かります。

そして、男女共に40代〜50代にかけてピークを迎えています。

【都道府県別】臨床検査技師の平均年収

全国469.5万円
北海道463.1万円
青森県670.0万円
岩手県482.4万円
宮城県469.8万円
秋田県533.8万円
山形県501.9万円
福島県507.2万円
茨城県476.8万円
栃木県633.4万円
群馬県461.1万円
埼玉県550.0万円
千葉県494.4万円
東京都508.0万円
神奈川県542.1万円
新潟県470.0万円
富山県484.5万円
石川県480.9万円
福井県550.9万円
山梨県492.7万円
長野県478.5万円
岐阜県398.6万円
静岡県456.3万円
愛知県518.4万円
三重県472.8万円
滋賀県579.4万円
京都府459.9万円
大阪府477.9万円
兵庫県521.4万円
奈良県501.9万円
和歌山県581.7万円
鳥取県464.1万円
島根県442.7万円
岡山県498.2万円
広島県491.3万円
山口県434.7万円
徳島県472.9万円
香川県537.5万円
愛媛県438.0万円
高知県407.8万円
福岡県548.0万円
佐賀県341.5万円
長崎県426.2万円
熊本県372.7万円
大分県370.4万円
宮崎県544.0万円
鹿児島県548.8万円
沖縄県414.3万円

出典:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査

400万円から500万円台にとどまっている都道府県が多く、全体的に平均年収の地域差はさほど大きくない印象です。

【企業規模別】臨床検査技師の平均年収

企業規模計10~99人100~999人1000人~
約496万円約449万円約463万円約543万円

出典:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査

臨床検査技師の平均年収は、企業規模が大きくなるほど高くなっています。そのため、臨床検査技師として年収をアップさせるためには、規模の大きい企業に就職することも一つの手かもしれません。

【経験年数別】臨床検査技師の平均年収

次に、経験年数別の平均年収は以下の通りです。

0年1~4年5~9年10~14年15年~
約280万円約374万円約397万円約448万円約540万円

勤務先の規模感によって差はあるものの、平均値では、経験年数が増えるにつれて順当に年収が伸びていることが分かります。

【パート・アルバイト】臨床検査技師の平均年収

最近では、パートやアルバイトなどの非常勤として働く臨床検査技師も増えています。

そこで、非常勤臨床検査技師として働いた場合の平均年収を計算して見ました。

厚生労働省の「令和3年賃金構造基本統計調査」によると、パートやアルバイトとして働いている臨床検査技師の平均時給はとなっています。

1日あたりの労働時間は平均時間、1ヶ月あたりの労働日数は平均日なので、平均年収を計算すると、

4406円×6.7時間×9.1日×12ヶ月+97700円(ボーナス)=約332万円

になります。

国税庁の「令和2年分 民間給与実態統計調査」によると、一般的なパートやアルバイトなどの非正規雇用者の平均年収は176万円となっています。そのため、臨床検査技師の資格を持っていると一般的な非正規雇用者の約2倍の年収を得られることが分かります。

臨床検査技師の生涯年収

上で紹介した年代別の平均年収から臨床検査技師の生涯年収を単純計算すると、

男性は

314万円×2年+(369万円+408万円+466万円+512万円+641万円+708万円+656万円)×5年+447万円×1年

=1億9875万円

女性は

321万円×2年+(381万円+396万円+446万円+464万円+472万円+529万円+512万円)×5年+513万円×1年

=1億7155万円

となり、男女差は約3000万円ほどとなっています。

(大学卒業後23歳〜60歳を就業期間として計算)

ただし、上記はあくまで平均値であり、実際は働き方や勤務先によって収入は上下します。

医療従事者の年収ランキング!

臨床工学技士や看護師など、医師以外の医療従事者のことを「コメディカル」と言います。

厚生労働省の「令和3年賃金構造基本統計調査」を参考に、そうしたコメディカルの収入をランキング形式でご紹介します。

順位職種名月収年収(賞与含む)
1薬剤師約40万円約576万円
2助産師約38万円約553万円
3診療放射線技師約37万円約546万円
4看護師約34万円約493万円
5臨床検査技師約33万円約487万円
6保健師約32万円約480万円
7理学療法士
作業療法士
言語聴覚士
視能訓練士
約37万円約546万円
8臨床工学技士約29万円約423万円
9准看護師約28万円約398万円
10歯科衛生士約27万円約376万円
11栄養士約25万円約367万円

出典:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査

上の表を見ると、臨床検査技師の収入・平均年齢は、看護師とほとんど同じだと言えるでしょう。

ただし、実際には勤務先や勤続年数、働き方によって収入は大きく変わるため、あくまで目安としてご覧ください。

臨床検査技師として働くって、実際どんな感じ?夜勤はある?

仕事内容が年収が分かったところで、今度は臨床検査技師の「働き方」を見ていきます。

臨床検査技師は、主に病院・診療所・臨床検査センターなどで働く人が多いですが、中には研究機関・製薬会社・保健所で働く人もいます。

1日の仕事としては、患者さんに対する検査や分析が多いです。

それに加えて医師・看護師への検査結果の報告やミーティングなども行っており、臨床検査技師は、患者さんと医師・看護師をつなぐ仲介役のような役割を果たしています。

臨床検査技師の勤務時間は、一般的には日中の勤務です。

しかし現在では、検査技術がより専門化したことや緊急時の検査に備えて、勤務先によっては休日出勤や夜間勤務も少なくないようです。

臨床検査技師が年収をアップさせる方法3選

この章では、臨床検査技師として年収をアップさせる方法を3つご紹介します。

①:関連資格を取る

まず1つ目に、臨床検査技師に関連する資格を取るという方法があります。

業務に関連する資格やスキルを身につけることで、従業員としての価値が高まり、職場によっては資格手当という形で年収に上乗せされます。

資格手当とは、仕事内容に活用できる資格を取得した職員に対して、会社が支給するお金のことです。

臨床検査技師に関連する資格には、以下のようなものがあります。

  • 骨髄検査技師
  • 認定輸血検査技師
  • 細胞検査士
  • 超音波検査士
  • 消化器内視鏡技師
  • NST専門療法士
  • 認定臨床化学者
  • 胚培養士
  • 日本糖尿病療養指導士
  • 国際細胞検査士

これらの関連資格には、それぞれ臨床検査技師として決められた期間の実務経験を積んでおくことが必要になります。

そのため、臨床検査技師として働きながら資格取得に向けて勉強を進めていくことになります。

それぞれの資格試験の詳細について知りたい方は、下の表にあるリンクをクリックすると公式サイトに移動できます。

資格名主催団体要項
骨髄検査技師日本検査血液学会認定骨髄検査技師試験
認定輸血検査技師日本輸血・細胞治療学会認定輸血検査技師について
細胞検査士日本臨床細胞学会2022年度細胞診専門医資格認定試験について(公示)
超音波検査士日本超音波医学会超音波検査士制度委員会
消化器内視鏡技師日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡技師認定試験
NST専門療法士日本臨床栄養代謝学会NST専門療法士
認定臨床化学者日本臨床化学会認定ー募集要項
胚培養士日本卵子学会生殖補助医療胚培養士について
日本糖尿病療養指導士日本糖尿病療養指導士認定機構認定試験概要
国際細胞検査士(IAC)日本臨床細胞学会IACに関する手続き

②:規模の大きい職場を選ぶ

企業規模計10~99人100~999人1000人~
約496万円約449万円約463万円約543万円

出典:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査

このように、企業規模が大きくなるほど年収の平均値が大きくなる傾向にあります。そのため、より規模の大きい職場に入社すれば、高年収を得られる可能性が高まるのです。

ここでいう「規模の大きい職場」とは、国立病院や大学病院など、その病院の従業員数・売上高・資本金などが他と比べて多い職場を指します。

就職先・転職先選びに困った際は、そういった指標を参考にするのも良いでしょう。

③:経験年数を積み、管理職に就く

0年1~4年5~9年10~14年15年~
約280万円約374万円約397万円約448万円約540万円

出典:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査

次に、経験年数と年収の関係について見ていきます。

前の章でご紹介したように、臨床検査技師としての経験年数が長くなるほど年収の平均が伸びています。

それに加え、技師長や課長などの役職に就くと、役職手当によって収入アップが期待できます。

一般的に役職の階級が高くなるにつれて役職手当も上がっていきますが、企業によっては役職手当が無い役職がある可能性もあるので注意が必要です。

臨床検査技師になるには国家試験に合格する必要がある!

臨床検査技師 なる方法

臨床検査技師として働くためには、まず年一回行われる国家試験に合格して免許を取る必要があります。

臨床検査技師国家試験の3つの受験資格

臨床検査技師国家試験を受けるための条件は大きく分けて3つあり、そのうち1つでも満たしていれば国家試験を受験することができます。

<臨床検査技師国家試験の受験資格>

①:臨床検査技師養成所(大学・短大・専門学校)を卒業していること

②:医学部、歯学部を卒業していること

③:獣医学部、薬学部で指定された科目を修了していること

受験資格の詳細は厚生労働省の「臨床検査技士国家試験の施行」をご覧ください。

臨床検査技師国家試験の合格率

第61回(2015年)から第68回(2022年)までの合格率は以下の通りです。

実施回(年)合格率
第61回
(2015年)
全体75%
(うち新卒者)86%
第62回
(2016年)
全体76%
(うち新卒者)87%
第63回
(2017年)
全体79%
(うち新卒者)90%
第64回
(2018年)
全体79%
(うち新卒者)91%
第65回
(2019年)
全体75%
(うち新卒者)87%
第66回
(2020年)
全体72%
(うち新卒者)83%
第67回
(2021年)
全体80%
(うち新卒者)92%
第68回
(2022年)
全体75%
(うち新卒者)86%

出典:厚生労働省「国家試験合格発表

臨床検査技師国家試験の合格率は、7割〜9割ほどとなっており、全体的に受験者全体の合格率よりも、新卒者の方が合格率の方が高くなっています。

臨床検査技師は知識だけでなく責任感や忍耐力も必要

いかがだったでしょうか?

国家試験の合格率は比較的高いとはいえ、その仕事内容は決して簡単とは言えません。

臨床検査技師という職業は、直接患者と関わる業務を担当している上に、患者の生命に関わる重大な役割を担っています。

そのため、仕事をする上での慎重さや正確さはもちろん、柔軟な判断力、責任感、忍耐力といった能力が求められます。

 

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