住宅を購入の際、ほとんどの方は住宅ローンを組みますよね。
しかし、実際にローンを組むとなると変動金利や固定金利、またはその両者の組み合わせたものなどがあり、結局どっちがいいのか?と思われる方が多いと思います。
本記事はそのように思われている方々に向けて書きました。
そもそも変動金利と固定金利はどのように違うのか?それぞれどのようなメリット・デメリット・特徴があるのか?ということから、金利以外にも住宅ローンの負担を軽減できる方法をまとめました。
住宅ローンについてお悩みの方にとっては金利に加えて、住宅ローンに関することを幅広く知れるものにしました。是非最後までお見通しください!
そもそも金利の仕組みって?どんな種類がある?
住宅ローン金利種類
- 変動型
市場の金利の変動に応じて金利が変動するローンです。ローン申込み時では適用金利が一番低いです。
- 固定期間選択型
返済期間のはじめのうちは固定金利で、固定金利期間が終了した後、固定金利型か変動金利型かを選択できるローン。
固定金利期間が長いほど(固定金利期間の)金利が高くなる。
- 固定型
ローン申込み時(またはローン実行時)の金利が返済終了まで変わらず適用される。
ローン申込み時の適用金利は最も高いです。
金利の仕組み
金利は基本的に日本銀行が国債の売買をすることで調整しています。
不況の時は金利を低くし、企業が資金を借り入れて投資をしやすい環境にするように低金利、金融緩和政策を実行します。
逆に景気が過熱した時は金利を高くし、企業が多額の借り入れをしないように金利を高くする金融締め付け政策を実行します。
政府が景気回復と消費税増税対策として実行している話題のアベノミクスの政策の一つに金融緩和があり、現在は大規模な金融緩和政策が実行され、いわゆるマイナス金利と言われるような超低金利状態にあると言えます。
固定金利と変動金利の利用割合は?
住宅ローン金利種類 | 利用割合 |
変動型 | 57% |
固定期間選択型 | 25.3% |
全期間固定型 | 17.7% |
住宅金融支援機構によると、変動型金利の利用が57%と半分以上の人が変動型金利を利用しているようです。
これは、変動金利の方がローン申込み時の利率が低いことが理由だと考えられます。
住宅ローンの金利推移!金利は上がってる?下がってる?
住宅ローン基準金利の推移
適用年 | 固定金利(20年超35年以内) |
2019年1月 | 1.68% |
2018年1月 | 1.71% |
2017年1月 | 1.69% |
2016年1月 | 2.03% |
2015年1月 | 2.09% |
2014年1月 | 2.49% |
2013年1月 | 2.58%% |
2012年1月 | 2.64% |
2011年1月 | 3.04% |
2010年1月 | 3.18% |
2009年1月 | 3.20% |
2008年1月 | 3.15% |
2007年1月 | 3.15% |
2006年1月 | 2.80% |
2005年1月 | 2.80% |
2004年1月 | 3.43% |
(参考)三井住友銀行住宅ローン基準金利
これは、適用年の時に固定金利で住宅ローンを申し込むと利率をいくらで申し込むことになったのかがわかるものです。
以上の表から、リーマンショック後の2009年1月の時から金利は下がり続けていることがわかります。世界的な不況に伴う日本経済の停滞からの脱出を図るため、政府がアベノミクス政策を行いました。
金利が下がり続けているのは、政府がアベノミクスの政策の一つとして大胆な金融緩和を行い、日本銀行が大量の国債を購入し、金利を下げきたことが要因です。
*以上の金利は基準金利であり、実際の住宅購入価格にかかるものとは利率が異なります。住宅ローンの金利には基準金利と適用金利があり、基準金利は定価、適用金利が割引価格のようなものです。
一般的に住宅ローンを申し込む際に適用されるのが適用金利です。
現在の住宅ローン適用金利
現在、実際に住宅ローンを申し込んだ際に適用される金利は以下のようでした。
金利種類 | 適用金利 |
変動型 | 0.625〜0.975% |
固定期間選択型(固定期間10年) | 0.70〜1.05% |
全期間固定型(借り入れ期間31〜35年) | 1.30% |
(参考)みずほ銀行住宅ローン
この表から分かる通り、変動金利の金利が最も低く、固定金利が最も金利が高くなります。
変動金利のメリット・デメリット!5年ルールや125%ルールって何?
変動金利のメリット
- ローン申込み時、 固定金利よりも金利が低めに設定されている
変動金利のデメリット
- 将来金利が上昇し、固定金利よりも高い金利になる可能性がある
変動金利は社会的に金利が低めに設定されている限り、そのメリットを享受できます。
また、変動金利は金利が変動した際でも支払いに対応できる資金に余裕のある家計の方が良いでしょう。
変動金利の「5年ルール」と「125%ルール」とは
「5年ルール」は住宅ローン金利が5年間は変動せずに一定ということです。これは、金利が上昇しても、すぐに家計に影響が出ないようにするためです。
「125%ルール」とは、住宅ローン金利が変動しても全金利の125%以上にはならないということです。
これもまた金利の急激な変化があっても家計が対応できるように決められています。ただし、125%を超えた分は繰り越され、いずれは払わなければいけません。
変動金利には金利変動リスクがあるものの、「5年ルール」や「125%ルール」のようにある程度金利変動に対応するためのシステムもあります。
固定金利のメリット・デメリット!公的ローンの金利タイプは固定型が中心
固定金利のメリット
- 返済額が変わらないので、収支計画が立てやすい
- 将来、金利が上昇した時には変動金利よりも低い金利で済む可能性がある
固定金利のデメリット
- 住宅ローン申込み時、変動金利より金利が高めに設定されている
固定金利で利用できる公的住宅ローン
フラット35
フラット35とは民間の金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供している長期固定金利型住宅ローンです。
【申し込み条件】
- 申込み時点で70歳未満
- 年収に対する全ての借り入れの年間合計返済額の割合が次の基準を満たしている人
年収400万円未満の場合、30%以下
年収400万円以上の場合、35%以下
【資金用途】
- 申込者または親族が住むための新築住宅の建築・購入資金または中古住宅の購入資金
【借り入れの対象となる住宅】
- 固定金利王乳価格が1億円以下
- 床面積が70㎡以上(一戸建ての場合)または30㎡以上(マンション等の場合)
【融資金額】
- 最高8000万円で購入価格(または建設資金)の100%(ただし、融資割合が90%超の時は高い金利となる)
【適用金利】
- 固定金利
【補足】
- 保証人や保証料は不要
- 繰り上げ返済は手数料無料
- 繰り上げ返済は窓口の場合、100万円以上、インターネットの場合、10万円以上
財形住宅融資
財形住宅融資とは、財形貯蓄(一般財形貯蓄、財形住宅貯蓄、財形年金貯蓄)を行なっている場合において、一定の条件を満たした時、購入価格の90%以内の融資を受けることができる5年固定金利の公的ローンです。
【融資条件】
- 1年以上継続して積み立てをしており、財形貯蓄残高が50万円以上であることなど
【融資金額】
- 一般財形、住宅財形、年金財形の合計貯蓄残高の10倍以内(最高4000万円)で、購入価格の90%以内
【適用金利】
- 固定金利
固定金利の最大のメリットは収支計画が立てやすいことです。教育資金の予測が難しい家計の方など、将来の家計の収支バランスを少しでも予測しやすいようにしたい方などが利用するのに良いかもしれません。
住宅ローン返済の負担を減らすための4つの方法
①繰り上げ返済をする
住宅ローンの繰り上げ返済とは、通常の返済以外に、元金の一部や全部を返済することを言います。
住宅ローンの返済は2種類あります。返済期間短縮型と返済額軽減型です。
返済期間短縮型
毎回の返済額を変えずに、返済期間を短縮する方法です。返済額軽減型よりも利息の軽減効果が大きくなります。
返済額軽減型
返済期間を変えずに毎回の返済額を減らす方法です。
トータルの返済額を減らしたい方は返済期間短縮型、目前の住宅ローン支払いを減らしたい方は返済額軽減型を選ぶのが良いかもしれません。
②住宅ローン減税(控除)を活用する
住宅ローン控除は、正式名称を「住宅借入金等特別控除」といいます。
住宅ローンを利用して住宅を取得したり、増改築した場合に住宅ローン年末残高に一定の率を掛けた金額に税額控除を受けることができるものです。
控除率・控除期間等
一般住宅 | 認定住宅 | |
住宅ローン年末残高限度額 | 4000万円 | 5000万円 |
控除率 | 1% | 1% |
控除期間 | 10年間 | 10年間 |
適用要件
- 返済期間が10年以上である
- 住宅を取得した日から6ヶ月以内に居住を開始し、適用を受ける隔各年の年末まで引き続き居住していること
- 控除を受ける年の合計所得金額が3000万円以下であること
- 住宅の床面積が50㎡以上で、床面積の半分以上の部分が自分で居住するためのものであること
など
その他注意点
- 住宅ローン控除を受ける場合、確定申告が必要(ただし、給与所得者の場合は初年度に確定申告をすれば、2年目以降は確定申告は不要(年末調整は控除できる))
- 店舗兼住宅も住宅部分に限って適用可能
- 繰り上げ返済によって住宅ローン返済期間が(ローン返済開始から)10年未満となった場合には適用を受けることができなくなる(本記事で住宅ローン返済期間短縮によるローン負担軽減についても紹介させて頂きました。住宅ローン繰り上げ返済と住宅ローン減税を併用する方はご注意ください)
- 住宅取得年から転勤等により適用住宅に居住できなくなった場合でも、再入居後は適用を受けることができる
- 災害等により居住をできなくなった場合でも、一定の場合には適用を受けることができる
- その年の所得税額から住宅ローン控除額を控除しきれない場合には、翌年度の住民税から控除することができる
③ローンの借り換えをする
借り換えとは、金利の高いローンを一括して返済し、金利の低いローンに換えることを言います。
金利の高いローンから金利の低いローンに変更することで支払い金利を安くすることができます。ただし、新規のローンを申し込む場合、ローン手数料などの諸経費を考慮する必要があります。
また、フラット35や財形住宅融資等の公的ローンへの借り換えはできません。
④住宅購入の際に利用できる控除・給付金を利用する
直系尊属(父母)からの住宅取得等資金に対する控除
- 適用対象者
贈与者:直系尊属(父母、祖父母など)
受贈者:満20歳以上で贈与を受けた年の合計所得金額が2000万円以下の人
*受贈者一人につき一回だけ使える制度です。
- 適用住宅
取得した住宅用家屋の床面積が50㎡以上240㎡以下
- 非課税限度額(〜20年3月31日)
①一般の住宅(②以外):700万円
②省エネ・耐震性の住宅:1200万円
すまい給付金
すまい給付金は消費税増税に伴う負担増を軽減するために導入されました。給付額は以下の表の通りです。
- 消費税率8%の場合
収入額 | 給付基礎額 |
425万円以下 | 30万円 |
425万円超〜475万円以下 | 20万円 |
475万円超〜510万円以下 | 10万円 |
- 消費税率10%の場合
収入額 | 給付基礎額 |
450万円以下 | 50万円 |
450万円超〜525万円以下 | 40万円 |
525万円超〜600万円以下 | 30万円 |
600万円超〜675万円以下 | 20万円 |
675万円超〜775万円以下 | 10万円 |
今後の景気予測は難しい!金利タイプを選ぶ時の考え方とは
結論から言うと、固定金利と変動金利のどちらがお得になるのかは、一概に判断するのは難しいです。
理論上は、近い将来景気が良くなって、日本銀行が金利を上げて経済を落ち着かせる場合は固定金利を選び、景気が悪く、日本銀行が金利を下げて景気を刺激する場合は、変動金利を選んだ方が金利を安く済ませることができます。
現在、日本は景気が良くなってこれから金利を上げていくという段階にあります。そのため、理論上では固定金利または固定金利選択型の方がお得になるだろうと簡単な予測ができます。
ただし、リーマンショック以降、日本はアベノミクス政策を通してマイナス金利政策の下、超低金利政策を実行してきました。2019年1月現在でも低金利政策は継続中なので、現在は変動金利の方が固定金利よりも利率が低いです。
つまり、経済動向、日本銀行の金融政策による金利変動によって、どちらがお得になるかは変わってきます。日本経済が景気の最高潮を迎えるのはいつなのか?次の不況・好況がくるのはいつなのか?を完全に予想できる人はいません。
住宅ローンを返済する何十年の間に好況・不況が何回あり、どれくらいの長さであるのかを予想してトータル的に支払い金利を安く済ませる金利を選ぶことはさらに難しいです。
そのため、金利を選ぶ際は、景気予測に頼らず、読者の方々の家計に基づいて支払いやすい金利の種類を選ぶのも考え方の一つです。
しばらくは大きな出費がなく、手元のお金に余裕があるのであれば、固定金利を選んだり、逆に直近で学費の支払い等の出費があるのであれば、金利の安い変動金利を選んでも良いでしょう。
固定金利、変動金利のそれぞれのメリット・デメリットを踏まえた上で、今後のライフプランを合わせて自分にあった金利を選んでください。
ライフスタイルに合わせて、家庭に合った金利タイプを選ぼう
本記事では固定金利と変動金利の内容の確認とメリット・デメリットをお伝えしました。
固定金利か変動金利が良いかは、各家庭の収入予測や住宅ローン申込み時の経済環境や住宅ローン返済期間などによって変わってきます。
本記事が読者の方々が最適な金利の種類を選ぶ参考になれば幸いです。
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