認知症の治療費の平均はいくら?受けられる手当や制度とは?

女性

日本では高齢者のうち、約15%もの方が症状の程度はあれども認知症を患っていると言われています。

認知症は誰もがなりうる病気であり、どのご家庭にもその準備や対策は必要であると言っても過言ではないでしょう。

認知症を患うと、脳に何らかのダメージが及ぶようになり、思考能力や運動能力が低下してしまいます。

それによって記憶力が衰えてしまうだけではなく、日常生活の身の回りのことをサポートなしではできなくなってしまったり、特別な治療を受ける必要が出てくるケースがあります。

もはや他人事ではなくなった認知症について知っておくことは、親や家族がいる方にとっては必須と言えるでしょう。

今回は、認知症について簡単に解説していくとともに、費用の面でどのくらいの負担があるのか、受けることのできる手当や制度にはどんなものがあるのかなどをわかりやすくまとめていきます。

知っておきたい3大認知症の特徴や違いとは?

一言で認知症と言っても実は大きく分けて3つのタイプがあります。

認知症の対応によって、なりやすい方の特徴や実際に出てくる症状などが異なりますので、まずはそれぞれの特徴について詳しく学んでいきましょう。

アルツハイマー型認知症とは

アルツハイマー型認知症は、脳内の海馬と呼ばれる部位が萎縮していき、周辺部分の脳内細胞が死滅していく症状が現れます。

アルツハイマー型になりやすいのは特に女性で、初期の症状としては簡単な物忘れなのがあります。

症状が進行していくと、認知機能の低下や徘徊、ものを誰かに取られたなどの被害妄想などを訴える傾向があります。

記憶への障害をはじめとしてゆっくりとあらゆる症状に移っていくのが特徴です。

レビー小体型認知症とは

レビー小体認知症とは、レビー小体という特殊な物質ができてしまい、神経細胞が死滅することで起きる認知症です。

レビー小体認知症は、明確に脳内での変化が見られないことから、レントゲンなどでも脳内の萎縮などは発見できないという特徴があります。

このタイプの認知症になりやすいのは特に男性であり、初期症状としては幻覚・妄想・うつ状態・パーキンソン症候群などがあります。

症状の進行の仕方の特徴は、安定している時期と不安定な時期を繰り返しながら、だんだんと症状が深刻化していきます。

血管性認知症とは

最後に血管性認知症について解説します。

血管性認知症とは、脳梗塞や脳内出血などが原因となり、脳内での血流の循環が悪くなることで、脳の一部が壊死してしまうことで発症します。

そのため、明確に脳内での損傷が観測されます。

特に男性が多く発症する傾向があり、初期症状としては、記憶機能障害や手足の痺れ・麻痺、感情のコントロールができなくなる、などがあります。

原因となる疾患によって異なりますが、初期には急激に発症して以降、段階的に症状が進んでいくという傾向があります。

認知症の検査にかかる費用は?検査方法による違いとは?

認知症の検査にはスクリーニング検査という、認知機能に関するテストをいくつか行います。

その際には、問診などに加えて認知機能のテストや血液検査を行います。

認知症の検査には次のような検査項目があります。

  • 認知機能テスト:知的機能や認知機能を把握するための検査
  • CT検査:X線を使って脳内の状態を把握する検査
  • MRI検査:磁気の共鳴によって、脳内の状況を観測する検査
  • SPECT検査:ごく微量の放射性物質を含む薬を体内に投与することで臓器の働きを調べる検査
  • MCIスクリーニング検査:原因物質を排除を行うタンパク質の状態に関する検査
  • APOE遺伝子検査:認知機能低下に関与する”ApoE遺伝子”に関する検査

これらの費用を自己負担割合ごとにまとめたのが次の表になります。

10割負担3割負担1割負担
認知機能テスト(神経心理学的検査)700円~2,800円220円~850円70円~280円
CT検査1万5,000円~2万円4,500円~6,000円1,500円~2,000円
MRI検査1万5,000円~3万円4,500円~9,000円1,500円~3,000円
SPECT検査8万円~10万円2万4,000円~3万0,000円8,000円~1万円
MCIスクリーニング検査1万5,000円~2万5,000円4,500円~7,500円1,500円~2,500円
APOE遺伝子検査1万5,000円~2万5,000円4,500円~7,500円1,500円2,500円

もちろん認知症のタイプや症状の重篤さによって、必要な検査は異なりますが、3割負担の場合には、おおむね5万円〜8万円ほどの費用が最大でかかってくると考えておくと良いでしょう。

あくまでこの費用は治療前の段階にかかる費用ですので、思った以上に検査の段階でかかってしまうことがわかりますね。

10割負担の場合には、20万円近くになることもあるので、やはり保険に入っておくことが必要ですね。

認知症の治療にかかる費用はいくら?医薬品にかかる金額は?

ここからは、検査を経て認知症であると判断された後のことを考えていきます。

そもそも、認知症には明確な治療法はありません。

完治させることはできませんが、薬物療養によって症状の進行を遅らせることができたり、日常生活を支援してもらうために介護サービスを利用する必要があります。

ここからは、必要な治療法の内容と目安となる費用をご紹介していきます。

薬物療法の内容と目安の費用

認知症の症状が軽いうちに薬物療法を行うことで、症状の進行を遅らせることができたり、長く軽度の状態を維持することができます。

ですから、可能な限り発見は早い方がいいですし、しっかりと治療を続けることで、今まで通りの生活を続けていくことも可能になります。

認知症の症状としては誰にでも現れる中核症状と呼ばれるものと、個人の性格や経験によって変化するBPSDと呼ばれる症状があります。

薬によって、中核症状に効果のあるものと、BPSDに対して効くものがあります。

ここでは、認知症に対して効果があるとされている5つの医薬品について紹介します。

  • アリセプト

アリセプトは中核症状に対して効果のある医薬品です。

認知機能の改善に効果があり、意欲的な行動をサポートします。

費用としては、10割負担の場合は5,400円~1万5,000円、3割負担の場合は1,620円~4,500円、1割負担の場合は540円~1,500円となっています。

  • メマリー

メマリーもアリセプトと同様に、中核症状に対して効果のあるものです。

不安やイライラを落ち着かせる効果があります。

10割負担の場合は3,900円~1万2,000円、3割負担の場合は1,170円~3600円、1割負担の場合は390円~1,200円が目安となる金額です。

  • リスパダール

リスパダールは、BPSDに効く医薬品です。

幻覚や妄想の抑止に効果があります。

費用は、その方の特性や症状によって異なります。

  • サアミオン

サアミオンも、BSPDに効果がある医薬品で、脳内の活動を活発化させる医薬品です。

こちらも費用は、その方の特性や症状によって異なります。

  • 抑肝散

抑肝散は徘徊や幻覚などの症状を抑える効果があり、 BPSDの対処に用いられます。

こちらも費用は、その方の特性や症状によって異なります。

経過観察にかかる費用の目安

医薬品の治療とは別に、治療を開始してからは継続的に検査を受けていかなければなりません。

そのため、先述のCT検査やMRIでの検査を受ける必要があるので、検査費用は継続的にかかることは把握しておく必要があります。

また、症状が深刻な場合には入院をする必要があり、認知症での入院の場合の費用は月額で30万円ほどと考えられています。

通院という手段で治療を行なっていく場合には、検査費用や診察費用として毎月4万円ほどの費用がかかるようです。

認知症の方の介護費用はいくらかかる?老人ホームと在宅介護の違いは?

認知症の家族を介護する場合には、老人ホームなどの有料施設に入居をさせるか、自宅での在宅介護をするといった選択肢があります。

両者では、かかる費用やサービスが異なりますので、簡単に紹介していきます。

老人ホームを利用する際にかかる費用

  • 入居一時金

入居時一時金とは、所属する老人ホームに一生涯住むために支払う家賃のようなものです。

入居一時金は、一般的な相場は約500万円になります。

入居一時金を設けている老人ホームは必ず償却期間が設けられています。もし仮に退去した場合でも、償却期間内であれば、未償却期間分の入居一時金は返金されます。

  • 月額利用料

月額利用料は毎月支払う料金のことをいい、老人ホーム毎に定められた固定費と、日常消耗品などの個人によって異なる雑費の2つから構成されています。

  • 固定費

一般的な固定費の内訳は、管理費や食費などになりますが、老人ホーム毎によって内容がかなり異なります。もし検討している老人ホームがある場合は、契約前に必ずホームページから確認してみてください。

  • 雑費

雑費は医療費や、おむつ代など入居者によってかかる費用をさします。

資金計画をする際は、固定費だけをみるのではなく、雑費も含めて計画を立てる必要があります。

老人ホームの費用を種類別に紹介!

老人ホームには、民間企業が運営しているものから公共事業として活動されてる施設まで幅広くあります。

様々な形態をもつ老人ホームの中から、代表的な6つの形態とその費用の相場を比較しました。

費用は、初期費用と月額利用料の2つの項目毎に分けています。

老人ホーム・介護施設種類入居時一時金の目安(初期費用)月額利用料金の目安
民間施設住宅型有料老人ホーム数百万円20~30万円
サービス付き高齢者向け住宅数十万円10~20万円
グループホーム数百万円15~25万円
シニア向けマンション数千万円20~30万円
公共施設特別養護老人ホーム0円8~13万円
ケアハウス数十万円約10万円

上記の表のうち、主なものに関して内容や特徴を紹介していきます。

  • 住宅型有料老人ホーム

住宅型有料老人ホームとは、食事や清掃などの生活支援サービスがついた老人ホームです。

住宅型有料老人ホームでは、老人ホームのスタッフが直接介護をするのではなく、外部の介護専門の会社と契約しております。生活中に介護が必要になった場合は、外部の介護スタッフが生活を支援するという特徴があります。

  • サービス付き高齢者向け住宅

主に、自立している方や介護の必要度があまり高くない高齢者の方を受け入れる施設となっております。

サービス付き高齢者向け時住宅では、万が一に備えて、医療や介護の資格をもつ専門のスタッフが常駐しております。

受けられる主なサービスは、「安否確認」と「生活相談」となっています。

これらはどちらも、サービス付き高齢者向け住宅で義務付けられているものです。

「安否確認」は、定期訪問や食事時での職員による確認か、ビデオカメラやセンサーなどでの確認、また施設によってはその両方を組み合わせて行われます。

「生活相談」とは、生活相談員による暮らしの中での生活サポートのことで、買い物や病院への付き添いから、家族への連絡などまで、専門家が基本的に常駐し入居者にサービスを提供します。

  • シニア向けマンション

シニア向けマンションとは住宅型老人ホームとは違い、高齢者の方が生活しやすいように徹底された分譲マンションです。

シニア向けマンションは、老後を活動的に過ごしたいという方を対象にした物件が多く、マンション内には、ジムやプールを併設していることもあります。

分譲マンションのため、介護サービスを受けたい場合は個人で契約する必要があります。

  • 特別養護老人ホーム

特別養護老人ホームは公共事業です。

自宅での生活が難しい介護者が対象の施設で、基本的に終身利用を前提としており、看取り看護まで対応しているところも多くあります。

具体的なサービス内容は、食事や、入浴、排泄などの日常生活の介護や、健康管理など要介護者の生活を支える介護を中心に受ける事ができます。

また、特別養護老人ホームのサービス内容は法令で定められているので、どこの施設に入居しても、同じ水準のサービスを受けることができます。

費用も安く、サービスも安定してばらつきがないため、かなり安心できるのが特別養護老人ホームの特徴となっています。

しかし、こうしたメリットから人気が高くなっており、多くの地域では入居待ちの状態が続いているのが現状です。

  • ケアハウス

ケアハウスは、60歳以上の高齢者が食事や洗濯などの介護サービスを受けられる施設で、一般型と介護型の2つがあります。

一般型は、介護が不要な人のほか、軽度の介護が必要な人も入居が可能です。

介護型では生活支援のほか、介護サービス、通院の付き添い、安否確認などがあります。

また、地方自治体などが運営しているため、比較的安い料金で利用できる福祉施設となっています。

在宅介護にかかる平均費用

家計経済研究所による「在宅介護のお金と負担2016年調査結果」によれば、在宅介護一人にかかる一か月あたりの費用は6万9千円と計算されました。

要介護度が高くなるにつれて、以下の表のように必要となる介護費用の金額は上昇していきます。

全体平均6.9万円/月
要支援度12.8万円/月
要支援度23.4万円/月
要介護度16.5万円/月
要介護度27.7万円/月
要介護度36.9万円/月
要介護度410.1万円/月
要介護度510.7万円/月

要介護度が5になると、在宅で介護する場合であっても平均で毎月10万円ほどの費用が必要となることから、かなり家計への負担も大きくなってしまいますね。

在宅費用でかかる費用の項目

在宅介護にはどのようなお金がかかるのでしょうか?

ここからは項目別に目安となる金額を紹介していきます。

  • 介護サービス費用

訪問型のデイケアサービスを利用する際には、要介護度の度合いに応じて費用が変わってくるのが一般的となっています。

先ほど同様、家計経済研究所による「在宅介護のお金と負担2016年調査結果」によれば、介護サービスにかかる費用を要介護度別に見ていくと、次の表のようになっています。

全体平均3.7万円/月
要支援度11.2万円/月
要支援度21.0万円/月
要介護度12.6万円/月
要介護度24.0万円/月
要介護度34.7万円/月
要介護度45.2万円/月
要介護度57.0万円/月

受けるサービスの内容や、より具体的な要介護者の状況によって金額は変わってくるものですが、目安としてはかなり信用性の高い数字と言えそうです。

要介護度が高くなればなるほど、介護に詳しくない家族だけでは対応できないので、単価も高く、サービスの利用の頻度も上げていかなければならないので、介護サービスにかかる費用も上がってしまう傾向があります。

  • 日用品代

介護を自宅でするにあたって、日用品を日常的に購入する必要があります。

具体的にはおむつや衣服などで、要介護度が低い場合には今まで通りの生活に近いものが遅れますが、状態が重くなるにつれて生活をサポートするために必要なものは増えていきます。

  • 食費

老人ホームに入るのであれば、3食食事がつく場合がほとんどですが、在宅介護の場合には食費も今まで通りかかってきます。

その際に、食べやすいように調理したり、体に気を使ったメニューにするなどの工夫が必要となり、家族とは異なる食材を追加で購入するケースも少なくありません。

  • リフォーム代金

日常的にかかるお金ではありませんが、自宅をリフォームする必要がある場合にはリフォーム代金も頭に入れなければなりません。

例えば、階段を緩やかにしたり、お風呂やトイレを高齢者でも使いやすいものにしたりと、あらゆる部分に手を加える必要があります。

場合によっては、数十万円から数百万円かかる場合があるので、初期費用の大きさによっては在宅介護が安く済むというわけではない場合もありますね。

認知症の家族がいる場合に利用できる手当や制度とは?

認知症の家族をサポートすることは、精神的・身体的な大変さはもちろんのこと、金銭面でも非常に大きな問題を抱えてしまうことが多くあります。

金銭面での負担を少しでも軽くするためにも、利用することのできる制度や受け取ることのできる手当についてしっかりと知っておきましょう。

高額療養費制度

高額療養費制度とは、1ヶ月にかかった医療費が上限を超えた場合に、その超過分の給付を受けることができる制度です。

設定されている上限額は、年齢や年収によって変動しています。

例えば、年金のみの収入の70歳上の世帯であれば、5万7000円が上限の金額と考えられます。

高額介護サービス費

高額介護サービス費は、毎月の介護サービス費用が上限を超えた場合に、その超えている部分について介護保険から給付を受けることができるというものです。

世帯の誰かが市町村民税を納めているものの、すでにリタイアしていて現役時代ほどの収入がない場合には、平成29年8月から44,400 円が一律の上限とされるようになりました。

高額医療・介護合算制度

高額医療・介護合算制度とは、医療保険と介護保険の両方において自己負担が発生した場合に、合算して負担額を減らすことのできる制度です。

特定入居者介護サービス費

特別養護老人ホームや介護老人保健施設などの指定の介護保険施設に入居している人で、所得や資産が一定以下の場合に定められている自己負担限度額を超える居住費と食費が介護保険から給付されるのが、特定入居者介護サービス費です。

利用するには負担限度額認定が必要になり、市区町村に申請を行う必要があります。