今年は、インフルエンザが猛威を振るい、全国的に大流行しています。2019年1月26日の厚生労働省の発表によると、現在のインフル患者数は、213万人以上に上っているようです。
インフルエンザにかかってしまった人は、数日間会社を休まなければいけません。インフルエンザで仕事を休む際に、有給休暇を使えるかどうかでお悩みの方も多いのではないでしょうか。
中には、有給の残り日数がもう無い!という人もいると思います。でも安心してください、有給が使えなくてもインフルエンザで会社を休んだ場合に貰える手当があるんです。
インフルエンザにかかってしまった人も、まだかかってないという人も覚えておいて損のない知識ですので、ぜひチェックしてみてください。
そもそも、有給休暇を使うための条件は?
そもそも有給を使うための条件をおさらいしましょう。
有給休暇の取得条件は?
入社から6か月間継続勤務し、その期間の全労働日の8割以上出勤していれば、会社側は正社員・パート問わず、有給を付与しなければなりません。
有給の日数は以下のようになっています。
《正社員の場合》
勤続年数 | 6か月 | 1年 6か月 | 2年 6か月 | 3年 6か月 | 4年 6か月 | 5年 6か月 | 6年 6か月以上 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
付与日数 | 10日 | 11日 | 12日 | 14日 | 16日 | 18日 | 20日 |
《パート・アルバイトの場合》
週所定 労働日数 | 年間所定 労働日数 | 勤続年数 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
6か月 | 1年 6か月 | 2年 6か月 | 3年 6か月 | 4年 6か月 | 5年 6か月 | 6年 6か月以上 | ||
4日 | 169~216日 | 7日 | 8日 | 9日 | 10日 | 12日 | 13日 | 15日 |
3日 | 121~168日 | 5日 | 6日 | 6日 | 8日 | 9日 | 10日 | 11日 |
2日 | 73~120日 | 3日 | 4日 | 4日 | 5日 | 6日 | 6日 | 7日 |
1日 | 48~72日 | 1日 | 2日 | 2日 | 2日 | 3日 | 3日 | 3日 |
有給の申請期限は?
有給の申請はいつまでにしなくてはならない、という共通のルールはありません。
会社ごとに決まっていますが、基本的には事前に申告を、と定めている会社が多いですね。
そして、会社側は基本的に社員の有給申請を拒否することはできません。
しかし、これには例外があって、時季変更権というものが会社にはあります。
時季変更権
労働者の指定した日に年次有給休暇を与えると、事業の正常な運営が妨げられる場合は、使用者に休暇日を変更する権利(時季変更権)が認められています。
厚生労働省のホームページより
ただ、時季変更権があるとはいえ、よほどの理由がなければ、会社側は社員の有給申請を拒否することはできません。
インフルエンザの欠勤に有給は使える?
では、本題です。結局、インフルエンザで会社を休む時に有給休暇は使えるのでしょうか?
結論から言うと、インフルエンザを理由に有給の申請をすることは、何の問題はありません。
しかし、有給申請が遅くなってしまうと、会社によっては認められないかもしれません。
また、会社が、本人に確認せずインフルエンザで休んだ日を、勝手に有給休暇消化日扱いにすることもできません。
有給日数が足りない場合はどうしたらいい?
有給を使いきってしまい、これ以上休みたくないという方に朗報です。
インフルエンザに限らず、病気で会社を休んだときに条件を満たせば、給料の一部が、健康保険から払われる、傷病手当金という制度があるんです!
傷病手当金って?
傷病手当金とは、健康保険の加入者が、業務外の理由による病気やケガで働くことができない状態になったとき、その生活を保障するために、給与の2/3の額を最長で1年6ヶ月受け取ることができる制度です。
傷病手当金を受け取る条件
傷病手当金を受け取るには、健康保険に加入していることが前提条件です。
また、休んだ機関に給与の支払いがある場合も、もちろん使うことはできません。
健康保険に加入している上で、以下の条件を満たす必要があります。
- 業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること
- 仕事に就くことができないこと
- 連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと
一つずつ解説します。
- 業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること
傷病手当金を受けるためには、仕事と関係ない病気やケガである必要があります。
仕事に関係した病気やけがは、労災(労働災害)にあたるので、健康保険機関ではなく、労働基準監督署の管轄になります。
- 仕事に就くことができないこと
患者が仕事に就くことが出来るかどうかは、お医者さんが決めます。
普通のけがだとわかりませんが、インフルエンザなら、この条件はクリアできると思います。
- 連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと
これがもっとも大事な条件です。
傷病手当金を受け取るには、連続する3日間を含み4日以上仕事に就けないことが条件になります。
ですので、インフルエンザの場合、インフルエンザを発症して会社を3日間休んだら、4日目以降から傷病手当金が出るということになります。
この3日間を待機といい、残念ながら待期期間は傷病手当金が出ませんが、土日や祝日も待期期間に含めることが出来ます。
そして、その待期期間の3日間を有給とするという合わせ技も可能です。
傷病手当金の申請方法は?
傷病手当金を申請するにはどうしたらよいのでしょうか?
傷病手当金申請の流れを説明します。
- 傷病手当金支給申請書を用意する
最初に傷病手当金支給申請書を用意する必要があります。
傷病手当金支給申請書はネットでダウンロードすることが出来ます。
- お医者さんに意見書を記入してもらう
傷病手当金支給申請書の中に意見書という部分があるので、お医者さんに記入してもらいましょう。
意見書はお医者さんが、「この人は働けませんよ」という証明をするためのものです。
- 会社に事業主記入欄を記入してもらう
傷病手当金支給申請書の中に事業記入欄という部分があるので、会社に提出して、記入してもらいましょう。
事業主記入欄は、会社を休んでいる間に給与が支払われていない証明をするためのものです。
- 傷病手当金支給申請書を提出する
意見書と事業主証明がそろったら、傷病手当金支給申請書と一緒に提出します。
傷病手当金支給申請書は一般的に会社を通して、保健機関に提出しますが、場合によっては保健機関に直接提出することも可能です。
ちなみに、傷病手当金は2年前までさかのぼって申請することが可能ですので、過去のことでも勇気を出して申請してみましょう!
おわりに
インフルエンザは厄介な病気ですが、会社の制度をうまく使えば、金銭的な負担を最小限に抑えることが出来ます。
いくら身体が丈夫な人でも、かかるときはかかるので、いざというときのために知っておくことは重要です。
しかし、何といっても、日ごろから手洗いうがいなどの予防策をとることが、一番大事ですね。
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