新型コロナ緊急経済対策が決定!予算108兆円の内訳や内容は?

上空から見落とす東京

2020年4月7日、政府は新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急経済対策を発表しました。

今回の緊急経済対策は、財政支出39.5兆円、事業規模108.2兆円となる大規模なものになります。事業規模108兆円は、GDPの約2割にあたり、リーマン・ショック時の56.8兆円を大幅に上回る内容です。

対策には、収入減少世帯への現金30万円給付、子育て世帯へ1人あたり児童手当1万円上乗せ、中小企業向けの給付など、様々な内容が盛り込まれていますが、その他にどういった対策があって、それぞれどれだけの予算が割かれているのでしょうか?

今回は、この緊急経済対策の詳しい内容や予算の内訳をわかりやすく解説していきます。

皆さんの生活や仕事にも大きく関わってくる内容ですので、ぜひ確認してみてください。

新型コロナウイルス緊急経済対策の「5本の柱」とは?予算の内訳は?

はてな

ここでは、緊急経済対策の大まかな内容と予算内訳をご説明します。

今回の緊急経済対策は、主に以下の「5本の柱」から成り立っています。

【緊急経済対策5本の柱と予算の内訳】

5本の柱具体的な内容※予算内訳
感染拡大防止策と医療提供体制の整備及び治療薬の開発マスク・消毒液等の確保、検査体制の強化、治療薬・ワクチンの開発加速etc財政支出:2.5兆円

事業規模:2.5兆円

雇用の維持と事業の継続生活に困っている個人への支援、中小・小規模事業者への支援財政支出:22兆円

事業規模:80兆円

官民を挙げた経済活動の回復観光・運輸業、飲食業、イベント・エンターテインメント
事業等に対する支援、地域経済の活性化
財政支出:3.3兆円

事業規模:8.5兆円

強靱な経済構造の構築 テレワークなどデジタル化の加速、海外展開企業の事業の円滑化、輸出の強化財政支出:10.2兆円

事業規模:15.7兆円

今後への備え予備費財政支出:1.5兆円

事業規模:1.5兆円

【※財政支出と事業規模の違い】

簡単にいうと、財政支出とは、国や地方自治体から出されるお金のことで、事業規模は、政策によって動くであろう金額全体のことを指します。

例えば、企業が国から補助金を受けて何かを購入する場合、その企業が出した支出も推計に上乗せするのが事業規模です。

つまり、財政支出とは、実際に国・自治体が出すお金になりますが、事業規模は実際にはどうなるか未知数なものになります。

今回の経済対策は、大きく2つの段階を意識したものとなっています。

1つが直近のコロナ感染拡大の収束に目処がつくまでの「緊急支援フェーズ」。もう1つが、感染収束後の反転攻勢に向けた「V字回復フェーズ」です。

5本の柱でいうと、「感染拡大防止策と医療提供体制の整備及び治療薬の開発」「雇用の維持と事業の継続」が緊急支援フェーズ、「官民を挙げた経済活動の回復」「強靱な経済構造の構築」「今後の備え」がV字回復フェーズといえます。

次の章からは、5本の柱のうち今後の備えをのぞく主要な4つの柱について、具体的な取り組み内容を詳しくみていきたいと思います。

医療に関する対策|感染拡大防止と医療体制の整備など

コロナ 医療

緊急支援フェーズの対策として、感染拡大の防止が重要だと考えらえれています。医療に関する主要な対策をご紹介します。

マスク・消毒液等の確保

マスク・消毒液等を製造する企業に対して生産設備への投資を行い、増産を目指します。

その上で、全国の小学校・中学校・高等学校・特別支援学校。高等専修学校等の児童・生徒と職員に2020年4月以降1人2枚を配布し、さらに全国全ての世帯を対象に1住所2枚の配布をするとしています。

アビガンなど治療薬・ワクチンの開発加速

新型コロナウイルス への効果が期待されているインフルエンザ治療薬の「アビガン」。このアビガンを海外と協力しながら臨床研究を行い、増産を開始する予定です。

具体的には、令和2年度内に200万人分の備蓄確保を目指しています。

また、同じく新型コロナウイルスの増殖を防ぐことが期待されているフサンについては、観察研究等として事前に同意を得た患者への投与を進めるということです。

オンライン診療の拡大

院内感染を含む感染防止のため、オンラインや電話による診療・服薬指導を希望する方が増えてきています。

それを受けて、政府は電話・インターネット等で医療機関へアクセスし、適切な対応を受けられる「オンライン診療」の整備を行います。

過去に受診歴がない患者についても初診からの利用を認め、オンライン診療が受けられる医療機関の連絡先等を提供します。

学校の臨時休業に伴う環境整備

臨時休校によって影響を受ける子育て世帯に対する支援を行います。

修学旅行の中止・延期に伴う追加費用の支援や子供の世話をする保護者が有給で休暇取得するための支援などを行う予定です。

また、臨時休校に伴って企業が主導となって、従業員へのベビーシッターの利用を促進した場合に割引が利用できるベビーシッター派遣事業なども実施します。

企業と個人に関する対策|雇用の維持と事業継続、生活支援

企業

雇用維持にために実施される事業者や個人に対する主な施策をご紹介します。

生活に困っている世帯や個人向けの現金給付

コロナ拡大により収入が大きく減少した世帯に対して、1世帯あたり30万円の現金給付が実施されます。

支給対象者は以下の通りです。

【コロナ対策・現金30万円の支給対象者】

2020年2月〜6月のいずれかの月収が1月以前と比べて

  1. 減少し、年収が個人住民税(均等割)非課税の水準となる場合
  2. 半分程度に減少し、個人住民税非課税水準の2倍以下になる場合

給付総額は4兆206億円にのぼり、およそ1,300万世帯が対象になる見通しです。

給付を受けるには、収入証明書類を市区町村に自己申告する必要があります。早期支給のためにインターネットでの申告システムも現在整備をしている状況です。現時点での給付時期は決まっていません。(2020/4/8)

中小企業・個人事業主向けの給付金

外出自粛や需要の落ち込みによっって事業収入が大きく減少した中小企業・個人事業主・フリーランスに対して、中小企業は上限200万円、個人事業主は100万円の範囲で前年度の事業収入からの減少額を給付します。

2020年1月〜12月までのいずれかの月に収入が前年よりも半分以上減少していることが条件になります。

給付金の総額は2兆3176億円が計上されています。

日本政策金融公庫や民間銀行の無利子融資

事業継続のために個人事業主・小規模事業者から中堅・大企業の資金繰り対策を行います。

そのための一貫として、実質無利子・無担保融資の拡大を実施。

日本政策金融公庫では、中小企業で最大1億円、小規模事業者で最大3,000万円の実質無利子融資を2020年3月からスタートしています。

既に日本政策金融公庫から借入を行なっている場合でも既存融資を実質無利子の融資へ借り換えすることが可能です。

また、民間金融機関からの借入も国が利子を補填することが実質無利子・無担保の融資が可能になります。

具体的には、中小・小規模事業者は売上15%以上、個人事業主・フリーランスの場合は、売上5%以上減少した場合に最大3,000万円の融資を受けられます。

雇用調整助成金

雇用調整助成金は、コロナ感染症の影響で休業等を余儀なくされた事業者が雇用の維持を図るために従業員へ支払う休業手当の費用を女性する制度です。

当初5月末までだった届出期間を6月末まで延長し、さらに助成率を中小企業で3分の2から5分の4へ、大企業では、2分の1から3分の2まで引き上げます

通常は雇用保険に6ヶ月以上加入していることが条件になりますが、今回は特例としてこの条件を撤廃し、加入期間が短い社員や雇用保険に加入しているパート・アルバイトなどの非正規社員も助成対象になりました。

収束後の経済に関する対策|官民をあげた経済活動の回復

家事をする女性

感染拡大が収束した後、経済復興のために実施する対策です。

観光・飲食・イベント業等の消費換気キャンペーン

コロナ拡大で深刻な影響をうけた「観光・運輸業・飲食業、イベント・エンターテインメント
事業を対象に、Go Toキャンペーン(仮)として、コロナ収束後に官消費喚起キャンペーンを実施します。

具体的には、キャンペーン期間中に旅行商品を買ったり、飲食店に来店した消費者、イベント・エンターテイメントのチケットを購入した消費者に対して、割引・ポイント・クーポン券等を付与します。

地域経済の活性化

1兆円にのぼる「地方創生臨時交付金」を創設し、各地域の経済活性化を行います。

文化芸術・スポーツ活動に関する財政支援やインバウンド需要の復活に向けた環境整備などが盛り込まれています。

産業活性化とデジタル化に関する対策|強じんな経済構造の構築

デジタル化

今回のコロナウイルス拡大をチャンスと捉え、経済構造の強じん化のための施策を実施します。

サプライチェーン改革

マスクなどの衛生用品を含めたコロナによって大きな影響が出た製品や部品、素材について生産供給網の強化を実施します。

中国など一国への依存度が高い製品等の生産拠点を国内に移す場合に、それにかかった費用を、中小企業で3分の2、大企業で2分の1を補助します。

また、マスク、アルコール消毒液、防護服、人工呼吸器といった健康な生活を営む上で欠かせない製品等については、国内生産拠点整備を、中小企業で4分の3、大企業で3分の2を補助します。

デジタル化

企業のテレワークなどの取り組み促進につき、テレワーク通信機器導入の支援を拡大するとともに、中小企業のサイバー生キュリティ対策に関する相談体制を強化します。

また、遠隔教育に関して、エドテック(Edtech)やオンライン学習を導入する学校の支援や令和5年度までに児童・生徒1人1台のPC端末等の整備などを行います。

リーマンショック時を超える過去最大の経済対策。今後の生活は?

今後の生活 

人々の生活や企業の事業活動に大きな影響を与えているコロナショック。

政府は、拡大収束のための緊急支援と経済復興のためのV字支援を実施することを決定しました。

今後の生活に大きく影響を与えることは間違いありません。

今回の対策をもとに政府各庁で具体的な支援内容や条件が随時提示されていくことになりますので、最新情報は常にチェックしておくと良いと思います。

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